衝動的なの   作:ソウクイ

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蒼いヒーローに

 

『流星のロックマン』

 

DSにて発売されたロックマンシリーズ。

 

アドバンス名作ロックマンエクゼの未来作品。

流星のロックマンは一作目は正直にいうと微妙、二作目はまぁ普通、三作目は文句なしの名作。なんで出なかった4作目、物語としては父親的に区切りがついてたけど、せめてシステムを継承したシリーズの継続が…DASHにしても何で無いのか!EXEから流星の中間辺りの続編ほしい!!EXEやら!流星3やら!無茶苦茶プレミア価格だしよほどに酷い駄作でも無ければ続編が人気でるはず!続き作れ…つくって…!!

 

じゃないわ。気にするのソコじゃない。そこじゃない!

 

鏡を見てもう一度姿を確認しよう!赤いバイザー付きのヘルムに全身蒼タイツなこの姿!うん、やっぱり姿が流星のロックマンぽく変わってる。なんでよさ。

 

なんで気づいたらこんな姿になってるのか。しかもコスプレの衣装とかじゃなくて体の一部みたいな感覚がある。いや、これ…この世界だと考えると…

 

これ怪人化?

 

この世界、人が怪人になったりするワンパンマンの世界だし。他にこんな事になった理由が思いつか……あ、転生したから転生特典みたいなのがあってロックマンの姿になる能力があったとか?

 

どっちだろ。

 

怪人な場合だと、流星のロックマンは設定的に電波体。現実とネットワーク世界で活躍するロックマン。ボクは外が怖くて引き込もってネットを四六時中やっていた。

 

怪人とした場合、ネットをしてたからネットワークの怪人みたいなこと?

 

いやいや、ネットしてたからって怪人化するなら、ボク以外にも同系統の怪人がワンサカいてネット禁止とかなるんでないかな。ボクより年季の入ったネット中毒が相当にいるだろうし。

 

あ………知らないだけで相当なネット怪人が居たとか?ネット怪人なら怪人になってもネットして家から出ないと思うし知られてない可能性も…。

 

怪人の可能性あるかな。できれば転生特典って事だとありがたい。

 

まぁどっちにしても姿が変わってるし怪人って扱いに成るのかな。怪人に分類される存在になるなんて発狂モノ………と、思ったけどあんまり動揺してない気がする。怪人としても好きだったロックマンの姿だから……姿が変わったのは家族にバレない様に…して、ガチャ?…扉が開いた。

 

「スバル…よね。そのかっこうなに?」

 

その…姿を確認するのに鏡を見る必要があるよね?鏡が有るのって風呂場だよね。…お風呂場に入ってきた母親に見られた。

 

「こ、コスプレだよ」

 

「…コスプレ……いえ、違うわね…………スバル、あなたの今の体はどうなってるの」

 

コスプレで押しきろうと思ったのに何でそんな直ぐに察するかな。科学者だから、もうだめだ。父さんも呼ばれた。

 

「す、スバル、おお!その姿は…!まさか!まさかなのか!?」

 

「うん、…怪人になったんだと思う」

 

怪人化したんだろうと正直に話した。転生特典なんて事でも向こうからしたら怪人になるのと同じ認識になるだろうし。

 

「そうなのか」

 

引きこもってても許してくれるし、家族仲は悪くなかったけど、流石に怪人だし追い出されるだろうなー…あーあ、これから野良ロックマン生活か。

 

「お父さんお母さんなにしてるの!!」

 

「ろ、ロール」

 

妹がきた。ぼくをみた。

 

「……兄さん?」

 

この姿でなんで一目でわかるんだろ。

 

「スバル兄さん!なにその格好、カッコいい!!」

 

おおう!カッコ良さがわかるとは!

