俺のバーサーカーが最強すぎた   作:d-ank

2 / 2
disk2の読み込みが終了しました。

ゲームを再開しますか?

はい ←

いいえ


disc2

カチ、カチ、カチ、と年代物の柱時計が振り子の音を鳴らす。

 

ここは遠坂邸。

 

全てが終わった後、第4次聖杯戦争の報告を纏めるために間桐雁夜への聞き取りを遠坂時臣は行っていた。

 

カチ、カチ、カチ

 

ーああ、そうだ。バーサーカーは平行世界の英霊だった。断片的に見た記憶では、あいつはそもそも地球の生まれでもなかったよー

 

カチ、カチ、カチ

 

ーフォーリナー?そんなクラスまであるのか?いや、ステータスは間違いなくバーサーカーと書いてあったー

 

カチ、カチ、カチ

 

ーっと、話が逸れたな。そうだな、まずは倉庫街のことから話すか。あの時、屋敷にいろと言われたがどうしてもほっとけなくて、追いかけたらあの場に行きついたんだけどー

 

 

 

 

 

 

「聞くが良い聖杯に招かれた英霊よ! この期に置いても穴熊を決め込む輩はこの征服王の侮蔑を免れないものと知れいっ!」

 

ライダー、征服王イスカンダルが今なお闇の中で息をひそめるサーヴァントに対し、挑発をかける。

 

それに呼応して現れたサーヴァントは、二人。

 

「我を差し置いて王と称する不埒者が一夜にして二人も湧くとはな」

 

アーチャーのサーヴァント、英雄王ギルガメッシュ。そして

 

「来てやったぞ」

 

バーサーカーのサーヴァント、闇の覇者グラーフ。

 

最初にギルガメッシュに勧誘をかけるもあまりに傲岸不遜な態度に怒るどころか、困惑顔になるイスカンダル。

 

そのプライドの高さに流石に諦めたのか、続いてグラーフに声をかける。

 

「のう、お主は何のサーヴァントだ?黒づくめ」

 

「バーサーカー、というらしいな」

 

この場に集った者全てが驚愕する。この仮面のサーヴァントがバーサーカー?確かに身に纏う張り詰めた気は狂戦士と呼ぶに相応しいが、そもそもバーサーカーに会話する理性など無い筈。

 

「ライダー、つまらぬ事を抜かすな。この戦は全員を狩り尽くさねば終わらん。話し合いなど無意味よ」

 

「そこの悪趣味な鎧の若造は命をかける覚悟ができているようには見えんがな」

 

「誰のことを言っている」

 

「せめて、散り際にて我を興じさせよ」

 

とギルガメッシュの背後の空間に波紋が生じ、数々の聖剣や魔槍がグラーフに放たれる。

 

「ふん、身の程を知れ、道化が……何⁉︎」

 

宝具の命中とともに生じた煙が晴れると、

蜂の巣になって死んだと思われたグラーフが無傷のまま、同じ場所に立っている。

 

「ど、どういうことだよライダー、あいつ、防御用の宝具でも使ったのか?」

 

「いんや、違うぞ坊主。彼奴はな、己の拳足と体捌きのみで、あれらをいなし、躱したのよ」

 

「全力で来ることだな、若造。まさか今のが本気ではあるまい?」

 

「ふん、兎ごときを狩るのに全力を尽くす馬鹿な獅子などおるまい?」

 

グラーフの“忠告”に不遜な態度で返すギルガメッシュ。

 

 

「ここを幼子の遊戯場とでも勘違いしているようだな。玩具を投げつけるだけで我を殺せると思っているとは勘違いも甚だしい」

 

「身の程を知れ、道化が」

 

と、グラーフが先程の発言をギルガメッシュに返す。

 

 

「貴様……我にそんな口をきくとは、死にたいようだな」

 

そう告げた直後、先ほどの数倍の宝具が放たれる。

 

だが、今度はそれら全てをグラーフの拳が圧し折り、砕く。

 

「よかろう、ここまで言ってなお、手を抜くというのなら」

 

「ここでその命、散らすがいい」

 

グラーフから本気の殺気が放たれる。

 

それは、数々の戦場、死地を駆け抜けてきた英霊たちをして、死の予感を覚えさせるのには十分な濃密さを孕んでいた。

 

 

 

ギルガメッシュはようやく気づく。目の前にいるのは有象無象の雑兵などでは無い。

 

己を脅かす、敵なのだと。

 

次の瞬間、己の切り札である“乖離剣”を出現させ、世界すら断つその力を目の前の男に放とうとしたが、

 

「一手、遅かったな」

 

武技虎砲!

