雨風との演習の翌日。
春日達は金属の激しくぶつかる音で目を覚ます。
「朝早くからなんの音だ……?」
窓を開けて海を見下ろす。するとそこには雨風と霧衛が武器で近接訓練をしていた。雨風は青白く輝く槍<羅刹>を、霧衛は燃える炎のように赤い刀身を持った<飛燕刀>を使っている。どちらの武器も戦艦を瞬時に沈める程の力を持つが、二人はそれを更に強力にして使いこなすことが出来た。
「ハハハハ!どうした霧衛!ペース下がってるぞ!」
「フン、そちらこそ威力がなくなってきているぞ?」
「言ってろ!」
「シッ!」
ピピーーーーー!
笛の音がなり二人が動きを止める。
「兄様ー時間ですよー!」
笛を吹いたのはどうやら山城だったようである。
それに合わせて二人が互いに礼をした。
「こんな朝っぱらから二人揃って何をしてるんだ?」
春日が下に降りてきており三人居る場所へ近づいてきた。
「よぉ春日、どうだお前も?」
自分の身長の倍近くある槍を肩にかけて春日に問いかける。
「いや俺は遠慮するよ。というより俺は遠距離の方だしお前相手では遠近共に戦いにくい。霧衛はまず近づかなければ攻撃も当たらないだろう?それに雨風は<あの鎖>があるだろ?」
そう言われ微妙な表情になる。
「うん……まぁ……そうなるか……」
今春日の言った<あの鎖>というのは雨風雷光の専用艤装<砕>という電撃を纏った鎖型の装備であり雨風の電圧で制御が出来る。仕事をしているときも遠いところのものを書類を整理しつつ取ることも出来るなど。使い方によっては便利なものでもある。
「春日さんは確か狙撃がお得意でしたね?」
「まあ、そうだね」
「おいおい山城、春日は俺らよりも精密な射撃ができるんだから得意じゃないわけないだろ?」
「そうですよねー(棒)」
「さて、そろそろ演習の準備をしよう。あいつらも起こさねばな」
ーー1時間後ーー
式凪霧衛主力艦隊
艦隊名「主力撃滅艦隊」
霧衛「さて準備万端だな?」
日向「あぁ、瑞雲もバッチリだ」
伊勢「こっちもいいよ!徹甲弾もオッケー!」
鈴谷「行けるよー」
三隈「こちらも大丈夫ですわ」
瑞鶴「脚引っ張んないでよね元戦艦」
加賀「そっちこそ邪魔にならないようにしなさい七面鳥」
瑞鶴「なんですって!?」
霧衛「いいから落ち着け」
ーーーーーーーー
春日英人主力艦隊
艦隊名「ショートランド水上部隊」
春日「昨日とは違って航空戦力を増やしたが、大丈夫か?」
千歳「もっちろん!大丈夫です!」
千代田「千歳お姉と一緒ならいけるわ!」
叢雲「今回は任せるわ。長門さんたのんだわよ」
長門「勿論だ。任せておけ!」
木曾「雷巡になったからにはこの魚雷を叩き込んでやるぜ!」
摩耶「高射装置も付けたから今度は撃ち落としてやる!」
榛名「初めてあんな相手と演習しますね、でも榛名は大丈夫です!」
ーーーーーーーー
アナウンスが鳴り響く。そして演習が開始された。
制空戦
千歳千代田が烈風、零式艦戦52型を発艦させる。
千歳「今回は噴式飛んでこないわね。あっちは持ってないのかしら?」
千代田「そうかもね。それにしてもあっちは数が少ないような…」
千歳「制空権は捨ててるとか?」
千代田「どうだろう?」
一方加賀と瑞鶴。二人合わせて烈風を発艦。それ以外にも二人は[ある艦載機]を放っていた。噴式とは違う。特徴としては他の艦戦と<形が違う>ということ。
加賀「<彩雲>は大丈夫なのね、瑞鶴。落とされてないわね?」
瑞鶴「大丈夫だってば。しつこいわね。そっちこそ提督さんが倉庫から引っ張り出してきた<震電>は?」
加賀「落とされるわけないでしょう。まぁ、<防空巡洋艦>の摩耶が居るから制空権は少しキツくなると考えておきなさい」
