いやぁ、暇ですねぇ。
白、白、白。周りの何処を見ても白。病院はそういう場所だから仕方ないとはいえ、この時間はただただ暇ですね。
付き添い無しの外出禁止って……。じゃあゲームか漫画を持ってきて貰えませんか? ダメ? ご無体な。
あんまり美味しくないお昼ご飯はもう食べ終わりましたし、おやつなんてありませんし、面会はまだ先ですから……残るイベントとしては。
「こんにちはおじさん」
「やあヤンデレちゃん」
豪炎寺夕香君とのお喋りです。なんで僕より長い時間寝ていた彼女はリハビリできて僕はリハビリすら出来ないんですかね? 全身骨折? 舐めれば治りますってば。中学生
「ヤンデレちゃん? 私は夕香だよ、おじさん」
「おじさん? 僕は目金欠流ですよ、ブラコンちゃん」
「うふふ」
「くくく」
夕香君の看護師さんがいる手前、あまりぎゃーぎゃー騒げません。今のやりとりを分かりやすくするとですね……。
『あぁ? 誰がヤンデレじゃおらぁん?』
『人をおじさん呼ばわりしてんじゃねぇぞ?』
『んだこら』
『やんのかこら』
こんな感じ。仲が悪い訳じゃないですけど、彼女がおじさん呼びを止めない限りこのやりとりは無くならないでしょうね。っていうかヤンデレとかブラコンとか知ってるんですか。
あ、そうそう。因みに夕香君はやっぱり豪炎寺君の妹でして、目が覚めた時真っ先に駆け付けたらしいですよ。うちの家族とは大違いですね。僕が目が覚めてからもう三日もたってますし。
まぁだからといって恨む訳でも無いですが。
「そう言えば今日は車椅子じゃないんですね」
「うん、リハビリ頑張ってるからね」
彼女は元気です。
そんな異様の中でも愛は不変で、故に孤独で居た……なんちゃって。
「そうだ。豪炎寺君……あー、夕香君のお兄さんは」
「そうそうそう聞いてよ! お兄ちゃんがね! いっぱいお話してくれたんだよ!」
あ。しまった、豪炎寺君経由で雷門の練習状況を知りたかったんですけど……。
「お兄ちゃんがね、『夕香は今日も可愛いな』って言ってくれたんだよ! うひ、うひひひ、だから私もお兄ちゃんに『お兄ちゃんの方が可愛いよ』って言ったら笑ってくれたの!」
それはきっと苦笑いですね。
「それにくまさんのお人形を持ってきてね、『こういうの好きだったよな』って! こーんな大きいのをね! ピンク色でふかふかでお兄ちゃんの匂いがするの! うふふ、良い匂いが私を包むの……」
夕香君が大きく伸びをする。ふむふむ、だいたい夕香君と同じくらいの大きさですかね? 豪炎寺君何してるんですか。何処からそんなお金をひねり出したんですか羨ましい。
「私もね! リハビリが終わったらサッカーするんだ! そしてお兄ちゃんに勝って、お兄ちゃんを私のものにして、キ、キキキ、キ……スゥ~にゃはぁあ~」
「おやおや」
奇声を上げて夕香君は機能停止。あ、死んだ訳じゃないですよ? ただちょっと妄想の世界に飛んでるだけです。僕もたまになりますからね。分かります。
看護師さんがやれやれと夕香君を病室へと連れ帰る。あの調子じゃあいつ退院になるか分かったものじゃないですね。
……かくいう僕も、実は寝たっきりで動けすらしないのですが。
さてはて、待望の面会のお時間ですよ。
「うわあぁぁぁ兄さあぁぁぁん!」
「うるさいです一斗」
「欠流うぅぅぅ!」
「落ち着いてください母さん」
待望していたのは僕じゃなくて家族でしたが。目覚めてすぐに面会とはいかなかったらしいですね。
ま、ごく普通のありふれた会話だけしてすぐに帰しました。看護師さんに青筋が見えましたしね。おお、こわ。
次回は一気に時間が飛びます。
なので幕間2を先に投稿、その後最終戦といきます。
しっかり完結すれば続きを書けとか言われないはず。
―――言われない、よね?(疑心暗鬼)