Fate/Apocrypha 灰の陣営   作:ピークA

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前回のあらすじ

大戦開始



七話 聖杯大戦 5日目その2 聖戦蹂躙

午後11時頃

 

モードレッドはホムンクルス、ゴーレムと戦っていた。

 

すると凄まじい魔力の放出を感知しその方角をみた。

 

その光には見覚えがあった。いやあの騎士があのように剣を使うは初めて見たかもしれない。しかしあの輝きは間違いなく知っていた。

 

(マスター敵のセイバーの真名がわかったかもしれない)

 

『誰だ?』

 

(ランスロット。あのフランス野郎が黒のセイバーなら姿を隠して戦っていたのも頷ける)

 

『と言うと?』

 

(あいつは滅茶苦茶合理的なんだよ!あんだけの技量と実力があんのに慢心も妥協とか一切せず最善手ばっか打ちやがる。そのくせしっかり功績あげてくるし!マジでムカつくわアイツ!!)

 

『そんなヤバイのかよ?』

 

(あぁヤバイよ。姿を隠して敵に近づいて円卓最高峰の技量で襲ったり最悪対人対軍宝具ぶちかまして来やがる)

 

『対人対軍宝具?』

 

(簡単に言うと対軍宝具級のエネルギーを切りつけた相手の傷口から炸裂させる悪辣極まりないクソッタレチート宝具だよ)

 

『そ、そうか』

 

(あ、一旦念話切っていいか?そろそろ黒のライダー・・・あのバカが降ってくるはずだからな)

 

『ああ、わかった』

 

念話を切った数秒後、空からライダーが落ちてきた。

 

 

ケイローンside

 

ケイローンは城の高台から戦場を見渡しホムンクルスに指示を出していた。

 

(トゥーレはホムンクルス五人を連れてバーサーカーの援護に、アース等魔術に特化したホムンクルスは負傷したホムンクルスの治癒を、戦線復帰が臨まれるホムンクルスはゴーレムと共に戦場で竜牙兵の殲滅を)

 

的確に指示を飛ばしながら竜牙兵を撃ち壊していく。

 

するとサーヴァントが城の中に侵入したのを感知した。

 

(何!?)

 

赤のバーサーカーが進行していた側の森から帰って来た一体のホムンクルスの身体が変化する(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

(キャスター!!ゴーレムを!!)

 

『了解した』

 

ケイローンはアヴィケブロンに念話を飛ばし、バーサーカーがいる地点の近くに移動し矢を放った。

 

(ふむ、反応が早いな)

 

ケイローンの矢を回避する。

 

するとヴラド三世の後方からゴーレムが現れ、彼に剣を降り下ろす。

 

彼はそれを槍で受け止めた。

 

するとゴーレムの剣から爆炎が発生し(・・・・・・・・・・・・・・)彼を焼き殺そうとした。

 

「ぐあぁぁ!?」

 

いかに彼でも至近距離からの爆炎は避けられず、直撃してしまう。

 

そしてその隙をアーチャーは見逃さず矢で攻撃する。

 

彼は全身を霧状に変化させ回避した。

 

(なんだ今のは?)

 

今日の起床後の会話のあとモードレッドからスパイの存在を知らされ、黒の陣営のサーヴァントの真名やあの通信も聞いていたが、ゴーレムの剣が火を噴くなど聞いてはいなかった。

 

しかし彼は努めて冷静だった。

 

(まさかクー・フーリンのルーン魔術か?それをゴーレムの剣に仕込んだのか?)

 

更に増えたゴーレムとケイローンの攻撃避けつつ考える。

 

(いやあのゴーレム達の大半は先ほど出現した物だ。ならば・・・)

 

彼は一体のゴーレムに接近し切り裂いた。すると傷口から蔓のようなものが溢れ彼を絡め取ろうとする。

 

「くっ・・・!」

 

彼はそれを回避し更に仮説を立てる。更にゴーレムも増えていた。

 

(ゴーレムは土を使う。先ほども地面から出現していた。もし地面にクー・フーリンのルーンが張られていて、それを使用可能の状態でゴーレムを作れるのだとすれば・・・)

 

杭を射出しゴーレムを破壊する。すると破壊されたゴーレムの破片が集まり、槍となって彼に飛来する。

 

それを回避するもケイローンの矢が彼の胴と肩に刺さる。

 

「ぐうぅ・・・!」

 

ダメージを受けながらも彼の思考は極めて冷静だった。

 

(成る程。ゴーレムマスターとアルスターの大英雄の複合魔術工房と言ったところか!)

