夕凪の士魂   作:雨風雷光

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第八節「遭難と救助」

ショートランド演習からの帰り道、スコールに直撃し中々進めずにいた雨風一行。波は高くなり方位磁石も狂ってしまう。

 

雨風「こんなに強いのあったなら霧衛と帰ればよかったな……」

 

山城「視界が悪くてよく見えないですね……」

 

扶桑「仕方ないわ……」

 

時雨「最上、手離さないでね?」

 

最上「大丈夫だってしっかり握ってるから」

 

翔鶴「うう……下着までぐっしょり……」

 

蒼龍「翔鶴大丈夫?」

 

かなりの強さで雨が打ち付けられ、全身水浸しである。

はぐれないように手を繋ぐことにした。雨風が扶桑の手を握ろうとしたそのとき

 

ザッパーン!<高波(艦娘ではないよ!)>

 

雨風「は?ちょっ!?だぁぁあーー!?!?」

 

余所見をしていた雨風を高波が拐いどこかへ消えてしまった。

 

扶桑「あ、あまかぜええーー!」

 

叢雲「雨風っ!」

 

叢雲が雨風の手を掴もうとするが空振ってしまった。

 

雨風「あーーー!しくじったぁぁぁぁぁ!!!」(段々声が小さくなる)

 

ーーその約15分後スコールが晴れ雨風の捜索にうつったが雨風から通信が入り「艤装直したら帰る」とのことで先に基地に戻ることにした叢雲達であった。

 

ーー雨風はーー

 

雨風「くそ、直らねぇな……あ、配線イカれてる。はぁ……あとで姉さんに連絡しねぇと……」

 

立ち上がる。すると

 

雨風「おわっ!?」

 

流れ着いていた流木に躓き頭を強く打ち付け気を失った。

 

雨風「……」きゅぅ…

 

ーーーーとある場所ーーーー

 

??「うーん……今日はすこし悪い風だわ……近くで嵐でもあったのね……」

 

私は今日も風を感じに高台にある丘に出てきていた。この島には私以外の人間は居らず、外からも来ない。でも何故か電気もガスも水も通っていて、買い物には付近の町に渡れば大丈夫だったので生活は出来ていた。

 

ーーーーーー

 

??「ごちそうさまでした」

 

お昼ご飯を食べ終わり皿洗いと片付けを済ませ、いつものように倉庫を点検する。

 

??「う~ん。足りないものはないわね……」

 

何もないことを確認したので倉庫から出ようとした。すると足元から声が聞こえた。

 

(ソロソロキカイアブラガナクナルヨ!カイニイコウ?)

 

??「あら…?ほんとだわ……ありがと妖精さん」

 

(ナカッタラアイツモセイビデキナイカラネ!)

 

そう、油がないと海の上も走れないし、それに何より会敵したときに応戦ができない。

仕方ない、調度、塩も切れていたのでついでに買ってこよう。そう考え私は桟橋に向かった。

 

??「!!!」

 

??「あらどうしたの?……え?人?海岸に?倒れてる!?」

 

自分の艤装の一部とも言える自立型の<連装砲>に呼ばれ海岸に急ぐ。

 

ーーー海岸ーーー

 

そこには沢山の装備品に囲まれて一人の青年が倒れていた。私は急いで駆け寄り言葉をかける。

 

??「ちょっと!あなた大丈夫!?生きてる?」

 

心配になり脈と息を確認する。

脈は動いていなかった。しかし呼吸をしている。

 

??「どういうこと……?」

 

そして青年の右腕に触れていた左手に強い静電気を受けた。

 

??「きゃっ!いった……!」

 

何なのだろうか。人間に見えるけれど違うのか。しかし害はないように感じたのでとりあえず家に運ぶことにした。

 

ーーーその頃扶桑達ーーー

 

雨風から最後に通信があってからすでに半日が経過していた。

 

扶桑「……遅いわねぇ……どうしたのかしら…」

 

執務室をうろうろしていた。

 

叢雲「雨風から連絡が入るのを待つって言ったのは扶桑でしょ?もう少し待ってて」

 

扶桑「そ、そうね…私ったら…」

 

叢雲に一言かけられすこし落ち着いて長椅子に座る。

 

叢雲(でも心配なのは変わらないわね……大淀からも何も言われないし……)

 

結局みんなが心配しているのであった。

 

ーーーーーー

 

雨風はとある艦娘に救助されその艦娘の部屋で看病されていた。

その艦娘は雨風の体質が気になる模様。

 

??「えーと……しびれるような体……あ、あった…<帯電体質>……電気が貯まりやすく静電気が起きやすい……」

 

ペラペラと書物をめくり見つけ出した。しかし違うように思えてしまう。

 

??「違うわ……あれは静電気のレベルじゃなかったわ……」

 

不思議に思えてしまう。

と、そこでお湯が沸き、やかんがピーッ!と音がなったので急いで台所に戻った。

 

ーーーーーー

 

雨風「う…ん……ここは…どこだ…?」

 

目が覚めると一人用の……にしては大きなベッド、見知らぬ天井が目に入った。たしか海岸で流木に躓いて頭を打った。そのあとの記憶がない。

 

雨風「そうだ、帰らないと。姉さんと叢雲に心配かけちまう」

 

起き上がったがまだ痛みがあり少しふらつく。この様子だとかなり強く頭を打ったようだ。

 

雨風「お?お粥……食っていいんだよな?腹へったし仕方ねぇ、いただきます!」

 

用意されていたお粥を食べて部屋を出た。

 

雨風「ごちそうさまでした…さて…艤装はどこだ……?」

 

艤装を探して歩き回る。するとあることに気付いた。

 

