戦姫絶唱シンフォギア~黒紅の騎士~   作:みんふみ

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第八話 ギャラルホルン

「……なるほど」

 

 午前11時。

 マンションの俺の部屋に、ローブの女と風鳴司令がいる。

 あの後、一度二課に戻った俺は、報告とメディカルチェックをまず行った。

 もちろん、報告の時にローブの女の子とは完全に伏せておいた。

 メディカルチェックの結果が出るまでの間に、俺は司令の携帯電話にメールを送信。

 元々非番だった司令は、最低限の処理を見届けると家に帰ることができたため、二課の誰にも気付かれずに俺の部屋まで来てくれと頼むことは簡単だった。

 そして、メディカルチェックで異常なしと結果の出た俺は授業に戻るふりをして、司令は夕方の出勤まで家に戻るふりをして、俺のマンションに集まった。

 

 そして今、司令はローブの女から受け取った封筒を開け、中に入っていた手紙に目を通していた。

 すべてを読み終えたのか、司令は手紙を封筒に戻すと、テーブルの上に置いてあるギアのペンダントを手に取り、光に透かすようにして観察し始めた。

 

「……ギアの詳しいことは了子君でないとなんとも言えないが、少なくとも偽物ではなさそうだ」

「つまり、本物のシンフォギア……ということですか? この女は俺たちと同じ、装者ということですか?」

「断言はできん。確証を得るためには、了子君にギアの解析を頼むか、あるいは今この場でギアを装着してもらうかする必要がある。だが、彼女はそのどちらも拒否している」

「それじゃあ、この女を信用するわけにはいかないじゃないですか。司令はこの女を信用できるんですか?」

「……できる」

「どうしてですか?」

 

 司令は何も言わずに立ち上がると、手紙を戻した封筒を着ているスーツの内ポケットにしまった。

 

「この手紙に書いてあったことが、信用するに足る情報を含んでいるからだ」

「何が書いてあるんですか? その手紙には」

「……すべてを教える訳にはいかん。この手紙は雄輝君も知ってのとおり、俺に宛てて書かれた物だ。だが、何もかも教えないというのは、今度は君が納得しないだろう。よって、ここに書かれていることのうち、彼女のプライバシーに関する部分に関しては、ある程度俺の方で話すことを選ばせてもらう。それ以外の部分に関してはすべて雄輝君に話す……これでどうだ?」

「……私は構いません」

 

 ローブの女は特に異論はなさそうだ。

 俺としては、出来れば手紙に書かれていることをすべて知りたい。

 だけど、プライバシーに関することと言われてしまうと、ためらいが生まれているのも事実。

 司令にだけ話したいと最初に言っていたということは、それだけあまり口外されたくないことも書かれているのだろう。

 そしてそれこそが、司令がローブの女を信用すると言った根拠なのかもしれない。

 であれば、無理やりにそれを聞こうとするのはあまり良いことではない。

 

「俺もそれで構いません」

「分かった。ではまず、話の前提として、雄輝君に打ち明けなければならないことがある。これは二課の中でも機密性の高いものだ。俺が許可を出すまで、口外してはいけない。守れるか?」

「こう見えて、結構口は固い方なんです」

「そうだな。二課で二年近く一緒に過ごしているが、それは俺も良く知っている。……さて、デュランダルは当然知っているな?」

 

 もちろんだ。

 昨日、話題にのぼったばかりの代物だ。

 

「二課の地下深く、重要区画アビスで保管・研究している完全聖遺物ですね」

「そうだ。……そして、二課には実は、デュランダルの他にも完全聖遺物が存在するのだ」

「本当ですかッ!?」

 

 初耳だった。

 もちろん、可能性としてはあり得る話だ。

 世界的に見ても、聖遺物を研究・分析している機関はそう多くない。

 その中でも、天才である櫻井女史をメンバーに据えている二課は、他国より技術的にかなり進んでいると言って間違いない。

 その二課に、デュランダル以外にも完全聖遺物がありますと言われても、不思議ではない。

 だけど、まさか本当に保有しているとは思わなかった。

 

「ああ。その特異性から、了子君を中心としたごく限られたメンバーでのみ研究が進められている代物だ。翼もこの完全聖遺物の存在は知らない」

「翼先輩も知らない……」

「その名をギャラルホルン。この世界と、並行世界をつなぐ性質を持つ、摩訶不思議な力を持つ完全聖遺物だ」

「……並行、世界?」

 

 予想外の単語に脳の処理が追いつかない。

 えっと、並行世界って何だっけ?

