かわいすぎるしいなは世界の合言葉   作:新六毛

3 / 9
限りなく透明に近い青

バタンと重い扉が閉ざされ、鍵穴が回る音がした

下卑た笑みを浮かべた男達が、ゆっくり迫り来る

 

「こ、来ないで! 私達に変な事をすると… こ、こ、後悔する事になるわよっ!」

 

いつもは勝ち気なれいなの声は、ガタガタと震えていた

 

「こ、怖いですぅ…」

 

その背中に隠れたみいなは、物理的にガタガタと震えていた

 

「…………(ゴクン)」

 

恐怖に戦くのはしいなとて同じである

 

寂れた遊園地でのゲリラライブ…

控え室として用意された物置小屋で休息を取るじゃんピンガールズの元に、突如チンピラ風情の男達が押し掛けて来たのだ

ライブの初めから場違いな空気を醸し出していた一団…

最初からこれが目的地だったのかも知れない

 

「ひひっ… ここじゃどんなに叫んでも誰にも聞こえねぇよ…」

 

リーダー格と思しき男が、口角を釣り上げながら呟いた

 

「…だから安心して思い切り喘ぎなっ… それっ、犯っちめぇ!」

 

その言葉を契機に、野獣と化した男達が可憐なアイドル達に襲い懸かる

 

「やっ!? いやっ! やめてぇぇぇっ!!」

 

れいなは忽ち手足を組み敷かれ、大の字に拘束される

早くも何本もの厳つい手が、じゃんピンドレスの上から、彼女の身体の上を這い廻る

 

「きゃぁぁぁっ!? いやぁっ! 触らないでぇ!!」

 

身を強ばらせて縮こまっていたみいな

だが、強靭な男達の剥き出しの本能の前にその抵抗は余りにも無力で、調理される前の子兎の如く、後ろから羽交い締めにさて男達の前に晒される

 

「あわわわ… おやめなさい…! だ、駄目です! プ、プロデューサー!」

 

親友達の身に降り懸かる惨劇

それを目の当たりにするしいなは、為す術も無く徒に身を震わせて、席を外していた頼るべきプロデューサーの一刻も早い登場を祈念する

 

「おらっ! 剥いじめぇ!!」

 

みいなの身体を這う男達の手が、我慢できぬとばかりに、彼女の真っ赤なじゃんピンドレスを剥ぎ千切る

 

「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

ドレスその物が上げたと錯覚する様な悲鳴

れいなの白い肌と、たわわな柔肉を包む桜色のブラジャーが露になる

そこにも透かさず、何本もの黒い手が伸びる

 

「や、やめなさいっ!!」

 

自分しかいない…

親友れいなの危機に、しいなは自分でも驚く程の声量で男達を掣肘した

 

「やかましいぞっ!!」

 

男の一人が反応した

 

(ヒッ!!)

 

しいなはその獣の様な眼光に射竦まれ、腰から力が抜けるのを感じた

あの瞳の中に映る自分は、既に恐らく一糸纏わぬ淫らな姿に…

 

(こ、こないで…!)

 

しいなは数十秒後に己に降り懸かるであろう悪夢を予見して、豊満な胸の前で腕を強く交差させた

だが男は目の前の"獲物"に食らい付くのを優先した為か、直ぐにしいなから顔を背けた

 

「い、嫌ですぅ! お母たん! た、助けてぇぇぇ!!」

 

耳に飛び込んで来たのはみいなの悲痛な叫び

見れば、まさに男にパンツを脱がされている所だった

 

「へっへっ! みいなちゃん、なんだいこのシミは~?」

 

男は剥ぎ取ったパンツのクロッチを、みいなの眼前に突き付ける

 

「いやぁぁぁ… いやぁぁぁ……」

 

まだあどけなさの抜けない彼女は、既に恐怖容量のリミットを越えたのか、悲鳴にならない呻きを漏らすばかりだった

 

「それじゃ"本体"も… それっ!!」

 

男達はそんなか弱い彼女にも容赦せず、秘所を隠さんと必死に閉じられた股を、力一般両脇から引き広げる

 

「やめなさいっ!!」

 

今度は身体が動いた

争い事には疎いしいなだが、じゃんピンガールズの"末っ子"みいなの危機に、手をこまねいている事はできなかった

みいなの右足を取る最寄りの男に体当たりを試みる

 

「痛ぇぞ!!」

 

だが、華奢な彼女の身体では、殆ど効果は得られなかった

当てられた男は立ち上がり、反対にしいなを突き飛ばす

 

「きゃっ!?」

 

軽々と弾かれ、あられもなく股を開いて尻餅を着く

視線を上げると、その男と目が合った

慌て股を閉じる

 

(こ、こないで…!)

 

今度こそ駄目だ…

完全に男の獣欲を刺激してしまった

数十秒後には、あの男の黒くて太い禍物を、体内に深く迎え入れる事になるだろう…

絶望に意識を染められながら、それでも乙女のプライドと、その内腿を締める筋肉に渾身の力を込めた

だが、男は目の前の"獲物"に食らい付くのを優先したのか、直ぐに体位を元に戻した

 

「おらぁっ! さっさと犯っちめぇ!!」

「スゲェ~!!」

 

男達の騒声が、狭い物置小屋に木霊する

 

「やめてぇぇぇぇぇっ!!」

「嫌ですぅぅぅぅぅっ!!」

 

乙女達の痛々しい悲鳴も木霊する

 

「…………………………」

 

しいなだけはその狂宴から少し離れて、明かり取りの窓から射し込む夕陽に照らされていた

 

 

 

『バタンッ!!』

 

 

 

 

その時、物置小屋かの扉が勢い良く破られた

 

「プ、プロデューサー!!」

 

しいなの待ち望んだシルエットが、その切り取られた四角の中に浮かんだ

 

「なんだテメェ… グハッ!!」

 

男が一人宙を舞った

 

「野郎っ! …ブグッ!?」

 

近寄った男が、同じ様な軌跡を描いて吹き飛んだ

 

「やっちめぇ!!」

 

リーダー格の掛け声で、男達は一斉にプロデューサーに飛び掛かる

 

「グベッ!」

「ギャッハ!?」

「ウボッ!!」

 

圧倒的かつ一方的な暴力の発揮であった

危険な破砕音を響かせて、伸びた男達が折り重なる

 

「……くっそぉぉぉ!」

 

最後に残されたリーダー格は、懐からバタフライナイフを取り出すと、それを腰に固めて突進する

 

「プロデューサー!!」

 

しいなは思わず目を閉じた

 

「……イテテテテ!」

 

だが、次の瞬間聞こえた悲鳴は、彼の物では無かった

 

「……"商品"に手を出すとは、芸能界の怖さを知らない様だな… ウチらのケツ持ちに可愛がって貰いなっ!」

 

そう吐き捨てると、プロデューサーは腕を捻り上げた男の顎にアッパーを食らわせた

 

「貴女達! もう大丈夫よっ!」

 

プロデューサーの背後から麻美さんが飛び込んで来た

 

「う、うわぁぁぁぁぁん!!」

「怖かったですぅぅぅ!!」

 

ボロボロになりながらも、間一髪貞操の守られたれいなとみいなは、その胸元にすがり付いて号泣した

 

「…………間に合って… よかった……」

 

しいなはその光景を見てホッと胸を撫で下ろすと…

 

「……えいっ」

 

自分でじゃんピンドレスの胸元を引き裂き、パンツを膝頭まで下ろしてから、その輪の中に飛び込んだ

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。