Fate/Apocrypha 灰の陣営   作:ピークA

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前回のあらすじ

急襲!赤のライダー!


五話 聖杯大戦 4日目 殺人鬼は誰の手に?

 

午前7時 ミレニア城塞 ゴルドの工房

 

「ん・・・あぁ・・・」

 

「起きたか、ノロマめ」

 

セイバーに捕獲されたホムンクルスは手術台に乗せられていた。

 

するとある違和感に気付いた。

 

アストルフォと森を抜けようとした時より体に負担が感じられない。というより、体が動かしやすくなっていた。

 

「きけ、アースよ」

 

「アー・・・ス?」

 

「それが今からお前の名だ。単刀直入にいう。貴様にはこのミレニア城塞で赤の陣営と戦ってもらう。そのための再調整だ。全くまさか生体電池用のホムンクルスが自我を持ち、生きたい等と願うとはな」

 

「・・・」

 

「まあそんな事は終わった事だ。とにかく貴様には此処で戦え。その時まではこの城の中であればある程度散策しても良い」

 

「!本当に・・・?」

 

「我々に危害を加えなければな」

 

「そうか・・・ライダーは」

 

「質問が多いな貴様は。生きてはいる、今は地下に幽閉されている。まあ当然だな。勝手にお前を連れ出そうとしたんだ」

 

「・・・」

 

「奴に会おうとするな」

 

「なぜ?」

 

「どうせ奴はそのうち解放される。それより貴様が気を付けるべきはライダーのマスターだ。奴はお前を殺そうとするだろう」

 

「な・・・?」

 

「あの黒魔術師はライダーに異常に執着している。そのライダーが自身が歯牙にもかけなかったホムンクルスなんぞのために一族を、自身を裏切ろうとしたのだ。端的に言ってしまえばセレニケは、お前に嫉妬している。だからできるだけ奴に会わないようにしろ」

 

「そんな」

 

「そんな下らぬ理由で命を狙われるのはたまったものではないだろう。ワシもそう思う。セレニケめ、たかがホムンクルス風情に嫉妬しおって。替えがきくとはいえ、八つ当たりで数を減らされては困る」

 

「謝るべきだろうか」

 

「さっきも言っただろう。奴に会うな。それに貴様の言葉をあやつが聴くとは思えん。謝罪がそのまま遺言になるぞ」

 

「そうか」

 

「それに貴様はどちらかといえば幸運な方だぞ。流石にキャスターの宝具の生体炉心になるよりマシだろう」

 

「?」

 

「ああ、お前はその炉心の候補だったのだがな。魔術師としてはお前より優れた奴がいただけの事だ」

 

よく分からないが、アースは頷いた。

 

 

地下牢

 

「ホムンクルス!ホムンクルス!ホムンクルス!」

 

セレニケは怨嗟と憎悪と嫉妬を込めて叫ぶ。

 

「謝ったんだから、許してよ。この通り!」

 

アストルフォはセレニケに謝る。

 

それでもセレニケの憎悪は止まらなかった。

 

「アストルフォ!!貴方のせいよ!!たかがホムンクルスを!勝手に逃がそうとするせいで!!私までこんなところに閉じ込められるなんて!!」

 

「えぇ・・・」

 

「大体なによ!あんな物ただの魔力供給用の電池・・・ただの部品よ!?そんな物を助けて、何になるっていうの!?なによ!そんなにあのホムンクルスが魅力的だったとでもいうの!?許さない!赦さない!私のアストルフォを(たぶら)かしたあのホムンクルスを殺してやる!」

 

「それはやめて!」

 

アストルフォは懇願する。

 

その姿勢が、セレニケに快感すら上回る憎悪を増長させる。

 

「なんなの・・・。そんなにあのホムンクルスが大事!?私のより大事だって言うの!?」

 

(うわぁ・・・全然人の話し聞いてくれないや)

 

まさに堂々巡りだった。セレニケは頭を冷やすどころか憎悪と嫉妬によって、思考が沸騰していた。アストルフォがセレニケと会話できる範囲の牢屋に入れられたのも一端になっているかも知れない。アストルフォの受け答えが更にそれを助長していた。

 

理性が蒸発しているアストルフォでさえこのヒステリックさには流石に引いていた。

 

 

午前9時頃 カタコンペ

 

「寝覚めが悪いな、くそ」

 

獅子劫界離はカタコンペでヒュドラの幼体を使って礼装を造り終え眠ったあと、彼は夢を見ていた。

 

それはモードレッドの過去。誕生、騎士として王に支え、自身が王の嫡子であると聞かされ、それを王に言うも拒絶され、憎悪し、ブリテンを転覆させる反逆の騎士となる物語だ。それを見て獅子劫は、

 

「全く厄介なサーヴァントを引き当てたもんだ」

 

「何の話だマスター。オレの過去でも見たか?」

 

「なんだ起きてたのか?」

 

「おう。それより何かメッセージが届いてるぞ、ロード・エルメロイ二世とか言うやつから」

 

「マジか」

 

そこには『大至急シギショアラに迎え、理由は追って伝える』と書かれてあった。

 

「シギショアラ?何かあったのか?」

 

「多分、ジャック・ザ・リッパーが出たんだろ」

 

「ジャック・・・?あぁ向こうのアサシンだったか?」

 

「あぁ、あいつは魂喰いをやってる。前の大戦でもやってたからな」

 

「マジか?じゃあどんなやつだった」

 

