「ありがとうございます、ルーク様。助かりましたわ…。わたくしは、ミモザ=エレジオーネ。このご恩は必ずお返し致しますわ…」
丁寧にスカートの端を持ち、美しく礼をする美少女に、美少年は右手を差し出しながら、
「ルーク=フリーゼルだ。ようこそ、エレジオーネ嬢。」
と微笑んだ。
美少女は美少年の名前を聞いて驚きを隠せずにいた。
「まぁ!あのフリーゼル卿のご子息でしたの⁉︎わたくし、フリーゼル卿とは、祝賀会で何度かお会いしていますの!代々、我が家を贔屓にして頂いて…。」
そんな美少女に優しく微笑み返した。
「そうでしたか。なら、いつでも遊びにいらしてください。カウンターに名前を言って下さったら、1000万ポーン分のコインをプレゼント致しますよ。それで、エレジオーネ嬢は今夜どちらに?」
「コモドという名前のカフェレストランに下宿する予定なのですが、帝都は初めてなので…」
美少年が、困り顔のミモザの地図を覗き込む。
「僕の友人の家ですね…。エスコートいたしますよ。
それで、もしよろしければ、あちらについたらお手合わせ願えますか?」
「はい、ぜひ♪」
満面の笑みで答えるミモザに、
美少年も照れを隠せないでいた。
「着きましたよ、ここがコモドです。」
「ありがとうございます。それで、何を賭けます?わたくし、小腹が空いていますので、何か奢ってくださればそれで十分ですわ♪」
「分かりました。とりあえず中に入りましょう、エレジオーネ嬢。」
扉をひらく。カランと鐘が鳴る。
「いらっしゃいませぇ〜♪マジックカフェレストランバー、コモドへようこそぉ〜♪って、ミモザちゃん!?ひさしぶりぃ〜♪ルークさんも、いらっしゃいませぇ〜♪」
ふわふわとした髪の毛と雰囲気を携えた可愛らしい少女が2人を嬉しそうに出迎える。
「ひさしぶりね、フローラ。幼少期に遊んだきりだったけど、改めてこれからよろしくね♪」
フローラと呼ばれたその少女は、ミモザの荷物を預かる。
「フローレンス・コモドとお知り合いですか?エレジオーネ嬢」
美少年が尋ねると、ミモザは嬉しそうに答えた。
「えぇ。幼少期に、お母様が決めた遊び相手でしたの。」
「そうでしたか。僕の友人のジャックもそんな感じですよ。おい、ジャックはいるか?トランプを貸して欲しいんだが。」
店の奥まで届くような声を出す。
「相変わらずだな、ルーク。突然きた上に、いきなりゲームとは。んで、何をやるんだ?」
店の奥から、眠そうな目をこすりながら、マジシャンの格好をした、小生意気な少年が顔を出した。
「帝都流インディアンポーカーだ。」
「了解。嬢ちゃん、インディアンポーカーってのは知ってるかい?」
「ええ、たしか、カードを自分に見ないように、相手から見えるように額に当てて、相手のカードより数字が大きいか否かを当てるゲームでしたよね?でも、最低参加人数は3人。本来は5人が好ましいですが…」
「この辺じゃ、オリジナルのルールがあってな、カードは1〜10とジョーカーのみで、相手のカードとの差も予測するんだ。
どちらかがジョーカーなら、5から下に負けて、6から上に勝つ。ジョーカー同士なら一戦追加。差については、ジョーカーは5として考えると楽だぜ。差が少なかったほうが勝ち。で、5に賭けるんじゃ面白くないから、5は禁止だ。ディーラーは俺がやる。そしてヒントとして、配られなかったやつから一枚ランダムで開示する。
何か質問は?」
「ジャック様、インディアンポーカーは、自分は見て相手には見せないカードも、配るのですが、こちらも相違ないでしょうか?それと、ルーク様は一体何をかけるのですか?」
「あぁ、言い忘れていたな。相手には見えて、自分には見えないカードと、自分は見て、相手には見せないカードが一枚の合計二枚だ。つまり、盤上には5枚出て、御前達が自分だけで見れるのは3枚ってこった。」
「俺は…二人きりで話したい事があるから、ミモザ嬢の時間を少し。」
「わかりましたわ」
「じゃあ始めようか、ルーク、お嬢ちゃん。」
ジャックが軽やかにカードを切り、そして配る
「こいつは見ないで額に。
こっちは自分にだけ見えるようにして見ろ。今回のヒントは…6だ。」
ミモザは考える。
自分から見えるカードを纏める
自分が持つカード8。相手の額には3、ヒントは6。
つまり、1.2.4.5.7.9.10.Jokerが出ていない。つまり、最大の差は7となる
1〜7の平均は4。
差は4にしよう…
「差は4よ。私のカードはあなたより大きい数字だと思うわ」
「差は2だ。俺のカードはお前より小さい」
「カードオープンだ。ルークが3で、ミモザが5。ルークの勝ちだな。」
「残念、負けてしまいましたね…」