居並ぶ官僚や大臣、全員が其々の険しい顔で会議室の大型のテレビを見ている。其処に映るのは銀座で撮られた映像。平和な銀座に突如現れる門、映像は門が出た所で停止する。
「ご覧の通りちょうど門が銀座に出たときの映像になります」
「本当に突然現れてるな……」
「ワープというものか?相手はワープ技術を持っているのか」
「そんな技術を持てそうな相手か?相手の装備を見る限りどう見ても中世相当だぞ」
「そうだな。あの門の機能は科学的な技術と言うより、魔法や魔術の結果としか言いようがないのではないか?」
「魔法か……笑い話にも成らない筈なんだが、あんな竜や魔物が存在したのを見ると否定は出来ないな。あの門の向こう側はファンタジー世界か」
「いやあの少女の事も考えると……この世界にも元から魔法の様なファンタジーに類する力が存在している可能性は大いに有りますね」
「あの少女か……」
「その議論については映像を見てからにしましょう。コレから先の映像に件の少女が映っていますので」
停止されていた映像が銀座に突如現れた門の所から再開された。
『スゲェあの門いきなり現れたよな!』
『あ、ああいきなり出た!これ絶対世界的にニュースになるべ』
『門が出てきた所を撮ったのスゲェレア物になるよな』
『なるなる!後でYouTub○に流そうぜ!』
撮影者らしい危機感のない嬉しげな興奮した声が聞こえる。そんな声の中で門から続々と現れる兵士、ワイバーン、それをみてようやく撮影者はなんだあれ?と少し緊張した声も出した。
しかし笑い声がまだまだ聞こえる。
映像が一頭のワイバーンに向いた。
ドンドンと近付くワイバーン
『あれなんかこっちにきて……』
撮影者の前のひとが……食われた。
撮影者の悲鳴が聞こえる。撮影者は逃げ出したのだう。映像は反転し映像が揺れ撮影者の荒い息の声が聞こえる。撮影していたスマホ等を落としたのだろう。映像が空を映す。
『ぎぃいぁあ!!』
そして撮影者の声としか思えない断末魔が聞こえそして、噴出した血しぶき。見ている要人達の顔を青くさせた。
「このあとです」
暫くは空だけだった映像に空を滑空する紅の服を着た少女が映った。
「あの少女だ」
「……完全に生身で飛んでいるな。まだ竜の方が現実的に見える」
「門とは反対方向から来たな。やはり……」
映像は別のモノになる。今度は全体がハッキリ映り空を飛ぶ少女が映されている。赤い服は何処か巫女服の様、長い黒髪に大きな赤いリボンを付けた、下手なアイドルよりも可憐であり綺麗な少女だ。
少女を襲おうとする兵士を乗せた竜。少女は鋭い竜の攻撃を避ける。少女の手のひらに現れた光る弾。少女が竜を避けざま光弾を当てると兵士を乗せた竜は地面に墜落した。
「一撃か。あの竜の皮膚は銃の弾を防いでたんじゃないのか」
少女の周りに赤と白半々の二つの珠が浮かんだ。
「……陰陽珠か?」
少女の周囲を回転する珠から先程少女が手のひらから出した光弾の様なモノを連続して撃ち始めた。
竜に肉体的な損傷はほぼ見えない。しかし光弾の当たった竜は同乗者を乗せながら意識を失ない落ちていく。
「これは……一方的だな」