 

極めて厄介な代物だ。さらにケイローンはトラップの位置に自身を誘導することができる程の男であると理解する。

 

そして再び攻勢に入ろうとした時、空中庭園の辺りから強力な魔力を感知した。

 

 

ケイローンは気付けなかったが、ヴラド三世の出現と同時に黒のアサシンことジャックが城内に侵入していた。

 

それと同時に別の一団も侵入していた。

 

午前0時

 

それはその場にいたほぼ全てのサーヴァントと魔術師が感知した。

 

空中庭園の数千メートル上空を飛行していた戦闘機が空中庭園に向け突貫し宝具のような魔力を放ったかと思うと空中に波紋が浮かび空中庭園になにかを射出した。

 

それはミサイルといったものでなく、()戦車(・・)軍用ヘリ(・・・・)コンテナ(・・・・)ジャンボジェット機(・・・・・・・・・)海輸用タンカー(・・・・・・・)等の本来落とす用途のものでないものだらけで、ほとんど魔力も帯びてなかった。

 

そのほとんどが庭園から出た魔力砲で破壊され、防御結界に激突し爆発した。

 

そんな破壊の間を縫うようにして一機の爆撃機が庭園に接近する。それは極めて濃密な魔力を孕んでいた。

 

セミラミスは破壊しようとするも本来爆撃機がしないようなありえない機動で躱され、その機体の機関銃の弾丸によって結界を破壊され結界を通過された。

 

そして庭園の中央の柱の上部に激突、爆発し、中央の柱の三分の一を蒸発させた(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

爆発が収まった後、最初の戦闘機が柱の内部に侵入した。

 

空中庭園 王の間

 

王の間の天井が破壊され、次々と兵士たちがなだれ込む。セミラミスは怒りのあまり無表情になっていた。

 

すると一人の男が降り立った。

 

男は茶髪で大柄だった。

 

その男こそ、この薄汚い蛮族共を総べる王であると認識した。

 

「いやー悪い悪い。自慢の庭園に穴あけちまって。でもこんな壊しがいのあるもんふわふわ浮かせてるあんた等の責任なんだぜ」

 

さも当然のように責任を押し付けてくる。

 

「なんだよ怒ってんのか?じゃあこの最高級ワインやるから怒りをおさめろよ、女王さまよぉ」

 

懐からワインの瓶を取り出すも、セミラミスの魔術で破壊される。

 

「おいおい、これ結構高かったんだぜ。どうしてくれんだよ」

 

「それで我の怒りが収まるとでも?」

 

「思うわけねぇだろ。煽りたかっただけだ」

 

「なるほど・・・ではその不遜と愚行、死をもって購うがいい!!」

 

彼女は第二宝具『驕慢王の美酒(シクラ・ウシュム)』を発動する。

 

空気や魔力そのものにすら毒を添加し、毒に関する逸話を持つものであれば幻想種ですら召喚可能な宝具。

 

それで彼女はヒュドラを召喚し、彼の軍隊を屠っていく。

 

彼も宝具を発動しようとするも、毒によって口から血を吐き膝から崩れおち、ヒュドラに食い殺された。

 

「ふん・・・あまりにあっけなかったな。名も知らぬ王よ」

 

彼女は終わったと認識し宝具の発動を解いた。

 

そしてふと、天井の穴を見た。

 

穴の淵に人影を見た。

 

■■■■■■■■(■■■■■■■■■■■■)

 

それが何かを呟いた後、魔力が周囲を侵し、王の間にいる彼女をも飲み込んだ。

 

次の瞬間、彼女は草原の上に立っていた(・・・・・・・・・・)

