衝動的なの   作:ソウクイ

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インプモン

 

彼は気付くと闇の中にいた。

 

身体の前後左右に硬い感触。

 

彼は狭い空間じ込められてると焦った。 

 

焦ったのだが彼が少し強く動くとパキパキという音を立てて壁が割れ。割れた部分から光が見えた。彼はアレ?案外簡単に出れそうとだいぶ安堵し、身体をさらに動かし壁を割っていった。

 

壁が大きく割れ外に出たと思った瞬間。

巨大な手が見えた。

彼が巨人!?と驚くなか巨大な手が彼が入っていた"卵の残骸"を取り除いた。

 

巨人な手が彼に触れた。

 

「わぁ産まれた」

 

喰われると思う彼に予想外に可愛らしい声が聞こえた。彼を見詰める女の子。その女の子は小学生ほどでしかない。しかし彼には少女が巨人に見えた。

女の子が巨人く女の子は"彼から見て"巨大だった。

 

「可愛い」

 

「……コイツは」

 

ヌッと女の子の後ろから顔を出したオレンジのライオン頭の人型の獣、彼は驚いて鳴き声を上げた。

 

「わ、鳴いた。怖がってるのかな」

 

「むぅ…俺を見てか?」

 

「あははレオモン大きいもん仕方ないよ。あ大丈夫だよ。怖くないよ。レオモンは大きいけどとても優しいから」

 

女の子はまるで自慢する様に胸を張ってそういった。後ろの獣人、レオモンと呼ばれた誰かは、わかりにくいがテレてるようだ。

 

彼はその照れた獣人を凝視していた。

彼は獣人の姿と"レオモン"と呼ばれた事に何やら酷く反応している。その目はあり得ないものを見たと言いたげだ。

 

「コイツをどうするんだ。役所か警察に連絡するのが適切だと思うが」

 

彼はえ?と思った。

 

「んーー……家に連れて帰っちゃダメかな」

 

「連れて帰るのか………一時的に保護するという事なら大丈夫だろうが」

 

「大丈夫なんだね。じゃあこの子を連れて家に帰ろう。さ、行こうね」

 

固まったままの彼は女の子に持ちあげられ女の子とレオモンは家に向かう。女の子にお持ち帰りされることになった彼。本人の認識だと年齢は20を越えてるのにだ。

 

 

 

 

もうだいぶ昔、人類に"個性"という力が発現した。

 

初めは少数だったが今では人類の大半が個性持ち。

そんな個性が根付いて"個性"社会と呼ばれるようになってから何年か後、ある異形形の個性が誕生した。

 

ある母親は赤ん坊の代わりに卵の様なものを産んだ。卵な事に医者は不思議がった個性のせいで色々な形で赤子が生まれるようになっていたが、卵の姿はその時が初だった。

 

そして数日して卵から産まれたのは、それはとても人に見えない小さく弱そうな生き物。

 

産まれた生き物は当初は見かけ通り弱く弱小個性だと思われた。しかし産まれた何かは姿を変えて強くなった。別生物になるように姿を変えて。

 

それから多くはないが卵から産まれる人が出てきた。そして成長すると姿を変えた。

その個性は全員が卵から産まれて進化するよう姿を変え、他にも信頼関係を持つと有るものが出来る等、個性社会でも特別と思われるほど特徴的であり特定する名称が付けられた。

 

そしてその名称が……姿を変える時にデータの様な文字が出て様々なモンスターの姿に変わる事と、本人達が進化する時に共通して○○モンと名乗る事もあり、デジタルモンスター、

 

略してデジモンの個性と呼ばれるようになった。

 

 

と、まぁそんなデジモンの一匹がオレなのだ。

 

デジモン、デジモン、本物なんだよな。

 

なんでかなぁぁ。

 

今の自分の事を考えるとため息が出る。もう何年も経ってるけどいまだにわからない。なんでデジモンになってるんだ?なんでデジモンがふつうに世界にいるんだよ!!しかも個性ってなんだ!

