演習を行っていたところ、ふと雨風が何かに気付く。
「磁場が狂ってるな……妙な狂い方だ」
それを見て扶桑が反応する。
「なにかあった?」
「いや、分かりません。しかし磁場の乱れだけでなく、何となく、こう、視線を感じます」
「視線を感じる……どこかから見られてるのかしら…」
扶桑と雨風がその気配に違和感を覚える。いつか感じたような、初めてのようなそんな違和感に他の者たちも気が付く。順に霧衛、春日、時雨、山城、加賀、長門、摩耶、最上、赤城、瑞鶴、千歳、千代田、翔鶴、蒼龍、そしてここで演習場に居たすべての艦娘がそれに気付き手を止める。
「雨風…なにか来るぞ…」
「チッ。面倒なやつが来たな……」
雨風は水平線の向こう。その姿を捉えた。それは「姫」「鬼」そこに分類される上位種の深海棲艦。そして目に写ったのは2体。
「装甲空母鬼……!ついでに古姫も来やがった!」
「兄様、迎撃の命を。山城、いつでも行けます!」
山城が即座に艤装を展開、先頭準備も整ったようだ。
しかしこれに対して雨風の言った言葉には誰もが驚きを隠せなかった。
「いや、こちらからは仕掛けん。近海付近まで引き付けろ」
「なっ!正気か雨風!こっちが被害を受けたらどうす…」
春日の言葉を遮るように雨風が続ける。
「待て待て。そうではない。全員が確認できる距離まで寄せる。そこで集中的に叩きのめす。ということだ」
「……分かった。それならなんとか出来そうだ」
説明すると。作戦は現在演習場に居る全員が敵艦隊を確認、攻撃できる距離まで近づけそこを全力で叩くという作戦である。それ以外にも目的はあった。呼んでいた艦隊の到着である。
その時間も丁度今、新編遊撃部隊の叢雲、満潮、Richelieu、Warspite、那智、加古。特装起動部隊の飛鷹、祥鳳、響、白雪、由良、武蔵。そして主力の雷巡の大井、北上がショートランド泊地近海に到着。
「よし、よく来たなお前たち。到着早々悪いがすぐに連合艦隊を編成する」
「ええ、分かったわ。……こっちにも[叢雲]は居るのね」
叢雲(雨風艦隊)はショートランドの叢雲を見てそう言った。
「まあ、それはあとだ。編成は考えてある。まず起動部隊編成で第一艦隊に旗艦山城、扶桑、加賀、瑞鶴、翔鶴、蒼龍。第二艦隊旗艦由良、北上、大井、叢雲、Richelieu、時雨」
~ここから誰か分かるようにします~
扶桑「ええ、分かったわ。山城、任せたわよ」
山城「はい、姉様」
加賀「五航戦。制空権の確保に勤めなさい。攻撃は私と蒼龍に任せて」
蒼龍「そうそう、頼んだわよ二人とも♪」
瑞鶴「命令しないでよね一航戦。まあやるけど……」
翔鶴「そうですね。ここは最低でもこちら側に有利な状態にしたいところですね」
由良「叢雲、時雨は夜戦まで持ちこたえて。それまでに決着がつけば楽だけど……」
叢雲「由良、そんなことを言わないで。私たちなら余裕よ。<アレ>もあるから。時雨、いける?」(以下雨叢雲)
時雨「うん。黒布も使えるよ。あと僕の<短刀>もつかえそう」
Richelieu「夜戦までは守ってあげるわ。危ないときは私の後に来なさい」(以下リシュ)
大井「北上さん。甲標的、どのように狙いますか?」
北上「そうだね~。じゃああたしは古鬼狙うから、大井っちは巡洋艦クラス狙ってね」
大井「分かりました」
雨風「あと……霧衛。支援を頼む」
霧衛「了解。では武蔵、伊勢、白雪、響、祥鳳、飛鷹が第三艦隊。……春日、第四艦隊を頼む」
春日「分かった。叢雲、紫織、長門、榛名、千歳、千代田。しっかり当ててくれ」
叢雲「ええ……」(以下春叢雲)
紫織「分かりました」
長門「では榛名偵察機を電探に。命中させるぞ」
榛名「はい、少しでも多く沈めます」
