戦姫絶唱シンフォギア~黒紅の騎士~   作:みんふみ

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シンフォギアのアプリをやっているのですが、なかなか星5の響が出てくれません……
後、調も出てくれない……調ちゃん好きだから出て欲しいのに……


第六話 異常

「一か月経っても、あの二人は噛み合わんか……」

 

 風鳴弦十郎司令が、立花と翼先輩の戦いの様子を映し出しているモニターを見て、そう呟いた。

 立花が二課で、シンフォギア装者として戦うことを決めたあの日。

 奪われたはずのネフシュタンの鎧をまとった女装者が現れたあの日。

 早いもので、あれから1か月が経った。

 

 どうやら、翼先輩と立花はあの日に一騒動あったらしく、それ以来、ほとんど口をきかない状況になってしまっている。

 本来ならば、戦いは素人の立花をサポートしていく立場にある翼先輩だが、戦闘時には一人で行動することが多くなった。

 だが、立花の心はそう簡単にはめげなかった。

 いくら翼先輩から突き放された態度を取られようと、ノイズが現れるたびにギアをまとい、一生懸命に戦っている。

 

 そして、俺はというと。

 あの日以降、司令からは過度の戦闘禁止を厳命された。

 この一か月で、たった2回しかギアを使っていない。

 今まで週に1度のペースだったのが、それ以下になっている。

 ……まぁ、あの時の俺の様子をモニターしていた大人たちからすれば、当然の判断かもしれない。

 俺自身も、ギアのことについて色々と考えることが多くなった。

 

 しかし、最近はそうも言っていられない状況が続いている。

 ノイズの出現頻度が異常なほど多くなっているのだ。

 翼先輩と立花で対処できないような数ではないものの、連日の戦いに二人の疲労がかなり蓄積されているのは目に見えて明らかだった。

 特に、翼先輩は懸命に防人としての使命を果たそうとしているが、時おり見せる表情は疲労の色がかなり濃いことを表していた。

 翼先輩はシンフォギア装者としてだけでなく、アーティスト風鳴翼としての活動も、疲労に拍車をかけているのだろう。

 このままでは、どちらかが、あるいは双方とも疲労困憊で行動不能になることは、司令を含めた指揮所の誰もが認めるところだった。

 

 

 

 

 ―――

 

 

 

 

「すみません、遅くなりましたッ」

 

 ある日。

 二課では定例ミーティングが開かれようとしていた。

 俺と翼先輩は定刻に間に合うように、あらかじめ二課の近くで時間を潰していた。

 が、どうやら立花は違ったようだ。

 息が切れているところからすると、家に帰っていたか、どこかに出かけていたか。

 ま、定例っていうのは慣れてきて初めて定例になるわけであって、まだ1か月の立花にとっては慣れないイベントであることは間違いない。

 

「来たわね? それじゃ、全員そろったところで仲良しミーティングを始めましょ?」

 

 櫻井女史の言葉に、立花はチラリと翼先輩の方へ視線をむけた。

 一方の翼先輩は、そんな立花の微妙な視線に気づかず、自販機で買ってきたであろう紙コップに入った飲み物を口に含んでいた。

 ……仲良しミーティング、ねぇ?

 大丈夫かこれ。

 

「……さて。早速だが響君、これを見てくれ」

 

 そんな空気を知ってか知らずか、司令が手元にあるリモコンを操作し、中央モニターに地図を表示させる。

 それは単なる地図ではなく、ノイズのエネルギー分布を重ねあわせたものだ。

 

「……すごく、いっぱいですッ」

 

 小学生並みの感想かな?

 

「ハハッ、違いない。これはな、この一か月のノイズの発生ポイントを地図上に重ねたものだ。……ところで、ノイズについて響君の知っていることは?」

「ノイズについて……ですか? えっと、ニュースや学校で習ったことばかりですけど……」

 

 そう言うと立花は、ノイズの特徴について答え始めた。

 無感情であり、人間だけを襲うこと。

 ノイズに襲われた人間は炭化し、死亡してしまうこと。

 そして、出現に規則性は見られず、その対処への難しさから特定災害に認定されていること。

 ……思っていたより真面目な回答だったな。

 

「その通りだ。意外と詳しいじゃないか」

「いやーそれほどでも……今やってるレポートのテーマが、まさにこれだったので」

「偉いじゃない。そうやって知識は習得していくものよ? それじゃあ雄輝君。改めて、ここ1か月のノイズ出現に対する意見を聞かせてちょうだい?」

 

 立花の回答に満足したのか、今度は俺に話の矛先が向けられた。

 俺は、今一度中央モニターへ視線をむける。

 

「そうですね……今の立花の話にもあったように、本来ノイズの出現に規則性はありません。そして、その出現頻度は決して高くない。ですが、この出現回数は異常です。しかも、マップを見ればわかりますが、出現範囲も思っていたよりかなり狭い。範囲が狭いというのは、本来地点を選ばずに出現するノイズの特徴から考えると、規則性があると言えます。頻度だけならまだしも、範囲も異常となれば、自然発生とは考えにくい」