「すまねぇ、その名前を新聞の記事と向こうの奴から聞いたんだが外見とかどんな戦いをするやつか (・・・・・・・・・・・・・・・)全く思い出せない(・・・・・・・・)

 

「それはお前がガサツだからとかじゃなくてか?」

 

「それどういう意味だマスター。ホントに名前以外思い出せないだ」

 

「つまり、対策が取れないって事か?」

 

「ああ、そうなる」

 

「そいつは厄介だな」

 

獅子劫は少し考え、

 

「じゃあ行くか」

 

といって、カタコンペを後にした。

 

11時頃 カタコンペ

 

「畜生!もうシギショアラに行ってやがりますね!」

 

カタコンペの周囲の結界を力業でブチ破りカタコンペに入った直後、メアリーは叫ぶ。

 

(だからメールを受け取ったあとシギショアラに行けと言ったのだ)

 

ヴラド三世からさえ非難を受けるメアリー。

 

「わかりました!今からシギショアラに行きます」

 

そうして、メアリー達はシギショアラに向かう。

 

因みに結界や防衛装置は念入りに破壊していった。

 

ただの嫌がらせである。

 

 

12時頃 ミレニア城塞

 

ダーニックとランサーはセレニケの牢屋を監視して、ため息をついていた。

 

「セレニケめ、まだ反省しないか・・・」

 

「もう新しいマスターに乗り換えさせた方がいいんじゃねぇか?」

 

「それは最後の手段だランサー」

 

するとフィオレとアーチャーが入ってくる。

 

「お呼びでしょうか、叔父さま」

 

「ああ、フィオレ。この新聞を見てくれ」

 

ダーニックが見せたのは地方紙だ。そこには、

 

『ジャック・ザ・リッパー、ルーマニアに現る!?』

 

という一面記事が出ていた。

 

「これは・・・!?」

 

「恐らくサーヴァント、アサシンだろう。殺されたのはマフィアやチンピラと言った連中だけではなく、魔術協会側の魔術師も含まれていたそうだ」

 

「なるほど」

 

「このアサシンは相良豹馬のサーヴァントではない。やつは既に殺害されていた。」

 

「つまり、黒のアサシン・・・ジャックは暴走しているということですか?」

 

「相良以外の人間と契約している可能性がある。そしてその人物は魔力が少ない・・・もしくはただの人間である可能性がある。でなければこんな目立つことはしない。いま空港にいる一族の者に『ここ数日以内にルーマニアにきた日本人客』を洗わせている」

 

「では、私達を呼んだのは?」

 

「赤のセイバーのマスターがシギショアラに移動した。目的は黒のアサシンの討伐だろう。此処でサーヴァントを失う訳には行かない」

 

「私達はアサシンを保護しにいくわけですね」

 

「ああ、最悪討伐しても構わん」

 

「わかりました」

 

(ダーニック)

 

(キャスターか、どうした?)

 

(赤のバーサーカーのマスターもシギショアラに向かった可能性が出た)

 

(なんだと?)

 

それはあまりにもまずい、あの凄まじいステータスのバーサーカーがセイバーと組まれては例えケイローンでも太刀打ちできない可能性が高い。

 

しかしユグドミレニアのトップである自身が動くことは出来ない。此処でランサーを失う訳にも行かない。ゴルドは昨日からほぼ休まずホムンクルス達の再調整を行っている。セイバーはゴルドを護衛している。キャスターとライダーは論外。ならば・・・

 

ダーニックはゴルドに念話を送る。

 

(ゴルドよホムンクルスの調整は一度切り上げろ。お前には数時間後、シギショアラに行ってもらう)

 

(シギショアラ?なぜ・・・)

 

(事情は後で説明する。とりあえず仕事を切り上げて休め)

 

(・・・わかった)

 

「よし、フィオレ。おまえは今すぐシギショアラに迎え、カウレス、バーサーカーと一緒に」

 

「え?カウレスもですか?」

 

「ああ、バーサーカーにはアーチャーを守ってもらう、セイバーが到着するまで」

 

数十分後 ユグドミレニア所有の車の車内

 

「要するにバーサーカーにはセイバーがくるまで肉盾になれってことかよ」

 

「カウレス、口が悪いわよ」

 

「ごめん姉さん」

 

カウレスは謝ったあと、

 

(最悪令呪を使ってもいいと言われたけど、要するにバーサーカーに赤のサーヴァントを巻き込んで自爆しろって言ってるような物だろ)

 

と考えた。

 

そしてポケットの中でスマートフォンを操作し、獅子劫にメールを送る。

 

内容は、

 

『シギショアラに俺と姉さんが向かってる。それから時間差でセイバーとそのマスターがくる。戦闘になる可能性が高い。セイバーがくる前に適当な理由を付けて戦闘を切り上げよう』

 

というものだった

 

午後2時頃 テムの拠点

 

「そういえば、ジャック・ザ・リッパーが現れたらしいよ」

 

クロがテムに新聞をみせる。

 

「悪いな、あんまり興味ないわ。それの対処っつーか後始末はやつらに任せよう、俺は俺で準備があるんだ」

 

そういって彼はブカレストの空港に向かった

 

 

午後7時頃

 

日が落ちて暗くなった頃、路地にいたモードレッドと獅子劫を霧が包んだ。

 

「ゴホッゴホッ・・・セイバー!こいつを吸うな!」

 

「んなもん効くか!走るぞマスター!」

 

モードレッドは自身の直感を信じ霧を抜ける。

 

「ふぅ・・・ふぅ・・・」

 