雨風「でかい屋敷かと思ったらここは……鎮守府だな。通信設備もあったし寮舎もあるな。俺が寝てたのは誰かの寝室か。あそこ以外に布団が無かったし」

 

ボソボソと一人で考えながら声に出して歩き回り自分の艤装を探すのであった。

 

ーーー

 

私はお粥を作り<あの人>が寝ている寝室を目指して歩いていた。まだ寝ていたようなのでしばらく時間を置くことにして、とりあえず汗を流したかったので着替えを持ってお風呂場に移動した。

 

??「もう汗だく……。あの人が起きたら買い物手伝ってくれるかしら?でも病人だし……」

 

湯船に浸かりながらそんなことを考えていた。

 

ーーー

 

雨風「艤装は工廠か…?む、ここはドックか。傷もあるし風呂を借りるか。誰も居ないからいいよな…?」

 

誰も居ないと思って風呂場に入る。

それがとても失敗したと思った。

ガラガラとドアを開けて湯を入れようした。しかしそこには

 

??「……え?」

 

雨風「…あ……その…これは」

 

??「きっ、きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

バシーン!と大きな音と衝撃で右頬に平手打ちを食らった。

 

雨風「だっ!?」

 

叩かれバランスを崩し風呂場の床に頭を打って目を回した。

 

ーーーーーー

 

??「ご、ごめんなさい……いきなりひっぱたいちゃって……痛かったでしょ?頭も痛くない?」

 

頭に氷袋を当て、頬に冷えたシートを貼ってもらっていた。

 

雨風「いや、こちらこそ申し訳ない。確認せずに開けるなんて……」

 

流石に脱衣所くらい確認すればこうはならなかっただろう。

 

??「でも、お粥とか食べてくれたのね。お口にあったかしら?」

 

雨風「あ、あぁ美味かったよ。ありがとう。腹へってたからさ」

 

??「そう、良かったわ。ところで貴方どうしてあんなところに倒れてたの?艤装まで持って……艦娘ではないでしょ?貴方男の人だもの」

 

雨風「あーあれは昨日の嵐で波に飲まれてここまでたどり着いたんだ。艤装は俺ので間違いなんだけど配線イカれちまってて。あ、使えるのは姉と妹が艦娘だからか、改造に成功したかのどっちかが理由」

 

??「えっ?」

 

どうするんだ。この娘固まってしまったぞ。無理もない。艦娘と姉弟というのは殆ど例がなく基本的にあり得ないものとされている。となると俺たちは異常なのだな、と。思わざるを得なくなる。

 

 

??「珍しいわね艦娘と姉弟なんて……」

 

ほら言われた。

 

雨風「例外とかいうけど俺の回りにはけっこういるぞ?」

 

??「そうなのね……見てみたくなったわ」

 

雨風「お、なら俺と来るか?えーっと……」

 

??「あ、ごめんなさい。自己紹介を忘れていたわね。私は陽炎型駆逐艦の天津風よ。よろしくね」

 

雨風「天津風。オッケー。それでは俺も。ブイン基地本部所属、階級は大将の雨風雷光だ。こちらこそよろしくな」

 

お互いに名乗り握手を交わした。

 

雨風「に、してもお前以外居ないんだなここ。なかなか古いだろ?」

 

天津風「まあ古いけれど……生活は出来るわ」

 

雨風「それにここの司令官はいねぇのか。死んだか?」

 

天津風「ええ……私を捨てて。他の艦娘を連れていっていたわ。そこで襲われて全員沈んだそうよ。かわいそうに」

 

雨風「……すまん。悪いことを聞いたな」

 

天津風「ううん。気にしないで。もう過ぎたことだから」

 

雨風「そうか。じゃあもう遅いし。寝ることにしようか。また磁場が乱れてるから今日はスコールだな」

 

天津風「便利ねその機能。天気まで分かるなんて」

 

雨風「そうだろ?今度教えてやるよ」

 

天津風「ふふ、ありがとう。じゃあ寝ましょう?」

 

ここで二人は重要なことを忘れていた。そう

 

二人「「…………」」

 

ベッドも寝室も1つしかない。ましてや今夜はかなり冷えるため、体を暖めなければ直した艤装を装備しても支障がでる。

 

雨風「お、お前の布団だからな……俺は廊下で……」

 

天津風「い、いや貴方こそ病人なんだから使っていいわよ」

 

雨風「いやいや、持ち主が使わないと……」

 

天津風「さっきまで寝てたじゃない!ほ、ほら……」

 

二人で譲合いをしていたそのとき。

 

ピシャーン!と雷が海に落ちた。

 

雨風「うおお……結構近かったな……天津k……おーい」

 

天津風「………」ブルブル

 

雨風「………怖かったのか?」

 

天津風「こ、怖くなんか」

 

ピシャーン!

 

天津風「きゃあっ!」

 

雨風「怖いんじゃんか」

 

天津風「……しょ……」

 

雨風「ん?」

 

天津風「い、一緒に……寝て……こ、怖いから……」

 

雨風「おいおい。一緒にって……」

 

流石にどうかと思ったが。

怖いと言うなら仕方ない。寝付くまで側に居るとしよう。

 

ーーーー結局

 

天津風「すぅすぅ……」zzz

 

雨風「お疲れ様。さて俺も寝よっと」

 

自身も布団に入り、目をつむる。さて明日は基地に戻るとしよう。みんなは天津風を歓迎してくれるだろう。

 

雨風「俺は、絶対に捨てたりなんかしないからな……安心してついてこい」

 

天津風「……ふふ……すぅすぅ…」zzz

 

天津風の頭を撫でながらそう言った。すこし嬉しそうに見えた。

そしてまたゆっくりと意識を落としていった。

 

~to be continue?~

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