「ま、待ってください雄輝さん。それって、このノイズの出現が人為的なものってことですか?」

「あり得る話だ。出現ポイントは、ここリディアンが中心になっているように見受けられる。ここには、狙われるだけの理由もあるしな」

「理由……ですか?」

「……サクリストD」

 

 それまで目を閉じ、静かに話を聞いていた翼先輩が、今日初めて口を開いた。

 

「ここにはデュランダルがあります。これを狙っての意図が働いていることは、十分に考えられます」

「あのー……デュランダルって、なんですか?」

 

 そうか、立花は知らなかったな。

 ここが、単なるノイズ災害の最前指揮所ではないということを。

 

「立花、完全聖遺物って覚えてるか?」

「えーっと、私の身体に埋まっていたり、翼さんのギアに使われているものとは違って、その形を保っている聖遺物……でしたっけ?」

「それでほぼ間違いない。実は、日本政府が保有している完全聖遺物があってな。それの名前がデュランダル。俺たちが今いる場所よりさらに下、俺たちがアビスと呼んでいる重要区画にあるんだ」

「知らなかった……えっとでも、そのデュランダルを狙う人とその理由は……? 確か聖遺物は、適合者の歌が無いとダメなんですよね? もし誰かがそのデュラなんとかを狙ってるとしたら、その人もシンフォギア装者っていうこと……」

「デュランダル、な。俺も詳しくは知らないんだが、完全聖遺物は起動さえすれば、誰でも扱えるらしい。俺が1か月前に戦ったネフシュタンの鎧も、確か完全聖遺物のはず。だから、あの女が俺たちと同じような意味での装者だとは言い切れない」

「……何だかよく分からないですけど、誰でも扱えるってことは、確かに狙われやすいですよね」

 

 立花の言うとおりだ。

 ガングニールや天羽々斬は、歌でもってその力を増幅できる適合者でなければ使用できず、その特性によって装者の希少性が生じている。

 だが、1度起動すれば適合者でなくともその力を振るえるとなれば、その力を欲する存在は急激に増える。

 特に、シンフォギアの技術は現状日本がほぼ独占していることを考えると、日本以外の国の連中が欲しがるのは容易に想像がつく。

 どの時代も、人間が欲しがるのは結局は力って訳だ。

 まぁ、俺が言えた義理じゃないけどな。

 

「まぁでも、起動には相応のフォニックゲインが必要なのよねー。奪ったところで、デュランダルを起動できるほどのフォニックゲインをどうやって供給するのかって課題は残るわけだけどね」

「……その点、我々であればそれも叶うかもしれん。今の翼の歌であれば」

「日本政府からの許可が出るかとか、それ以前にアメリカがうるさいとか、色々課題はありますけどね」

 

 結局はこれが現実。

 二課のコンピューターも、すでにハッキングを試みられた形跡が山ほどあるらしい。

 建前ではなんとでも綺麗ごとを人間は言えるが、本音なんてこんなものだ。

 それに嫌悪感を抱く人はよく見かけるが、それだって建前でしかない。

 人間だれしも、本音の部分では人間の本質を理解している。

 ただ、それを表に出さないのが表社会であり、本音と本音をさらけ出して戦争が起こっているのが裏社会だということだ。

 

「風鳴司令」

 

 会話が切れたタイミングで、それまで部屋の隅で控えていた緒川さんが手帳を開きながら近づいてきた。

 

「む、もうそんな時間か」

「はい。今晩は、アルバムの打ち合わせが入っています」

「ふぇ?」

 

 立花はポカンとした表情で緒川さんと翼先輩を交互に見やっている。

 そうか、立花は緒川のもう一つの顔を知らなかったな。

 

「緒川さんは、アーティスト風鳴翼のマネージャーでもあるんだ」

「そういうことです。名刺もお渡ししておきますね」

「おぉー。これはご立派なものをどうも」

「……緒川さん」

「っと、そうですね。では、今日はこれにて失礼いたします」

 

 翼先輩と緒川さんが部屋を後にすると、部屋の空気が少し軽くなったような気がした。

 どうも、翼先輩と立花が同じ空間にいると、雰囲気が自然と重くなってしまう。

 まぁ、話を聞く限りでは、立花が翼先輩の地雷を勢いよく踏み抜いてしまったようなものだから、やむを得ないといえばそうなのだが。

 

「……そういえば了子君。雄輝君のことについて、話があると言っていなかったか?」

「え? 俺ですか?」

 

 櫻井女史が俺のことについて……?

 まぁ、なんとなくムア・ガルト絡みのことであろうことは想像がつくが、具体的に何を言われるのかまでは分からない。

 ……まさか、それを知りたいから解剖させてくれとか言い出すんじゃないだろうな!?

 この人、時おり何考えてるか皆目わからない時があるから、あり得るぞ!?