獅子劫は霧を抜けてようやく一息ついた。

 

獅子劫は油断はしていなかった。しかし霧を抜けた事でほんの一瞬、安堵していた。

 

殺人鬼はその弛緩を見逃さず、被害者(えもの)を殺害するために行動する。

 

そして、セイバーはマスターの足を払い無理やり転倒させ、そこに剣を振り抜いた。

 

「うぐぅ・・・!」

 

「オレのマスターをそう簡単に狙わせるか。アサシン」

 

「痛いなぁ、もう少しだったのに」

 

それは娼婦のような扇情的な格好をした、幼女だった。

 

「お前が、ジャック・ザ・リッパー?」

 

「あれ?なんでわかったの?」

 

彼女は首をかしげた。そして

 

「まあいいや」

 

と霧の中に逃げ込んだ。

 

「待て!アサシン!」

 

モードレッドはアサシンを追う。しかし霧の中に入ったとたん、彼女を見失った。そして医療用メスが飛んできた。

 

「くっ!」

 

「あははっ、なかなかやるね!」

 

小バカにしたような少女の声が響く。

 

「抜かせ、このクソガキが!」

 

「クソガキなんて、きたないことばだね。そんなあなた・・・おねえさんはなんておなまえなの?」

 

「クソがぁ!」

 

彼女はアサシンに剣を振るう。だか全く手応えがなかった。

 

するとアサシンは手を叩いて、モードレッドを煽る。

 

「お~にさ~んこ~ちら!て~のな~るほ~うへ!」

 

「クソッタレがぁぁぁぁぁぁ!調子に乗んじゃねえぇぇぇぇぇ!」

 

モードレッド兜を外し魔力放出によって周囲の霧を吹き飛ばす。

 

するとアサシンの姿が現わになる。

 

「ようやく見つけたぜ!このクソガキが!最後に言い残すことはあるか!?」

 

「しなないよ。まだお腹すいてるんだもん!」

 

アサシンは肉切り包丁を構えモードレッドにせまる。

 

モードレッドも自らの剣を振りかぶる。

 

両者が激突する直前モードレッドの直感が警鐘を鳴らす。思わず魔力放出で無理やり引いた。その瞬間、黄緑色の雷撃が彼女達に落ちてきた(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「な・・・!?」

 

落ちてきた雷撃には見覚えがあった。しかしそんな思考をしてる間にも次々と雷撃がモードレッドに降り注ぐ。それを避けながら移動していると、彼女の足元に矢が着弾した。

 

「なに・・・!?」

 

その爆風に吹き飛ばされそうになるも魔力放出で突き抜ける。移動した先にマスターがいた。

 

「マスター!オレはあのアーチャーの所に行く!そこでじっとしてろ!」

 

「いやそうは行かないらしい!敵のマスターがこっちに来てる!」

 

「ならマスターのことは任せた!」

 

「だったらサーヴァントは任せた!」

 

モードレッドはケイローンのいる建物に向けて走る。

 

ケイローンside

 

ケイローンは彼女を攻撃するも全てを剣で弾いていた

 

すると、フランから念話が聞こえた

 

(どうしました。バーサーカー)

 

(ウゥゥ・・・!!)

 

彼女の提案はあまり承諾出来るものではなかった。

 

それでも彼女の覚悟は本物だった。

 

ゆえに

 

(カウレス、バーサーカーがあの

セイバーを足止めするといってます(・・・・・・・・・・・・・・・・))

 

(・・・出来るのかバーサーカー)

 

(アァァ!!)

 

(だったらお前に任せる。セイバーを足止めしろ。でもいざ危ないってなったらアーチャーに助けを求めろ、いいな)

 

(ウィィ!!)

 

モードレッドside

 

建物との距離が20mに差し掛かった時真横の路地から何かが飛び出してきた。

 

それは純白の花嫁衣装をきた少女だった。

 

モードレッドは止まる

 

「やっぱりお前だったか」

 

「ウゥゥ・・・!!」

 

「オレと戦うのか?残念だけどお前とオレとじゃ戦いにな・・・」

 

「アァァァァァ!!!」

 

その気迫はかつての彼女とは違うと感じた。

 

「そうか・・・どうなっても知らねえぞ」

 

モードレッドはフランケンシュタインに真一文字に剣を振りかぶる。

 

フランはそれを避ける。

 

次は斜め下から上に切り裂く様に振るう。

 

これも避けられる。

 

モードレッドは休む事なく連撃を行う。

 

それをフランは受け流し、避けていく。

 

明らかに以前の彼女の動きとは違っていた。

 

直感の様な野性的、本能的な動きではない。これは紛れもなく自身の様な戦士に近付こうと磨いたものでもあるかの様に感じた。

 

しかしそれでもモードレッドの方が優勢だった。

 

現にフランはモードレッドから攻撃を受け続けているだけで、反撃することが出来ずにいた。

 

モードレッドの攻撃の速度と重さが増す毎に彼女はどんどん反撃することができなくなる。

 

いや、そうではない。

 

(攻撃の速度、結構上げてんのに攻めきれねぇ!)

