フットボールフロンティア―――通称、FF。
その地区予選の試合表が出されたらしいです。
「じゃーん!」
「おお~!」
ふむ。そこそこありますね。
野生中に
他の地区では豪炎寺君が居た木戸川清修もありますね。まあ、予選では当たらないですけど。
「初戦の相手は野生中学校だ!」
ふむ……今日帰ったら少しばかり調べてみますか、野生中。
「それでスターティングメンバーを決めたいんだけど……」
「豪炎寺さん、今日も来てないッス」
そう、豪炎寺君は今日も部活に来ていない。この間の練習の時はマネージャー君に探して貰ったのですが……見付けられなかったとすまなそうに報告してきました。
円堂君が慰めてたので僕は特に何も言いませんでしたけど。
「けっ、ほっとけほっとけ。あいつの分は俺が蹴る」
「でも染岡さん……」
「んだ少林。俺が豪炎寺なんかに負けるとでも!?」
「そうですね、豪炎寺君が来ないと言うならば僕が出るのもやぶさかではありませんが……僕や染岡君では得点力が足りないのは事実です」
「なっ、てめぇ!」
染岡君が襟首を掴んでくる。何でこう、襟首を掴まれると首を絞められた訳でも無いのに息が苦しくなるのでしょうかね。
「は、話を最後まで聞いてくださいよ!」
「おい染岡! 落ち着けって!」
おお円堂君。ありがとう。
「えー、ですので。染岡君には必殺技を覚えて貰いたいのです」
「うおぉぉぉっ!」
染岡君がシュート。
「まだまだっ!」
「ちっ、らあぁぁっ!」
またシュート。
「何で口を開くんですか! 歯ぁ食い縛って!」
「ぐうぅっ!」
シュート。
「……駄目ですね。必殺技って感じがしません」
「だあっ! くっそ!」
練習の時、ちょっとそれっぽいシュートを蹴っていたので簡単に出来るかと思ったのですが……そう上手くはいきませんか。
何で僕が染岡君の必殺技練習を見てあげなきゃいけないんでしょうかね……言い出しっぺの法則、というやつですか。
「目金! 何が足りない!」
「怒鳴らなくても聞こえますよ。……ふぅむ。パワーは充分。シュートフォームも完璧です」
「だから俺が足りないのは何だって聞いてるんだ!」
「まずは落ち着きですかね。深呼吸してください」
染岡君は言われた通り深呼吸をする。―――ああ、今なら染岡君は何でもするでしょうね。
僕は下衆な事はしませんけど。
僕は目金欠流。例え他人から何と思われようとサッカーへの敬意は持ってます。
「それにしても、本当にファイアートルネードじゃなくて良いんですか?」
「ふぅ~……良いんだよ。それだと豪炎寺のスペアになっちまう。俺は俺自身の必殺技を使って豪炎寺に勝たなきゃいけねぇんだ……!」
眼鏡が汚れてますね。ふきふき。
「おいてめ聞いてんのかよ!?」
「え?」
「~~~っ!」
「冗談ですってば。それほどの意気込みがあるならきっと大丈夫でしょう」
じゃー真面目に考えますか。
……何が足りない? 染岡君自身は充分と言えるでしょう。パワー、コントロール、スタミナ、タフネス。強いて言うならば心……メンタルが荒れがちですか。
「そうですね、ちょっと練習を続けててください」
「あ? 何処に行くんだ?」
「必殺技が使える人にコツを聞きに行きます」
まずは円堂君ですね。豪炎寺君の居場所が分かりませんし。
「―――という訳なんですけど、何かコツみたいなのはありますかね」
早速、逆側のコートで練習していた円堂君に質問してみました。……他の人の練習を止めるのは少し心苦しいですけど。
「ん~、必殺技のコツかぁ……。こう、体がグイィッてなってビリビリ~ってしたらバッとして……ドーン!」
「すみませんキーパーの君にシュートのコツを聞いたのは間違いでした」
訳が分かりません。擬音語使いすぎですよ?……まあ、或いは必殺技ってそういう感覚的な物かもしれないので、染岡君に伝えておきますか。
