チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性 作:八神っち
現在、ヒーロービルボードチャートJPの発表会場。その最前列に私はトップ10ヒーローを眺めながらも、一言コメントを聞いていた。
まずはNo10のリューキュウさん。
「今回、辞退できるものならしたかったと言うのが本音です。救えたはずの命がありました。何より私のすぐ下に……私よりも遥かに相応しいヒーローが居ますから……ですがこの順位に見合うように邁進してまいります」
ちらりと私の方を見る。別に良いんですが気を使わなくても。
そして以下9位~5位の方々がコメントをしていく。
4位のエッジショットさんがコメントをしている時に、2位のヒーロー、ホークスが言葉を挟んでいた。
「支持率って俺は今一番大事な数字だと思ってるんですけど」
支持率1位のベストジーニスト、2位のホークス……そして
「過去引きずっている場合ですか。やる事変えなくていいんですか。平和の象徴はもういない」
ホークスがその翼を広げて空へ飛ぶ。
「節目のこの日に俺より……彼女より成果の出てない人達が、なァにを安パイ切ってンですか。もっとヒーローらしいこと言って下さいよ」
ざわつく会場に対して、言うだけ言ってホークスは降りて来てエンデヴァーさんにマイクを渡す。
「さァお次どうぞ支持率俺以下No1さん」
めっちゃ煽っておられる。それに対してエンデヴァーさんは表情を変えずに言葉を紡ぐ。
「若輩にこうも煽られた以上多くは語らん……俺を見ていてくれ」
俺を見ていてくれ……ねぇ。嫌でも誰もが貴方を見るでしょうに。それは誰に対してのメッセージなんですかね。
周りの拍手を聞いていると、私に飛んでくるマイクを受け取る。それはエンデヴァーさんが投げた物であった。
「上がってこい2R。壇上に貴様が居ないのは誰も納得していない」
会場の人が一斉に私を見る。全く……強引な人だ。
私は着ている白軍服のスカートを翻し、注目される中で一歩一歩壇上に上がって行く。ステージ中央に辿り着くと、進行役の人に視線を送る。
すると進行役は慌てながらもすぐにアドリブで私の紹介を行う。
『えー今の日本ヒーロー界で彼女を知らない人は居ないでしょう。今期支持率3位!あの神野での貢献者。託された名は「再建の旗」!番付11位!修復ヒーロー2R!!』
紹介に合わせて一礼。さて……何を言いますかね。ホークスのせいで生半可な覚悟を示してはダメだろう。
『ではコメントをどうぞ』
「えー……では私もエンデヴァーさんに倣って、多くは語りません」
私が示す覚悟。やはりコレしかないだろう。
「今後もヴィランによる被害は多くなるでしょう。場合によっては辺り一面を巻き込む戦闘も起こるでしょう」
ですが……と一拍置く。
「勝ってくれれば跡はどうにかします。目が届くなら大丈夫です」
なぜなら
「私が居ますから」
私を見ろとは言わない。旗なんて勝手に注目され集まる物だ。だから私が見ていると言ってやる。それが私の役割だから。
大胆不敵な挨拶になってしまったが、仕方ない。ブレない象徴としての在り方を示さなければならないのだから。
再度一礼。エンデヴァーさんと同等の拍手が送られる。
……結局本当に言いたい事は戦闘に関しては他力本願でごめんね!って事なんですがね。もうコラテラルダメージは諦めるしかないのだ。
………………………………
そして裏方の楽屋的な場所にて。
「エンデヴァーさん。あそこで無茶ぶりしないで下さいよ」
マイクを投げ渡された事に関して少し小言を言ってみる。するとエンデヴァーさんはすまし顔で言ってくる。
「ふん。貴様にそれだけの資格があるからやっただけだ。それに何だ11位とは?リューキュウが居心地悪そうにしてたぞ」
「私の活動時間的に仕方ないんですよ。ヴィラン逮捕率も事件解決率も圧倒的に低いんですから」
アレは保須と神野だけで取った順位と言ってもいいだろう。てか学生が週末使ってせっせとお仕事しているのだ。目を瞑ってもらいたい。
そんな先輩後輩の会話に割って入るのがホークスだ。
何でもエンデヴァーさんに対する振りは、彼が次のリーダーだと証明する為に必要だったと言う。
「まァ嬢ちゃんも大したもんだ。あのエンデヴァーさんの後に堂々としてるんだから」
「あの称号背負う以上、相応の態度が必要でしょう」
「それを分かってやってんだから、尚更凄いって事」
俺の代わりにサブリーダーよろしくねーと軽い態度のホークス。なんだサブリーダーって。
「ここからが本題です。エンデヴァーさん、嬢ちゃん。チームアップのお願いです」
まさかのチームアップのお誘いである。何でも脳無の目撃情報の噂があるらしい。それに対するチーム編成と言った感じらしい。
「嬢ちゃんは保険って感じさ。もし本当に現れた時の被害の大きさ知ってるだろ?」
「それは知ってますが。長期のチームアップは無理ですよ?」
学生ですし。言って見るとホークスもそれを承知だった様で短期の編成という事らしい。こうして私はホークスの地元に同行する事になったのだ。
てなわけで主人公は11位にしました。10位以内は無理かなーと思いましたので。
あと3話くらいでたぶん終わりですかねー?現行の戦闘訓練のやつはやりそうもありません。年内に最終回迎えられる様に頑張ります。