 

そう、フランは今持てる全てを防御に回していた。

 

今の彼女は攻撃を捨て完全に守ることに主軸を置いていた。

 

それは彼女の狂化ランクがDという低い数値だったからこそできる芸当だった。

 

セイバーがくるまでの時間稼ぎ。

 

彼女はまさにそれを実行していた。

 

もちろんモードレッドがアーチャーを気にしていざ攻撃してきても対応できる速度の攻撃をしていたのも攻めきれない理由に入っていた。

 

そしてそんな事をしている間に、その時はやってきた。

 

モードレッドの攻撃をフランが大きく避ける。

 

するとモードレッドの真横から黒のセイバー―――ランスロットは攻撃してきた。

 

モードレッドは直感で避け、魔力放出で後退する。

 

「ちっ!てめぇなにもんだ!アサシンでもないくせに姿を隠しやがって!この卑怯者が!!」

 

(くそ!まずい!フランのやつ・・・これが目的だったのか!見えねぇサーヴァントを気にしながらフランとアーチャーを警戒する?ムリだ!)

 

マスターに撤退を呼び掛け様とした時、ランスロットがモードレッドに切りかかった。

 

(まずっ・・・)

 

完全に避けきれない、殺られる。と彼女は直感する。

 

次の瞬間不可視のサーヴァントの剣は突然現れた男の槍によって止められていた。

 

「三対一とはあまりにも卑怯ではないか?」

 

怪物の気配をまとっている男性がいた。

 

ランスロットのいる足元から杭のの様な物が飛び出す。

 

ランスロットは後退する。

 

「赤のバーサーカー・・・」

 

「その通りだ。黒のサーヴァントよ」

 

「バーサーカー・・・」

 

「初めてまして、だな。赤のセイバーよ」

 

「ああ、わかってはいたけどあんたの気配って・・・」

 

「それ以上口にすることは許さんぞ。セイバー」

 

その言葉には努気を孕んでいた。

 

しかし彼は直ぐにそれを隠し黒のサーヴァント達に注目する。

 

バーサーカーは小声でモードレッドに話しかける。

 

(セイバーよ。ここは一度撤退しないか?)

 

(どうやって?)

 

(こちらにサーヴァントが三体もいた以上、マスターも三人いるはずだ。いかに我らのマスターが優秀でも数を上回られては撤退するしかあるまい。ゆえに今からいう地点に行け。そこの路地裏のマンホールは開けてある。)

 

(マンホールから逃げんのかよ!)

 

(仕方ないだろう。余が時間を稼ぐ。行け!)

 

(・・・。ああ!死ぬなよ!)

 

モードレッドは路地裏に魔力放出で飛び込む。

 

「待っ・・・」

 

ランスロットはモードレッドを追おうとするも、バーサーカーに阻まれた。

 

(何!私の位置が分かると言うのか!?)

 

バーサーカー―――ヴラド三世は今吸血鬼として召喚されていた。ゆえに人間やサーヴァントの位置も匂いで感知できていた。もちろんこの能力を使わなければならないことには不快感を持っているが、この戦場では不要な感情だと切り捨てた。

 

「さぁ、そちらのバーサーカーのお嬢さんの様に時間を稼がせて貰おうか」

 

ヴラド三世はランスロットに槍を突き立てる。

 

ランスロットはそれを剣で受け流し、避ける。

 

フランは左側からヴラド三世に攻撃を仕掛ける。

 

するとヴラド三世の姿が消えた。

 

直後、真後ろに出現したヴラド三世はフランに槍を突き立てる。

 

しかしそれをケイローンの矢が阻む。

 

頭部に飛んできた矢を避け、続けざまに放たれた矢を槍で打ち落とす。

 

ランスロットが路地裏に行こうとすると、

 

「失礼、お嬢さん」

 

ヴラド三世は突貫してきたフランの攻撃を弾き、ランスロットがいる方向へ蹴り飛ばした。

 

ランスロットは飛んできたフランを受け止める。

 

「ぐっ・・・大丈夫ですかレディ」

 

「ヴヴゥゥゥゥ」

 

するとケイローンから念話が入る。

 

(二人とも、敵のマスターが撤退しました。こちらも撤退しましょう)

 

(しかし・・・)

 

(これはマスターからの命令です)

 

(わかりました)

 

「ヴヴゥゥゥゥゥゥゥゥ」

 

フランは不愉快そうに唸るもマスターからのいう命令ということもあり素直に従った。

 

(撤退するか)

 

ヴラド三世は内心安堵していた。事情があるとはいえ左腕を喪失した状態で(・・・・・・・・・・)あの三騎の相手をし続けるのは自殺行為であった。

 

彼もマスターのいる合流地点まで向かった。

 

 

ランスロット出現直後 マスターside

 

ランスロットが出現したと同時にフィオレと獅子劫の戦場に三体のホムンクルスが参上した。

 

(最悪だ)

 

獅子劫は焦燥する。

 

先ほどフィオレをあと少しで仕留められそうなところで、カウレスの妨害を受けた。

 

ここまではカウレスから情報を渡されたので想定内だった。

 

しかしカウレスや獅子劫が想定していたより、ランスロットとゴルドが着くのが早かったのだ。

 

物陰に隠れたカウレスも内心焦っていた。

 

(いくら何でも早すぎるだろ)

 

彼等はあと三十分位遅く来ると想定していた。しかし実際はかなり早く到着し闘いに参戦してきた。しかもホムンクルスを送り込んで。

 

(ヤバい。いくらなんでもヤバすぎる)

 

ホムンクルスとフィオレの猛攻が始まろうとしたその時、フィオレとホムンクルス達の前に何かが投げ入れられた。

 

フィオレはそれを破壊しようとするも直ぐに強力な閃光を放った。

 

(閃光手榴弾(スタングルネード)?!)

