雄英サポート科を受験することにした。
普通科も選択肢にあったがサポート科の方にした。ヒーロー科?教師にも薦められたが考慮にも入れていない。
中学を卒業し特に波乱もなく私は雄英サポート科に合格した。ヒーロー科の倍率300なんて異常数値には及ばないがサポート科の倍率も並みじゃなかったが、試験は難しかったが何とかなった。この体の知能で何とかなった。……問題といえば、前世の学力では全く問題が解けなかったと確信できたのが少し悲しいだけだ。
今日は初登校日。
いよいよサポート科の教室につく
楽しみであり少し不安だ。
サポート科は文字どおりヒーローのサポートが役割。ヒーローのコスチュームなど装備アイテムを造る事が役割だ。
アニメ等の物語のイメージだがヒーローのサポート役と言えば、ヒロインの様な可愛いキャラも居るが、変人やマッドな登場人物の方が多い。
アニメと現実は違うが、残念ながら此処が漫画かアニメ世界だという疑惑がある。イメージ通り変人の多い教室ではないかと少し警戒心を持っている。
教室に入った
既に先に生徒が半数ほど来ていた。
え、なにコイツ?みたいな目で見られた。
試験を受けるときにもこんな目で見られたな。
なんなんだろうな。
私(セル)がサポート科だと可笑しいか?
む、誰か近づいて来た。
ゴーグルを頭に付けたピンク髪の女子だ。
頭のゴーグルは変だが見掛けは可愛い部類と言えるな。それと笑顔、張り付いた様な笑顔、悪意は全く見えない。そして強そうにも見えない。しかし何故だ?警戒心が沸く。警戒心についで危機感が沸いた。この体になってそんなものと無縁となったと思っていたが……何なのだ?
私の勘が全力で告げている。
目の前の女子に関わるのは不味いと。
「どうも初めまして!ここに来たって事はこのクラスの同級生さんですね。私は発目明と言います。アナタは?」
顔を近づけて挨拶をされた。
距離感が近いな。
「あ、ああ神像瀬流(ジンゾウ、セル)という」
名前の事は私に聞かんでくれ。
根本的に名前が変な事よりセルと名前がついているのは、まぁ気にしたら負けだろうと思っている。
「神像さんですね!これからよろしくお願いします!あとアナタとても体が頑丈そうですね!あとで少し私の研究を手伝ってください!」
この台詞だけで理解した。
コイツ変人かマッドの類いか。
少なくとも頑丈そう=研究の手伝い。どう考えてもろくな事ではない。
「スマナイが断るよ。それとソロソロ教師が来る時間だ。失礼する」
「わかりました!後で協力御願いしますね!」
話を聞いてるようで聞いてない。
私は彼女の言葉を聞かなかったことにして決められていた席についた……まさか隣になるとは!
「おお!神像さん!隣同士になるとは、これは運命というヤツですね!」
可愛い少女が言った台詞だが、全く嬉しくない。
私の姿を見て気後れする女子は居たがジロジロ見てくる少女は初めだ。やはり嬉しくない。
視線を無視しながら雄英に入ったのは失敗だったかと頭を痛めた。
雄英サポート科に入学してから月日は流れた。と言っても数日程度だ。
このたった数日だが、ナンバー1ヒーローが教師をしてる事からマスゴミが雄英を襲撃したり、ナンバー1ヒーローを狙ってヒーロー科授業中にヴィランが襲撃したりとイベントはわりと濃厚にあった。
まぁヒーロー科が主でサポート科にはほぼ関係ないイベントだが。面倒に巻き込まれなくて良かった筈なんだが……残念な気分もある。
初だろうな。雄英みたいなエリート高にヴィランの集団の襲撃、まるでアニメ漫画のイベントだ。もしや襲われたクラスに主人公がいたりするのか?まさかな。
其れにしてもヴィラン襲撃か。
襲われたのは危険だった、だろうな。
しかし危険度で言えばサポート科も負けてない気がするんだがな。
私が向かっているのはサポート科の開発室。
扉の周囲には焼け焦げた跡。
中からは機械音。
警戒しながら私が開発室の扉を開けようとした瞬間、爆発音、衝撃波と続いて爆風に包まれる。何かが飛んできた。
ピンクいろの頭、予想通と言うのか。私は飛んできたモノを瞬時に理解し避けたい衝動を抑え飛んできたモノを受け止めた。
「ケホッ、ケホッ、おやセルさん」
発目嬢が漫画みたいに煙を吐いてから平然とそう言った。怪我は見えない。あの爆発でなんで無傷なんだ?