瑞鶴「……了解。集中しておくわ」
加賀に促されるように集中力を研ぎ澄ます。
瑞鶴(さっきまでを顔つき変えちゃって…本気って訳ね…)
そして両艦隊の艦載機が制空戦を開始する。
それに合わせるように摩耶が対空射撃を行う。
摩耶「摩耶様の攻撃!受けやがれ!」
機銃と副砲による激しい弾幕。それにより結構な数の艦載機が落とされる。しかし油断していた。摩耶は霧衛の艦隊内容を見たにも関わらず上空だけに集中していた。瑞雲や艦戦を狙う。しかし足元は確認していなかった!それはどういうことか。そう。
日向「瑞雲は囮だからな。流石に足元には気付かなかったか」
摩耶「なに?」
加賀「注意力が散漫ね。まだ未熟な証拠よ。とったわ」
摩耶の足元。海面すれすれを一機の攻撃機が飛ぶ。
英国産の艦載機「swordfish」。ドイツ艦、イタリア艦にとって脅威の艦載機であり、機能性にも長けている優れた機体。そして加賀の放ったこの「swordfish」は「Mk.Ⅱ」
(※以下<SF>)通常の機体の上位機体であり、更にパワーアップされている。
摩耶「なっ!?ぐぁっ!!!」
いの一番。摩耶が大破。それにより制空権の優勢をとった。それに続いて瑞鶴の「流星改」により木曾が中破。瑞雲の爆撃で千歳が小破という大きな影響を与えた。
木曾「チぃっ!魚雷がなけりゃ副砲に頼るしかねーな!」
雨風の艦隊を遥かに上回る航空戦闘に対し、雨風は笑い、霧衛は考え、春日は焦りを覚えた。
砲雷撃戦
伊勢「日向は長門を、私は榛名を狙うから」
日向「了解。まぁ万が一攻撃を受けても<イタリア製のバルジ>があるから多少はふせげるだろう」
鈴谷「じゃあ三隈と鈴谷で空母二人狙っちゃうから!あとはよろしくね!」
三隈「鈴谷、あまり近づかずなるべく離れて狙いましょう」
加賀「まだ様子見ね。SFも待機させておくわ。瑞鶴援護しなさい」
瑞鶴「はいはい、分かったわよ。やってやるわよ。もう」
長門「妙だな。仕掛けてこないとは」
榛名「俺達とは違って様子を伺うタイプって昨日のよるに雨風さんから聞きました。多分様子見してるんだと思います」
木曾「夜戦まで持ちこたえられればなんとかなる!」
千歳「少し接近戦はキツいわね…」
千代田「あそこまで艦載機の熟練土が高いなんて…」
春日「ここで怯んでては雨風に追い付けないぞ!皆、気合い入れていくぞ!」
一同「了解!」
長門「っ!日向を発見!制空権はなくとも徹甲弾は撃てる!」
いち早く日向を見つけ照準を合わせる。そしてタイミングもバッチリ。「ここしかない」そう思って力を込める。
長門「全主砲!斉射!撃て!」
長門から複数の弾丸が日向に向けて発せられる。今更気づいても避けることは不可能。……春日の艦隊は誰もがそう思っていた。しかし日向は回避行動をとらない。それどころか防御すらしない。それは何故か。
日向「簡単にやられるわけなかろう。切り落とす。<三連・隼落し>!」
一呼吸の間。ほとんど同時に飛んできた弾丸を撃ち落とす。否、「切り落とされた」。
日向はわずか1秒。その間に全て切り落とし、そして主砲を長門に向ける。制空権もあるために偵察機との連携を入れる。山城と同じ<弾着観測射撃>。長門を戦闘続行不可能な状態に追い込む。
長門「バカな……。すまん皆、ビッグ7に、旗艦にあるまじき失態だ。榛名後は頼む」
榛名「任せて下さい。榛名頑張ります!」
権限を榛名に渡し長門は撤退。榛名も気合い充分であるよう。
そのときはるか水平線の彼方、こちらを見つめている者が居たことをまだ誰も気づいてはいなかった。
一体なんの目的でこちらを見ているのか。何故戦意を向けていたのか。まだ知るよしもなかった。
続く。~to be continue~