 

獅子劫もカウレスも驚愕するもこれは撤退の好機だった。

 

『ホムンクルスを盾に物陰に待避しろ姉さん!』

 

カウレスは叫ぶ。

 

「退きますよ獅子劫さん」

 

「ああ、わかった!」

 

彼等は引いて行く。

 

そこには壊れた道路と車があった。

 

ようやく視界が戻った時には彼等の姿はなくなっていた

 

「くっ・・・」

 

仕留め損なった。あと少しで仕留める事ができたのに。

 

『姉さん、こっちも退こう』

 

「カウレス、なぜ待避しろと言ったのですか」

 

『流石にあの実力の魔術師二人を相手にするのは姉さんでも分が悪いと思った。バーサーカーのマスターは現代兵器を何の抵抗もなく使うやつだ。もしも今投げられてたのが普通の手榴弾だったら姉さんはともかくホムンクルスは怪我で動けないだろ。そうなったら、姉さんは実質一人で奴らを相手にしなくちゃいけない。獅子劫界離だけならともかくあのレベルの魔術師が二人だと、姉さんは殺されてたかもしれない。それはアーチャーを喪失するに等しい。だから撤退が良策だと思った』

 

「・・・」

 

カウレスの言い分には穴がある。しかしそれでも今生きているのはカウレスのおかげだ。悔しいが弟に助けられたのは事実だった。

 

彼等はサーヴァントと合流し、城に帰還した。

 

 

獅子劫界離side

 

そこは先ほど戦闘していた場所に程近い路地裏だった。

 

そこのマンホールが勢いよく吹き飛んだかと思うと、モードレッドが這い出てきた。

 

「下水道マジくせぇんだけど!」

 

「しゃあねえだろ下水道なんだし」

 

マンホールの蓋を閉じたあと獅子劫は隣にいた女性に話しかける。

 

「しかしさっきは助かった。ありがとな、メアリー」

 

「どういたしまして、獅子劫さん」

 

モードレッドはメアリーと呼ばれた二十代半ばの女性を見る。

 

「ああ。あんたが、ヴラド三世をバーサーカーで召喚することになった不幸なマスターか」

 

「はぐぅ!!」

 

メアリーは目に見えて落ち込む。

 

「その事は忘れてくだ・・・」

 

「いや、覚えていたほうがいいぞ。マスターよ」

 

彼女の隣にヴラド三世が現れる。

 

「バーサーカー!?」

 

「このバカマスターめ、忘れようとしても余は覚えておるぞ。貴様はサーヴァントに土下座して詫びを入れた事をな」

 

「やめてぇ!!」

 

「お前・・・そこまでしたのか・・・」

 

「だって怖かったんですもん!あ、そういえばその子があなたのサーヴァントですか?」

 

「ああ、そうだ(こいつ露骨に話題を変えやがった)」

 

「へえ、そうなんですか」

 

彼女はモードレッドの髪に触ろうとして。

 

「さわんな!」

 

と、言い放たれた。

 

(こ、怖い)

 

「おいおいそんなに威嚇すんなよ」

 

獅子劫は宥める。

 

するとヴラド三世は、

 

「そういえば、時計塔のロードからの依頼はどうなったのだ?」

 

と切り出した。

 

「敵の真名はおそらく(・・・・)ジャック・ザ・リッパーだ。クラスは多分(・・)アサシンだ。」

 

「そうか。ではどんな容姿でどんな宝具を使っていた?」

 

「えーと確か・・・。? あぁ?」

 

「どうした?」

 

「おいセイバー。あいつってどんなやつだった?」

 

「おいおい、マスターそんなの・・・。? あれ?なんだこりゃ?」

 

「どうしたんですか?」

 

メアリーが獅子劫達に問う。

 

「いや、アサシンに関しての事が頭の中から抜け落ちてるんだ(・・・・・・・・・・・・・)。」

 

「オレは直接戦ったはずなのに、宝具はおろか容姿も思い出せない(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「まさか自身に関する情報を抹消する宝具かスキルを持っているのか?」

 

「厄介ですね」

 

それから、数分話し合いカタコンペで落ち合うことになった。

 

「なんだ。一緒に来ないのか?」

 

「私達はまだ仕事が残ってるので」

 

「そうか」

 

別れ際にモードレッドはヴラド三世に質問した

 

「なぁ、おっさん。あんたなんで左腕がないんだ(・・・・・・・)

 

「こちらにも色々と事情があるのだよ」

 

「そうか」

 

モードレッドは深く問わなかった。

 

獅子劫達と別れたあとメアリーはヴラド三世に聞いた。

 

「首尾は?」

 

「上々だな」

 

「そうですか。良かったです」

 

「しかし我らの予測が当たるとはな」

 

「ええ、殺した魔術師の家を拠点代わりに使っている、と予測を建てたのは正解でした」

 

「そこからロード・エルメロイに連絡しこのシギショアラに存在する魔術師で拠点を持ち、連絡の取れない魔術師の拠点を蝙蝠に変えたあなたの左腕にはらせていたら・・・」

 

「そのうちのひとつに、サーヴァントを確認した」

 

「踏み込むなら今・・・ですか?」

 

「あぁ、そうだな。そちらの準備は?」

 

「ええ、大丈夫です」

 

メアリーは羊皮紙を用意する。

 

ヴラド三世は全身を無数の蝙蝠に変化させ飛び立った。

 

そしてメアリーはアサシンの拠点の近くまで歩いた

 

アサシンside

 

