けっきょく昨日は眼鏡を買えず
さてさて簡単な授業も終わりましたし。
放課後、部活のお時間です。
……と、意気込んだのが馬鹿みたいでした。
「グラウンドが使えないぃ!?」
「うん…ラグビー部が独占してて」
部室に入った瞬間これですか。来てないのは……豪炎寺君だけのようですね。
「やあ、早速問題発生ですか?」
「目金!……その、今からもう一回交渉しに行くからさ!」
サッカー星人こと円堂君。意気込みは分かりましたからつばを飛ばさないでください汚ない。後うるさい。
「いえ、あそこは色々酷いですからね。ラグビー部に直談判するより校長に部活停止処分を申請した方が速いですよ」
「え。でも、それはなんと言うか……」
まー根っからの星人……もとい、聖人な円堂君には厳しく感じるでしょうね。
でも少し周りを見てください。皆『それだっ』みたいな顔してますよ。特に栗と猫……じゃなくて栗松君とマックス君。
「ま、僕が申請する訳じゃ無いので。どちらにせよ今日の練習は他の場所で行う必要がありますね」
適当に荷物を置き、座る。サッカーするのに良い場所なんて知りませんからね。これ以上の助言は出来ませんよ?
「それにしても目金君は昨日は凄かったねぇ。こう、一人で帝国に立ち向かった所とか」
近くに座っていたアフロ……失礼、
「まぁ、僕のお陰で帝国が引き下がった様なものですからね」
「いやその理屈はおかしい! 帝国を追い払ったのはあくまで豪炎寺だろ!」
あっちの方から不良……もとい、染岡君が話に割り込んでくる。正論ではありますけどね。
「その豪炎寺君が来るまで粘ったのは僕ですけど? どげざか君」
「誰が土下座かだてめぇっ!」
「ま、まあまあ落ち着くでヤンス」
「暴れないでくれッス~」
「おいおい喧嘩はよせよ」
栗と力士……ではなく、栗松君と壁山君が染岡君を押さえつける。そして風丸君が口を挟む。
いやぁ、こうして見ると中々個性豊かですねぇ。
「……なんだい目金君。そんな見詰められるような事なんかしたかな?」
「いえ、特には」
パンダ……いえ、半田君。個性が無いとかいう逆に珍しい人です。そして影が薄い影野君が中国人ではない少林を驚かせていた。
円堂・壁山・栗松・影野・宍戸・マックス・半田・風丸・少林・染岡・豪炎寺。そして僕。合計12人ですか。
僕が弾かれますねこれ。うーん、MFなら上手く行けば……。
「そうだ! 良い場所があったんだ!」
突然円堂君が叫ぶ。良い場所?
「皆付いてこい!」
じゃあ、先に着替えさせて貰いますね。
今朝マネージャーの……ええと……マネージャー君から渡された12番のユニフォーム。新品で綺麗ですけど、がんがん汚していきますからね。覚悟してください。
……あれ? 豪炎寺君来ませんね。どうしたんでしょうか。
ちょ、円堂君。皆。今行っちゃったら豪炎寺君がぼっちに……あー。
「あの、マネージャー君」
「ん、なぁに?」
「豪炎寺君が来てないんですけど」
「あー……うん、じゃあ私は後から合流するね! で、その~」
申し訳なさそうにこちらを見てくる。何でしょうか。
「飲み物、代わりに持っていって貰えると嬉しいんだけど……」
「あぁそう言うことですか。勿論」
「良かったぁ~」
……ここで普通のオタクならば『この子、俺に気があるんじゃねむふぅっ!』となるところですが。
僕は目金欠流。そんじょそこらのオタクとは違って動けるオタクです。そんな低俗な事は考えもしません。
というか、この子……秋君でしたか? どう見ても円堂君に気があるんですよね。勘違いはしませんよ。
「じゃあお願いっ! 私は豪炎寺君探してくるね!」
「えぇ」
健全オタクはクールに去りますか。
これは何の名言でしたっけね。
「ここだ!」
「ここって……」
「河川敷でヤンスね」
成る程。ちゃんとゴールもありますね。
「ここなら誰に文句を言われる事も無い! 皆、サッカーやろうぜ!」
「「「お~!」」」
……ボールが川に飛び込まないか心配ですね。
そして気になる練習メニューは、
柔軟→ランニング→基礎運動→ドリブル練習→パス練習→シュート練習→ミニゲーム
意外と普通ですね。サッカー星人の円堂君が考えたにしては。
「らあぁぁっ!」
それにしても染岡君のシュートへの意気込みが凄いです。……焚き付けすぎましたかね?
「くそ……もっと、もっとだ!」
「そのいきだ! 来い染岡ぁっ!」
「うおぉぉぉっ!」
染岡君が大きく足を振り切る。あれ……今ちょっとボール光りました?
「なんか、染岡さんが荒れてるッス」
「凄く全力ですね。僕も負けてられないね!」
あ、少林って男だったんだ。髪型的に実は女子ではないかと、ひっそり思い込んでいました。
「お~い目金! お前もうってこいよ!」
「はいはい」
シュート。軽く止められる。
「こんなんじゃ無いだろ! もっと全身で! 全力で!」
いや、結構全力なんですけど。豪炎寺君とか染岡君とかと一緒にしないでくださいよ。
シュート。やっぱり止められる。
「そう! そんな感じだ!」
え。さっきと今とで何か違いましたか? 同じ力で蹴ったんですけど。
「よし次!」
まぁ良いです。今僕がやらなきゃならないことはシュートの練習では無いですから。
その為にはアドバイスが必要です。……スピードと言えば風丸君でしょう。
「風丸君」
「ん、目金か。なんだ?」
「どうすればもっと速く走れますかね?」
「はぁ?」
何ですかその僕が話しかけてくるのが意外みたいな顔は。
「そうだな……見た感じ、目金はまずスタミナを付ける所から始めた方が良いと思うぞ? ランニングの時もかなりへばってただろ?」
「ふむ……スピードの前にスタミナですか。ありがとうございます、お陰で取り敢えずの目標が出来ました」
「お、おぅ……何か、思ってたより努力家なんだな」
「思ってたよりとは失礼な」
努力はしますよ。その方向性はともかくとして。
「どうせやるなら限界を見てみたいだけですよ、僕は」
「そうか。……考えてるんだな」
「それほどでも。ありますけど」
「ははっ、その方が目金らしいよ」
そして風丸君は円堂君に呼ばれてシュート練習へ戻っていった。
なんですか目金らしいって。僕らしさは僕が決めます。
僕は目金欠流。へたれる事すら出来ないへたれで、いつこの新品眼鏡が壊れるかひやひやしているへたれです。……最悪もしもの時は眼鏡を外すというのも一つの手ですかね。
そう言えば。豪炎寺君、来ませんね。
結局、その日豪炎寺君は練習に来なかった。ついでにマネージャー君も来なかった。
ほら、続けてやったぞ? 喜べよ。……で、質問ですけど。
オリジナル必殺技を入れるか入れないか。
オリジナル必殺技を目金に覚えさせるなら、それなりに必殺技を覚えます。
しかし、オリジナル必殺技なんて要らない! となると目金欠流君、ほとんど技を使いません。
どっちが良いですかね?(尚覚えるとしてもまだ先の模様)