君も知っての通り、ロックマンを名乗る謎の自称ヒーローが世間に現れて既に一月、その正体は未だに謎に包まれている。
判っていることは怪人を倒し人々を救っている事、それだけなら他に居ないわけでも無いが、最低でも鬼クラスとされる怪人を単独で討伐している事か ら、その戦闘力は君たちS級にも匹敵していると推測される。さらにその戦闘力に加えて数分の内に別々の市に現れた複数の怪人を討伐している記録もある事から、移動速度は現存する総てのヒーローを上回る事は確実。テレポートに類する能力が有ると目されている。
S級に匹敵する戦闘力に類い稀なる移動能力、人格についてもこれまでの行動から考えれば問題が有るとは思えない。
我々ヒーロー協会としては早急にロックマンと接触し、ヒーロー協会に所属して貰うことを強く望んでいる。なのでS級待遇で迎えようとしているのだが、肝心のロックマンとの接触が中々出来ないでいる。そうだ。本人が怪人を倒せば直ぐに消えるからだ。
そこで童帝、君にロックマン探索と勧誘を頼みたいんだが、いいだろうか?ロックマンとの接触に君の技術力なら何らかの手段があると判断されたのだが
「大丈夫ですよ。ロックマンとはボクもとても会いたいと思っていたのでその依頼受けましょう……ええ、必ずミツケマスヨ……カナラズ……」
「ど、童帝、なにか怒ってない?交渉だよ?抹殺とか望んでないからね?」
ロックマンとしてヒーロー活動を初めて一月、評判はソコソコになるぐらい怪人を倒した。
本当に何体もの様々な怪人とたたかったりもしたけど、こんなプレッシャー感じたことない。今感じてるプレッシャーに比べたらこれまで感じた怪人の脅威なんて塵にも等しい。
「スバル、そろそろ学校行けるわよね?」
「お兄ちゃん一緒に学校行こうよ!」
「……」
今は人の姿、分身であるウォーロックと顔を見合わせてる。普通にウォーロックの姿を見えるのはボクだけ、因みに母と妹は特殊なコンタクトをしていてウォーロックの事が見えてる。原典みたいに姿が見えるとナゼか声まで聞こえる。
「ヒーローになれて、まさか学校に通うのが無理とか無いわよね」
無理ですが?(キッパリ)
何年も続いた不登校明けの学校とか、龍クラスの怪人に囲まれてティンティンってなった方が遥かに、遥かにマシなんだ!!
『いや、ほらヒーロー活動が忙しいし』
本体から半径数メートルしか離れられないウォーロック。学校とか暇な所は避けたいと必死。もし離れられたら即座にボクを売り渡して自由に遊んでると確信できる。逆の立場ならボクがそうすると確信してるから。
「その活動って毎日多くても二時間ぐらいよね。十分学校に行く時間は有るわねー」
「ほら通信教育で卒業資格は取れるし。これまで通り自宅学習で学校行かなくても問題ないと思うんだけど」
『そうそう。そうだよな!』
この世界、外で怪人が暴れたりするからネット経由でそれなりに何とかなったりする。
「問題はあるわ」
問題?そんなものなにも……。
「アナタってコミュ障じゃない。学校に行けば少しはマシになるでしょ」
「グハァァ」
『ぐぬぅうぅ』
バチン、心のHPにダメージ
「この前ニュースでロックマンのイメージは無口なクール系って言われてたのよね……たんに話す能力が無いだけなのに」
「『…………』」
HPが0になって爆発した。
その言葉はアカン。パネル破壊の移動縛りからのはめ技鬼畜コンボよりダメだと思うんだ。
「お兄ちゃんとウォーロックが死んだ。この人でなし」
妹が楽しそうにボクの教えたネタで止めを刺してきた。べ、別に良いんじゃないかな。イメージが誤解でも、クールで格好いいみたいに見られてるなら。
「学校なんぞいかんでも良いだろう。学校に行く暇があるならワシの実験に付き合う方が遥かに有用だ」
何かの機械を弄りながら父がそう言ってくれた。
そうだよね行かなくてもいいですよね!!実験には付き合わないけど
「なにかいった??」
母が目を父に向けた。
「いや!うむ!学校には言った方がいいぞ!!」
弱い弱いぞとおさん。
ペッ、所詮は土下座敗北する人に似てる父でした。
学校なんて行きたくない。
「ヒーローなのに情けない。お兄ちゃん(ロックマン)のファンだって言う娘もいるのに」
今のボクはロックマンじゃなくてスバルですので問題ない。
「まぁ何年も学校に行ってないのに、いきなり一人で行けと言うのも酷かしら…しょうがないわね。スバルの学校に行ってる知り合いの娘に頼むしかないわね」
……知り合いの娘?え、怖いんだけど、小学生の女の子は言葉がキツいから。
『……』
そこのニヤニヤしてるの。ボクの分身だろうが、見てるだけの立場だからか。本体が困るだけなら笑い物にしてオッケイなのか。
「うむ?それはあの小娘のことか……」
「お姉ちゃんのことだよね」
ん?この誰かは父と妹の知り合いでもあるので?僕まったく心当たりない。…家族で一人だけ知らないって少し。
「くぅーん」
あ、ラッシュも知らないか。
『家族でも犬と同等なのはなぁ……』
自分を傷付けるのやめーや。
「わん!わん!」
「こらラッシュ、お姉ちゃんの事が好きだからって吠えないの」
『…………』
「…………」
なんか今日は自棄に心にダメージを食らうねぇ。
「けど、お姉ちゃんと会わせてお兄ちゃん大丈夫なの?」
「そうだな。あの小娘は、特に不味いだろう」
会わせて大丈夫って心配されるような相手?