 

「ま、さか・・・固有・・・結界、か?」

 

「その通り」

 

横から声がした。

 

見ると5メートルほど先に、先の男が霞むほどの王としての覇気を持った男がいた。

 

「こいつはちと特殊でな。こうやって敵を閉じ込める事もできるが、現世の物を収納したりする蔵としても使えるんだ(・・・・・・・・・・・・・・・・・)。」

 

彼女は話をききながら宝具を使おうとするも、

 

「遅い」

 

一気に距離を詰められ、胸元を深く切り裂かれた。

 

「あ・・・」

 

男は仰向けに倒れたセミラミスから霊核たる心臓引きずりだし、食べた(・・・)

 

「なるほどなるほど、真名セミラミス(・・・・・・・)。宝具この空中庭園(ハンギング・ガーデンズ・オブ・バビロン)毒を操るやつ(シクラ・ウシュム)だけ・・・しかも庭園がないと毒の宝具は使用でいないとわねぇ。かなりピーキーなサーヴァントであることは理解した(・・・・)。しっかしマスターがルーラー・天草四郎時貞(・・・・・・・・・・・)ねえ。ま、60年の準備が水泡に帰して残念だったな。ごくろうさん」

 

固有結界を解除し崩壊していく庭園の中でセミラミスの霊核に存在している情報(・・・・・・・・・・・・・・・・・)を手に入れ、整理する

 

「しかし二重召喚(ダブルサモン)たぁね。おもしれぇスキル持ってんなぁ。貰うか、このスキル(・・・ ・・・・・)

 

その瞬間彼は、二重召喚というスキルを手に入れた(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「さて。派手に合図したんだ。動けよバカ共」

 

 

庭園が崩壊していく光景はそこにいる全てのサーヴァントが驚愕した。特にシロウはその光景が理解できなかった。

 

(まさか、セミラミスが負けたのか?あの庭園の中で?)

 

あり得ない、なぜ?

 

「おやおや。これは悲劇的ですなぁ」

 

シェイクスピアはどこか嬉しそうに言う。

 

フランはこれがチャンスとシロウを討ち取ろうとする。すると肩に矢が刺さった。

 

「何を呆けている神父」

 

そこにはアタランテがいた。

 

「アタランテ」

 

「私の元のマスターからのリンクが切れた。貴様もサーヴァントを失ったのだろう?ならお前と契約するぞ。承認しろ」

 

「そう・・・ですね。私にも悲願がある。こんなところで負けていられない」

 

「そうですな!それでこそマスター!」

 

「やかましいぞキャスター。それからシロウ、お前がサーヴァントと拮抗できる理由は後で説明しろ」

 

「分かりました」

 

「よし。さて・・・む?」

 

そこには先ほどのサーヴァントがいなかった。

 

「どうやら向こうは撤退したらしいな」

 

「そのようですね・・・。キャスター!」

 

「は・・・」

 

キャスターが返事をしようとして。キャスターの側頭部を何者が殴りつけた。

 

それは髑髏の面を被った黒衣の男だった。

 

「ふむどうやら当たりらしいな」

 

地に伏したシェイクスピアの頭部を踏み潰しながら黒衣の男は言う。

 

「ハサン・サッバーハ・・・」

 

「人目で我が真名を当てるか・・・俺以外全ての山の翁の攻略法が存在する辺り、暗殺者として優秀過ぎるのも考え物だな」

 

「俺以外・・・?」

 

「あぁ、少なくとも俺は攻略法が存在しない、唯一の山の翁だよ」

 

「バカな・・・山の翁は十九人、全て召喚され攻略法も網羅られている筈だ」

 

「全ての情報が正しいという訳ではないだろう。何せ十九人もいるんだ。一人ぐらい誤った情報から構築された役に立たない攻略法も存在す・・・」

 

そこまで言った瞬間、アタランテの矢がハサンと名乗る男の頭と胸を射った。

 

射られた衝撃で数メートル吹っ飛ぶ黒衣の男。

 

「随分口が回る暗殺者だな」

 

「アーチャー・・・」

 

「行くぞマスター」

 