 並行、並行……並んでいる世界。

 そうか、SFとかでよく出てくる、この世界とよく似た、だけどどこかが違う世界。

 タイムスリップもので、過去を変えたら未来も変わる的な話でよく使われるやつだ。

 

「SFとかではよく聞きますけど……本当にそんなものが?」

「ああ。この世界とは似ているが、どこか歴史を違えてしまった世界だ。まぁ、1000年前の歴史が変わってしまって、もはや似た世界と呼べない世界もあるかもしれんが。とにかく、ありとあらゆる可能性を内包した世界が無数に存在する……それが、並行世界だ」

「その並行世界が、ギャラルホルンが、どうかしたんですか?」

「いや、どうもしていない」

「……は?」

 

 司令の言っていることの意味が分からない。

 知らない完全聖遺物の名前まで持ち出すのだから、何か壮大なことを言うのかと思ったら、これはどういうことだ。

 

「正確に言うならば、この世界のギャラルホルンは問題ない。元々ギャラルホルンには、並行世界に異変が発生した時に、この世界と並行世界をつなぐ性質があると考えられている。だが、俺の知るギャラルホルンは今のところ正常だ。もし何かあれば、すぐにアラートが鳴るはずだからな」

「それじゃあ一体……ま、まさか」

 

 そう、並行世界。

 俺たちの世界にギャラルホルンがあるのであれば、この世界と似た世界である並行世界側にも、ギャラルホルンが存在してもおかしくはない。

 そして、ギャラルホルンには別の世界とつながる性質がある。

 並行世界側から見れば、俺たちの世界こそ並行世界になる。

 

「察しの通りだ。そして彼女こそ、並行世界側の人間であり、シンフォギア装者なのだ」

「そんなことが……」

 

 ローブの女の方へ視線を送る。

 ローブの裾から見える両手は白の包帯に包まれ、素肌をさらしている部分はない。

 

「ところで、君の名前が手紙にも書いてなかったな。良かったら、名前を教えてくれないか」

「……狼月愛牙(ろうげつあいが)

「……読みだけではよく分からんな。構わなければ、これに書いてもらえるかな?」

 

 司令が内ポケットからミニノートとボールペンを取り出すと、ローブの女は包帯の手でペンを握ると、少しゆったりとした速度でミニノートに名前を書き、ページを見開いたままテーブルの上に置いた。

 オオカミの月、愛に牙と書いて狼月愛牙、か。

 恐らく、本名ではない。

 この世界用の名前、そういうことだろうか。

 並行世界ということであれば、この世界にも愛牙と瓜二つの人間がいるのかもしれない。

 それを気にしての名前か?

 

「すまないな。その手では文字も書きにくかっただろう」

「……問題ありません」

「両手とも包帯って、大きな怪我でもしてるのか?」

 

 俺が愛牙にそう訊ねると、愛牙は俺から顔をそらして、窓の外へと顔を向けた。

 ……聞いちゃいけなかったか?

