賭博エレジオン   作:くろの あずさ

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第3話<お嬢様と賭博強盗>

「こら!ジャック、

ミモザちゃんに謝りなさいっ!」

 

鋭いチョップがジャックを襲う。

 

「ってぇ〜な!なにしやがる!」

 

顔をしかめてフローラを

睨みつけるジャックに、

フローラはふくれ顔で返す。

 

「ジャック、フセーしてたでしょ!?

わたし、見たんだからね!

ルーク様に、彼のカードの数教えてるとこ!」

 

「大丈夫ですわ、フローラ、

なんとなくわかっていましたの。

ブラフのひとつやふたつ、

見破れない私では無いですわ。」

 

「でも…」

 

「勝負は勝負ですわ。

部屋に行きましょうか、ルーク。

こんな手を使ってまで、

伝えたかったお話とは

一体なんだったのか、

とても興味をそそられますわ♪」

 

ミモザはルークの手を取り、

自分の部屋へと誘った。

コモド店内では其処彼処から

「ヒューヒュー」とまくし立てる。

フローラがそれを怒って抑えている声が

微かに聞こえる中、ミモザは部屋の扉を閉じた。

 

「それで、話って一体なんですの?」

 

きりりとした顔を彼に向けるミモザ。

さっきまでの優しい雰囲気とは違う。

ルークを真っ直ぐに見つめる瞳は、

まるで金色に輝いているようにも見えた。

 

「話が早くて助かる。

ここ最近、若人や旅人を狙った

賭博強盗が流行っているんだ。

その逮捕に協力をして欲しい。

3日後の晩に、ここら辺の領主である、

俺の親父がかえってくるんだ。

親父には、親父がいない間、

この領地をまかされてるんだ。

だから、親父が帰るまでに、

自体を収めたいんだ。頼めるか?」

 

「なんでわたくしなんですの?」

 

「あちら側に勘付かれないよう、できれば女…

しかも旅人や新入りは狙われやすい。

だから、旅してこっち来た、

新入りである女で、賭博で腕のある

奴に頼みたかったんだ。」

 

「なんだ、そんな事でしたの?

そんなの、あんな手を使わずとも、

普通に言って下されば、

お受けしましたのに!

わかりました、私、尽力致しますわ♪」

 

「あれは、腕試しをしたかったんだ。

すまなかった。」

 

「もういいですわ、

おかげで、わたくしとしたことが、

油断していた事を思い知りましたわ。

むしろ感謝していますわ。

早速、明日からやりましょう。」

 

次の日、早速街に繰り出して、

路地裏から探索を始めた。

聞き込みに励み、被害の多い地区を特定。

一旦引き上げようとした時に、

物々しい雰囲気の、3人組の男が現れた。

 

「けけけ、ダメだよー?旅人のお嬢さん」

 

「荷物重いだろー?

俺たちがもらってあげるよ、くくっ」

 

「賭博は好きだろ?じゃなきゃ、

こんなとこに来ないよな?

俺たちと遊ぼうぜ?

身包みと荷物をかけて、さ」

 

ミモザを取り囲むように三人が詰め寄る。

ミモザはその圧力に屈せず、堂々と微笑むと、

 

「えぇ、いいですわよ、ただし、

あなた達は逮捕されることを

賭けて下さい♪」

 

と言い、指を鳴らした。

路地の入り出口に、

ルークが率いる、

帝都警護団の騎士が並ぶ。

 

「そちらから

誘ってくださったゲームですもの、

そちらから降りるなんて、

許しませんわ。

もしそちらが勝ったら、

勝負が終わってから、

丸3日は何を起こそうと、

こちらの方々は見ないふり

して下さるそうですよ♪

こちらは荷物と身包み、

そちらは逮捕される事を賭けて、

いざ、勝負ですわ!」

 

「くっ…やるっきゃねぇ…

ゲームの内容は

こっちで決めちまっていいよな?

ブラックジャックは知ってるだろ?」

 

「えぇ、カードの合計数を、

特定の数字より下に抑えつつ、

より合計数が高い方が勝ち、

又は、ブラックジャック

と呼ばれる特殊な

組み合わせを出せば

必勝のトランプゲームですわ。」

「今からやんのは、

サイコロを使った、

いわば、サイコロブラックジャックさ!

