サンタクロースをいつまで信じていたかなんてことは他愛もない世間話にもならないくらいのどうでもいいような話だが、それでも俺がいつまでサンタなどという想像上の赤服じーさんを信じていたかと言うとこれは確信をもって言えるが最初から信じてなどいなかった。
どこかの某有名小説の冒頭部分の一節を思い返してみたが、確かに最初から信じてなどいなかった。俺はもともと冷血漢なほうなのか、それとも人間として当たり前の事なのか。そこまで考えようとは思わない。俺は『省エネ主義』を強く主張するからだ。別にサンタのことなどどうでもいい。やらなくてもいいことならやらない。やるべきことは手短に。だ。
里志曰く、俺は灰色を好む奴に見えるらしい。俺は人を色で一括りにする風潮に異を唱えたい。そもそも人間と言うのは色で表すほど浅はかなものではないのだ。高校生活と言えば薔薇色、薔薇色といえば高校生活。薔薇色とはどんな色だ。薔薇は多色多彩である。その中のどれを指すのかぜひ教えてほしいもんだ。
放課後の地学準備室で千反田に対してひとくさり語ると、千反田は薄く微笑みを浮かべながら言った。
「薔薇色ですか?たしか赤い色を指す言葉だった気がしますが」
そうか赤色か。赤色だったのか。俺は言った。
「ところで里志と伊原は?」
千反田が言う。
「福部さんは総務委員の仕事で今日は来ません。摩耶花さんは用事があるそうです」
つまりもう誰も来ないという事だ。俺は言った。
「なあ千反田。嫌じゃなければいいんだが、一緒に本屋にでも行かないか?」
秋晴れというべきなのか残暑晴れと言うべきなのだろうか。澄み切った青い空を眺め、俺はそんなことを千反田に言った。千反田はまた微笑みながら言う。
「残暑晴れ?ですか?あまり聞かない言葉ですね」
俺は言った。
「そんな言葉があるかどうかも知らん」
そんなことを話しているうちに本屋に着いた。神山市内でもそれなりに有名らしい光文堂書店である。それなりの品揃え。それなりに広い店舗。まあ外観は昔からある本屋と言う感じだ。中に入ると、ある程度の客入りを想定しているのか冷房が効きすぎていて少し寒いくらいである。入口を入るや否や、千反田はどこかのコーナーに行ってしまった。俺は時折買ったりする”ライトノベル”のあるコーナーに入る。ソードアートオンラインだとかとある魔術の禁書目録だとか俺の妹がこんなに可愛いわけがないだとか長文タイトル責めが来てすこしクラクラするところだが、たまに面白そうな小説がある。例えるなら涼宮ハ〇ヒシリーズだとか境界の彼方だとか中二病でも恋がしたい!とかだ。それらは買って読んではまってしまったし、ライトノベルがかなりいいのは重々承知している。あまり詳しくないが読んでいる作品はいくつかある、という感じである。俺は魔法科高校の劣等生というかなり人気らしいシリーズを買おうか迷っていると、
「折木さん。それはなんですか?」
千反田がいつのまにか後ろにいた。俺は言った。
「ライトノベルというやつだ」
千反田が言う。
「ライトノベルって何ですか?」
俺は言った。
「一般文芸小説とは違い、読書が苦手な奴でも楽しく読める・・・みたいな感じだと思う」
それで間違ってなきゃいいが。千反田が言う。
「それは素晴らしいですねっ。私も買います!」
・・・・買うのか。
その後、伊原から『ちーちゃんにラノベ進めたのあんた?』と聞かれたのは言うまでもない事である。
奉太郎がちょっと原作&アニメと違う部分があるのは否めません。そこは触れないでください。あと誤字脱字あったらメッセージください。修正しますから。