 

「俺から話そう。直接話すにはきついだろうからな」

「司令……その手紙に、何か書いてあったんですね?」

「ああ。愛牙君の世界においても、今から2年前にツヴァイウィングのライブ中、大量のノイズが発生する事件が起こった。そこは俺たちの世界と変わらない」

「2年前のライブ……」

 

 またしても2年前のライブ。

 俺たちの世界のみならず、他の世界においても重要な出来事ということなのか。

 

「愛牙君もそのライブ会場にいて、負傷してしまった」

「もしかして、包帯をしたり、顔のほとんどを隠しているのはそれが原因……?」

「……いいえ。あの時、私が負傷したのは事実だけど、この姿になったのは別の出来事が原因」

「だ、そうだ。その後、愛牙君は雄輝君と同じように、シンフォギアへの適合が認められ、彼女の世界の二課へ在籍することになった」

 

 愛牙の人生は、俺の人生に似ている気がする。

 あのライブですべてが狂わされ、ノイズと戦うための力を手に入れた。

 

「愛牙君の世界にも二課があり、そこには翼や響君もいるらしい。他にも、愛牙君の世界には何人か装者がいたらしい」

「俺たちの世界よりも装者がいたってことですか?」

「そのようだな。だがある時、愛牙君の仲間の装者の一人が、突如ギアの持つ力に精神を食われ、見境なしに暴走を始めたらしい」

「ギアに精神を……」

 

 司令のその言葉を聞いて、心臓がドクンと跳ねるのを感じた。

 それは、俺にも心当たりのある話だった。

 というより、大なり小なりギアをまとう人間は、ギアのもたらす力によって身体と精神を蝕まれている。

 それを、ギアのロックを系統的に、また段階的に解除することによって押さえこんでいる。

 だが、俺にとっては翼先輩や立花以上に直接的な話だ。

 

「愛牙君を含めた周囲の努力もむなしく、その装者はついにギアをまとい、ノイズだけでなくモノ、動物、そして人にもその力を振るうようになった」

「む、無差別の暴走……ですか」

「その装者の力は凄まじく、立ち向かえたのは同じく装者だけだったらしい。愛牙君も含めてな」

 

 まさか、愛牙の身体の傷は、その装者との戦いで……?

 

「……とても強かった。私も全力で戦ったけど、普通の戦いでは歯が立たなかった。振り下ろされる刃を受け止めるのが精一杯で、放たれる炎はまさに災厄級だった。日本のみならず、世界の各地で私たちは戦い、その度に退けられ、都市はことごとく焼かれた。私も焼かれて、肌は目元の一部以外はこうやって隠さなければならなくなった。喉も焼かれ、今は補助声帯を使っている」

「……」

 

 愛牙の傷は、それが原因だったのか。

 声が変だったのも、手を隠すようにしているのも、ローブで身体を覆い隠しているのも。

 どれほど壮絶な戦いだったのか、話だけでは想像もつかない。

 

「私たちは最後の手段に打って出るしかなかった」

「最後の手段……?」

「……絶唱」

「ッ!?」

 

 顔が引きつる。

 司令の表情も、少し苦々しいものになったのが見えた。

 

 絶唱。

 身体への負荷を度外視して、ギアの持つ力を限界以上に引き出す歌。

 装者の適合率にもよるが、どんなに高い適合率を持つ装者であっても、再起不能になるほどのダメージを負うことも十分にあるとは櫻井女史の話だ。

 無論、適合率が低かったり、装者が絶唱前にダメージを受けていたりしていれば、さらに悲惨な結果を招くこともある。

 

 2年前のライブ会場。

 天羽奏さんが無数のノイズたちの前で絶唱を歌い、ノイズは殲滅したものの反動で殉職。

 それ以来、俺も含めて、絶唱は基本的に死んでしまうもの、という考えが定着している。

 

「それも、一人の絶唱ではダメだった。みんなで絶唱し、一人、また一人と倒れていった。……それでも、止めることは難しかった」

「……暴走したその装者は、とんでもない化け物になってしまったってことか」

「……みんな倒れて、最後に残ったのが私だった。もちろん、私にも残されたのは絶唱だけだった」

「歌ったのか……絶唱を」

「それしか、術が無かったから。私の絶唱で、やっと暴走を止めることができた。……その命を穿つことで」

 

 つまり、殺すしかなかった。

 