余りに簡単に落とされた仲間を見て竜に乗った兵士達は少女から逃げようとするが、少女は竜を逃がさず落とす。粗方の空の竜を片付けると少女は地面を見下ろし人を襲う兵士達を見た。少女が護符の様なモノを手にもち何かを口ずさむと地上に光弾の雨が降り始めた。
「す、凄まじいな」
映像一杯に飛び交う光弾。
「これはスペルというやつか?」
まるで光の流星の様に地面に光弾は地面に落ちていき兵士やゴブリン、オークなど銀座を攻めていた者達に当たる。肉体的な損傷は竜同様に見えないが光弾に当たると続々と気絶していく。まるで光弾によって肉体以外に衝撃を受けたかの様だ。その光景を呆然と見る襲われていた人達。
光弾の雨が止む頃、倒れた襲撃者達を見て自分達の命が助かった事に遅蒔きに気付き喜ぶ人々。唖然とした顔や笑顔や涙で自分達を助けた空に浮かぶ少女の事を見る。助けられたせいか超常の力を使った少女に向けるその目には恐怖はない。一部にただ困惑や戸惑い驚愕の感情が見えた。
映像に少女を見ながら口をパクパクさせ痙攣した様に震えている男が中にいた。
『あ、アレッて博麗霊夢じゃないか!?』
その声を聞い嫌そうな顔を浮かべた少女。映像は少女と門を拡大した映像で静止する。国民の死と常識を悉く逸脱した映像を見終えた要人は疲れた表情を浮かべていた。
「これより銀座に現れた門とこの少女『博麗霊夢』について議論を始めたいと思います。先ずは配られた資料をご覧ください」
真剣な顔で資料を見るこの日本の要人達。
その要人達が真面目に見ている資料には銀座に現れた少女に似た可愛い女の子のイラスト、そして表紙に書かれた文字は"東方project"。
銀座が襲われた。
私は無双した。
そして絶賛後悔中。
今なら絶対にあんなことをしないと思う。
軟禁されるし。
あーーーなんでよーー。
銀座で無双後、自衛隊ぽい人達によくわからないまま軟禁されて今は丸一日は経過。軟禁場所が豪華過ぎるホテル、居心地悪い。
軟禁で自衛隊員だった我がネット友の伊丹が護衛役、パシりもとい買い物を頼んだ伊丹氏が帰ってきた。あとエリートそうな男性達も一緒に来た。伊丹氏は良いけど後ろの人は帰ってくれない?
エリートと一緒に来て居心地悪そうな我が友。同じ小市民として気持ちはわかる。エリートの近くとか最悪よね?それにしてもこの人たちの私を見る視線は何かイヤだわー。どういう目線よ。
「どうも初めまして私は真萩と言います」
代表みたいな真萩さんというエリートぽいひとによる軟禁してる謝罪と社交辞令みたいな挨拶のあと、話は本題になる。
銀座でやった力の事とか聞かれたらどうしよ。
別に話せない事じゃないけど。
私の使ったの霊力で、親代わりの人に修行させられて身に付けさせられた。嘘じゃないけどこれいって信じて貰えるのかなあー
「貴女の名前が博麗霊夢というのは間違ってないですよね」
「一応」
答えながらあ、これはアカンやつだと思う。
名前をこんなしっかり聞いてくるって事は、エリートそうなのにそう言う知識がある。力の事じゃなくてその方向からかぁ。
「…えぇ…本当にそうなのか」ボソッ
伊丹氏が何かショックそう。
その反応はどうよ?