 

 

オレには産まれる前の記憶がある。なんというか此処とは違う世界の前世とかの記憶だ。

 

前世オレはデジモンでなくて人だった。いやここじゃデジモンは人なのか?オレが知ってるデジモンは人じゃない。デジモンはデジタルワールドって所で生活していた人間とは完全に違う存在。あとデジモンはアニメでの話。

 

因みにどんなに遡ってもこの世界にデジモンのアニメは無い。多分いまいる世界は前世は平行世界の地球とかそんなかんじだ。

 

 

まぁとにかくデジモンに転生した。

理由は不明!

親も不明

オレは捨て子らしいから。

 

親に捨てられた……デジモンに親とか居るのに驚くよな!親に捨てられたとかよりデジモンが人から産まれてる話の方がショックだ。デジタマを産むのか?

 

因みに俺みたいに親に捨てられたの特別な事でもないよう。デジモンの子供は親にすてられる事が多いそうだ。理由は育てるのが困難だからとからしい。

 

まぁデジモンとか育てるの難しいよなと当事者ながら思う。小さめのならともかく大型系のデジモンとかなったら一般家庭とか無理だろうし。

 

あとデジモンの凶悪犯罪が多いってのも手離す理由にあるだろうな。おれみたいに捨てられたデジモンが親を恨んだりして暴れてるそうだ。

 

親に捨てられた恨みねぇ。  

 

オレも立場は似てるけど共感とかは無理だな。俺とか本当に恨みとかないし。そもそもやっぱデジモンの親とかピンと来ないし。前世のマトモに育ててくれた親の記憶もあるし。それにこの世界に親みたいな相手もいたし。捨てた親とかどうでもいい。

 

まぁ仮にオレに恨みとかあったとしても暴れるのか絶対ないな。テレビを見てしみじみ思う。

 

『きぃぃぃ誰よ誰よ!ワチキのライブの邪魔をするなんて!』

 

テレビの中でマイクを持ったサル…エテモンが叫んでる。アニメのデジモンでは強敵だった完全体のデジモンだなぁ。リアルエテモン、なんかハリウッドなCGのデジモン見てる気分。

 

因みにこの世界のデジモンの完全体はスゴい稀少でスゴい強い扱い。

アニメとかだと一山幾らぐらい簡単に出てくる完全体だけど、この世界では完全体とか無茶苦茶レアで強いのだ。デジモンの個性持ちはこの世界で数百ぐらいとからしい。基本的に例外なく強者枠みたいだ。強者の中の強者か?

 

この世界で強者と言えば個性犯罪者のヴィランと戦うプロヒーロー。

 

なのにデジモンは成熟期で既にプロヒーロー並みの力があるとか言われてる。ここはプロヒーロースゲェというべきだな。例えばグレイモンは成熟期。グレイモンッて……小型のゴジラだよな。生身で同等とかプロヒーローが可笑しい。

 

その成熟期の格上の完全体ともなると、トップクラスヒーローとも張り合える力が有るとか言われてる。

 

 

あ、因みに成熟期がプロヒーローなのに成長期って一般人なみ。たぶん成長期と成熟期でゲーム的なステータスで言えば10倍以上は軽く違う。イメージ的にノーマルがスーパなサイヤジンになるぐらい。

それだけスゴいせいか進化をするのもとてつもなく大変らしい。

 

他人事と言われてもまだ苦労してないし。オレとかデジモンになって五年だけど特に何の苦労もなく成長期。ただ成長期まではサクサク行くけど、成熟期になるの大変らしい。成熟期は4、50代になってもなれない人がいるとか。

オレ成熟期になるの何時かな。成人ぐらいで成熟期でも普通らしい。この姿で成人こえとかは勘弁してほしいなぁ……まぁ年齢5才で心配することじゃないけど……デジモンだと結構な年齢に思うけど。

 

普通だと成熟期で終わりでも普通らしい。その上の完全体になるのは猛トレーニングとかした上で、一部の選ばれしモノだけがなれる扱い。

 

完全体の上?