シロウとアタランテがその場から離れようとした時、ハサンがいた方向から短剣が飛んできた。

 

「くっ・・・!!」

 

シロウはなんとか躱し、アタランテも躱した。

 

「まさか生きているとはな」

 

『これでも山の翁の名を継承していてな。狩人の癖に死体の確認を怠るとはな』

 

ハサンは暗闇に身を隠して嗤う。

 

すると今度は右側から短剣が飛んでくる

 

シロウはそれを弾きおとし、アタランテがその黒い方向に矢を放つ。

 

しかし直撃しない。躱わされる。

 

すると攻撃が唐突に止んだ。

 

「?」

 

『行くがいい。我々の頭領が呼んでいる』

 

「何?」

 

『我々の頭領がお前と逢いたがっていると言っているんだ。早く行け』

 

「我々?」

 

『もう気づいているのだろう?』

 

黒衣の男は一拍おき、

 

『俺と頭領以外にもあと4人いるぞ』

 

そう言って何処かに消えた。

 

「ちっ・・・」

 

アタランテは舌打ちした。

 

するとシロウが、

 

「アタランテ。赤のセイバーがいる戦場に行きましょう」

 

「何?」

 

「彼らの頭領と名乗る男はそこに出現するという啓示が来ました」

 

「わかった」

 

アタランテとシロウは赤のセイバーの所に向かった。

 

 

クー・フーリンside

 

赤のマスターが死亡しリンクが切れた瞬間、アキレウスの動きが一瞬鈍くなった。

 

クー・フーリンはその隙を見逃さず彼の心臓を手刀で穿った

 

「がっ・・・!!」

 

その一撃が決まった直後、結界が解除された。

 

「これで仕舞いだ」

 

「いいや・・・まださ」

 

霊核が砕かれているはずなのに、彼は立ち上がり言った。

 

「へぇ、まだ動くか」

 

「当然・・・と言いてぇ所だが生憎宝具一回使えるか使えないか位だな」

 

「そうか」

 

「だからあんたの最強の宝具と俺の最硬の宝具、どっちが勝つか試して見たい」

 

「ほう、おもしれぇな。その話、乗ったよ」

 

クー・フーリンは距離を取り槍を構える。

 

対するアキレウスも盾を用意する。

 

双方に緊張が走りそれが最高潮まで高まった時、

 

突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)!!」

 

蒼天囲みし小世界(アキレウス・コスモス)!!」

 

彼らは同時に宝具を解き放つ。

 

アキレウスは最硬の盾を、クー・フーリンは最強の槍を。

 

双方の宝具は直撃した。

 

「おおおおおおおおおお!!!!」

 

アキレウスは叫ぶ。

 

元々突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)は対軍宝具だ。解き放つと槍の穂先がいくつも枝分かれし大軍を殲滅する。しかし先ほどアキレウスに放った槍は枝分かれしていなかった。彼はルーン魔術で射程範囲を殺し、威力を増大した。その結果彼の宝具は本来ランクB+であるにも関わらず、ランクA+相当の宝具と化していた。

 

しかしそれでもアキレウスを殺しきれていない。盾に阻まれていた。

 

そしてその盾が槍を完全に防ぎ切った。

 

「はっ、すげえなその盾。この槍を解放したからには確実に殺し切らないといけねぇってのによ」

 

クー・フーリンは思わず笑う。

 

アキレウスも笑って。

 

「どうだよ。トロイア戦争を、神々が関わった最大の戦争を駆け抜けた英雄の力は」

 

と言う。

 

しかしそこまでだった。

 

アキレウスは膝から崩れ落ちる。

 

「ははっ。俺もここまでか」

 

「そうらしいな」

 

「お前見たいな戦士ともっと楽しく戦いたかったのによ」

 

「そうだな」

 

「ありがとう。クー・フーリン。アイルランドの光の皇子よ。お前との戦いは最高だった」

 

「去らばだ、アキレウス。誉れ高いギリシアの戦士よ」

 

そうしてアキレウスは消滅した。

 

その直後、クー・フーリンに向けて棒が襲いかかってきた。

 

