最強の目を持つハンター   作:kurutoSP

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彼女は間違いなく蜘蛛の一員だとヒソカは思う

ゴンはハンター試験後にキルアの兄イルミにより連れ去られたキルアを救いにゾルディック家のあるククルーマウンテンに向かい、修行の果てにクラピカとレオリオと協力して連れ出すことに成功したのだ。

 

 キルアを連れ出してから、クラピカとレオリオは自分の夢もしくは目標のために別行動をとり、キルアはそもそもゴンに惹かれて、彼と友達になりたかったためゴンについて行くことにしたのである。

 

「この44番のプレートをヒソカに返さないことには先に進めない」

 

「お前も律儀だよな。そうするにしても俺たちはどうするんだ?」

 

「ヒソカがどこにいるのかも分からないし、いろいろなところを回ってみようよ」

 

 キルアはゴンのあまりにも暢気な発言にクラっと自分の体から力が抜け倒れそうになる。

 

「お前!何でそんなに暢気なんだ!んな暇お前にないんだよ」

 

 キルアは能天気なゴンに詰め寄ると、ヒソカの強さとゴンとの実力差を説明し、遊んでいたら、次にヒソカに会える9月1日のヨークシンでまたぼろ負けして一生プレートを返す機会など来ないことから修行の必要性をゴンに説く。

 

「そんなに俺とヒソカの間に差があるんだ。でもキルアは凄いね」

 

「まっまあね」

 

 途中ゴンに自分の強さを認められ照れる一幕があったがキルアはゴンに大切なことを全て説明し、次の目的地をゴンに提案する。

 

「とにかく、俺たちには修行が必要だってことだ。それでな、次のヨークシンで行われるオークション会場に潜ることになったら俺たちは金も必要となるだろ。だから修行と金稼ぎを両立できる場所に向かう必要があるんだよ」

 

「ほえー。キルアはよく考えているんだね」

 

「お前が考えなさすぎるだけだ!とにかく天空闘技場に向かうぞ!」

 

「天空闘技場?」

 

「そっ。そこなら対人戦ついでにファイトマネーっつて対戦するごとに金が貰えるシステムになってるんだよ。これなら一石二鳥だろ」

 

「すごいやキルア!」

 

 彼等は二人して天空闘技場に向かう。そこにゴンの目的の人物もいるのだが、それとは別に第一次ハンター試験会場のヌメーレ湿原でキルアに恐怖をもたらした狂人もまたそこに居ることなど知らなかったのは不幸なことだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キルアとゴンが天空闘技場について一日で100階層クラスまで到達したころ、彼等の目的の人物と問題の人物は何故か二人してレストランで晩飯を食べていた。

 

「ヒソカ、これ本当にお金になるの?だましてないよね」

 

 彼女は今日古書店で強奪してきたたくさんの本を風呂敷に無造作に詰めてヒソカの目の前に積む。

 

 ヒソカは風呂敷を開けそれを確かめ始め、それが終了すると、そこから何冊かの本を抜いた後彼女に答える。

 

「うん、どれも価値のある本だよ♥これは団長が欲しがってたから抜かしてもらうよ♦」

 

「ちょっと待ちな。何私のモノを勝手に取ってるの殺すよ」

 

 彼女は同じ過ちを犯さないようにサーベルの軌道に気を付けてヒソカに振るう。

 

 もちろん、本を気づつけないように気遣った攻撃は何時ものキレが足りずヒソカには簡単に避けられてしまう。

 

「もちろんただで貰おうってわけじゃないよ♠君、これどこで売りさばく気♣」

 

「教えなさい」

 

 彼女はヒソカの言いたいことを即座に理解して脅迫する。

 

 もちろんこうなることが分かっていたヒソカは数冊の本を握りそれぞれの価値を呟きつつも盾のように扱う。

 

「ちっ!」

 

「理解していただけて何よりだ♥後で連絡するよ♦」

 

「今教えなさい」

 

「それは拒否するよ♣そうしたら君、絶対この本も奪おうとするだろう♠」

 

「…………」

 

「沈黙は肯定ととるよ♦じゃあ、また明日♣」

 

 彼女はイラッとしつつもこの天空闘技場を追い出されるのはまずいと理解しているので、怒りを抑え、彼に向けてナイフとフォークを投げつける。

 