「装者が装者を殺す……そんなことが……」

「それでも、世界はとても救えたとは言えない状況になってしまった」

「……ん? 待ってくれ。司令、ギャラルホルンについて確認させてくれ」

「どうした?」

「確か、ギャラルホルンは並行世界に異常が発生する時に、その世界とつながる性質があるんでしたよね?」

「ああ、そう考えられている」

「それってつまり、愛牙の世界から見た並行世界……つまり、この世界に異常が起こっているかもしれない、ということですか?」

「察しが良いな。そう考えるのが妥当だろう」

 

 なんてことだ。

 それがどんな異常かは分からないが、完全聖遺物が絡んでくるくらいだ、小さな異常ではないはずだ。

 もしかすると、今の愛牙の話にあったような、大規模な戦いが始まるのかもしれない。

 ……俺が、暴走したりするのかもしれない。

 

「愛牙君は、それを止めるために我々の世界にやってきた……そういうことだな?」

「……はい。出来るかどうかは分かりませんが、でも、私にはそれしか残されていません。そのためにここへ来たのですから。でも、今の私の身体では、まだギアを使えません。それに、二つあるギアのうち一つは完全に壊れてしまっていて……」

「これ、壊れてるのか」

「二つのうち、一つは元々私のギアです。もう一つは、アメリカで戦っていた時に偶然手にしたもので、絶唱の時に身にまとっていたギアも、そっちなんです」

 

 つまり、後から偶然手に入れたギアの方が、絶唱に向いていたってことか。

 それにしても、二つのギアを使えるとは、かなり特異なことだ。

 そんな装者がいて、絶唱でしかまともに対抗できないなんて……いったい、その暴走した装者はどれだけ強くて、ヤバかったのだろうか。

 

「……それで風鳴司令。私の処遇はどうして頂けますか?」

「愛牙君の希望通り、当面は君のことは俺と、雄輝君だけの秘密にしよう。雄輝君も、それで構わないな?」

「それは良いですけど……でも、住む場所とかどうするんです?」

「俺の方で何とかしよう。二課のリソースを使えないからすぐという訳にはいかんが、どうだ?」

「……ここではダメですか?」

「えッ!?」

 

 ここって……俺の部屋か!?

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ! 流石にそれはマズイだろッ!?」

「……嫌なら無理にとは言いませんが」

「司令、流石にマズイですよねッ!?」

「……いや、良いんじゃないか? さいわい雄輝君の部屋は一人で暮らすには少し広い部屋だしな」

「そういう問題っすかッ!?」

「それに、いくら俺とはいえ、二課の誰にも知られずに愛牙君の住む場所を提供するのは骨が折れる作業でな。雄輝君が承諾してくれれば、完全にこの場にいる三人だけのあいだで話が完結するし、これほど楽な話は無いんだがなー」

 

 くっそ、このOTONA、楽しんでやがるなッ!?

 

「……まぁ、とりあえず、今日は良いですよ。でも、明日以降のことはまた考えますッ!」

「おお、そうかッ!! 雄輝君ならそう言ってくれると信じていたぞッ!!」

 

 なんか、まるでずっと俺の部屋で暮らすことが決定したみたいな感じになってるんだが……。

 

「……ありがとう」

「い、いや、まぁな。いくら俺だって、女の子を無下に帰す訳にはいかねぇよ。ひとまず今日のところは、ここを使ってくれ。愛の部屋もあるし」

「……おお、そうだ。お線香の一つでもあげたいんだが、良いか?」

「もちろんです。こっちです」

 

 まさか、司令が愛にお線香をあげてくれるとは思ってなかった。

 俺は仏壇の置いてある愛の部屋へ司令を案内する。

 

「部屋がかなり綺麗だな。定期的に掃除しているのか?」

 

 司令が棚に置いてあったアルバムの一つに触りながら部屋を見渡す。

 

「はい。綺麗にしてやらないと、愛が怒るかなって。アイツ、綺麗好きだったから……」

「良い心がけじゃないか。これからも続けるんだぞ」

「もちろんです」

 

 こうしておかないと、愛が戻ってきたときに申し訳ないからな。

 ……なんて、そんなことがないことは分かってる。

 だけど、いつか俺が死んで愛と再会した時に、「お兄ちゃん部屋汚くしたでしょッ!?」って怒られたくないから。

 天国に行けるかどうか、俺の場合は怪しいが。

 