 

渾身の力を込めた双掌打が。

 

崩天!

 

残像を生む速さの肘鉄が。

 

千烈!

 

嵐のような乱舞が。

 

破岩!

 

まるで空を駆けるような連蹴りが。

 

天舞!

 

天から地に向けて降ろされる踵が。

 

龍迅!

 

怒り狂う龍を思わせる荒々しい乱打が。

 

英雄王の黄金の鎧を砕いていく。

 

「が……はぁ!」

 

「兎を狩るのに全力を尽くす馬鹿はおらん、か。だが」

 

武技雷迅!!!

 

そして、天魔をも屠る業拳が英雄王の霊核へと突き刺さる。

 

極限まで貯めた気でブーストした身体による必殺の超高速連撃 「連殺」 が、完璧なタイミングで決まった。

 

「ならば、兎と獅子の区別も付かん貴様は何だ?」

 

呪詛を吐く余裕もなく、英雄王は霊子となり、座へと還っていく。

 

「次は、誰だ?」

 

その瞬間、この場にいた誰もが確信した。

 

古今東西の英霊達が揃っている今、この機を逃せばこの男に勝つ可能性は永遠にないと。

 

イスカンダルが宝具「王の軍勢」で己の軍と開けた戦場を出現させ、一気呵成に畳み掛ける。アサシン、百貌のハサンたちも、その軍勢に混じり、死角からグラーフを仕留めようと静かに、しかし風の如く切り込む。

 

 

だが、

 

「ぬるいわ」

 

◻︎(バン!)◻︎(バン!)◻︎(バン!)

◻︎(バン!)○(バン!)

 

-超武技風勁-

 

「ぬうぅぅぅんッッッッ!」

 

気合いの声と共に飛び上がり、打ち出した大量の気弾が絨毯爆撃のように軍勢と暗殺者たちに降り注ぐ。

 

これは戦争ではなかった。まさしく蹂躙だった。

 

ディルムッド・オディナの二本の魔槍は

 

△(バン!)□(バン!)□(バン!)○(バン!)

 

-超武技水勁-

 

絶対零度の拳により、使い手ごと砕かれ。

 

 

□(バン!)□(バン!)△(バン!)○(バン!)

 

-超武技地勁-

 

「噴ッッッッッ!!」

 

気弾の絨毯爆撃より逃れたアサシンや王の軍勢の兵たちは、気を込めた震脚により噴出させた槍衾の如き巨岩の群れに貫かれる。

 

「A lalalalalaie!!!」

 

征服王が神威の車輪にて轢き潰そうと試みるも、

 

□(バン!)△(バン!)□(バン!)○(バン!)

 

-超武技火勁-

 

弾丸の如く、螺旋を描いた回転蹴りにて戦車ごと体を貫かれる。

 

 

 

「約束された………」

 

「勝利の剣!!!」

 

騎士王の聖剣から放たれた光熱波は

 

-雷神波-

 

極大の気功波で相殺され

 

△(バン!)△(バン!)○(バン!)

 

-超武技光勁-

 

光速の蹴撃により葬られる。

 

 

 

 

 

敵である6騎のうち、5騎が1時間足らずで脱落してしまった。

 

強いとは思ったが、ここまでとは夢にも思っていなかった。

 

正史の雁夜ならば、冷静さを失った頭で只々有頂天になっていたであろうが、この蹂躙劇を目撃した雁夜はバーサーカーの異常な強さに戦慄を覚えた。

 

「グラーフ………お前、いったい生前何をやらかした英雄なんだよ……」

 

そう呟くが、答えるものはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチ、カチ、カチ

 

ーまあ、実はあの時、一番手強いアーチャーが隙だらけだったから最初に討ち取っただけで、初めから本気で、冷静に対処されてたらやばかったらしいー

 

カチ、カチ、カチ

 

ー本人が言うには、全員が様子見のつもりの状況で、一人だけ全力で殺しにかかったわけだからあの結果は当たり前ってさー

 

カチ、カチ、カチ

 

ーむしろあんな不意打ちじみた真似をしなければならない程の強者ばかりであった。って感嘆してたー

 

カチ、カチ、カチ

 

ー未遠川のことか?ああ、あの時は俺もビビったよー

 

