さて、VS帝国。開始したのは良いんですけど。
この人たち、普通に上手い。
実は家でこっそり練習した僕でしたが、あっさり抜かれました。うぅむ……意外とフェアプレイですね。
「おい目金ぇ! 何抜かれてるんだ!」
「そういうのは自分が止めてから言ってください染岡君!」
そもそも僕らはFW……シュートを決めるのがお仕事です。勿論、ある程度は……円堂君のドリブルを止める程度にはボールコントロール出来ますけども。
「う、うおぉぉおっ! 止めるッス!」
「どりゃあでヤンス!」
あぁっ、それは悪手です二人とも! それだと……あー、あっさりパスされました。
そして普通のシュート。円堂君は止める。
「ふん……キーパーは中々……だが、それ以外は下の下と言った所か」
く……ゴーグル付けてカッコつけてくれますね。
「実力は見えた。ここでサッカーは終わりだ。……やれ」
雷門ボールで試合再開。ある意味ここからが僕の本領発揮ですね。
染岡君へボールを蹴る―――直後。
「キラースライド!」
帝国はスライディングを仕掛けてきました。何故でしょうかね、不思議と、スライディングしてくる足が大量に見えるのですが。
「うおぉっ!?」
染岡君、ふっとびました。そりゃもう、車にでもひかれたのかと言った具合に。
「染岡君!?」
慌てた風に染岡君に駆け寄る。ボール? 知らない子です。
「い……ちち……」
「だ、大丈夫ですか!?」
「おう……俺の事は良いから、ボールを……!」
「はいっ!」
何て言うか、染岡君ってジャイア……不良みたいですね。ピンチになると急にイイ人に見えます。きっと吊り橋効果的な錯覚でしょうけど。
え、何でこんな冷静なのかって? ははは、何処が冷静に見えるのですか。
僕は目金欠流。中身が違ってもへたれですよ。
「見せてやる、帝国の必殺技を!」
この時点で、既にフィールドに立っている雷門メンバーは僕と円堂君のみ。他の皆は倒れ付してます。
染岡君に言われたところで、結局誰かの手助けになんて行けないんですよ。
「「「 デスゾーン! 」」」
三人がかりでシュート。なにか紫のオーラみたいなのをまとっているのは……気のせいだと思いたいですね。
あんなもの、止められる筈がありません。
「止める!」
円堂君が全身でボールをキャッチする。……あぁ、多分この眼鏡は不良品ですね。まさかキャッチされた筈のボールが回転を続ける訳が無いんですから。
「う、ぐ、うわぁあっ!」
円堂君が吹き飛ばされ、ボールとともにゴールへ。
「え、円堂君……!」
「ぐ……大丈夫だ……!」
マジですか。え、マジですか? あんな側に居ただけで死にそうなシュートを受け止めて、大丈夫なんて言えるものなんですか?
「目金……頼んだぞ……!」
ボールを渡される。……いやその、僕がボールを蹴るとして、受ける相手が居ないんですけど。
「目金ぇ! はぁ、はぁ、速くしやがれ!」
「染岡君……立てるんですか!?」
叫び返しながら、フィールドの中央へ。
「……ちくしょうが……立つのが精一杯だ。俺が蹴る。お前が……なんとしてでも決めてくれ……!」
「……良いんですか? あんなに僕のことを酷く言ったじゃないですか」
「それが……一番悔しいんだよ……! お前なんかに……任せなきゃならないのが……!」
酷くないですか? ……まあ、染岡流の照れ隠しだと思って眼鏡のような僕のハートを守りましょう。
僕は目金欠流。へたれでクラッシュな噛ませ犬です。ですけど、噛ませなら噛ませなりにへたれましょうか。
染岡君がボールを渡してくる。
「キラースライド!」
先程も見たスライディング。あんなの、絶対痛いじゃないですか。
「痛いのはごめんです!」
ボールを上へ飛ばし、僕はスライディングを迂回。
あれ、案外あっさり避けれました。
「なにっ!?」
「だが残念だったな!」
ありゃ、ボールを空中で取られてしまいました。惜しかったですね。
「させません!」
こっちもスライディングぐらいなら出来るんですよ。流石に足が増えたりはしませんけど。
「ちっ! 鬼道!」
「おうっ! キラースライド!」
「うわあっ!」
スライディングの立ち上がりにスライディングは無理ですよ!
浮遊感を感じ、体をひねる。四つん這いに着地。
受け身ぐらいとれますよ。子供の頃、弟に何度放り投げられたか……。
「とはいえ、速い……!」
全力疾走でまったく追い付けません。あぁ、またデスゾーンとやらが。
「うおおおおっ!……うわぁっ!」
はい、二点目。これもう負けで良いですよ。そもそもプレーヤーが七人以下になったら強制終了じゃ無いんですか?
「おい、速くしろ」
「っ……」
ボールを持ち上げる。流石の円堂君も息も絶えだえ、ですね。
「少し、少しタイムです!」
円堂君が最後の砦なんです。仮に僕が今へたれたとして、そして豪炎寺君がやってきたとして、円堂君がシュートを止められないのなら意味が無いんですから。
「……良いだろう」
っていうか審判は? 何で鬼道君が決めてるんですか?
まあ、取り敢えず暫しの休憩を貰えました。この間に逆転とは行かないまでも……うん、どうにかしましょう。