 もちろん、軽くかわされるので彼女の怒りはちっとも収まらない。

 

 なので彼女もさっさと食事を済ませてもう一度誰か命知らずの馬鹿が自分に挑んできていないか確認するために窓口に向かうのであった。

 

 そして彼女はそこで忘れていた事実を一つ思い出すのである。

 

「猶予期間?もう30日間戦っていないからあと60日未満?」

 

 彼女のサーベルは血を欲していた。そしてまずいことを呟く。

 

「そろそろ彼等が来る時期だったっけ?確かめとこ」

 

 くしくもこの日とある二人組がこの天空闘技場でその非凡な力を見せつけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天空闘技場に着いたキルアとゴンは順調に戦いあっという間に200階クラスに到達して、200階から今までの戦闘システムと異なるため新たに選手登録が必要となることを聞いて受付期間が短いことから二人は直ぐに受付に行こうとする。

 

「キルア、どうしたの?」

 

「どうもこうもねえよ。俺が此処に初めて挑戦した時は二年もかかったんだぜ。それなのにたった二日でクリアされるのはなあ」

 

 ゴンはその時はキルア八歳だったじゃんと思いながらも声には出さず苦笑でそれにこたえる。

 

「そっそれよりもキルア。次はどんなんだろうね?」

 

「んー。次ってもそんなにすごくないんじゃねえのか。ここまで楽勝だったし」

 

 この天空闘技場は200階以上からある意味本番なのだが、キルアは子供の頃は200階到達で挑戦を止めているし、ゴンはそもそもクジラ島から出たことが無い世間知らずなためそんなことを知る由もない。

 

 なので、このままでは「200階の洗礼」と呼ばれる念能力者と非念能力者の違いを見せつけられ大変な事態になる可能性があったが、彼等みたいな極上の果実が生ると分かるモノをあの男が見逃すはずもなく、二人の足は受付の廊下を目の前にして止まることになる。

 

 二人は突如襲い掛かる重圧に体が前へ進むことを拒みその場に釘付けになる。

 

「キッキルア、これは俺たちに向けられた殺気だよ」

 

「くそ、そこに居る奴!出てこい」

 

 二人が注目する通路の奥から一人の女性スタッフが現れる。

 

 このスタッフはどう見てもこのような殺気を出す人間に見えなかった。実際キルアには全くと言っていいほど彼女から実力者としての片鱗は窺えなかった。

 

 そしてこのスタッフはこの殺気に全く気付いていないようで。二人に対して200階クラスの説明をし始める。

 

 もちろんこんな異様な空間の中でそんな説明を冷静に聞けるはずもなく、二人はスタッフがどう動いても良い様に身構える。

 

 そんな彼らが注目しているはずなのにその女性スタッフの後ろから突如男が現れた。

 

「「えっ!」」

 

 二人はその人物がヒソカであることに驚いたが、それ以上にさっきまで女性スタッフに注目していたのに彼が何時現れたかが分からなかったことにもっと驚いていた。

 

 そんな様子の二人にヒソカはこの200階クラスの先達として忠告をする。

 

「君たちにはまだ早い♣」

 

 キルアがヒソカに文句を言えど彼はその場に座り彼等を通さない。

 

 そして、スタッフはこの異様な光景に気づいていないのか、二人に登録は今日中であること、キルアは既に一度登録を取り消されているため、今回登録をしないと永久に200階クラスでの登録を受け付けないことを告げた。

 

 ゴンはともかく、キルアは焦り、どうにかして通ろうとするが、後ろから現れた男により止められる。

 

「二人とも止めておきなさい。君たちは余りにも念に無防備すぎる」

 

「ウイングさん!」

 

 シャツを何故かズボンからいつもはみ出しているだらしない男の正体をゴンとキルアは知っていた。

 

 二人はこの天空闘技場でこの男の弟子であるズシと呼ばれる少年と友達になっていた。

 

 そして、キルアとズシが一度戦ってた時に明らかに常人ではあり得ない気迫と耐久力を持っていたため、キルアがそれについて言及し、燃について教えてもらったことがあったのだ。

 

 そして今、ヒソカに対する念を受け二人は一度退散し、ウイングに念について指示してもらうことにし、この場から去る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ、どうなるかな♦」

 

