……勝った気がしないけどね。キーパー強すぎて未だに必殺技破ってないし。偶然必殺技使わないナメプしてくれたからなんとかなったものの。
チームレベルは41、目金のキックは80越えて断トツ。(ただし豪炎寺鍛えればすぐ抜かれる模様)
うーん、緊張しますね……。なんとか皆さんについていける程度には回復しましたけど、はてさてどこまで出来るのやら。例の必殺技だってろくろく練習できていませんし。
まあ、いいでしょう。だって僕は目金欠流。弱くて当然のかませ犬ですから。
そう、目金欠流なんです。例えあの死神に『―――』と呼ばれようとも。……なんでしたっけ?
「目金ー。おーい目金。大丈夫かー?」
「うん?」
おっと。ぼんやりしてる暇は無いですね。
「あぁ、円堂君。大丈夫ですよ」
「そうか! 頼りにしてるぜ!」
「ふふん、まぁのんびり見ててくださいよ。円堂君にはボールを触らせませんから」
軽口を言う。円堂君も少し緊張してるみたいですね。まぁ確かにこの控え室、驚くほど広くて威圧されてしまいますけど。
「ふん、緊張感の無い奴だ」
「ちょっとお兄ちゃん!」
えっ、音無君のお兄さんって鬼道君だったんですか? 何度かお兄さんの事は話に出てましたけど一体誰だか全く知りませんでした。
……えっ、嘘ですよね!? あっあっ……ヤバい殺される。いやいやいや、豪炎寺君じゃないんだからまさかシスコンじゃあないはず。うんうん、僕を敵視してるのは音無君と仲が良いからではなく、元々の第一印象が悪かったからです。……ですよね?
「目金さんの顔が青ざめてるッス~。うっ、緊張が……と、トイレ行ってくるッス~!」
「お、オイラも行くでヤンス~!」
「じゃあ僕も行っておこうかな」
「……」
壁山君に続いて栗松君、一ノ瀬君、豪炎寺君がトイレに行きました。って豪炎寺君も? 流石の豪炎寺君も緊張してるんですかね。
って影野君! こっそり後ろに居ないでください! いつの間に!
「……少しは緊張感を持ったらどうなんだ」
「あ、あはは……」
ほら鬼道君も呆れ顔ですよ。まったく。
さて、トイレ組も戻ってきましたし。円陣を組みます。……手は洗いましたよね?
「ふぅ~……夢の決勝の舞台だ。弱小って言われてた俺たちが! 遂にここまで来れたんだ! だったらさ! もうやるしかないよな!」
そうですね。もう、狙いはただ一つ。
「優勝するぞー!」
さーて、キックオフです。ボールはこちらから。
選抜はFWが僕、豪炎寺君、染岡君。MFが鬼道君、一ノ瀬君、風丸君、少林君。DFが栗松君、壁山君、土門君。MF四人の内三人がシュート用の必殺技を持っている非常に攻撃的な布陣です。
え、僕はいらない? ツートップでDF増やせ? 円堂君に言ってください。
ではお相手はと言うと。名前が皆カタカナです。エスカとかミストレーネとかなんとか。とりあえずキャプテンはバタップですね間違いない。
っていうか女性っぽいのも居ますが……いえ、男の娘ですねあれは。
あと……なんかフィールドがスカスカです。うーん?
ま、良いでしょう。染岡君からボールが来たので後ろに渡します。鬼道君、頼みますよ。僕は前に行きますから。
―――あれ? 動きませんね。王牙学園の皆さんが全くディフェンスしてきません。うーん不気味。あ、染岡君がゴール前に。
「いくぜー! ドラゴーン―――」
カチッ
ん? 時間が止まった?