サイコロを3つ同時に振って、

サイコロの合計数を競う。

バースト数は14だ。

ただし、6のゾロ目だけは別だ。

それをブラックジャックとして扱う。

簡単だろ?」

 

「ええ、良心的ですわね♪」

 

「だから特別ルールを設ける。

今回、サイコロを1個、

ライフとして扱い、

そのライフを削り合うんだが、

そのライフを一つ減らす代わりに、

サイコロを

振り直す事が出来るのさ。」

 

「サイコロを振り直す…?」

 

「気に入らない結果を塗り替えれるのさ

。ライフを犠牲にしてさ。

そして、振り直したサイコロの目が、

より良ければそれを採用、

悪ければ現状維持すればいい。」

 

「わかりましたわ。

ただ、サイコロを振るのは、

久しぶりですの。少し、

練習させてくれませんこと?」

 

「それくら構わんさ。

この赤いサイコロがライフだ。

何か質問はあるか?」

 

「引き分けの時はどうしますの?」

 

「ライフの増減は無しだ。

あぁ、最高でも10回戦で切り上げるぜ。

それでも引き分けたら、

バーストしなかった数を全部足して、

より数が多い方が勝ちだ。

そこにいるケーサツのあんちゃん。

おまえが両方の数字をきろくしな!

そろそろ投げ慣れたかい?お嬢ちゃん。

無駄だとは思うけどよ!

最後に、投げる合図を教えてやる!

『ジャックドダイスで3.2.1』

これの1で投げるように。」

 

「ええ、わかりましたわ♪

では、始めましょっか♪」

 

《ジャックドダイスで3.2.1!》

 

カラカラと音を立てて

サイコロが転がる。

あちらは…5-3-4…合計11

私は 6-1-6…合計13

 

「一振り目は、

わたくしの勝ちですわね!」

「どんどんいくぜ?嬢ちゃんよぉ…」

 

《ジャックドダイスで3.2.1!》

 

向こうは2-5-5…。合計は12。

私は6-6-1…合計13。

 

「余裕ですわ!」

「いっきに差をつけてやるよ!」

 

《ジャックドダイスで3.2.1!》

向こうは5-4-3…合計12

私は2-3-1…合計6だ

 

「大丈夫かい?嬢ちゃん、ケケッ!」

「これくらい。痛くも痒くもありませんわ!」

 

《ジャックドダイスで3.2.1!》

私は1-2-2…合計5

あちらは、2-4-3…9

 

私は、

なんとも言えない違和感を感じた。

 

「ほらほら、まだまだいくぜ?」

「え、えぇ…」

 

《ジャックドダイスで3.2.1!》

私のは6-5-1…12

あっちは4-5-4…13

 

さっきっから、サイコロに混じって、小さなかけらが、サイコロと同時に

カラカラと転がるような音もする。

それに

5-3-4、2-5-5、5-4-3、2-4-3…

6と1が…無い…?

この音と関係あるのだろうか…?

私は彼のサイコロの

振り方に注目してみた。

 

《ジャックドダイスで3.2.1!》

振る前に、強くにぎってる…?

いや、おしてるんだ…!

サイコロの1の目が

ボタンになってる…!

1と6がでなかったのは出せないから…

向こうは5-3-5…合計13。

私のは6-5-4…15のバースト

間違いない。タネがわかった。

サイコロに仕掛けが施されている。

なら私も…仕掛ける!

 

「負けがこんでるなぁ、嬢ちゃん。」

 

「ええ、そうですわね。

でも、もう負けませんわ。

あなたみたいな、最低な奴には。」

 

「んだと!?

いいぜ、絶望させてやるよ!

かくごしろよ、小娘が!」

 

かかった。

 

《ジャックドダイスで3.2.1!》

あちらは5-5-3。合計13

私は

 

「6-6-6…

〈ブラックジャック〉だと!?」

 

「どうかしました?何か問題でも?」

「なんでもねーよ!おら、やんぞ!」

 

《ジャックドダイスで3.2.1!》

 

あちらは4-5-4、合計13

私は

 

「うそ…だろ…?」

「嘘じゃありませんわ♪

当然の結果です。」

「ふざけるな!0.5%以下の確率を」

 

「いいから続けましょうよ、さあ!」

 

「くっ…」

 

《ジャックドダイスで3.2.1!》

あちらは2-5-5…合計12

こちらは

 

「なんでだよ…ありえない…」

「ありえますわ。

全くないわけではないのですから。

3回連続、

6-6-6〈ブラックジャック〉

ぐらい☆」

 

「んのやろう!インチ…」

「インチキだなんて、

言わせませんわよ?

イカサマしてるのは、どっちかしら?

ねぇ?賭博強盗様♪」

「っ…ちっくしょう!このアマ!」

「さあ、さあ!最後の一振りしましょう?」

《ジャックドダイスで3.2.1!》

 

向こうは、5-5-3の13

こちらは

「なんでだよ!ふざけるな!」

 

ー6-6-6〈ブラックジャック〉ー

 

「約束ですわ、

大人しく捕まって

いただけますわよね…?」

 

こうして、賭博強盗は、

逮捕されたのだった。

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