「は、発目、いい加減にしろ……」
其処のプロヒーローのパワーローダー先生が見かけ瀕死になってるんだか。
「いやいや少し新しいベイビーの試運転に失敗しました!試運転はセルさんに頼めば良かったですね!」
本人に抱えられながら良く言えるな……。
初めて発目嬢が私が頑丈そうだと初日に狙った理由は自分の造ったベイビーと呼ぶ作品の使用テスト相手としてだった。……お試し第一回目でさっきみたいな爆発だ。
それで私が無傷と判明すると、何度も強引に発明品のテストをさせてくるようになった。
私が普通に耐えることからか日々過激になっていく作品、失敗の爆発の規模はドンドン大きくなり、たった数日でプロヒーローがダウンする規模となった。
「…いい加減に安全性が大事だというのを学んだらどうだ。こんな爆発する代物をヒーローは使えん」
「大丈夫です!セルさんに試して貰った後のベイビーには安全措置を万全にとっています!」
そう中々に良い笑顔で言った。
「パワーローダー先生、真面目に出禁にした方がいいのでは?」
「え?」
「…あぁ…神像………残念ながらコイツで出禁になるならサポート科の大半が出禁になるんだよ」
サポート科を真剣に辞めようか検討するに値する言葉だった。
普通科に転科出来ないか聞いてみると少なくとも体育祭が終わってからと言われた。もうすぐ体育祭がある。体育祭か。そう言えばあったな。
入学からこんな直ぐか。まだ入学から数日ぐらいしか経ってないぞ。
仕方ない。間近に迫った体育祭はサポート科として出る事になる。サポート科だけは体育祭に自作の装備持参で出て良いそうだ。
入学から数日だが私にも造った作品はある。
「私の作品に観客の驚く顔が今から頭に浮かぶ」
「むふふふ、セルさんには悪いですが!体育祭では私の、ドッ可愛いベイビーが一番輝きますよ!!」
「ほう」
お互いに顔を見合わせ不敵に笑った。
「あ、発目に神像、お前たちが体育祭に持ってくサポートアイテムには検閲を入れるからな」
なん、だと?
「ちょっと待て!私は発目嬢と同列扱いなのか!?」
「そんな心底ショックな反応をしますか?流石に私も傷つきますよ?」
いや君はこの程度で傷つかんだろ。
「お前、常識人ポジじゃないからな?発目の同類だからな」
「先生……私を変人だと言うのか?」
「なんで私の同類で変人何です?」
当然の事を聞こうとする発目嬢(変人)は無視する。
「……じゃあ神像、お前、どんな装備を持ち込もうと思っているか言ってみろ」
「む?普通に攻撃と捕縛アイテムを考えている」
装備と言うのは足りないものを補うためにするもの。もしくは強化するためのものだ。ただ他ならともかく私に足りないものなど無い。
移動は飛行も可能であり素のスペックで十分。防御もこの体以上に固い素材を知らないので十分。最後に攻撃面は本当に十分過ぎる。
そう考えると本来なら私に装備など要らないが、しかし防御力も移動力も高くて困ることはないが、攻撃力だけは高過ぎると問題がある。人を殴った事がなく手加減をどの程度すれば良いか見当がつかない。軽くやったつもりで大惨事などもあり得る。
そこでアイテムが必要となる。捕縛や攻撃を自分でなくアイテムに依存すれば何の問題もない。
「その……攻撃と捕縛というのはスライムだったり腹痛を引き起こすアレだよな?」
「大雑把に言えばそんな感じのアイテムだな。何か問題があるのか。安心安全で効果も抜群なアイテムだが」
私の細胞を少し混ぜたら出来上がった"自動で"相手を捕縛するスライム。多少再生力があり服だけを溶かす能力あり。相手を無傷に抑えるのに最適なスライム、問題はエロい事ぐらいだ。
命名はスーパースライムくん。
ドラゴンボール初期でエロ豚を行動不能にした腹痛キャンディーを参考にしたキャンディー、キャンディーを直接飲ませるのはもちろん、粉末にして撒けば多数を一斉に鎮圧可能と言う素晴らしいアイテム。問題は無差別で被害範囲が広い所のみ。
命名はPP……いや、お腹痛いよキャンディー。
分かりやすい良いネーミングだろう。そしてどちらも素晴らしいアイテムだと自負している。ただまだこれしか出来ていない。
他にも試しに作った斧とヨーヨな武器もあるが、少し危険なので出さない。
「問題しかないからな?安全はともかく安心はないからな?使ったあとの絵図を考えろ!?特に今回は公共に放送されるんだからな!」
「確かにアレはアウトですよねー」
ダメなのか。
「発目嬢ですらダメだと思うならダメだな」
「私すらってなんですか」
「しかしアレもコレもダメとなると……………作る時間もない…………今考え付くのは投網ぐらいしか無いな」
パッと思い付いたモノだが案外いいな。
必要なのは頑丈な網と網の発射機構ぐらいでお手軽だ。
時間的にも十分に間に合う筈だ。
「なぜ投網です?」
「あぁ例年初めはマラソン等の全員でやる競技が多いからな。集まってる所を初手投網で一網打尽に……」
素晴らしい作戦を話しているとパワーローダー先生が肩を掴んだ。なんだ?
「神像、お前、アイテムの持ち込み無しで出場な」
ん?