 

「ええ、そうなの。まぁこれは雄輝君のみならず、二課全体にも影響する話だから、本当は翼ちゃんがいる間に話したかったんだけどね」

「二課全体に影響する……? どういうことだ了子君」

「みんな、薄々感づいてるとは思うけど、ここ最近のノイズ処理は、そのほぼすべてを翼ちゃんと響ちゃんに任せてるわ。そのせいで、二人に負担が集中してしまっている。特に翼ちゃんは、響ちゃん以上に動いているせいで、かなり疲労がたまっている状態よ」

「私も、それは分かってました。私がもっとちゃんと戦えていれば……」

「あんまりそうやって自分を責めちゃダメよ響ちゃん。翼ちゃんだって雄輝君だって、最初は今の何倍もノイズを倒すのに時間かかってたんだから」

 

 むしろ、最初から歴戦の勇者のごとく戦えたら、そっちの方がヤバい。

 だがまぁ立花の場合は、きっかけがあれば急速に伸びていきそうなタイプではある。

 それより、俺のことだ。

 

「で、櫻井女史は俺に何を? まさか、俺を魔改造でも……?」

「うーん……当たらずとも遠からずってところかしらね?」

「えっ」

「君を改造するわけじゃないわ。ギアの方を少し調整させてほしいの」

 

 ギア……ムア・ガルトをか?

 

「了子君。その改造というのは、具体的には?」

「もう少し、ギアに施してあるロックを強くしたいの」

「でもそれじゃあ、今より攻撃力や俊敏性が下がるんじゃ……」

「今でも十分オーバーなくらいの力を出せてるのは、これまでの戦闘データから明らかよ。もう少しロックを強くしても、ノイズとの戦闘には何ら支障はないはず」

 

 確かに、今の状態でもノイズはオーバーキル状態であることは間違いない。

 だが、いくらギアをまとっているとはいえ、下手すれば命を落としかねない世界だ。

 出力を下げることは、普段の戦闘には影響せずとも、いざという時に足かせにならないだろうか?

 

「それに、ロックを強化すれば、雄輝君の中に湧きあがる破壊衝動を、今より低減させることにもつながる。悪い話じゃないと思うわよ?」

「……なるほどな。了子君の言いたいことが分かった」

 

 司令はそう言うと、改めて中央モニターにここ1か月のノイズ発生地点を表示させる。

 何度見ても、この数は異常だ。

 

「つまり、雄輝君を戦線復帰させたい、そういうことだろう?」

「流石は弦十郎君ね。そう、今の雄輝君の最大の課題は、ギアをまとうと肉体的、そして精神的な悪影響を受けてしまうこと。でも、ギアの力を弱めても戦闘力を維持できるのであれば、そして負荷を低減することで雄輝君の活動の場が増えるのであれば、これは二課全体にとっても良いことでしょ?」

「うむ……」

 

 つまり櫻井女史の言いたいことは、これまでとあまり戦闘力は変わることなく、肉体的精神的負担を和らげることができる、妥協点のようなものを見つけたということだ。

 そこまでギアの力を下げれば、俺がノイズと戦う機会が増えて、今まで翼先輩と立花にのしかかっていた負荷を分散させることができる。

 それに今の俺たちの懸念事項は、ノイズだけじゃない。

 完全聖遺物である、ネフシュタンの鎧。

 あれを取り戻すためには、あの女と再び相見えないといけない。

 その時に、二人よりは三人の方が純粋に戦力という意味では大きなものになる。

 まぁ、翼先輩と立花が協力しあわないことには何とも言えないが。

 

「……俺は、本心では反対したいところだ。だが、現状を踏まえると、賛成するほかあるまい」

 

 そう口を開いたのは、OTONAである風鳴司令だった。

 

「本来なら、雄輝君にはギアを持たせること自体にも反対の立場だ。使う度に使用者の肉体と精神を蝕むようなものを、子供に使わせるのはな。だが、雄輝君の力が必要なこともまた事実だ。こればかりはどうしようもない。ノイズと戦えるのは、装者だけだからな……」

「じゃあ、弦十郎君は賛成ってことね。響ちゃんはどう思う?」

「……私の意見は、何の意味もないと思います。でも、一緒に戦う仲間が増えるのであれば、それは嬉しいことですし、私にとっても戦いの技術を盗める先輩が増えることになるのは、悪いことじゃないと思うんです」

「響ちゃんも、特に異論はなし、と。それじゃあ最後、当事者である優輝君の意見を聞かせてちょうだい」

「……戦闘力が下がることになるのは、抵抗がない訳じゃなりません。RPGゲームで言えば、レベルが下がるってことですから。でも、それによってノイズたちを倒せる機会が増えるのであれば、俺が特に反対する理由もありません」

「それじゃあ決まりね? ギアの調整は今晩中に済ませておくから、一晩だけギアを貸してもらえるかしら?」

 

 俺は首からギアを外すと、差し出された櫻井女史の手のひらにのせる。

 

「壊さないで下さいよ?」

「そんなことしないわよ。第一、この子をギアから取り出したらどうなるか、想像したくないもの。私からは以上よ」

「では、定例ミーティングを終わる。各員、不測の事態には常に備えること。以上だッ」

 

 

――To be continued.




雄輝「あれ、二課にこんな部屋あったかな……なになに? 『この先、ギャラルホルン関係区域につき、関係者以外立ち入り禁止』? ギャラルホルンって何だ?」
???「……見たわね?」
雄輝「ヒエッ……」
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