ボク緑谷出久はそこら辺に居るヒーロー志望の少年、ボクはもう中学三年、先生が高校の進路の話しをしている。ボクもヒーロー科目指してるけど大体がヒーロー科狙いなんだ。無個性のボクが思うのも何だけど……本気でヒーローになろうってつもりなのかな。
「爆豪は雄英のヒーロー科志望か」
「ま、マジか!あの雄英を受けるのか」
「雄英なんていけるのか!?」
「は、オレはモブ共とは格がちがう。俺なら確実に合格なんだよ」
うーん、幼馴染は相変わらず自信過剰、ヒーローに成れるとかよく思えるよね。強さならプロヒーローにもなれそうだけど、才能と性格が反比例してるタイプだしね。雄英に人格審査とかあったら跳ねられるよね。
それに雄英に行くのに成績はともかく内申は大丈夫?今朝も個性の無断使用とかで怒られてたよね。何故かその件でボクに怒ってきたし知ってる。
「そう言えば緑谷も雄英高校志望か」
!!?
驚くよ。隠したかったボクの進路希望を先生が勝手に皆の前でバラしたんだから、え、なんで言ったの。先生は無神経なのか、性格が悪いのか。どっちにしても担任としては大外れだよね。
『『『………』』』
ほら戸惑ったような空気が発生した。
「緑谷…が?雄英に?」
「成績は良いけど無個性の緑谷にキツいだろ?」
「そっかな。緑谷は無個性だけど…体育だとスゴいし」
「試験次第じゃね」
だから言って欲しくなかった。この微妙な評価はイヤだ。無個性でももしかしたら行ける?って感じの評価か。
無個性だけど、個性抜きな体育ではトップだし。ボクが拷問、もとい、死ぬほど努力してる姿はイヤでも見られてたからこれぐらいの反応なんだろうなぁ。これで何の努力もしてないようだったら笑われたりするのかな。ありそう。約一名とか絶対に笑う
あ、笑うんじゃなくて怒るのか。
いま実演してる。
「おら!!デク!凡個性どころか無個性のテメェが俺と同じ雄英だと。ふざるな!」
また個性使って机爆破する。爆竹ぐらいで机に焦げもつかない程度なのは小物というべきか。力の制御が凄いと言うべきか。
先生の目の前だって知ってる?
まああの先生はスルーしてるけど、やっぱ担任として大外れだよね。
話しを聞いてみると要するに自分が雄英に行くから邪魔?邪魔って、なに考えてるんだろ。ヒーロー科目指して内申とか気にしてる筈なのに、一応先生の前で暴言プラスして机を軽くでも爆破してる。これで雄英のヒーロー科に合格できたらある意味怖いよ。
面倒だしスルーした。
「無視すんじゃねーーー!!!」
面倒くさいなぁ。昔は怖がってた時も有るけど何時もの事だし慣れた、ピトーのやることの怖さと比べたらねぇ。チンピラと大物ヴィランぐらい差がある。例えに特に深い意味はないよ。
授業は終わった。
「デク!話しはまだ終わってねーぞ!」
帰るときにもまだ絡んでくるとかしつこい。
そんなだから……
「迎えに来たよイズクーー!」
「ぐはぁぁああ!!!」
「カツキーー!!」
迎えに来たピトーに轢かれて白目向くことになるんだよ。どんな威力でぶつかったら人が空を飛ぶのかな。
「何か轢いたかな?気のせいだね。それより帰るよイズク」
ボクが小さな頃から家にいるネコみたいな生き物、ペットを自称するボクのお師匠さまのピトー。気絶させた人の顔をわざと踏むのは良くないよ?脚で顔をゲシゲシしてる。
「緑谷いいかげんそのネコの躾ちゃんとしろよ!」
幼馴染みの友人(手下?)が文句を言ってきた。遠くにいるのは前にピトーを止めようとして酷いめにあったからかな。
「躾られてる方に無茶言わないでほしい」
「おまえが躾られてる方なのか!?」
躾られてるし!僕が小さい頃から世話をしてもらってるし逆らえないんだよ!本当に小さい頃から…あれ、昔を思い返すと全くピトーの姿かわってない。ピトーって年齢いくつなんだろ。あ、ごめんなさい考えないので野生の目を向けないでください。