 

「まぁカッコいいか?しかし何でかその姿は嫌な感じが…色が特に…黒か赤になれないか?」

 

父さんがへんなことを言ってきた。父さんが母に絞められた。あれー深刻な感じになるとおもったのに、空気は良くも悪くもそんなに重くない。

 

「スバル、二つだけ答えて」

 

元のスバルに戻れるのか

無理じゃないかなと思いながら試してみた。

 

「戻れるのね」

 

アッサリと戻れた。

 

正確には戻れたじゃなくて人の姿に変身できた感じだ。ロックマンの姿が本来の姿って元ネタ的に逆か。 

 

『妙な感じだな』

 

人の姿だと腕の獣、(元ネタから名付けた)ウォーロックが原作的な姿になって出てきてる。ただ原作と違ってウォーロックはボクと別の存在って訳でなく、二つ目の人格というか、分身って言うか、このウォーロックも自分である。自分の人格付きのエネルギーを対外に出してるみたいな感じ。 

 

次に聞かれたのは

 

「怪人は本能的に人を襲いたいそうだけどそう言うのは無い?」

 

これは無いと断言出来た。

 

「父さんにも母さんにも妹に敵意とか欠片もないし。同じ怪人ならともかく…まさか実は怪人?」

 

叩かれた。

 

二つの質問を終えたあと

 

「これなら…怪人でも問題ないわね」

 

「良かった…よかったなスバル」

 

涙を流しながら父が良かったなと言ってくれた。

 

「母さんがなにもしなくて」

 

え?どういうこと?…母さん、排除とかは無いけど修正するつもりだったそうで…

 

「ま、まぁ!怪人だろうと何だろうとスバルにはかわりない!しかし何か弊害がないかスバル、体の調査をするぞ!」 

 

ってことでまず健康面に問題ないか身体検査された。次に身体能力が解ってないと危険と調べられた。

 

「…うちの測定機では測るの無理だな。」

 

身体能力の測定。

測定不能な領域。 

 

なんかワンパンな人、サイタマ先生みたいな身体測定な事に、さすがにあんな恐ろしい御方と比べるのは無理かな。あんなとんでもヒーローでは無い。だけどS級クラスはあると思える。流星のロックマンの元ネタも電車ぐらいは持ち上げてたりするけど、パワーはそれ以上…

 

他の能力はロックバスターを打てる。

文字通りバスター、原作だとチャージまえのバスターは豆鉄砲ってイメージなのに、父が作製した鋼鉄の何倍って硬さの対怪人用の合金を貫通。バスターと言うよりレーザーかビーム……。

 

電波に変わったりも可。

電波になれば速度は文字通り光速。

 

人の姿だと軒並み能力は低下。

まぁ分身のウォーロック側にエネルギーの大半を預けてる様なモノだし当然。とはいえA級ヒーローぐらいの身体能力はあるそう。

 

測定の結果はボクは完全に人とは違う何かになってた。  

 

「わーーはははは!!!流石は我が息子だ!!スバル、お前は怪人になったのではない!正統に人から進化したのだ!!」

 

と、父は大喜び。母は難しそうな顔をしてた。妹はスゴいすごいと大はしゃぎ。怪人でなくて進化?前世では原作のヒーロー全般は進化したと言う説もあったような。……まぁ進化を怪人化とも言えるしどのみち同じかな。

 

 

原作だと怪人化と似た感じに思いが肉体に反映されてる感じに見えた。主人公からしてヒーローに成りたいから最強のヒーローになってるし。他にも筋肉をつけたいなら鋼を越えたマッスルに、変態だとしたら変態に。と言う感じに。人に見えるだけで肉体の根本から変わってる。ワンパンマンの世界、ヒーローも怪人化もそうだけど…思いが肉体の変化に関係してそう。

 

そうなるとこの流星のロックマンぽい姿、ボクの思いが反映された成りたい姿……ネット関係以外の理由もある?

 

ロックマンはヒーロー

ボクはヒーローになりたかった? 

 

うん

 

無いな

 

 

これは断言できる。自分がヒーローになりたいんでなくヒーローに助けてほしいと願ったぐらい…で…え、もしかしてそれが原因!?助けて欲しいと思ったのに自分で何とかしろよみたいな!?