 

 

 

「おのれ!オノレ!オのレ‼︎穢らわしい神の下僕め!死神め!またもや私からジャンヌを奪うとは!」

 

最後に残った1騎、キャスターのサーヴァント、ジル=ド=レェが召喚した巨大海魔が襲いくる。

 

古の人々は蛸の容姿から邪神を思い浮かべたとのことだが、この海魔を見る限り的外れではないと雁夜は実感した。

 

あまりにも冒涜的、吐き気を催す程の生理的嫌悪感、うまくは言えないがこれが「いいもの」だとはとても思えなかった。

 

そんな海魔に臆することなく、グラーフは空中に飛び上がる。

 

-超指弾-

 

“弾”

 

“剛”

 

“覇”

 

“金”

 

“滅”

 

“王”

 

“殺”

 

力ある言霊が込められた大型気弾の連発を喰らってもすぐさま復元してしまう巨大海魔に対し、グラーフが雁夜に告げる。

 

「貴様の令呪で我が宝具を解放せよ」

 

 

「令呪をもって願う!グラーフ!お前の宝具を解放しろ!」

 

雁夜がそう叫んだ瞬間。グラーフの上空に大穴が開き、彼の姿がその中へと搔き消える。

 

-ギア召喚-

 

そして、深淵から、“それ”は現れた。

 

それは、造まれながらにして、神殺しの罪を背負うことを宿命づけられた存在。

 

現代(いま)ではない何時か。此処ではない何処か、遥か宇宙の彼方で創造られた人型機動兵器ギア。その頂点に立つギア・バーラーの中でも、最古にして、最凶の魔神(マシン)

 

それが、宝具「原罪の機神(ヴェルトール)」

 

「うそだろ………?SFじゃないんだぞ?」

 

正直、倉庫街で見せたあの技の数々が宝具だと思い込んでいた雁夜にとって、グラーフが宝具も使わずにあれだけの戦果を挙げたという事実と、およそ聖杯戦争のイメージから程遠い「巨大ロボ」なんて代物が出てくるとは予想の範疇を超えていた。

 

腕組みをしたまま宙に浮かぶヴェルトールに向け、海魔が触腕を伸ばす。

 

が、それらは無造作に駆り出された蹴りで粉砕されていく。

 

「もうよい」

 

と巨大海魔の相手に飽きたのだろう。腕組みを解き、この茶番劇を終わらせようと悪魔のような翼を広げ、全力の姿勢をとった。

 

ヴェルトールの両掌に、闇よりもなお深く、夜よりもなお昏い、破滅の力が込められたドス黒い光が纏われていく。

 

その瞬間、知性のない巨大海魔が恐怖し、たじろいだ。もう、逃げられないと、自分は決して手を出してはならないものに触れてしまったと、そう悟ったかのように雁夜には見えた。

 

「滅べ」

 

処刑人のように、グラーフは告げ、海魔の滅殺を執行する。

 

-機神黒掌-

 

連続の貫手で海魔を穿ち、抉り抜いた後、破滅の光を凝縮した両掌を叩き込み、目障りな汚物をキャスター諸共この世から消し去った。

 

これで、この次元から巨大海魔の存在も、ジル=ド=レェの存在も、英霊の座にいる本体ごと消えて無くなるだろう。それがグラーフの最終奥義、神をも滅殺する業。

 

対因果宝具「機神黒掌」である。

 

カチ、カチ、カチ

 

ー悪かったって、俺だってあんな真ゲッターみたいなのが出るとは思わなかったからー

 

カチ、カチ、カチ

 

ーでも、そのおかげで、濃霧に投影した自主制作映画って事で誤魔化せたんだろ?結果オーライって事でー

 

カチ、カチ、カチ

 

ーで、最後に市民会館で聖杯を手に入れに行ったらなんか呪われてて、グラーフが俺にやったように「神の息吹」を聖杯に食らわせたら、浄化されて聖杯戦争の犠牲者全員が蘇って、まあ、万々歳で終わったんだよなー

 

ーん、まあやりすぎたっていうかー

 

ー俺のバーサーカーが最強すぎた、って感じだよなー




今年の2月11日がゼノギアス発売22周年だったとのことで、ギリギリ間に合うように投稿しましたが、少々駆け足になってしまったので後日、聖杯降臨あたりの話を追加したdisk2完全版とエピローグであるDLCを投稿します。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。