 

一応いる。怖いのが……あの地区で完全体が暴れてるし今回でてきそうだよな。

 

『その騒音を中止しろ』 

 

声だけが聞こえる。声が前世で活躍してた往年のヒーロー。

 

『は?誰よアチシのライブを騒音とか言ったの!それと!ライブを止めるのはい・や・よ。なんで止めなきゃいけないのよ!』

 

『周りを見ろ!お前の歌で多くの無き人が倒れているんだぞ』

 

確かに倒れてる……倒れてるなかに何人かプロヒーローとかも混ざってるなー。プロヒーローが情けないんじゃなくてあのエテモンの強さが可笑しい。

流石はデジモンでボスみたいな役をしてたと言うべきか。

 

……まぁ声の相手には絶対に勝てないだろうけど。

 

『あちしの歌に倒れるなんて失礼な奴等なんてどうでもいいわ!それより誰よ!出てきなさい!』

 

あー相手を完全にわかってない。完全体だけに、まぁ知ってたら全力で逃走をしてるか土下座してるよな。

 

『そうかならばもう容赦はしない……望み通り出てやろう。そして!』

 

テレビから風切り音が聞こえてきた。

 

とか良く通る声を出しならが赤いマントをはためかせて空から落ちてきた純白の騎士。大きな丸い盾と槍を持ってる。ヒーロー登場。

 

『このデュークモンの正義の槍がお前を罰する!』

 

『え、うそ!デュークモン!?そんなの反則よ!?』

 

遠目にも青ざめてるの判る。反則って言いたい気持ち判るわー。

 

『受けてみろロイヤルセーバー!』

 

わぁ初手必殺技

 

プロヒーローに必ずある必殺技……必ず殺すと書いて必殺技だけど、職業としてヒーロー。この世界にある職業としてヒーローなプロヒーロー。ヒーローは警官みたいに基本敵を殺したりしたらダメなのだ(重要)

 

『に、逃げな、ギャアアァ!!』

 

ぶっとい槍に刺されて断末魔の叫びを上げるエテモン。文字通り必殺技だぁ(白目)

 

『生まれ変わってやり直せ』

 

エテモンが消えてゴトリと落ちた卵。

デシタマだ。デジモンはヤられるとデシタマに戻るんだ。だから殺ってない扱い。

生まれ変わってとか言ってたし殺ってるよな?

 

完全体のエテモンをアッサリやった純白の騎士。完全体のエテモンをだ。完全体の、大事な事は二度言った。

 

つまりは一撃で倒したあの騎士は完全体より格上の存在……究極体。完全体ですら稀少なこの世界、世界全体の善悪合わせても二桁少ししか居ないそうなデジモンの究極体。

 

究極体デジモンのデュークモン。善側、ヒーロー側の究極体はロイヤルナイツとか呼ばれてるそうだ。

 

デュークモン、前世ではトップに好きなデジモンだったんだけどなぁ。……今のオレの"姿"を考えると厄介そうでなんか嫌だ。エテモンみたいにぶっ刺され光景が簡単に浮かぶし。

 

なんたってオレは……

 

「インプモンお風呂に入るよ」

 

そ、オレはインプモンだ。

 

紫ぽい黒い体の小悪魔ぽい成長期デジモン。アニメだと裏主人公とか言われてた。アニメのインプモンの"先"を考えるとデュークモンとかちょっとと思うだろ。それにさっきオレの名前を呼んだ捨てられてたオレを拾ったコイツの名前がアレだし。

 

ソイツかお風呂とかいってなかったか。ん、お風呂、お風呂?

