天空闘技場は熱気に包まれていた。
新人のゴンが破れてからある程度時間が経っていたが、この二百階クラスの戦闘は頻繁に行われるモノではなく、人々に強烈なインパクトを残す。
故に、常人には理解できない、念能力を用いたギドの舞踏ゴマは観客を驚かせるには十分で、ある種のエンターテインメント性を持ち合わせており、そんな危険な念能力を使用した駒と踊った様に見えるゴンは観客の記憶にも新しく。そんなゴンが二回目の相手として選んだのがまたギドというリベンジ戦は、盛り上がるモノがある。
観客はここで死ななかった新人が何かしらの力に目覚めることを長く見ている者ほど感じているため、ゴンがどのようにしてギドに対抗するのかが、とても楽しみであり、それと同時に、一試合目みたいなコマと踊っている様な素晴らしい何かが見れないかと、隣のモノと試合展開を予想する。
そんな煩い会話の中、異様な一角があった。もちろん、セリムとヒソカである。
「ご機嫌ね」
煩わしそうに彼女はヒソカに問いかける。問いかけられて方は上機嫌で応える。
「ああ、果実が漸く生って来たんだ♦これで嬉しくならない方がおかしいよ♥」
ゴンの纏うオーラを見てゾクゾクするヒソカの一部を嫌そうに見た彼女はイカレていると、自分のことを棚に上げてぼやく。
「君も彼には一目置いていたと思っていたんだけど?この試合興味が無いのかい♣」
ヒソカはこの試合のチケットを持って彼女を招待したのだが、まさかついてくるとは思っても在らず、ついてきたからにはゴンに興味を持っているからだと考えていた。
「別に、私にとって彼だろうが、貴方だろうが、それは全て些事に過ぎない。私にとって全ては等しく殺せる相手であり、私を否定する者であり、私が肯定させてあげるモノに過ぎない」
彼女は会場のどんどん上昇するボルテージに比例して、テンションを下げていく。
「なら何のためにこんなところに♠」
彼女はその問いに何故か苛立たしそうに貧乏ゆすりをする。
「さっさと蜘蛛の為すことをしたいだけだ。お前の目的がどの程度かも知りたかったしな」
「君がそんなに仕事熱心だったなんて、僕のためにありがとう♥」
ヒソカのわざとらしい感謝につい腰のサーベルを抜いてしまう彼女だが、何度も似たようなやり取りをしていれば、呼吸をするようにヒソカも簡単に避けてしまう。
「ちっ。帰る」
一切ヒソカを斬ることが無かったサーベルをしげしげと見た後、彼女は席を立ち出口に向かう。
「試合は見ないのかい♦楽しそうなのに♣」
「理解できないね。結果の分かりきった試合を観戦するイカレ野郎の楽しみなんてね」
彼女はギドに憐みの視線を向けた後、ヒソカに一切見ずに出て行ってしまった。
「残念♠熟そうとする果実を眺めるのも楽しいと思うんだけどね♥」
ヒソカは、以前のゴンと比べ、その急成長ぶりに興奮しつつ、残念そうに隣の空席を眺めるのである。
試合は、ゴンの圧勝であった。
一方、試合会場から出た彼女はと言うと。
「よかっあぁぁぁぁ。彼が無事にウイングに指示できていてよかった」
彼女は以前、原作では切れることのなかった指の糸が切れてしまったことにまずさを感じながらも、ヒソカとのど付き合いですっかりと忘れており、ヒソカに今日のチケットを貰って、久しぶりにそのことを思い出し、もし仮にゴンが念能力を使えないままギドとの戦闘になってしまったらと、試合会場に現れたのだが、どうやら、原作に大きな影響がなく、彼女はホッとしていた。
ホッとした彼女は、壁にサーベルを深々と突き立てていることには気が付いていない。
彼女はいつの間にか突き刺していたサーベルを抜くと、上機嫌で走り去る。
しかし、上機嫌の彼女は気が付いていなかった。ゴンの戦闘能力が、彼女が思っていたよりも強くなっていたなど、しっかりと原作に影響を与えていたことなど、彼女はまだ知らない。
この作品は気が向いたら書くかもしれませんが、完結することはまずないと思い。ここで未完とさせていただきました。
リメイクとして、最強の目を持つハンター 怒りの頂を作りました。此方は設定などいろいろいじり直し、まともな最後というか、完結を目指しますので、よろしくお願いします。