千歳「千代田、副砲と艦爆で装備を整えて」
千代田「うん、大丈夫!いけるわ」
春叢雲「…………」
叢雲は雨風艦隊の叢雲をじっと見つめていた。それに気付いた雨叢雲は春叢雲に近付き、そして口を開く。
雨叢雲「話は聞いているわ。貴女、扶桑さんに勝ったそうね。なかなかやるじゃない、私の練度でも苦戦するのに」
春叢雲「それは……みんなの協力があったから勝てただけよ。一人じゃ勝てなかったわ」
それを聞いて雨叢雲はこう言ったコメントをした。
雨叢雲「ふふ。安心したわ。一人で勝てたなんて言ったらどうしようかと思った」
春叢雲「な、何よ、もう」
雨叢雲「なんでもないわ。まあ、その仲間の存在を絶体忘れないで。何があっても信じなさい。強くなるにはそれが大事よ?」
春叢雲「……ええ……分かった」
雨風「そら来るぞ!距離7000!敵艦隊第一陣、複縦陣水雷編成、旗艦に軽巡ツ級、雷巡チ級、駆逐ニ級後期型4隻!軽く沈めてやれ!」
ーー制空権確保ー開幕雷撃ー
損害
第一艦隊
紫電改ニ×1
天山×1
瑞雲×1
敵艦隊
ツ級 大破
チ級 撃沈
後ニ撃沈×2大破×1小破×1
ーー砲撃戦ーー
山城「とどめよ!沈みなさい!」
激しい怒号をあげ空気を振動させる。
その砲撃は確実に敵をとらえる。
山城「姉様、次お願いいたします!」
山城がさがり扶桑が砲撃をする。
扶桑「簡単に終わらせてあげる。沈んで!」
完璧な軌道で敵の装甲を貫く。
続いて加賀が最後に残った駆逐艦を撃破。
加賀「…こんなものね。まだまだ弱いわ」
雨風「ほら!ぼさっとすんな!続けてくるぞ!今度は空母も居る!制空権確保に勤めろ!」
翔鶴「では紫電改ニ航空部隊。突撃!」
瑞鶴「アウトレンジ、決めていくわ!」
蒼龍「うんうん、よし。いっけえ!」
加賀「鎧袖一触。さて、行きなさい!」
ーー航空優勢ーー開幕雷撃ー
敵艦隊撃破状況
旗艦空母ヲ級大破
軽空母ヌ級elite×2撃破
戦艦ル級flagship大破
駆逐ナ級後期型撃破×1Miss×1
ーー砲撃戦ーー
山城「……厄介ですので。動きを止めてもらいます。<ニ式凍結弾>!撃て!」
山城の放った砲弾は空中で爆散して敵艦隊に青白い雨がおちる。その直後敵艦隊の足元が一瞬にして凍りついた。それを見計らい扶桑が続けて攻撃をする。
扶桑「改良型三式弾、<針雨>。貫いてあげる!」
降り注ぐ鉄の雨は一発の弾丸から出ている。
その弾が放たれてから一定時間で爆発するのである。
たった二人の戦艦の攻撃で敵艦隊は完全に撃破された。
そして残るは主力の装甲空母鬼である。
春日「なんだあれ……」
雨風「うちの明石がいじりにいじりまくった結果だ。俺も若干いじったけどな」
春日「むちゃがあるだろ……」
雨風「まあそれはそれ。さて行くぞ、全力で潰す……」
雨風が槍を構えると体が青い光を灯した。そしてだんだんバチバチと電気の音が鳴り響く。
雨風「オオオオオオオオ!!!!」
叫ぶ。一瞬にして3000もの距離を移動した。
丁度扶桑の前。その位置に着水する。
春日「相変わらずよくできるなあれ……」
扶桑「あら、ずいぶんと早く出てくるのね。それだけのことかしら?」
雨風「フン。目障りなんでね。すぐに仕留めますよ」
山城「いきなりフルで行くおつもりですか?」
雨風「勿論。叢雲行くぞ」
叢雲「分かったわよ…言わなくてもついていくわ」
そう言って雨風と叢雲は同じ行動をとる。
叢雲「雷式外装<雷雲>!」
雨風「雷式外装<雷霆羅刹>!」
叢雲が電撃を帯びる。この電撃の効果は自身の筋肉に影響し、瞬発力、攻撃力を瞬間的に大幅に増幅させ、時間が経つほどに効果が上がってくる。