「ふん……この程度の実力ならわざわざ
おっと、王牙学園の一人……番号から見てミストレーネちゃん君ですね。ミストレーネちゃん君がボールを取りました。そりゃ時間を停止されたらどうしようもないですよね。
「ミストレ。円堂守の影響は軽く見てはいけない」
「ふん、いくら円堂守でも個人の実力を強化できる訳ないじゃん。頭脳派は賢いねぇ?」
「貴様……!」
「止めないか二人とも」
うぅ、実は動かないようにするのはわりとキツかったりします。それにしても、時間停止はこいつらの仕業でしたか。面倒この上無いです。
もしも無制限に時間を停止出来るのなら好きなタイミングで休憩できますし。
「さて……目金欠流! 聞こえているのだろう?」
「!?」
ば、バレた!? ……いやいやいや落ち着け。よく考えろ。僕は今まで何度も時間停止の影響を受けて―――或いは受けないできた。そしてその度に変装なんて出来ないですから、顔ばれしててもおかしくない。Q.E.D.証明完了。よし、落ち着きました。大丈夫。だって僕は目金欠流ですから。
「ん~? どういうこと?」
「いや、まさか。バタップ」
「……」
ふむ、バタップ君は堂々としてますね。自分のやることに迷いが無い強い人です……なんて、いくら僕でもそんな観察眼はありません。
「やれやれ、時間停止までしてなんの用ですか?」
彫刻のふりをやめて振り返る。ふんふん、王牙学園のチームは全員動けるのですか。
おや。バタップ君以外は驚いた顔で僕を見てますね。情報の共有はしておくものですよ?
「単刀直入に言う。我々の仲間にならないか」
「は?」
何を言ってるんでしょうこのボサボサ白髪君は。僕なんか仲間にしても戦力にならないでしょうに。
「時間操作を受け付けないその特異な体質。そしてこの状況に動じない精神力。我々の仲間になる条件は揃っている」
「……へぇ」
周りはあまりいい顔をしてないですけどね。それを分かっているのか分かっていないのかバタップ君は言葉を重ねる。
「別に未来へ連れていく訳ではない。ただこの試合で我々の味方をすればいい」
「例えば?」
「わざとDFへ向けてシュートする、ただそれだけでいい。最終的に雷門が負ければ良いのだからな」
「ふーん」
そもそもそんなに僕にボールが回ってくるとは思えませんが……ふむ、確かにFWが一人潰れるだけで十分なんでしょうね。
「それで僕にメリットは?」
「サッカーが無くなれば、お前の趣味を優先出来るぞ」
「ほほう?」
僕の趣味ですか。どれの事でしょうね。色々ありますよ?
「安心しろ、秋葉名戸のメンバーとの繋がりはなんらかの形で残る」
「むむ」
やりますね、バタップ君。僕の事を大分理解しているようです。敵を知り己を知ればなんとやら。
「なるほど……僕のデメリットはせいぜい決勝で活躍出来なかったという戦績だけ。それだってサッカーの存在が無くなればチャラ。メリットは、僕の趣味にかける時間、ですか」
「そうだ。目金欠流、お前に損はない」
「
「なにっ!」
「この目金欠流が最も好きな事のひとつは! 自分で強いと思ってるやつに『NO』と断ってやる事です!」
言えたーっ! やった、やったー! これをリアルで言いたかった! 一生言えないと思ってた! ふう~↑
よーし、ご機嫌な僕は更に特技を披露しますよ!
ん~、指パッチン!
「なっ時間が!?」
「どういうことだ!」
ふっふっふっ、これが世宇子中の試合を何度も見返して覚えた必殺技、『ヘヴンズタイム』です!
ま、どうせ王牙学園の皆さんは時間停止の影響を受けないんですけどね。僕が特異だというのなら、彼らはそういう機械を身に付けてるんでしょうね。
「―――クラッシュ! うおっ!?」
おっとそういえば染岡君シュートの体勢でした。染岡君からしたら蹴ろうとしたボールがいつの間にか無くなってるって感じですか。
「目金欠流、貴様……!」
「あなたたちがポンポンと時間を止めてくるものですから、対応手段を覚えてしまったんですよ」
半分嘘ですけど、時間停止をしなくなってくれるならそう言ってやりますよ。ゴーストロックよりも
「目金! 何がどうなっている!」
「鬼道君! ここからはズル無しの普通の超次元サッカーですよ!」
……普通の超次元サッカーとはいったい……うごごご……。
なんか前半書くの面倒になっちゃった。次回は出落ちさせつつ仲間来ておしまい!