 

なんかそんな気がしていた。

 

ヒーローでロックマンなのは…名前的にどうしてもずっと脳裏にロックマンはちらついてたし。

 

 

あとはストレスとか強い思いが無いと変化はしないって問題は……ストレスなんてずっとあったなぁ。

 

それは平和な日本からね…人類滅亡の可能性のある何時死んだり怪人になるか不明な世界に来たんだし。よくもっと早く怪人化しなかったなとも思える。12歳…元ネタのロックマンに合わせた感じの年齢だなぁ。

 

あれ?そう言えば……ワンパンマン世界と知ってからずっとストレスがある生活をしてたのに……なんか今は感じてない?前まで吐き気してたのに、今だと全く平気。うん?考えてみたら本当に変だ。怪人になって不安とか逆に増大しそうなのに…全くない。

 

わぁ…これタイミング的に……怪人化したせいで思考が変質しちゃってない。

 

そりゃ肉体が根本から変わって精神は無事なんて都合が良いこと無いかぁ。

 

これが怪人化としたら、怪人は人を襲う。怪人になるとそう言う思考が変化させられてる?今は人を襲うのはイヤだなぁと思える。けどその内イヤだとかも思えなくなりそうで怖い。ロックマンなら人を襲うわけないとも……思えるけど、確実でもない。

 

避けるにはやっぱりアレかなぁ。

原作のあのキャラを考えると…

 

 

ーーーを目指すしかないかなぁ……

 

 

 

 

 

 

ビルの建ち並ぶ繁華街、特徴的な格好の誰かが飛んで来てビルの三階のガラスを突き破った。ビルの下には地面に倒れて呻く複数の誰かがいた。格好は皆違うが、ヒーローコスチュームの様なモノと言う意味では同じだ。

 

「けけけけけけ!!!!弱い!弱いなあんさんらヒーローーは!!このパンチドラッカーさまの一撃も受けられもしないんか」 

 

サイズは二メートル越え、ヘッドギアが融合した頭部に灰色の皮膚、服はトランクスのみ。手には特大のグローブ。ボクサースタイル。

 

人類の敵の怪人だ。

 

「俺たちの出番はないのか」

 

ボクサー怪人の背後には柔道着や剣道着、弓道着、の格好をした三人の怪人がいる。

 

「すんまへんなー。まずは一人で戦って苦戦したら参加して貰おうと思ってたんやけど」

 

「予想よりヒーローが脆かったな。A級ヒーローと名乗った輩も居たのに…」

 

「あーA級言うても下位の方だったし仕方ないんちゃう」

 

ボクサー怪人は物足りなそうに立っているヒーロー達を眺めた。まだ怪人達の近くにはヒーロー達が居るが、向かってくるヒーローは居なかった。

 

「ヒーロー協会のバカ野郎が。なに虎級って判定してるんだ。最低でも鬼級じゃねぇか」

 

負けたA級より格下の最大でもBクラスしか居ない。格上が一体の怪人も倒せず背後には同格に見える怪人がまだ五体もいる。勝ち目なんて有ると思えない。

 

「自分等の方が弱いってわかったよなヒーローのお兄さんら…で、まだやるん?」

 

怪人はグローブをヒーローに突きつけた。

 

「く、くそ!!怪人に舐められてたまるか!やってやるよ!!あーくそ最悪だ!」

 

「まったくだな!」

 

「ヒーロー協会のアホボケ!」

 

愚痴を言い逃げ腰でも逃げないのはヒーローの意地か、周りの野次馬を守るためだろうか。怪人ボクサーは嬉しそうに笑う。後ろの怪人達は立ち向かうヒーロー達を賞賛したように頷いている。怪人なのにヒーローたちに好感を持ってそうだ。

 

しかし後方にいたヒーローは一人コッソリと逃げた。観衆やヒーローは怪人に注目していて見てないが怪人からは丸見え。ヒーローはタンクトップを着ていた。

 

「あ?」

 

怪人からブチッという音が聞こえた。

 

「カスが……それもよりにもよってタンクトップ、怪人も倒せないお遊びって!!ボクサーの俺をバカにしてきたタンクトップヒーローがよぉおおおお!!!!」  

 