彼はそれを手元に戻ってきた槍で防ぐ。

 

「人が気持ちよく戦った後なんだ。空気読めよ」

 

彼の声に怒気が籠る。

 

襲撃者は猿顔に金の鎧を着た男だった。

 

「いやぁ、あんまりにも気持ち良さそうな戦いだったしよ。横やり入れんのは早死に野郎が死んだ後でもいいかなって」

 

「早死に野郎だと?」

 

「だってそうだろ?こいつの生前にしろ今回にしろ、結局早死にしてんだろ?」

 

「てめぇ・・・!」

 

「あ?何?もしかして友情でも感じてた?」

 

「違うな。アイツは俺が認めた戦士だ、それを侮辱するな」

 

「わりーな。生前からそういうのには縁がなくてね」

 

「だろうな、お前からは獣に近い臭いがする」

 

「当然だろ?俺様はそういう存在だからな」

 

「そうか。で?てめえはどこの陣営のサーヴァントだ?」

 

「呪肉したサーヴァントなのにそんなに驚かねえんだな」

 

「いや、驚いてるさ。けどそれ以上にてめぇにむかつくだけだ」

 

「そうかよ」

 

クー・フーリンは正体不明のサーヴァントに突貫する。

 

対するサーヴァントも長棒を構え戦う。

 

 

ランスロットside

 

彼は森の中を城に向かって駆けていた。

 

マスターから敵のバーサーカーが城内に侵入したと聞き全速力で戻ろうとしていた。

 

その途中ある人物と出くわした。

 

それは日本人だった。

 

男とも女とも取れる顔立ちの170cm前後の男。

 

「やあセイバー」

 

「貴公は・・・?」

 

「あぁ僕はさっきあの庭園の主を殺したやつの仲間で・・・」

 

彼は一旦言葉を切り、

 

「君達の敵だ」

 

思い切りかかった。

 

彼の剣を受け止め弾き飛ばす。

 

「ははっ」

 

彼は弾き飛ばされるも軽やかに着地し、再び彼に切りかかる

 

「くっ・・・!!」

 

(早く戻らねばならないというのに・・・)

 

「どうしたの?戦いを楽しみなよ?」

 

「生憎と、そのような時間はない・・・!!」

 

ランスロットは彼を圧倒しマスターの所にいこうとする。

 

 

ダーニックside午前0時30分

 

「なんだこの状況は・・・!?」

 

ダーニックは今この聖杯大戦で怒っているイレギュラーに頭を抱えていた。

 

赤の陣営が領土ごと攻めてくるのはいい。その庭園が落とされるのもまだいい。だが突然サーヴァントの反応が6騎分増え、両陣営に対して敵対するなど理解できなかった。

 

すると唐突に扉が開いた。

 

「やぁ、久しぶりだね。ダーニック」

 

「貴様は・・・確かテム・ウォンの部下の・・・」

 

「覚えていてくれてありがとう。そう、僕はテム・ウォンの秘書のクロというんだ。早速で悪いんだけど死んでくれないかな?」

 

彼はダーニックの部屋に結界を張る。

 

「これは・・・ッ!」

 

「この部屋と外を遮断する結界だ。君は君のサーヴァントは魔力のパスはできても、念話や令呪の命令はカットされる。昔研究に没頭するために作ったやつなんだけど、こんなことに使う羽目になるとはね。しかも魔術礼装まで使うとは、我ながら泣けてくるよ」

 

彼は喋った後、黒色の箱を懐にしまい、掌をダーニックに向け光弾を放つ。

 

ダーニックはそれを弾いた。

 

「この程度の二流魔術で私を討ち取れるとでも」

 

ダーニックの物言いに対しクロは微笑み、

 

「ごめんね、僕は魔術回路と魔力しか取り柄のない、技術は二流の魔術師だから」

 

「宝の持ち腐れだな」

 

「否定しないよ、けど・・・」

 

クロは再び光弾を作る。

 

ただし、一度に50個も。

 

「なっ・・・!?」

 

「言っただろう。僕は魔術回路と魔力しか取り柄がないって」

 