おかあさん(マスター)、まじゅつしさんがきたみたい」

 

「あら、そうなの?」

 

「こんどこそ、シギショアラさいごの食事だね」

 

「でも無理してはだめよ。もしかしたらマスターかもしれないから」

 

「はぁい」

 

アサシンが窓を開けた瞬間、大量の蝙蝠が部屋に入り込んだ

 

メアリーside

 

ヴラド三世の急襲開始と同時に彼女は魔力強化全開でアサシンの拠点まで一気に近づき、扉を蹴破り、中へ侵入し階段を駆け上がりアサシンとそのマスターがいる部屋の前まで到達し堂々と室内へ入り、マスターを押さえ込んだ。

 

おかあさん(マスター)!!」

 

「ジャック!」

 

「すまぬな、少女よ」

 

アサシンは完全にヴラド三世に押さえ込まれていた。

 

「残念ですけど、あなた達の行動は私達の管理下に入ってもらいます」

 

「? あなた達は赤の陣営ですよね。私達を殺さないんですか?」

 

「それは簡単です。赤の陣営は私とセイバーのマスター以外、どこかに囚われた上、傀儡にされている可能性が高いんですよ。で、私としてはもう一人味方が欲しいんです。敏捷性と秘匿性に優れた味方が」

 

「それを信用しろと?」

 

「はい、信用して下さい。それからこっちからも質問していいですか?あなた方黒の陣営とも敵対してますよね?黒側のアサシンなのに。それってなぜですか?」

 

「それは、ジャックが私を無償で助けてくれたからです。だったら私はあの娘のために、あの娘の願いをかなえるために戦争に参加するのは当然のことでしょう?でも黒の陣営に入ったら、マスターを変更されるのは目に見えてますから」

 

「つまりあなたはアサシンとの繋がりを切りたくなかったのですか?」

 

「ええ、だって私はあの娘の母ですから」

 

「母?」

 

「ええ、あの娘は私を『おかあさん』と呼びますから、だったらあの娘を『娘』と扱うのは当然のでしょう?」

 

「―――」

 

その精神性にメアリーは押し黙ってしまった。

 

命を助けられた。だからといって、こんな戦争に一般人が参加するものか?

 

たった数日程度の付き合いでここまでの関係を築いた?

 

いやなにより。

 

彼女は、このマスターは自身の精神の中心に自らのサーヴァントを置いている。そんなのものは主従と呼べるのか。

 

「あなたは命を落としても大丈夫何ですか?」

 

「それは嫌ですけど、戦争に参加した以上致し方ないかと(・・・・・・・)・・・」

 

(致し方ない?あり得ない。何ですかこの人。本当に一般人ですか?自身の(サーヴァント)のためなら命すら投げ出す事を厭わない?明らかに常軌を逸している)

 

嫌な汗が全身から吹き出る。

 

しかしメアリーは気を取り直して、彼女に告げる。

 

「わかりました。では話を戻しますがマスター権なら変更しなくていいですよ。魔力は私がパスを繋ぎます。それなら良いでしょう?」

 

「え?」

 

「だって私達は味方が同士になるんですから。それくらい当然でしょう?で念のための保険としてこの羊皮紙に名前を書いて下さい」

彼女は羊皮紙を取り出す。

 

自己強制証明(セルフギアススクロール)っていう魔術師同士が契約を結ぶ時に使うものなんですけど、あなたの場合魂に直接刻む形になります。端的にいえばこのスクロールに書いてることをあなたかアサシンが破るとあなたは死にます」

 

「サインしなければ?」

 

「アサシンには死んでもらいます」

 

「そうですか・・・あの娘の願いを叶えるためですから。ジャック。それで良いかしら?」

 

「おかあさんが良いなら良いよ」

 

「そう・・・ならサインします」

 

「英語なんですけど読めます?」

 

「ええ大丈夫です。ええと内容は・・・」

 

その羊皮紙にかかれていることは四つ。

 

一つ、黒のアサシン及びそのマスターはメアリー・ベールとバーサーカー、獅子劫界離とセイバーが危害を加えてはならない。

 

二つ、黒のアサシン及びそのマスターは聖杯大戦終了までメアリー・ベールとバーサーカー、獅子劫界離とセイバーの監視下にいること。

 

三つ、黒のアサシン及びそのマスターはメアリー・ベールとバーサーカー、獅子劫界離とセイバーに不利になるような事をしてはならない

 

四つ、メアリー・ベールは黒のアサシンが戦闘で死亡した場合、そのマスターを聖杯大戦終了まで保護すること。

 

「基本的にこの上三つを守って下さい」

 

「あの・・・最後の項目は・・・」

 

「ああ、同盟を組むならこっちも何かしらデメリットがあった方がいいと思いまして」

 

「・・・そうですか」

 

「あ、サインしてくれたんですね。えーと・・・何て読むんですか?」

 

六導玲霞(りくどうれいか)って読みます」

 

「ありがとうございます。六導玲霞さん」

 

「ええ、メアリー・ベールさん」

 

メアリーは玲霞から離れにこやかに笑う。

 

同時にヴラド三世もジャックを離す。

 

するとジャックは、

 

おかあさん(マスター)!」

 

と叫び、玲霞に駆け寄り抱きついた。

 

その姿はまさしく母娘(おやこ)そのものだった。

 

「マスターよ、アサシンは魔力消費が少ないとはいえサーヴァント二騎分の魔力供給、大丈夫なのか?」

 

「大丈夫です。私、魔力多いですから」

 

