世界が凍った。
誰かが必殺技を使ったんでしょう。やっぱりこの世界は面倒だなぁ。
―――なんて、
前に大人二人に襲われたあの後から、たまにこんな風に未来からの襲撃が行われているんですよ。
まぁ、基本的に何も起きないのでこの現象については放置しているのですけれど。
「はぁっ、はぁっ!」
誰かがこっちに向かって走って来ていますね。うぅむ珍しい。この状態で動けるのは僕と未来から来た(と推測される)人だけだと思うので、走ってくる少年は未来から来た人でしょうね。
「待てっ!」
おや? 何だか見たことのある服装をした男が見えますね。彼を追い掛けているようですし……うぅむ。
「はあっ、くそっ!」
少年が僕の横を通り過ぎる。うんうん、僕が動けることには気付かなかったようです。……さて。
「無駄に足の速い……うぉっ!?」
男に足を引っ掛けてあげました。
僕は目金欠流。正義の味方を
でなくとも、大人が少年を追い掛けるって……犯罪臭がぷんぷんします。
「ちっ! 逃がしたか……」
……僕が動いた事に気付いていないみたいですね。良かった。
男が消え、世界が動き出す。
「……ふぅ」
今は部活の練習で校外ランニングをしていた所なんですけど、少し立ち止まる。
だって走ってて急に動きを止めなくちゃいけないんですよ? そりゃあ、何て言うか、タイミングがずれてしまうでしょう。
「ん~、と?」
伸びをしながら歩いていたら、土門君の背中。……おや、電柱の影に鬼道君が。
隠れているみたいですけど、こっちからは丸見えですよー。
「―――」
「……そうか」
土門君の声は上手く聞き取れなかったですけど、鬼道君の反応からして、やっぱり土門君って帝国の元部員なんですね。
いやぁ、元部員が他の学校で上手くやっているか見に来るなんて良い人じゃないですか鬼道君。
土門君がランニングを再開する。鬼道君はその背中を見送っている。転校した部員に何を思うんですかね。
と、鬼道君が振り返る。その視線の先には、僕。
「……!」
「あーと、お久し振りです。覚えているなら、ですけど」
そう言えば、あの特徴的な髪形で鬼道君だと分かったんですけど、今日の鬼道君は私服ですね。お洒落です……あぁ、こう言う所に格差を感じるのは僕がオタクだからでしょうか。
「……見てたな?」
見てた……と言うのは、さっきの場面ですかね?
「あー、まぁ、ランニングコースですから」
「ちっ」
鬼道君は苛立ちまぎれに舌打ちをする。こ……心に来ますね。
「あ、その、土門君が元帝国の生徒だと言うのは僕以外に気付いていませんからお気になさらず。それに、いつでも雷門に遊びに来て良いですからね? 円堂君は大歓迎でしょうから……」
「ふん。誰がお前らのような弱小の学校に遊びに行かなきゃいけないんだ?」
「うぐ……」
僕、オタクとしてはかなり頑張って喋った方ですよね? あまり面識の無い敵チームのキャプテンに、全力でフレンドリィに喋りましたよね!?
その返しがこれなんて、あんまりだぁ。
「何にせよ、お前達は次の試合に勝てない。せいぜい足掻いて、そして負けると良い。……じゃあな、
そう言い残して鬼道君は去っていきました。
―――いや、ちょっと待ってください。イレギュラーって、イレギュラーって!
鬼道君、未来人だったんですか!?
さぁ、勘違いが加速していく。そして地味に出番が来ない豪炎寺。