それを一気にダーニックに向けて放つ。

 

ダーニックは防御魔術を全開し、堪え忍んだ。

 

「へぇ・・・耐えるんだ」

 

「我が六十年の執念をなめるなッ・・・!」

 

ダーニックの周囲に魔方陣が浮かび光線が放たれる。

 

(不味いな。今ので仕留めるつもりだったのに)

 

クロは自身の手を動かし目の前に壁があるかのような動作をする。

 

すると見えない壁が出現し、ダーニックの攻撃を弾いた。

 

「何?」

 

「驚くことはない。そういう魔術を使っているだけさ」

 

彼は左手で何かを握る動作をしてさらに右手で左手で持っていたものを引き抜く動作をしながらダーニックに向かって走り出した。

 

まるで見えない剣を握っているかのように。

 

ダーニックまで2メートルといった所まで近づいた瞬間、足元から炎が襲いかかってきた。

 

「くっ!」

 

真横に飛び炎を回避する。

 

「今の、ルーンが見えた気がするんだけど。ルーン魔術師でも雇ったの?」

 

「さぁどうだかなぁ」

 

ダーニックはせせら笑う。

 

「ふーん」

 

クロは時計を見る。時刻は午前1時を回っていた。

 

(終わらせるか)

 

彼は黒色の箱を取り出す。

 

黒色の箱から莫大な魔力が溢れ、全てクロに流れていく。

 

「なんだと!?」

 

クロは何か呟きながら右手を振るった。

 

すると風の斬撃がダーニックを切り裂いた。

 

 

午前0時45分

 

ダーニックが切り裂かれる十五分ほど前。

 

モードレッドはアストルフォを軽くあしらっていた。

 

あしらいながら、モードレッドは現在の戦局を考えていた。

 

(赤の損害はアサシン、ランサー、おそらくライダーも殺られてるな。対する黒の損害は今の所なし。けど黒には魔術協会寄りのサーヴァントが2騎、赤にも2騎。現状は黒5騎、赤3騎、魔術協会4騎って所か)

 

しかし、

 

(問題なのは増えたサーヴァントだ)

 

モードレッドが感知したのは3騎。

 

庭園を墜とした者、城塞付近の森と黒のランサーと赤のライダーが戦っていた場所に現れた者達。

 

(さて、どうしたもんか)

 

「そらっ!」

 

アストルフォが槍で攻撃するも、あしらわれてしまう。

 

(コイツもそろそろ脱落させる(おとす)か)

 

モードレッドがアストルフォ殺そうとした時、アストルフォの真後ろに何者かの気配を感じた。

 

アストルフォが気配に気付き振り向いた直後、何者かの左腕が彼の胸を貫き心臓を引きずり出した。

 

「ごぼっ・・・!?」

 

彼は膝から崩れ落ちた。そして自らの心臓(かく)が何者かの口に入っていくのを見た

 

「なっ・・・!?」

 

何者かは口に含んだ心臓を咀嚼し飲み込んだ。

 

そして、

 

真名はアストルフォ(・・・・・・・・・)。宝具は・・・広範囲を吹き飛ばす魔笛(ラ・ブラック・ルナ)空間跳躍が出来る幻馬(ヒポグリフ)足を潰す槍(トラップ・オブ・アルガリア)魔術を破壊する魔本(キャッサー・デ・ロジェスティラ)か。スキルは・・・なんだよあんまパッとしねえな。ステータスも微妙だし、宝具頼りの正統派ライダーってヤツか。赤のライダーとは大違いだな。コイツのマスターは勝つ気あったのか?」

 

「テメェ、何者だ!」

 

「ん?しいて言うならハグレサーヴァントって奴かな。クラスはライダー」

 

「ハグレサーヴァントだと・・・?」

 

「そうそう。つ-かお前、なんか態度でかくねぇか?一応俺も一国の基礎を作った王様なんだが・・・まぁお前みたいなチンピラ騎士には王の風格なんて分かるわけねえか」

 

「王?ハッ!オレにはお前が田舎者のヤンキーにみえるが?少なくとも父上の方がマシだ」

 

