だから今日も眼鏡を買う
「さて……遂に来てしまいましたか……」
手に持つのは10番のユニフォーム。今からこれに着替えなくてはならない。それは仕方無い事ではあるけども。
「やだなぁ……痛いのやだ、なぁ……」
やるしか無いのである。
何故ならば、この僕は目金
「そもそも何で眼鏡なんですかそこはそれこそ豪炎寺とかヒロトとかみたいなイケメンFWでしょうでなければせめてオリキャラっていうか前世の姿でお願いしたかったんですけど」
「目金!」
「ひゃいぃ!?」
急に後ろから大声をかけられたせいで奇声をあげてしまったじゃないですか!
慌てて後ろを振り向くと、前髪が目にかからないよう、オレンジのバンダナを着けた男の子が立っていた。
「どうした目金、緊張してるのか?」
「な、なんだ円堂君ですか……驚かせないでくださいよ。おかげで緊張も飛んでいっちゃったじゃないですかどうしてくれるんです」
「あはは、悪い悪い」
皮肉気味かつ遠回しにありがとうと伝えてみましたが……うん、円堂君には届いてませんね。
最近では珍しい根っからの善人なんですけどね……こう、
「今のはお礼なんですけど、なんで謝るんですか?」
「え? そ、そうだったのか!?」
「全く……緊張しているのは円堂君の方じゃないんですか?」
「……そうかもな。あの帝国とのサッカーなんだ、俺だって緊張するさ」
「……」
マジですか。いつもニコニコしているからてっきり緊張とは無縁なのかと……。
「だけど、だからこそサッカーは楽しいんだ! どんなサッカーをしてくるんだ? どれだけスゲーシュートを蹴ってくるんだ? キーパーは? MFは? くぅ~、話してたらわくわくしてきた! ちょっとボール蹴ってくる!」
嵐のようにまくし立て、風のように去っていった。
な、何と言うか……あの人、本当に人間なんですか? サッカー星人って言われても驚きませんよ?
「……まぁ、ありがとうございます。おかげで緊張がほぐれました」
10番のユニフォームを着る。さて、じゃあ僕がいかにへたれるか……見せてやろうじゃないですか。
僕は目金欠流。
豪炎寺君のようなイケメンFWでは無いし、染岡君のように腕っぷしが強い訳でも無い。風丸君のように素早い訳でもマックス君のように器用な訳でも無い。
ましてや。円堂君のようにサッカー星人でも無いですけど。
それでもこの目金欠流、未来の雷門の為、全力を尽くしましょう。
……その為に大量の眼鏡を買い込んだんですから。