その後気絶してる幼馴染を放置して帰ることに、ほんの少し悪いと思ったから起きるまで待ってようかと思ったけど、そのネコ居るとややこしくなるから帰れと幼馴染みの友人に言われた。まぁ確かにピトーなら謝るどころか追い打ちかけるとかしそうだからお言葉に甘えることにした。
帰り道は独りと一匹
「で、今日はなんでアレは絡んできたの」
帰りながら今日の事を話した。
「ふーん、イズクがヒーローに成るのが気に入らないって、それにやっぱりアレも雄英に行くって?それもトップヒーローになるって。プッ、こんな可愛いネコにぶつかっただけで気絶するのにトップヒーローって笑わせるよね」
「……ピトーと車がぶつかった時って吹き飛んでたよね?車が」
無視して頭に乗るピトー。
「重たい」
「イズク乙女に重たいとかデリカシーがない」
食い気しかないピトーに乙女心って、というか
「重たいのピトーが持ってきた亀の甲羅のことなんだけど。また重さが増量してるよね」
持ってきたんだ亀の甲。
そんなのもって頭に乗るから首がグキッて言ったよ。首の骨が折れると思ったよ。
修行の道具ってボクの為なんだよね。昔ピトーにボクはヒーローに成りたいって言ったんだけど、ヒーローになる為に協力してあげると修業という名の拷問を色々としてくるようになった。無個性のボク相手にヒーローになるの賛成して協力してくれるのピトーぐらいだし。有り難いと思うんだけど……ヒーローに成る前に生きてるかどうか不安なんだ。わりと毎日臨死体験するんだ…
「ボクみたいなそこら辺に居るネコに持てる程度の重さのモノを楽に背負えないと、ヒーローなんて夢のまた夢だよ」
ピトーはネコみたいな超生物だよね。最低でもボクの何10倍、何百倍の筋力あるよね?ピトーがそこら辺に居るネコなら人類は淘汰されて世界がネコに支配されてるよね?ネコ好きには嬉しい世界だろうなー。ピトーがたくさんかー
「どうしたのイズク真っ青な顔をして」
「うん、ちょっと地獄絵図が脳裏に浮かんでね」
「ふーん?そう言えばイズク」
「なに」
「なにか近付いてるの気付いてる?たぶんヴィラン」
「うん……」
ピトーから散々その手の訓練は受けさせられたからね。主にピトーの手下で兄弟子な野良猫相手に。二足歩行とかしてるし凶器は手で持てるし。本当にネコか疑問がある兄弟子な猫相手に。ピトー既に改造とかしてないよね?
気配的にヴィランぽいし。流石に今は修業とかしてられない。ボクは亀の甲羅を落としたらドシンと落ちて地面にヒビが入った。地面にヒビが
「ねぇ?やっぱり重さが可笑しいよね?」
「それより出てくるよ」
出てくるって、姿は見えない。変だな気配は近くに感じるのに姿がまるで見えない。隠れてるのか。見えない ほど小さい。それか透明な相手…あ…そうか。彼処か。
マンホールから液体の様なモノが溢れた。やっぱり地下から来てたのか。
「お、ラッキーだ。Mサイズの隠れ蓑が直ぐ近くにあるなんてな」
げ、液体系のヴィラン。それにMサイズの隠れ蓑、たぶん僕の体狙いって事だよね。なんでこんな面倒そうな相手と帰宅してる時に出会うんだろう。不幸だ。液体だけで本体みたいなのは見えない。液体しかないのか本体が見えないのか。どっちにしても無茶苦茶厄介そうな相手だ。
「い、イズク」
ピトーの声が震えてる。まさかピトーが怯える程の相手なの!?
「臭い」
なんだ。ピトー鼻が良いからか。
頭が軽くなった。
「イズク頑張れ」
声の方向を見ると風上の臭いが届かない家の屋根の上にいた。ボクの頭から一瞬で移動した?瞬間移動とかしてない?相変わらず早すぎる。
それで頑張れって、頑張ってヒーローが来るまで足止めしろってことだよねー。逃げろなんて優しいことを言うわけがない。
「な、なんだあのネコ!?」
ヴィランの人が驚いてる。
まぁ驚くよね。
向こうの猫を狙いません?