というか銀座の時とかに名乗ったのに信じてなかったのか。
趣味で名乗った偽名とかでなく本当に今世での私の名前が博麗霊夢。別に自分で決めてない。親でないけど保護者みたいな人が名付けた。
「そして貴女の現住所は博麗神社」
これも本当、名前と神社の組み合わせにドン引きした事を今でも覚えてる。伊丹氏がマジか!?って顔をして居る。別に幻想郷にあるあの神社じゃないからね。
それにしても遠回りしてる感じが面倒くさい。
「何が聞きたいの?」
流れ的に東方関係よね。なら聞かれても答えられる事とかないんだけど。むしろ私が聞きたい。私と神社の事を考えると日本には他にも東方関係の何か有りそうだし。
「では率直に聞きます。あの銀座にでた門の向こうには幻想郷が有るのですか?」
わー予想外な質問来た。
えぇ私がアレだからって幻想郷が門の向こうに有るとか思ったの。他にこんな事を聞いてくる理由は考えられない。エリートそうなスーツ姿の男性はド真剣な顔。とりあえず頭大丈夫?という視線を向ける。強張った顔をされた。幻想郷が有るのみたいな感じで興味津々そうな伊丹氏にはむけない。なんでだみたいな目を向けられた。それは同じオタクとエリートの扱いは違うに決まってる。
「違うのですか、あの門の向こう側は幻想郷じゃないと?」
「……そもそも私はあの門の事とか知らないんだけど。襲撃された時に一回だけ直接見ただけで後はテレビとネット情報ぐらいしか知らないから」
本当になんなのだろうあの門は。まぁわからないけど、門の向こう側が幻想郷の可能性は、どうなのかしら?…出てきた相手を考えれば向こう側は幻想郷じゃないと思うけど。
「それと幻想郷があるとか聞いてくるって事は勘違いしてるみたいだから言うけど」
「なんですか」
「私は東方projectとかの霊夢とかじゃないからね?力と名前があれなだけで私はただの一般人だから幻想郷がどうとか知らないから」
「……そうですか。あの門の先は幻想郷でないですか」
引っ掛かるいいかた。
それに
「東方projectの霊夢じゃないって言ったのスルーしてない?」
「申し訳無いですが、本当だとしても、私の立場ですと違うと言われて簡単に信じることが出来ないのです。ご理解ください」
「面倒くさい」
相手と状況で二重の意味で……
「まぁそっちがどう認識してもいいけど……それより私はいつ帰れるの?」
「それも申し訳ありませんが難しいですね……」
「…あーそう」
「本当に申し訳ございません。しかし此方の事情抜きにも帰るのはやめた方がいいですよ。スマホなどで情報を見てる様ですから判られると思いますが、銀座事件での映像で貴女を東方の博麗霊夢と見ている人間が沢山居ますからね。もし帰ったらどうなるか、他人事ですが想像するだけで恐ろしい………………それでも帰られます?」
無言で首を振った。
一応察してたけど言ってほしくなかった。やっぱり名前と容姿だけならともかく力も見せたらそう思われても仕方ないかぁ。
外に出たいのに出れないこの現実。人助けしたのに不幸になるってなんなのよねー。と言ってもあの時はあのまま見捨てるのも無理だったし……はぁ
こう言うときは酒飲まずにはいられないってね。私は伊丹氏がさっき持ってきてくれたお酒の瓶も開けようとする。ふふふ、お酒を飲むのは何年ぶりだったかなー。前世からだから10年以上ぶり。ん、伊丹氏がなんかヤベェッて顔をしてる。あぁエリートさん達の前で飲むの態度悪いって?私的にも帰れない理由あるとしても私からしたら軟禁してる相手だし礼儀とかしっかりする理由ないと思わない?と言うわけでお酒ー。
「ちょっとその手を止めてください博麗さん」
なによ。
「………………1つ聴きたいのですが、それは伊丹二尉が貴女に頼まれた買い物ですよね」
私が頷くと物凄い顔で伊丹氏を睨んでる。なんだろう?
「貴女は戸籍上15のはずですよね」
お酒の瓶を見てそう言われた……あーこれは…年齢的にお酒はアウトって…ここは冷静に…クールに反論しないと、お酒が
「…………じ…………実は三年ほど保護者が出生届を出すのを忘れてて私の実年齢は18だし」
嘘だけど精神年齢だと40越えだしセーフ。
「お酒は二十歳になってからです」
二十……あぁ!素で間違えた。
「没収しろ」
ああ!お酒に魔の手が、いやぁぁ。その子を返してぇ。
「す、少しだけでも」
「ダメです」キッパリ
奴は大変なモノを盗んでいきました。
それはお酒です。
それにしても、今回の事で改めて大変な状況って認識させられた。いつ帰れるんだろ。
……まさか帰れないとかないわよね?