うーん小学生の女子が危険みたいな。
「あの小娘はヒーロー協会所属のヒーローをしてるんだろ?下手に接触させるのは危険でないか」
危険だわ。
なんで小学生にヒーローが、いや女子小学生のヒーローなんて居る?、記憶には一人該当者は居るけど女の子じゃないし。他にも小学生のヒーローが?って、そう言えば小学生とは誰も言ってない。学校に行ってる女の子としか言ってない。ヒーローをしてる教師か用務員かな。原作で出てないヒーローの人かな。
「スバル、駄目なの?」
「無理無理、ヒーローなら何時ロックマンとバレて面倒な事になるか」
「大丈夫よ。その娘ならバレても頼んだらバラしたりはしないわ。アナタたちもそう思うでしょ?」
「む、まぁ……バラすタイプではないか」
「うん、お姉ちゃんなら頼めばバラさないと思う」
余程信頼してる感じする。
そんな人をなんでボクだけ知らんのか。
「しかしバラさない代償に面倒な頼みをしてきそうではあるな」
「あーーうん、ありそう」
いい性格をしてる人か。気になるけど、あんまり会いたくないような。しかし母が会わせるって事はボクにとって致命的にダメな相手ではないってことだろうなぁ。
「とりあえず会って見ましょう?」
「う、うん」
仕方なく頷いておく
「連絡したら明後日には会えるそうよ」
『はや』
約束したのかー。
会ってはみよう
会わなきゃ良かった。
「初めましてスバルくん。知ってるかもしれないけど、ボクは童帝ってネームでS級ヒーローをしてるんだ」
「」
なんでS級ヒーローの童貞がいるの。ちょっと前、怪人を見付けて倒した時にちょっとトラブルが起きたから、S級の中でも一番会いたくない相手なんですが。訂正、プリズナーの次に会いたくないヒーロー。
「久し振りだな」
「ええ、お久しぶりです」
父と挨拶してる
まさか童貞が両親の知り合いとは、まぁ童貞は天才発明家みたいな相手だし、科学者の両親の知り合いって所では大変納得?。ボクとかかわりないのはナゾダケド、いやけど来るのは女の子じゃなかった?どういうこと?
「よろしくスバルくん」
童貞の手が握手の形で出てる。笑顔の童貞の握手に応じた……ら、なんか機械のアームでガッチリ固定された。え、本当にどういうこと?
「ああ、間違えた。初めましてじゃないか…ロックマン、また会えて光栄だよ」
ヒェ
『な、なに!?』
気付かれてる!?
「なんで気付いたかみたいな顔をしてるね。声の音声と体格が一致したからだよ」
「……な、なるほど」
言われて見たらそう言うので判るもの……。
「……やっぱり君がロックマンだね」
え、やっぱり?その台詞まさか……
「スバルにかまをかけたのね。その反応で確信したって所ね」
おおぅ
「正解です。声と体格だけだと少し証拠には足りませんしね」
つまり、迂闊に自白したって事。
「まぁもし誤魔化されても…」
言葉を濁したのは今証拠が無くても、証拠を別に探すって事かな……監視とかされてたらアウトだわ。会った段階でアウト 童貞が相手だと知ってれば会わなかったのに。少なくとも警戒はしたのに……しても意味なさそうだけど
それにしても……
「童貞くんはボクを騙すのに女の子って嘘もついたと……」
小学生のヒーローって可能性で童貞の可能性も考えれたのに、女の子って情報で違うって結論を出してた。両親はなんで女の子扱い……女の子と嘘をつくのを頼まれてたか騙されてた?
「え?」
「え?」
なに反応?両親が童貞を女の子扱いしてた、ボクとか関係なく普段から女の子と言ってた?
女の子と名乗れば女の子に見えるけど、てかスカート履いてる。……普段から女の子と、まさかこの世界では童貞は男の娘だったとは。とんでもない原作違いでゴザル。
童貞が本物の女の子の可能性?いやその追われた時の事故でその見て触る機会があったけど膨らみがなかった。あれで女の子とか……想像するだけでも失礼。……女装ショタ……。
『ぷりぷりの同類の変態かよ』
ぷりぷりプリズナーの枠に入る変態がS級に他にも居るなんて……このロックマンの目をもってしても見抜けなかった。
男の娘は口を引きつらせていた。
「う、うん、スバルくん、何か誤解してるようだけど、ボク……女の子だよ?」
「はは、嘘乙」
「…………」
アンギャーー
握られた手がギリギリ言ってる。折れるよ。潰れるよ。男の娘の誇りを傷つけたから?
あのー家族の皆さんボクの悲鳴を無視しないで、何でボクが悪いみたいな目を?