モードレッドが煽る

 

「ハハッ!俺からすりゃお前みたいなのを部下にしようとした親父さんの采配を疑うぜ。頭に蛆でも沸いてたんじゃねぇのか?」

 

「あぁ?」

 

「だってそうだろ?お前のようなチンピラを部下にするとか、確実になにかやらかすに決まってる!大方やらかし過ぎて親父さんに見限られたんだろうなぁ!可哀想に!」

 

「・・・・・・」

 

「なんだよ図星かぁ?チンピラ騎士クンよぉ!大方お前の親父さんの国も下らないカスみたいな理由で滅びたんだろう!部下の叛逆とか国民の反乱とか・・・」

 

それ以上言葉は続かなかった。

 

モードレッドが魔力放出で接近し切りかかったからだ。

 

彼はその攻撃を己が剣で受け止めた。

 

「人の話の最中に切りかかるとかやっぱチンピラだなぁ。それとも逆鱗に触れたかぁ?」

 

「黙れ・・・!!貴様ごときがあの王の、父上の治世を・・・侮辱するな!!」

 

モードレッドはライダーを切り殺さんとする。

 

しかし彼は口元を歪め彼女の剣を躱し、受け流していた。

 

「最優と名高きセイバーがこの程度か」

 

彼は挑発する。

 

モードレッドは更に頭に血を上らせる。

 

すると真上からライダーに向けて黒鍵が襲いかかってきた。

 

彼はそれを躱し距離を取る。

 

「誰だ!」

 

モードレッドが叫ぶ。

 

「すみません、セイバー。あなたの戦いの邪魔をしてしまって」

 

「シロウ・コトミネ・・・!」

 

モードレッドはシロウに切りかからんとする。

 

「お待ち下さい!」

 

更にもう一人彼らの間に聖女のような雰囲気の少女が割って入ってくる。

 

シロウは若干嫌そうに、

 

「ジャンヌ・ダルク・・・!!」

 

と言い、ジャンヌも驚きを隠せず

 

「貴方は・・・天草四郎時貞!?」

 

と言った。

 

「なぜ貴女が此処に」

 

シロウが問う。

 

「此処に行けと啓示がありました」

 

ジャンヌが答える。

 

「貴女にもですか・・・」

 

「この際なぜあなたが受肉しているのかは問いません。それより、あのサーヴァントは・・・」

 

シロウ、ジャンヌが共にライダーを見る。

 

そして驚愕の表情をする。

 

冷静さを取り戻したモードレッドが問うた。

 

「あいつの真名はなんだ」

 

するとライダーが笑いながら言った。

 

「俺の名前を教えてやれよ。もうわかってんだろ?ルーラー二人は」

 

ジャンヌそしてシロウは同時に言った

 

「「何が目的ですか?蹂躙王 チンギス・ハン(・・・ ・・・・・・・)」」

 

「そうだなぁ。強いて目的を言うとするなら、この聖杯大戦を、英雄の誉れある戦いを蹂躙しに来た」

 

蹂躙者は嗤う。

 

聖人と聖女、そして叛逆の騎士は人類史上最悪の蹂躙者と相対した。

 




という訳でここで7話終了です。

色々考えて、書いては消し書いては消しFGOプレイしたりして遅くなりました

テム・ウォンの正体はチンギス・ハンでした!

多分予測できた人は多いと思います。

テム・ウォンのテムは彼の王となる前のテムジンから取ってますし、わりと非情で冷酷なので。

爆撃機やクロの使っていた黒い箱、クロの正体については次回以降語って行けたらいいなと思います。

ではライダー チンギス・ハンのステータスを

筋力:B 耐久B+ 敏捷C 魔力C 幸運B+ 宝具A

保有スキル
軍略:B+
カリスマ:A-
侵略者:A
皇帝特権:C

クラススキル
騎乗:B

スキルの侵略者はオリジナリスキルです。

全体的にそんなに強い感じにはなりませんね。

まあ生前から彼自ら戦いに出向くことはなかったはずですから、僕が調べた感じでは

次回 混乱する戦争
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