「……さて、俺はジムで汗でも流してから、二課へ行くとするかな」

 

 愛の仏壇に線香をあげた司令は、腕時計に視線を落としながらそう呟いた。

 

「せっかくの非番だったのに、すみませんでした」

「なに、子供に手を差し伸べるのは、大人として当然のことだ。では済まないが、今日のところは愛牙君を頼んだぞ」

「今後どうするか、ちゃんと考えて下さいよ?」

「お、おう、そうだな。では、失礼する」

 

 司令は微妙に俺から視線をそらしながら、逃げるように帰っていった。

 ……考える気ないな?

 

「……さて、と。そういう訳で、今日はここに泊まってくれ」

「わ……妹さんの部屋、使ってもいいの? 私は別にソファでも構わないのだけど……」

「そういう訳にいくかよ。そんなことしたら、今日の夜夢に愛が出てきて怒られちまう。部屋はある程度自由に使ってくれて構わない。仏壇とか壊さなければオッケーだ」

「……ありがとう」

 

 わずかに見える目元の部分が、少し緩んだのが分かった。

 どうやら、微笑んでいるようだ。

 綺麗な瞳だ。

 まるで、俺の記憶にある愛の目みたいに。

 

 

 

 

 ―――――

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

 リディアンにほど近い、スポーツジム。

 仕事の時間まで微妙に暇を持て余すことになった風鳴弦十郎は、つい先ほどまでランニングマシーンを使って汗を流していた。

 今は、服を着替え、更衣室にあるイスに座って身体を休めながら水分補給を行っていた。

 自販機で買ってきた、冷えているスポーツドリンクを喉に流し込むと、火照った身体が内側から冷やされていく気持ちよさを感じる。

 そんな弦十郎の隣に置いてあった携帯電話が、突如振動をともなって鳴り始めた。

 

「……俺だ。メールの件、どうだった? 友里」

 

 弦十郎が話しているのは、彼と同じく二課で日々戦っているオペレーター、友里あおいであった。

 

『はい。司令から送られてきた写真のものと、二課のデータベースにあったものを照合しました。結論から言うと、何とも言えません。100%別人ということはない、ということは言えると思いますが……』

「……そうか。いや、サンプル数が少ないからな。仕方ないだろう。少なくとも、100%別人とは断言できないんだな?」

『はい。……それにしても司令、どういうことなんですか? 業務用通信ではなく、個人のメールに画像を添付してきて、調べて欲しいなんて……それに、この結果は』

「俺からは何も言えん。これはあくまでも、俺の個人的な案件だ。このことは忘れてくれ。細心の注意は払ったが、メールの痕跡も、通話記録も、消去・改竄しておいてくれ」

『……分かりました。司令がそこまでおっしゃるのであれば』

 

 弦十郎は電話を切ると、ロッカーの中のハンガーにかけてあったスーツの上着を掴むと、更衣室の出口へと向かって歩き出す。

 通路を歩きながら、上着の内ポケットに手を入れて小さいノートを取り出す。

 ペンをはさんであるページを開くと、先ほど雄輝の家でローブの少女に書いてもらった名前、狼月愛牙の4文字が。

 手を負傷したことが影響しているのか、少しぎこちない文字。

 

(……これから忙しくなりそうだ。大人として、頑張らなければな)

 

 もう何年もこういう仕事をしてきた弦十郎に身についている、そういう出来事が起こるという予兆を感じる、第六感のようなものが働いていた。

 思わずため息が出そうになるが、グッとこらえる。

 子供の前に立ち、背中で彼らを導く大人として、弱い部分を見せる訳にはいかないと心に決めて。

 

 

 




早くアプリでセレナと未来のストーリー見たいです。
それまで石貯めるんで。

あと、最近は書くのと同じくらい、ここでシンフォギアの小説を読むのが好きです。他の方の面白い、あるいな重厚なストーリーには勝てないですが、これからも頑張っていきます。
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