 ヒソカはキルアとゴンを連れて行った男が中々の念使いであることを見抜いていた。

 

 それは二人が良い師に巡り合えたことを意味するため、ヒソカはより強くなって此処に二人が現れることを半ば確信し、それまでの間をトランプタワーを作りながら楽しみに待つ。

 

 そんなヒソカは一段また一段と丁寧にトランプタワーを作り上げていく。

 

 そして、それが完成し、後は一気に壊すだけの段階になる。

 

 ヒソカはゆっくりと人差し指をその頂点に導く。彼は作ることも楽しみではあるのだが、壊すことの方がより一層快感を感じるたちなので、この瞬間を大切に味わう。

 

 しかし、彼は即座に降ろすはずだった指を下げる。

 

「楽しみを奪わないで欲しいかな♠」

 

 彼のトランプタワーは無惨にも切り崩されていた。だが、不思議なことにそのトランプはどれも斬れていない。

 

「私、壊すのだい好きなんだ。特にあんたが作るモノを壊すのは」

 

 ヒソカは処置なしとばかりに肩を竦めトランプタワーを作るのを諦め、彼女との会話を代わりに楽しもうとする。

 

「どうしてここにいるんだい♣」

 

「知ってた?」

 

「?」

 

 相変わらず時たま会話がつながらない彼女に彼は疑問符を頭に浮かべつつ先を促す。

 

「ここって猶予期間があるらしいじゃない」

 

 ヒソカは彼女がこの200階に来てから誰とも戦わずにこの一か月間過ごしていたのを思い出す。

 

「まだ60日近くあるはずだよ♦」

 

「でも、私は受付にあなた以外いつでもどうぞって出しているのに全く誰も相手にしてくれない」

 

 ヒソカは彼女がこの天空闘技場に来てから起こしてきた数々の問題を思い返しながらも、真面目な顔を装って頷いておく。

 

「そうだね♥」

 

「おかしいよね?ここには170人もの参加者がいて週に何回かは戦闘があるのに私のだけは誰も参加して無い」

 

 彼女のサーベルの切っ先が地面に埋まり始める。

 

 ヒソカは爆発が近いことを感じつつも、ちょうど暇をしていたことだし、それを止めずに見守る。

 

「ねぇ、ヒソカ、これって誰かの陰謀?戦わずして私が敗北ってないと思わない。そんなのおかしいと思わない。絶対におかしいよね。おかしくないと行かないよねぇ。戦わずして負けるなんて馬鹿げたことなんてあるはずないよね?と言うか誰でもいいからいい加減戦いに来いよ殺してやるからよ!……ブツブツ………………」

 

 ヒソカは彼女が此処に暇つぶしに来たことは知っているし、何より金を稼ぎたいならもう一度一階から丁寧に上がってくればいいだけだと思っている。

 

 彼は彼女に幻影旅団の次の大仕事は9月1日だと告げってあるので、今から数えて約6か月此処に滞在すれば十分なのだ。

 

 つまり、彼女はこのまま何もせずに、あと二か月かけて一回去り、またゆっくりと200階まで上がりまた3か月待てばいいだけなのだが、ヒソカはそれを決して口に出さない。

 

 言わない方が面白いことになるのは間違いないからだ。

 

 しかし、ヒソカは彼女の様子が変なのに気が付く。

 

 ヒソカが思考している間に彼女はいつの間にか沈黙していたのだ。

 

「?どうしたんだい♦」

 

「……………………」

 

 彼女は受付方面に去って行ってしまった。

 

 肩透かしを食らったヒソカは少しばかりガッカリしながらも、ゴンとキルアと言う新しい楽しみがすぐそこまで来てるのを思い出し、すぐに持ち直す。

 

 そして彼女がいなくなったのでまた一からトランプタワーを作りなおしては崩す作業に入り時間を潰すのである。

 

 ヒソカが彼女がおかしかった理由に気づくのは翌日の200階クラスの対戦表を見てからのことである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「別に、ゴミの代わりに私がゴン君と戦ってもいいよね。大丈夫、私我慢できる。殺さなければ大丈夫。最悪腕の一本二本は問題ない。フフッ、フフフフフフ」

 

 彼女は気配を殺して、楽しそうに二人組を待つ新人狩りの三人組の後ろで更に楽しそうに待っているのである。

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