「そうか・・・」

 

「ではカタコンペに行きますか」

 

その後彼等はカタコンペに行った。

 

午後9時 カタコンペ

 

「という訳で同盟を組みました」

 

「いくらなんでも自分勝手がすぎるだろ」

 

「でも、戦力は増えましたよ?」

 

「そう言う問題ではなかろう。マスターよ」

 

カタコンペに着くなりメアリーは獅子劫に六導玲霞とジャック・ザ・リッパーと同盟を組んだ事を伝えた。

 

するとモードレッドはぼやく。

 

「オレは嫌だぞ。こんな殺人鬼風情と組むなんて!」

 

「わたしたちだっていやだよ?でも、おかあさん(マスター)がそうしろっていうなら従う。それがサーヴァントってものじゃないの?」

 

「そうじゃねぇよ!おいマスターオレは絶対反対だぞ」

 

「そうは言っても、ギアスで俺とお前には危害は加えられなくしてるしなぁ・・・」

 

「そうですよ。何度奇襲を仕掛けても戦闘から撤退すれば相手の記憶からアサシンに関する記憶が消えるなんて、マスター殺し特化のアサシンの中でも最強と言ってもいいです。そんなサーヴァントをほぼノーリスクで扱える様にした私の手腕を誉めても良いんですよ?」

 

「こっちに相談も無しにしたのは誉められたものじゃないけどな」

 

「だって言えば反対されるのは目に見えてますし」

 

「まあ、反対するわな。よく覚えていないがそいつに殺されかけた訳だし」

 

「まあこれで黒の陣営は六騎、赤の陣営は八騎になった訳ですから数の上では有利ですよ」

 

「しかしなぁ」

 

「セミラミスってなにか暗殺者らしいことしてます?情報収集とか暗殺とか、全然してない気がするんですけど?教会で神父と何してるかわからないし、だったらアサシンしてないおばさんよりアサシンしてる幼女の方を味方につけるのは当然だと思うんですけど」

 

「いや当然じゃないだろ」

 

「とにかく!黒のアサシン、ジャック・ザ・リッパーを仲間しました!」

 

メアリーは無理矢理納得させようとしている。

 

「よろしくお願いします。獅子劫さん」

 

玲霞は獅子劫に畳み掛ける。

 

「いやまだ納得してないけどな」

 

「え?違うんですか?」

 

玲霞は少し驚いた様子だった。

 

「いやだって、俺らつい数時間前に殺し合ってたんだぞ。それがいきなり『同盟を組みました』って言われて『はい』とか言うと思ってんのか?」

 

「そーだそーだ!」

 

獅子劫の意見にモードレッドも賛同する。

 

しかし、と獅子劫は続ける

 

「そのアサシン―――ジャックがマスター殺しのアサシンとして優秀なのはわかる」

 

「おい!」

 

「アサシンお前はどうしたい?」

 

「わたしたちはおかあさん(マスター)のサーヴァントだからおかあさんの意思にしたがうよ」

 

「そうか、じゃあ六導さんよ。あんたはなんで聖杯大戦に参加したんだ?」

 

「私は元々、相良豹馬がジャックを召喚するための生け贄でした。ジャックが喚ばれる時に殺されかけて、私は生まれて初めて『死にたくない』と願いました。ジャックは私の願いを叶えてくれたんです。だったら私は彼女の願いを叶えるために死力を尽くすのは当然でしょう?」

 

そこでモードレッドが、口を挟む。

 

「おいおい、冗談だろ?いくら命を助けてもらったからってあんたは魔力のない一般人だ。そんな奴がこんなビックリ人間ショーに参加すんのかよ?」

 

「ジャックの願いを叶える為ですから」

 

「じゃあ魔力は?魂喰らいをやることをあんたは肯定したのか?」

 

「ええ、まあ。確かに普通の人を殺すのは気が引けますけど、マフィアとか魔術師とかなら別に大丈夫かな(・・・・・・・)と思ったので。あとジャックが言うには善人より悪人の方が吸収しやすいらしいので、悪人を狙いました」

 

再び獅子劫が聞く

 

別に大丈夫(・・・・・)だと?聖杯戦争では神秘の秘匿をしなければならないのは知っているよな?」

 

「はい、だからマフィアや魔術師を狙ったんですけど」

 

「だから、だと」

 

「ええ、だってマフィアがあんな沢山死んでも誰の迷惑にならないし他の組織との抗争として片付けられると思って。あと魔術師は魔術協会とか監督役とか黒の陣営とかに所属してる人たちが、勝手に処理してくれるかなと思ったんです。まさか魔術師の死が新聞で報道される何て思わなかったので」

 

「なんで報道されないと思ったんだ?」

 

「それはあなたがさっき言っていたじゃないですか」

 

「何?」

 

神秘の秘匿(・・・・・)。どういう種類の魔術師がいるかは分かりませんけど、基本的に魔術師というのは根源にたどり着く為ならどんな犠牲も厭わない仕事中毒者(ワーカーホリック)のような人たちですよね?その気になれば自分の肉体すら改造して(・・・・・・・・・・・)根源にたどり着こうとする人いるかもしれないでしょう?その人が勝手に死んでその秘術が解剖医や一般人に暴かれるのを阻止するために魔術協会は魔術師たちを監督、管理してる筈だと思っていたので、魔術師の死は報道されないと思ったんです」

 

「そう・・・か・・・。なら最後の質問だ。アンタは死ぬ覚悟してここに来たのか」

 