そして雨風の雷霆羅刹は自身の体に特殊な装甲が表れ、あらゆる攻撃に反発。倍以上の威力で弾き返す。それだけではなく、凄まじい破壊力の電磁砲を無限にうち続けられる。
雨風「先手とった!雷天砲雷衝!」
敵陣のど真ん中に突っ込んで技を使う。
この技は雨風を中心に広範囲を攻撃するものであり、捕捉出来る敵も多い。
そうであるために艦娘の艤装以外の機器は一定の間狂ってしまうほどの強い電磁波が発生する。
ーー状況ーー
敵第1艦隊
装甲空母鬼小破、Miss
戦艦ル級flagship×2撃沈
空母ヲ級改flagship×2撃沈
残
装甲空母鬼
駆逐ナ級flagship
敵第2艦隊
軽巡へ級flagship撃沈
軽巡ツ級elite大破
重巡リ級改flagship撃沈
駆逐古姫大破
駆逐イ級elite×2撃沈
残
軽巡ツ級elite
駆逐古姫
かなりの規模を撃破、戦況が完全にこちらに傾く。
そして叢雲が残った敵に追撃をしかける。
まず狙うは駆逐古姫
叢雲「逃しはしない!貫け!雷神一槍!」
雨風のオリジナルではあるが叢雲も使えるこの槍術。
どんな防御もものともせず、ただ貫くのみ。それを敵の心臓部めがけて突き立てる。
駆逐古姫「アァぁあァァァァaaaaa!」
凄まじい断末魔をあげ沈んでいく。
更に叢雲は振り返り魚雷でツ級に止めを刺した。
叢雲「雨風、いいわよ。こっちは終わったわ」
それを聞いてニヤリと雨風が笑う。
そして槍を構え、攻撃にうつる。
しかし雨風の前に止め駆逐ナ級flagshipがたち伏さがる。だが雨風の目にうつるのは装甲空母鬼のみ!
雨風「邪魔を……するなぁぁぁぁぁ!」
すれ違い様ナ級が弾け飛ぶ。体内で放電され、爆ぜたのである。
雨風「よお。残るはテメェだけだ」
装甲空母鬼「フザケタマネヲ…!」
ーー他の艦娘達ーー
リシュ「私たち来た意味あるかしら?」
大井「提督と叢雲さんであっさり終わりそう……」
北上「つまんないのー」
由良「い、一応流れ弾とか注意してね、ね?」
時雨「夜戦装備の意味が……」
山城「こっちは楽なんだけど……なんとなく残念だわ」
扶桑「しょうがないわ山城、ここは任せておきましょう?」
山城「姉様……そうですね。そうしましょう」
加賀「……霧衛さんはどこに行ったの?」
蒼龍「あれ?さっきまであそこに……」
瑞鶴「居なくなってる。翔鶴姉知らない?」
翔鶴「分からないわ……」
ーーーーーー
雨風「どうした!その程度か!」
装甲空母鬼「グガァァァ!?…オノレ……!シャァァァァ!!」
雨風「遅い!」
雨風が素早く攻撃と回避を交互に繰り返しながらじわりじわりとダメージを与えていく。対して装甲空母鬼。雨風の速度についていけずサンドバッグのように何度も何度も攻撃を防げずにモロに入る。
雨風「そろそろ終いだ、行くぞ!」
雨風が直進する。しかし
装甲空母鬼「カカッタナ、バカメ!」
装甲空母鬼の艤装に体を掴まれ、身動きがとれなくなる。
雨風「ちぃ!ンのやロォ…!」
装甲空母鬼「サッキハワタシガ遅イト言ッタナ。ドウカシラソノ遅イヤツニ捕マルノハ?」
雨風「あぁ、油断した。実に残念だ。しかし」
装甲空母鬼「ナンダソノにやけ面は…?」
雨風「俺の方にもかかったな。全くなぁ……」
息を吸い込み少しだけ声を張り
「霧衛」
そう呼んだ。
霧衛「貴様の敗けだ。装甲空母鬼。落ちろ」
装甲空母鬼「エ……?」
霧衛が装甲空母鬼に首を目掛けて刀を振り下ろす。勿論普通に斬っては落とせない。なので炎纏わせそのまま一直線に斬る。
霧衛「霊葬……煉獄」
首を落とされた身体は崩れ落ち、本体を失った艤装は灰になり風に飛ばされた。そして我々連合艦隊の完全勝利となった。
霧衛「次は善き者として出会おう」
ーーー装甲空母鬼撃破ー戦闘終了ーーー
to be continue……?