さていつもの河川敷で。……皆集まりましたね(豪炎寺君除く)。
「何で皆を集めたんだ? 別に、必殺技のコツなら染岡にだけ教えれば」
「ノンノン、それは間違ってますよ風丸君。必殺技は染岡君だけが覚える訳では無いのですから」
「はぁ?」
何かおかしいですかね。
「それより、良いから速くコツを教えろっ!」
「ふむ……それでは。必殺技を使うには、確かなイメージが必要なのです!」
ブォンッ
―――静かですね。え、え? そんなに普通の事でしたか?
「あ、あの、皆さん?」
「な……!? 貴様、何故動ける!」
「うわっ」
急に後ろから怒鳴り付けられた。慌てて振り替えると、見たことの無いひょろい大人の方が僕を指差していた。
「えぇと、どちら様でしょうか?」
「ぐ……既に改変済み? いや、そんな報告は……くそっイレギュラーめ!」
「あの~?」
完全に自分の世界に入ってます。嫌ですねぇ……テレビの見すぎゲームのやり過ぎですよ? 僕はあんな変な大人にはなりたく無いものです。
……あれ? そう言えば何か静かですね……耳鳴りがしてくるレベルで。
「ふ……む……? 音が……無い……」
それだけじゃ無いですね。ここから見える限り、動いているのは僕とそこの頭のおかしい人だけです。
つまりこれは……
「ふふふ、僕の世界にようこそ……なんちゃって」
そもそも十秒なんてとっくに過ぎてますし。そんな能力持っていませんし。
「で、そこの変人さん。ちょっと良いですか?」
「いや……しかし……提督!」
おや通話中。僕は目金欠流、たとえ相手が変人でもマナーを守る男です。通話が切れるまで気楽に待たせてもらいましょうか。
「……はい、了解です。ではこれよりイレギュラーの処理を決行します」
おやおや? 確かイレギュラー=僕みたいな方程式があの人には出来ていたような……。
「貴様、こっちへ来い!」
「お断りですっ!」
腕を掴もうとしてきたので振り払う。横を抜けて走る。
「逃げられるとでも!」
「っ、二人目!?」
まずい、挟まれました。横に逃げる……いや、それだとすぐに追い詰められてしまいます。
と、目の前の男がヘルメットの様な物を取り出す。色々ケーブルが付いていて……なんか見たことあるような……。
「ぱ、パーマにでもするんですかね?」
「クックックッ……なに、無用な過去介入はしない。ちょっとサッカーに対する記憶を消させてもらうだけだ!」
かぶったらヤバそうなので頭の上で両腕をクロス。が、後ろに居た男に無理矢理剥がされる。大人の腕力に敵う筈もなく。
「やめっ……酷いことするんでしょう! エロ同人みたいに!」
「ふん、ふざけてられるのもこれで終わりだ」
ヘルメットが頭に触れる。首を振って抵抗するも、首を固定された。こ、これは無理―――
どこからか飛んできたボールが、ヘルメットを吹き飛ばした。
「なにっ!?」
やっと隙を見せましたね!
何とか拘束を振り払い逃げ出す。
「ぐっ……任務失敗! 撤退する!」
男たちはヒュンッと消えた。……消えたぁっ!?
「え、え、はぁっ!?」
流石の僕も理解が追い付きません。えーーっと。
取り敢えず助けてくれた人に礼を言おうと見回すものの、動く人影は無い。
……では、あの男たちの言葉から色々推察しましょうか。分かっているのは改変、イレギュラー、過去介入、記憶消去……待った。過去? 僕から見た過去?
いや、それはおかしいでしょう。つまりあの男たちから見た過去……それが、僕から見た現在。
まとめると、彼らは未来人で……恐らく、サッカーに何らかの恨みを? そして僕を助けてくれた存在から、敵対者も居る。
「……いやぁ、いくらなんでも僕の手には負えないですよ」
「―――おぉっ!? おい目金! いつの間にそんなとこまで!」
おや。時間停止も解けましたか。……この出来事は僕の心の中に閉まっておきましょう。
「いえ、何かあっちの方に弟が居た気がして……気のせいでしたよ」
「いやそれ答えになってな」「って、目金さん弟居るんですか!?」「初耳ッス!」「どんな感じでヤンスか!?」「弟さんはサッカーしてるんですか!?」
よーし素晴らしいですよ一年組。
「居ますよ。目金一斗っていうんですけど……最近どうにも反抗期でしてね」
「ふーん……で、必殺技のコツって?」
あ、そこからですか。
「強いイメージです。イメージが必要なんです!」
あー。二回目だから力強さが足りないです。まあ……言いたいことはここからですけどね。
「なので、僕が直々に命名させてもらいます!」
話は変わりますが、君が動物になるとしたらどの動物になると思いますか? あ、ヒトっていうのは無しで。
犬? 猫? 王道ですね。
猿? それ、人と何か違うんですか?
え、狼? 攻めますね。
で、染岡君は何になるかな~と考えると。
「虎ですね」
「おおっ、目金にしては良いこと言うじゃねぇか! 虎……カッコいいぜ!」
「何にでも噛みつくところとかそっくりですよね!」
「「 あっははははは! 」」
ひとしきり笑い合う。
「おいてめ誰が何だってぇ!」
「で、『
「無視すんなぁ!」
こういううるさい所もそっくりですよね。勝手な想像ですけど。
「ので、龍をも倒す心意義を込めて……名付けて、『ドラゴンクラッシュ』!」
「ぐ……素直に喜べないぜ……カッコいいけどよぉ……!」
知りませんよ。
「それじゃあ、龍のようにシュートですよ!」
「おうっ!」
染岡君がシュート。……少し、光りましたかね?
「どうだ!」
「まだまだ! そんなんじゃあドラゴンじゃなくてスネークです! 蛇なんかじゃ我慢できません!」
「お、おうっ!」
シュート。なかなか……ですけどまだまだ。
「今のは良いだろ!」
「何言ってるんですか! 龍を倒そうと言うのに、そんなんじゃ蛇さえ倒せませんよ!」
「くそっ!」
シュート。
「何ですか今のは! 蛇みたいにニョロニョロしたシュートうって!」
「てめぇは蛇に何の恨みがあるんだよ!?」
その翌日、部室に謎の黒いお手紙が届いていた。そこには赤文字で『練習試合しよう。絶対だぞ』と書いてあった―――らしいです。
え、なんで伝聞調なのかって?
ふっふふふ……僕は目金欠流。そう、目金欠流なのですよ。
怖いの、嫌い。
という訳で次回、尾刈斗との練習試合です。その投稿と同時に、オリジナル必殺技の導入のアンケートを締め切ります。