ワインを飲み込みながらイタリアの夜景を眺める。
もう何回も見た景色なのに何故こんなにも綺麗だと思うのだろうか。ネオンに導かれた男女が寄り添う姿や酔っ払った男たちの笑う姿。そこが平和だと錯覚させるこの街の姿は、喧騒を掻き消してしまうような魅力を孕んでいる。
ふと時計を見ると零時を過ぎた頃だった。
今日はお客が来ないのだろうかと考えていると、扉からトントントンとノックの音が聞こえる。
「はいはい、今開けますよ。……へぇ、驚いた。まさかかの有名なボンゴレ様が来てくれるなんて」
「やあ、レオーネ。今日、空いているかな」
若きボンゴレボス。初代ボンゴレを思わせる風貌に、日本で育んだとされるあまっちょろい性格をしたお人好し。
俺のお客にはそう言って馬鹿にする奴が多いが、彼のお陰でボンゴレの管轄は昔よりも大分住みやすく、治安維持されているのだと考えると日本も馬鹿にしたものではないと思ってしまう。
まあ、そもそもボンゴレファミリーは俺のお得意様でもあるわけなので、甘ちゃんやらダメボスやら殆んど女みたいなものやら言っていく奴も大体はボンゴレファミリーかその傘下なのだが。
「ああ、今丁度お客さんが来なくて退屈していたんだ」
「そうか、……ならお邪魔させてもらうよ」
そう言ってドアをくぐりベッドの近くのソファーに座るボンゴレボス。横を通るときに少しだけ見えた疲れた表情は今日来たことと関係しているのだろう。
「何か飲む?」
「珈琲をお願い」
ボンゴレボスに珈琲を淹れ、自分は眠気覚まし用にオレンジジュースを飲む。珈琲は苦いからあまり好きではない。チョコレートがあったら俺も珈琲を飲んでいたかも知れないけどね。
「で、どうしたのボス。何かあったの?」
「いや……何もなくてね、だから来たんだ」
ボスは確か俺よりも少し上の三十五歳だったっけ。結婚はしてないけど婚約はしていたはず……。何もないってことはないだろうと思ったが、マフィアのボスだから色々と弊害があるのだろう。
「何も無さすぎて溜まっちゃったんだ? どれぐらいしてないの?」
「んーと……かれこれ十年は……」
「ん?」
あれ、おかしいな。彼確かこっちに来て何年かはそういう関係の子がいたような……。
あ、十年前って彼が婚約した頃だっけ。友だちのルッスーリアと結婚はまだかみたいな話をしたのがそこら辺だったような……。
もう三十歳を過ぎた頃から物忘れが激しいんだけど、確かうん、そこぐらいだ。
「ってことは、婚約者の子と十年もしてないの?」
「あれ、俺婚約したって言ったっけ」
「ルッスーリアから聞いたよ」
「あのオカマ……黙ってろって言ったのに。……うん、婚約者の子には手を出してないし、流石に違う女の人に手を出すのも浮気だしって思ったら、右手が友だちになってた」
「その年で右手が友だちは恥ずかしいよ」
マフィアのボスなんだから愛人の一人や二人、三人、四人、十人ぐらいはいてもおかしくないのに、どれだけ婚約者の子が愛されてるのかが分かると言うか、少し重いと言うか。
まあ、それで十年頑張ったけど我慢できずに、でも女性を抱くのも憚り、結果俺の所に来たと。
……正直家に帰って婚約者の子とイチャイチャしろよとは思ったが、それは言ってはいけないんだろう。
「まあ、色々と言いたいけど言わないであげる。じゃあ早速しようか」
「えっ、もう? そ、そのレオーネは……どっちなの?」
「どっちって?」
「あ、あのほら、ネコとかタチとか、右とか左とか、上とか下とか……」
「ああ、そういう。俺はどっちもできるけど」
「ど、へ、へぇどっちも」
「ボスは俺に抱かれたいの?」
「む、無理です!」
そう、じゃあ適当にシャワー浴びてしよっかと言うとボスは少し緊張した面持ちでシャワールームへと入っていった。
今日のお客は少し疲れそうだと重い腰を上げながら、俺も準備を始めるのだった。
レオーネ 32歳 男
一番上手なのはレヴィ。一番殴りたくなるのはベル。
何かたまにヴァリアー専属かと思われてるけど、そんなことはない。月の指名の半分以上をヴァリアーがかっさらっていく。
そのうちレヴィの子どもを想像妊娠させられればいいよ……。
ツナ
京子ちゃんかハルと婚約してるんだろうか。レオーネは会ったことがないので真相は謎に包まれたままである。
正直触りたくて仕方がないと思うけど日々の仕事のせいでそんな元気もない。お酒を飲む余裕さえない。
暗殺部隊はもっと暗殺しろよと思っている。
ルッスーリア
レオーネの友だち。何か物騒な性癖を持っている。
ボスが大好きなのでボスが結婚すると聞いたときレヴィと同じぐらい泣いた。レヴィは悔し泣き、ルッスーリアは嬉し泣きである。
ボンゴレの情報をレオーネに流している張本人。
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