「ってアイツが来るんだ猫なんてどうでも良い!急いでそのMサイズの隠れ蓑、体を貰わないとな!」
液体が飛び掛かってきた。遅い。野良猫のマタタビくんがデブになった時より遅い。相手から視線を外さないようにバックステップで避けれた。
「避けるな!」
「いや避けるに決まってますよね!?」
速度を上げて連続で飛び掛かってくるのをバックステップでかわしていく。ピトーに餌を全身に付けられて野良猫相手に耐久レースやらされたときに比べたら楽勝!あ、楽勝なんて顔をしたらピトーの訓練が悪いこと考える!ひぃい!ピトーが何か考えてる!ど、どうしよう。このあとが怖くて仕方ないよ!今襲ってるヴィランよりピトーの方が万倍怖いってどうなんだろ……!!
「時間が無いっていうのに!」
「時間が無い?」
そう言えばさっきから慌てた様子かな、何か用事がある。それか追われてる?あ、追われてるが正解か。確かに時間はないね。もう来たみたいだから。誰かがマンホールから飛び出して液体ヴィランに飛び掛かった。
あ、あの人は!!
「君!動かないでね!SMASH!」
拳の一撃に液体ヴィランが飛散した。
拳一発でとんでもない衝撃!
いやボクにとって物理的な衝撃より精神的な衝撃の方が大きい。眩しい笑顔にVの字に見える金髪の巨漢。あの一撃の強さ!こ、こここの人は、この人は!
「さ、サイン下さい!オールマイト!」
ボクはノートを取り出してそう言った。
「は、HAHAHAHA!いいよ!」
一瞬オールマイトからなにこいつみたいな目で見られた気がするけど気のせいだよね!
「ただちょっと待ってね!」
オールマイトがヴィランの液体を集めて500ミリのペットボトルに……え、今どうやっていれたの!?明らかに容量越えてたよね!?さ、流石はナンバーワンヒーロー常識が通用しない!?
「さて!サインを書いてあげるよ!」
摩擦熱でノートが燃えるかもって速度でサインを書いてもらった。
「それじゃあ!急ぐから!」
オールマイトが跳び去っていこうとしてる。
「あ!ちょっと待ってください!」
ボクはとびたつオールマイトの腰に抱きついていた。
「はやっ!って、君なにしてるの!?」
うん、本当になにしてんの。
聞きたいことがあるからって何で抱きついてるんだろうねボクは。オールマイトに抱きついたまま空の旅にでることになった。
下にピトーがいるのが見えた。
ピトーの唖然とした顔は始めてみた。
え、なに、イズクが液体のヴィラン倒した巨漢の野郎と飛んでいった。
本当、何してるのイズク。
なんで巨漢の人に…あ、そう言えば、あの巨漢、何度も見たことある。物凄く、物凄く見覚えが、あ、ああ!!イズクの部屋に大量に貼ってあった巨漢だ!?ナンバーワンヒーローの!!?い、イズク?本人を見て我慢できずに思わず抱きついたの!?セクハラ!?痴漢!?何て言うの!?このままだとイズクが警察送りになる!?流石に飼い主が巨漢の男に痴漢して捕まるとか勘弁してほしいよ!
「イズク早まった真似はしないで!」
抱きつくとかもう早まってる真似かな!そこから更に進むかもしれない?阻止しないと!
ボクは肉体を人型にして巨漢を追い掛けた。どうか無事でいて巨漢の人!直ぐに追い付いて……す、姿が見えない、ま、まだなんとか飛んだ方角と匂いでおえるはず!直ぐに見付けないと!ちょっと探すの手間取るだけでも焦る!!
どこいった!
あ!イズクの匂いがここら辺から……
あそこ!あのビルの上か!!
ビルの上に登るとイズクがいた。イズクが居るってことはあの巨漢の人もと思ったけど、居ない?イズクの他にも人は居るけど、え、もしかしてあれ?ガリガリだけど……ふ、服装的に巨漢の人としか…ま…まさかそんな!!ふ、服が乱れて見るも無惨に生気が抜けた様なガリガリな姿になってる……ってことは……てことは……
て
手遅れだったぁぁ!?