グイィッ、ビリビリ、バッとしてドーンですね。グビバドグビバド。
「グイィッってしてビリビリ~としたらバッとしてドーンだそうです」
「分かんねぇよっ」
ですよねー。
次の日。
「あ、居た」
お昼休みに豪炎寺君の居るクラスへ突入しました。(過去形)
あの特徴的な髪型はすぐに見付けられますね。
「やあやあおはよう豪炎寺君。それとも、こんばんはかな?」
「……」
あ、あっれー。そこは『こんにちはだろ』って返すところですよ豪炎寺君。
「ご、ごほん。二つほど聞きたい事があるんですけど」
「……何だ?」
「まず、必殺技のコツです。染岡君が頑張っているのですが、どうにも上手くいかないようで。豪炎寺君がファイアートルネードを蹴れる様になったときの事を……ちょっと場所を変えましょうか」
周りのヒソヒソ声がうるさい。オタクが豪炎寺君に話しかけるのはおかしいんですかねぇ……おのれ学内カースト。
「……あぁ」
「部室が良いですかね」
外に出て、部室へ。何度見てもこぢんまりとして小汚ないですよね。
「さてと」
「…………」
「染岡君のシュート力は充分あるんですけど、豪炎寺君はどうやってファイアートルネードを使える様になったんですか?」
「……」
沈黙。話す気が無いのでしょうか。それとも、ファイアートルネードを盗まれるとでも考えてるのでしょうかね?
ですがこの僕は目金欠流。健全かつ綺麗なオタクとして、紳士的なマナーは持っています。
そしてまた、欲しいチケットを買うために五時間も外で待てるだけの忍耐力も持ち合わせているのです。
ここは我慢です。コツを教えて貰うにはただ、待つだけ。
「……練習をした」
「はい」
―――え、それだけ? い、いやいやいや、きっと今の一言になにか深い考察かヒントがあるはず。考えろ、考えろ目金欠流!
「練習、とは?」
「……ファイアートルネードの……だ」
「……。…………っ! なるほど、そう言うことですか!」
ふっふっふっ、豪炎寺君には感謝しますよ。何か天啓を得たような清々しい気分です!
「ありがとうございます! これできっと染岡君も君に負けないほどの必殺技を使える様になるでしょう! ではこれで!」
これは一刻も早く染岡君に伝えなくては!
キーンコーンカーンコーン
くうぅ……時間が……。
よし、待ちに待った放課後!部活の時間です!
走って部室へと向かう。
「お、目金! どうしたそんなに慌てて」
「円堂君! 染岡君は!?」
「まだ来てないけど」
あー、待ち遠しい。まだか、まだかまだかまだか!
「おーい、目金ー。落ち着けー」
「これが落ち着いてられますか! ようやく染岡君の必殺技のヒントを得られたんですよ!?」
「な、なんだってー!」
「ふっふっふっふっ……そうですね、本当は真っ先に染岡君へと教えるつもりでしたが……キャプテンである円堂君は特別に教えてあげましょうかね……」
「おおっ!」
円堂君、相槌上手いですねぇ。ついつい話してしまうじゃありませんか!
「それは……」
「それは?」
「なんと……」
「なんと?」
「よーぉ円堂……お? 目金、珍しいな」
―――半田君。せっかくここまで引き延ばして雰囲気を出していたのに。何してくれちゃってんですか?
ふぅ……熱が覚めました。柄になくテンションがスーパーでハイになってましたよ。
「中途半田君のせいで雰囲気が壊れてしまいました。……よって説明はまた後で」
「え~!? 半田ぁー!」
「え、え? 俺、何か悪いことした……?」
目金に関係無くオリジナル技を入れるか入れないか―――今のところ『要らない』が多めです。尾刈斗中との練習試合開始までアンケート取っておくので、活動報告欄へどうぞ。
……実はキラースライド使っちゃったせいで土門が白目スライド出来なくなっててな。