 

「おいこらジュリ!オレを風呂にいれようとするな!おれ一人で入るから!」

 

オレを拾った女の子の名前が何の因果か"加藤ジュリ"、オレがそう思ってるせいか、姿格好も本気でインプモンが裏主人公してたアニメの加藤ジュリと同じにしか見えない。……中身は違うけど。

 

「だーめ。インプモン一人だとお風呂を適当にすますでしょ」

 

「ちゃ、ちゃんとやるから!」

 

なんか小学生ぽくも見えるけどジュリはもう15才、流石に15の女の子と一緒にお風呂とか勘弁してくれ。肉体的には幼児だけど中身はおっさんだし

 

「だーめ、そう言って適当にやるでしょ?」

 

「れ、レオモン!」

 

座禅してワレ関せずみたいにしてる獣頭やろう。止めろよ。

 

「…ガンバれ」

 

そういった役立たずのレオモンは加藤ジュリの実の兄。加藤ジュリにレオモン、そしてオレ、インプモンと考えたら偶然にしてもあれだろう。

 

「ガンバれじゃねぇ!実の兄なら妹を何とか止めろよ!男と入ろうとしてるんだぞ!?」

 

「クスクス、男ってインプモンまだ五歳じゃない」

 

肉体年齢的には幼稚園、インプモンの見かけも不通、普通の幼稚園児ぐらい。

 

「いやいや!前の記憶があるって説明しただろ!精神年齢20越えてるんだぞ!?」

 

赤ん坊みたいな扱いはイヤだしだいぶ前に二人に説明してある。流石に転生とかあれだし記憶無くさずにデジタマに一度戻ったみたいな説明をしてある。とにかく精神年齢は五歳でないと理解してるはず。はずだよな!?

 

「聞いただけど、それがどうした!かな?さ、お風呂行くよ」

 

「まてまて、まてまて!なんで気にしないんだよ!?」

 

「だってもう何度も一緒に入ってるし。なんでそんなに抵抗するかな」

 

何度入っても慣れるかぁ!てか精神年齢二十歳越えと入れる理由になってねぇ!オレが枯れてるとか思ってるのか!?それともやっぱり五歳児扱いなのか!?

 

ガシッ

 

ん?

 

「抱き抱えるのやめろぉ!!」

 

ジュリに抱き抱えられるオレ。

微妙に柔らかい感触が、感触が。

くそ!此のままだとまたお風呂に!   

 

本当は女の子と入りたいんだろ?入りたいわけあるか!!気まずいんだよ!罪悪感と理性の葛藤で胃が死にそうになるんだよおお!デジモンにストレスは天敵だ!寿命に直結する!ネットで言ってたインプモン知ってる!このままじゃストレス死にするわ!

 

ど、どうする。

 

この体制で抵抗したらジュリが転けたりする。怪我でもさせたらレオモン切れて別の意味でヤバイ。何とか何とか切り抜ける方法は!ねぇよな!あったら何時も逃げれてるわ!

 

「……」

 

あぁーー!!あの無関係そうな顔をしてる獣頭野郎!一度でも良いから助けろやぁ!は!そうだ。

 

「な、なぁ!ジュリ!たまにはレオモンと一緒に入るべきじゃないか!ほら仲間外れとか酷いだろ!」

 

レオモンが凄い目でコッチを見てくるけど知るか!止めないならお前も一緒に堕ちろよ畜生!

 

「んーレオモンと一緒は少し恥ずかしいなぁ」

 

は?

 

「だったらオレと入るのも恥ずかしいと思えよ!!中身はレオモンより俺の方が歳上だぞ!?」

 

「レオモン一緒に入る?」

 

「いや遠慮しておこう。それよりインプモンが外で遊んでたからな。しっかり洗って汚れを落としてやりなさい」 

 

おいいい!!

 

「うんわかった」

 

「!?ちょ!なんでアッサリ!」

 

「じゃ、お風呂に言ってくるね」

 

「イヤァァア!!ストレスで死んじゃうう!!」

 

「女の子の裸がストレスって失礼だよインプモン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ、相変わらず騒がしいヤツだ…」

 

 

アイツと出会ってからもう五年か。

五年前か……時期はそうだが、やはりアレがそうとは信じられないな。おれは安全だと言っても……

 

「……………強硬な手段にでる話しもある。行くべきか。雄英に……」

 

 

 


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