怪人ボクサーはブチキレて対峙するヒーローの真上を跳ぶ。逃げたヒーローを血走った目で追い掛けた。

 

「ひぃいいい!!!」

 

「ふ、ふざけんな!こっちにくるな!!」

 

「ばっ!そっちに行くな!」

 

追ってきた怪人に気付きあろうことか、タンクトップのヒーローは野次馬の中に紛れようとした。怪人ボクサーの目はさらに血走り、血管は浮き出て腕の筋肉は倍に膨れ上がった。

 

「この卑怯ものが!!」

 

怪人の怒りの咆哮、野次馬は押し退けられボクサー怪人の射程に逃げたヒーローが入る。

 

「ひぃい!!!」

 

「きゃああ!!!!」

 

「な!?何してるんだ!!」

 

信じられないことに追い詰められたタンクトップは、咄嗟に近くにいた一般人の女性を引っ張り盾にした。怪人でなくヒーローから批難の声が出た。

 

タンクトップはタンクトップマスターの舎弟の証し。タンクトップマスター自身は最高位のS級、それに性格も真っ当、しかし数多くいる舎弟の中には問題行動をするヒーローも存在した。いやタンクトップマスターの庇護を受けてる舎弟と偽るのに、タンクトップを着てるだけでヒーローですら無い可能性もあった。

 

 

「潰れろやクズが!!」

 

頭に血の登った怪人ボクサーの極太の殺人パンチが放たれる。盾にされた一般人ごと砕けるだろう威力を秘めた文字通りの必殺パンチ。他のヒーローは邪魔できる距離に居ない。青い光が空から落ちてきた。地面が砕けたのか土煙が舞った。

 

土ぼこりの先には無惨に潰れた人がいる。潰されて殺されたと悲鳴が上がる。しかしボクサー怪人は首を捻った。

 

「…………なんや、お前」

 

そこにいたのは赤いバイザー付きのヘルメットに全身タイツの全体的に蒼いおかしな格好の小学生ほどの少年。

 

少年の年相応に見える太さの細い片腕が、人の胴体以上の怪人の拳を止めてる所を見ればただの少年と思える筈がない。少年の背後には生きたままの盾にされた女性とタンクトップがいた。

 

「A級ヒーローもぶっ飛ばした俺の必殺パンチを止めたんかガキ。そんな成りやけどただ者や無いな。…ああ、そうか。ガキのS級ヒーローが居るとか聞いたことがあるが…お前がS級ヒーローの童帝か!」

 

それを聞いて少年の唯一見える口元がひきつった。

 

「違う!!いや違う事もないけど、違うから!そんな悲しい称号のS級ヒーローとは違うよ!」

 

「なにいうてんの?なら、お前は何者や」

 

「名乗るほどの者じゃない……って答えたいけど、名乗らないと勝手に名前をつけられそう。変な名前はいやだし、童貞みたいな名前を付けられるのは本当に嫌だし。名乗るとして……名乗るならやっぱりあの名前しか無いよね……」

 

「なにブツブツ言うてるん?」

 

隙をこれでもかと晒す相手にボクサー怪人は律儀にまってくれた。咳払いをしてから拳を握りしめ覚悟を決めた声色で少年は名乗った。

 

「ぼ…ボクはヒーロー……じゃなくて!これからヒーローを趣味?ヒーローを趣味としてやうとしてる者だ。名前は、ろ、ロックマン…蒼い流星のロックマンだ!」

 

グダグダだ。

 

「…………ヒーローのロックマンやて!ここにヒーローと名乗って現れたって事は俺達と戦うきか!小さいくせに威勢がいいやないかロックマン!!!いいで!このボクサー怪人が相手に成ってやろうやないかい!」

 

「ありがとう!じゃなくて行くぞ怪人!」

 

蒼いヒーローの初めての怪人戦が始まる。空気を読んでくれた怪人に感謝してロックマンはバスターを構えた。

 

 

 

 


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