さぁ始まりましたFF地区予選第二戦目。僕ら雷門の相手は御影専農。正式には御影専修ふぞ……じゃなくて御影専修高校ふぞ……えぇと。
『みかげせんしゅうのうぎょう』の部分と『こうこうふぞくちゅうがっこう』の部分を分けて発音するのがコツです。
と、頭が悪くなりそうな話は置いといて。
「御影専農、まさかの『ファイアトルネード』での先制点だぁっ!?」
早速一点取られてました。うぅむ……まるでこちらの動きを読んでいるかのようにパスしてきますね。
というか挑発に乗って先発になったのでまたマックス君がベンチですよ。なんかこう、すみません。
「目金! ボーッとするな!」
「……あぁ、すみません」
染岡君に怒鳴り付けられる。頭が揺れる。
ぐぬぬぅ、眠い。眠いだけならともかく徹夜状態で運動するのは辛いです。
「それでも、やらなきゃならないんです」
「目金」
豪炎寺君が呼び掛けてくる。何ですか? ……おっと、声が出ていない。
「何ですかね?」
「……なんでもない」
本当に何なんですか? むしろ気になるんですが。
「まぁ。頑張りますか」
こちらのキックオフ。……んん? なんだか簡単に攻められますね。
って、あれ? あちらさん全員ゴール前に居るんですけど。素人のサッカーですか?
「なめやがって! ドラゴン、クラッシュ!」
染岡君のドラゴンクラッシュ。 ですけど何か不思議な方法で止められました。どうにも一列に並んだあちらさんたちがボールを一人一蹴りして勢いを消したようです。
……は? 何言ってるんですかそれは頭悪いでしょう。
「イナズマ落とし!」
あちらさんが全く動かないので壁山君も前へ。必殺のイナズマ落とし。これなら。
「シュートポケット!」
例の必殺技で止められましたね。イナズマ落とし、あれ結構な威力なんですけどねぇ……。
「その程度か。やはり害虫だな」
ブチィッ! と音が聞こえてきそうな程染岡君がぶちギレました。
「くそがっ!」
……おや? 目の前のDFがなんだかブツブツ呟いてますね。
「染岡竜吾、二年生、FW。雷門の点取り屋、しかし豪炎寺修也に座を取られている。頭に血が登りやすく、少し挑発すれば―――」
「ドラゴンクラッシュ!」
「シュートポケット!」
あ、また取られましたね。
「簡単にミスしてくれる」
ふーむ、成る程。これが御影専農のデータサッカーですか。面倒ですね。
「雷門。お前たちに勝ち目は無い」
「くっそぉ……!」
む、あちらさんのGKが挑発するようにボールを転がしてきましたね。
「何度でもシュートしてみろ。全て入らないがな」
「やってやる!」
染岡君が大きく、大きく足を振り上げる。あちらさんは誰一人動かない。だったら。
「今ですっ!」
「「なっ!?」」
染岡君から奪うようにボールを蹴る。まあ、無茶な感じに蹴ってしまったので簡単に取られましたけど。
「おい目金ぇっ!」
「はいはい、下がってくださいねまったく」
染岡君と共に下がって仕切り直す。染岡君はワンマンプレーばかりするんですから……まったく。
「このやろ、ふざけんな!」
おやおや、染岡君が胸ぐら掴んできました。今ここで喧嘩しても益なんて無いんですけど。
「ふざけてるのはそっちです、染岡君。勝手な行動はいけませんって小学生でも知ってますよ?」
「んだと!?」
「試合中ですよ。手を離してください」
「……ちっ!」
突き飛ばされる。酷いなぁ。
まあ、僕は目金欠流。嫌味たらしい人間です。
それでも雷門のブレインの一人として頑張らなくては。
とはいえ眠い。
「豪炎寺君、染岡君、まず僕が上がります。ギリギリまで攻めたら染岡君にパスするのでドラゴントルネードで決めてください」
「命令すんな!」
命令じゃなくて作戦ですよさーくーせーんー。
「行きますよ!」
駆ける。あちらさんはやっぱり動かない。それならそれでやりようはあるんですよ!
「染岡君!」
後ろを向き、その勢いのまま回転。パスせずに突撃です。
「おいこら目金!?」
染岡君が怒鳴るけど無視です無視。
「こい、目金欠流!」
「嫌です!」
ペナルティゾーンからバックパス。作戦は続行ですよ。
「うおっ、豪炎寺!」
「おう!」
ドラゴントルネードが、ゴールへと突き刺さりました。
「……それで?」
「その後何故か円堂君が走ってきましてね。イナズマ一号っていう必殺技を豪炎寺君と蹴ってましたよ。これで二点。後半戦はあちらさんもうって変わって普通の試合をしてきましたね」
「ふーん。兄さんの活躍はそれだけなんだ」
うぐ。ね、眠かったんだから仕方ないじゃないですか!
良いんですよ一回シュートサポート出来たんですから!
僕は目金欠流、やっぱり必殺技なんてありません。使えません。
だって必殺技なんて必要ありませんからね。
実は目金に目金流ファイアトルネード使わせようか迷ったんですけど、やっぱり使わない方向で。
その分内容が……薄い……。世の中、ままならないですね。