ええ(・・)確かに死ぬのは嫌ですけど、あの娘の願いを叶える為ですから」

 

「・・・」

 

獅子劫とモードレッドは玲霞の異常な精神性に冷や汗をかいていた。

 

(何だこの女?いくらなんでも異常極まりないだろ。本当に一般人だったのか?洞察力と観察力が高すぎる。知性も極めて高い。いやそれよりも精神力が尋常じゃねぇ。こいつはジャックというサーヴァントを娘として扱っている。そしてジャックの為なら、命を差し出すことすら厭わないだろう。それは主従関係とは言えないだろ)

 

獅子劫は驚愕する。

 

(こいつはモルガンやあのカメムシババァ見たいな毒気はない。なのになんだこの寒気は。本当に人間か?確かにアサシンに対する慈愛は本物だろう。しかしこいつには自分がない。自分の命さえアサシンの為なら当然のように投げ出すことができる。こいつはあまりにも異常だ)

 

モードレッドは玲霞の精神性に若干恐れを覚える。

 

しかしそれに目を瞑れば六導玲霞という人間は非常に優秀であると獅子劫は理解した。

 

故に、

 

「とりあえず宜しく頼むわ、六導さん」

 

「ええ宜しくお願いします、獅子劫さん」

 

「おい!マスター!本気かよ!?」

 

「おお、マスターとしてはそれなりに優秀だしな」

 

「だけどなぁ!!」

 

「よろしく、セイバー」

 

ジャックはモードレッドにトテトテかけより抱きつこうとする。

 

「くんな!」

 

「むぅ。ひどい」

 

するとメアリーは、

 

「ジャックちゃんこっちに来て~」

 

腕を広げジャックを誘い、ジャックはメアリーの胸に抱き付く。

 

するとジャックは

 

「メアリー、硬い」

 

と、言った

 

「かたっ・・・!?」

 

「ぶっ!!」

 

その光景に思わず獅子劫とモードレッドは吹き出す。

 

クスリと玲霞も微笑む。

 

ジャックはよく分からないと言った表情を浮かべる。

 

メアリーは予想外の反応に驚いて、ヴラド三世は笑みを浮かべた。

 

こうして聖杯大戦四日目は過ぎて行った。

 

 

テムside

 

午後11時頃

 

彼はジギショアラの拠点に帰ってきた。

 

「戻ったんだね、テム」

 

クロはテムを出迎える。

 

「ああ戻ったぜ。いろいろ準備が必要だったんでな。キャスターは?」

 

「ああキャスターならジギショアラ郊外の別荘に移って貰ったよ。あれの最終調整中」

 

「そうか。で、お前の方はどうなってる?」

 

「うん。どれもすこぶる良好だよ」

 

「そうか。こっちは傭兵を五十人ほど雇った。あと運搬用のトラックと装甲車も用意した」

 

「準備が順調に整っていくね」

 

「ああ。戦闘が始まるとしたら明日の夜だな」

 

「そうかい。なら派手にいかないとね」

 

「そうだなぁ」

 

テムは凶悪な笑顔を浮かべる。

 

「ああそうだ。なんか中東から砂やら土やらがルーマニア入ってきてんだが、どうもそれ聖堂教会がらみの可能性があるんだよな」

 

「中東圏の英雄だよね。土とかが必要ってことは城を作るのかな?いやもしかしたら空中庭園かも」

 

「空中庭園?ガリバー旅行記のラピュータ見たいなものか」

 

「多分だけど」

 

「そうか、じゃあそっちから落とすか」

 

「簡単にいってくれるけど、多分神代の英雄だよ。そのサーヴァント」

 

「城を作るってことはキャスターだろ?だったら俺は負けねぇよ。空から攻める為の方法も考えてある。心配すんなよ。たかが神代の魔術師ごとき(・・・・・・・・・・・・)に遅れを取らないさ」

 

「そうかい」

 

彼らはもうじき動くだろう。英雄の誇りを、矜持を失墜させる為に。

 




という訳で第5話 終了です

投稿が遅れてすいません!

色々考えて、書いては消しを繰り返してました。決してFGOの夏イベにうつつをぬかしてい水着フランちゃん可愛いよぉぉぉぉぉぉ!ひゃっほぉぉぉぉぉぉ!!!新宿アサシンかっこいいよぉぉぉ!!

原作におけるジークポジのホムンクルスには別の名前を与えて生きてもらいました。せっかく2話あたりから裏切り者について言及してたので炉心はその人にやってもらいます。やったねアースくん!出番がふえるよ!

セレニケさんマジヒステリックウーマン。ろくな死に方しないよね。

ジャックちゃんを獲得したのは赤のセイバー・バーサーカー陣営でした。玲霞さんは今後もジャックちゃんのおかあさん兼陣営のブレーンとして活躍すると思います。多分。

玲霞さんのキャラこれであってますか?

とりあえずフランのステータスでも

フランケンシュタイン
筋力:C 耐久:B 敏捷:D 魔力:D 幸運:B 宝具:C
クラス別スキル
狂化:D
保有スキル
虚ろなる生者の嘆き:D+
ガルバリズム:B
オーバーロード:C
心眼:B
と言った感じです。心眼はケイローン先生が頑張ってくれました。


ではまた



『ゆらぎ荘の幽奈さん』の世界に玲霞さんとジャックとフランをぶちこんで幸せにしたい(玲霞のおっぱいにダイブしたい、甘えたい。フランちゃんのおっぱいを育てたい)
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