平和の象徴であるオールマイト。
大スターと呼ぶのも生温い日本の誰もが知る超有名人。
ナンバーワンヒーロー。
今の外見は骸骨だが…オールマイト本人だ。
今の骸骨の外見が本来の姿という平和の象徴として世間に知られたくない秘密をファンの少年に知られる。口止めしようとして……困惑してそれどころで無くなっていた。
何処からかすっ飛んできた猫耳少女がいきなり少年の頭を引っ付かんで土下座させたからだ。
(ええ!?な、何でいきなり土下座!!そ、そんな土下座して謝られる事なんてないよね?……タイミング的に私の秘密関係のこと…か?話していた時には居なかったけど、動物の異形系ぽい耳があるし秘密を遠方から聞かれてた可能はある…のか?いやいや此処はビルの屋上だよ。耳がよくても何処から聞いてたって話だ。それに仮に聞いたとしても土下座する理由にはならないよね。むしろ秘密を知られた私が土下座要求される側だよ。秘密を知って土下座する理由……あ、アレ?聞いたと仮定すると、もしかして口封じするとかそんな誤解された)
「誠に申し訳ない」
「え!謝罪??」
「うん代わりに謝罪させてもらいたいんだ…若気の至りとかで謝って済む問題で無いことは判ってるよ。けどどうか謝罪だけで許してもらいたい。駄目ならコレをどれだけボコボコに制裁しても文句はないよ。もしそれでも許して貰えないならコレの股間のモノを切り取って粉微塵に粉砕するのでどうかそれで手打ちに…」
よく判らないが
誤解の種類が違うことはわかった。
「え、えっとね…どういう事を言いたいかわからないけど誤解してれるよ!」
誤解をなんとか解いた。
「そ、そうだね。誤解だよね。深掘りする方が辛いよね」
解けてなかった。
何かわからないが怪我の秘密より致命的な誤解が広まる気がしてこの姿は怪我をしてる事やら何やらキチンと説明した。
「あ、そうだね。よく考えたら…そんな短期間で出来ないよね」
もう一度説明したら誤解は解けた。
……誤解を解くのに怪我云々の説明はいらなかったきはしたが誤解が解けて良かった。
「ま、まぁとにかく納得してくれるなら良いよ。さっきも言ったけど怪我の事は秘密にしてほしい」
「別に良いよ。さっき話してたけど平和の象徴として困るんだよね。本当は口止め料に何か貰いたいけど変な誤解をしたしタダで喋らないであげるよ」
「ありがとう…話は変わるけど、さっきすっ飛んできたよね!此処は屋上だし個性の力を使ったよね。少年が心配なのはわかるけど個性の公共の場での使用はいけない事だよ」
外見から中学生か高校生ぐらいと予想し。屋上まですっ飛んできた脚力。脚力だけで此処まで来るのはプロヒーローでも困難。ヒーロー志望で鍛えてると誤解した。ヒーロー志望ならルールは守らなきゃ大変な事になる。感謝はしたがヒーローを目指す相手の為に説教をしようとした。
「人間の法だしネコには関係ないよね」
猫耳の少女からはこんな答えが帰って来た。
オールマイトはふざけてると言える返答に怒らず眉を寄せながら聞いた。
「それは……自分は猫だと言いたいの。動物の」
「そうだよ」
動物の個性持ちは存在する。個性により人の姿をした猫が居ないとも言いきれない。しかし動物の個性持ちは個性を多く知ってるオールマイトですら極少数しか知らない事例だ。ほぼ居ない動物の個性持ちの上で人にしか見えない姿にもなる。そんなレアケースだと信じる方が難しい。普通に考えて説教を避けるための適当な嘘なのだが、個性由来で本気で自分が猫だと思い込んでる可能性もある。後者だとデリケートな案件なので返答に困った。
「あ、あのオールマイト、信じられないと思いますが変身してるだけで普段は本当に猫なんです」
困ってるオールマイトに少年の発言。
嘘をついてる様にも見えないが騙され易そうな感じもする。それでもほんの少しだけ本当に猫なのかと信じようかという気持ちも出てくる。
「本当に根津校長と同じ…?」
オールマイトの呟きに少女は興味深そうな顔をした
「ん?ネズ…ボクみたいに話す動物の話だよね。それってもしかしてネズミみたいな外見のヤツの話?」
「君は校長を…な!?」
「爆発!!」
知ってるのか聞き返そうとすると遠方で爆発。
「事故、いやあの爆発は」
複数回爆発が起きており事故というより人為的な爆発の仕方、高確率でヴィランだ。オールマイトはさっきもヴィランを捕まえたのにまた出たのかと考えてから違和感に気付く。
ズボンのポケットにいれてたヴィランの入ったペットボトルがない。少年もオールマイトの持っていた筈のヴィランの入ったペットボトルが喪失していた事に気付く。タイミング的にあの爆発は恐らく逃げたしたヴィランが原因の可能性がある。
オールマイトは慌ててたせいで適当にズボンのポケットに入れたせいで落ちたと考える。少年は自分がオールマイトに掴まったせいで落ちたと考える。二人は瓜二つみたいにやらかしたという顔をした。
よく考えれば落としてなければオールマイトの秘密を話していた時にヴィランに聞かれていた可能性が高い。その最悪は回避できたのだが良かったと思えなかった。
「ぼ、ボクのせいだ」
少年が後悔してる中でオールマイトは屋上のドアに向かった。
「どこ行くの」
「無論、あの爆発の現場だよ。事故でもヴィランでもヒーローとして行かなきゃならない。もし原因がヘドロヴィランなら私の責任だろうしね」
その発言に少女は首を傾げて不思議そうに聞いた。
「ヒーローとして?その状態で行ってどうするの?さっき怪我してもう限界だからその姿になったとか言ってたよね。あんな爆発してたら他のヒーローもくるだろうし他のヒーローに任せたらいいんじゃない?」
「それは…」
「行って自分が動くの我慢できる?平和の象徴として弱体化した事を隠してるんだよね。行って無理して動いたら弱体化してるのバレれる可能性大きいのわかってる。ついさっきイズクにバレたばかりだよ?」
普通なら気後れしそうな指摘を遠慮無く指摘した。
「…そ、そうだね。けど、いかないのも無理なんだ」
容赦ない正論に言葉に詰まりながら答えてる様な答えてない台詞を言い屋上の出口から出ていくオールマイト。個性を使って現場に向かう余力もないようなのに本当に行ってどうするのかと呆れながら思った。
無茶だと判っても誰かの為に止まれない。
「なんかイズクに似てる人だね」
何となくそう感じた。熱烈にあこがれてる相手と似ている。ファンとして嬉しい発言の筈だが本人が聞いちゃいなかった。
「…っ!ボクも行かなきゃ!」
少年、緑谷もオールマイトの後を追って走っていく。行ってどうするというんだろうか?まさかヴィランをどうにかするつもりなのか。幼少から見てきた少女…ピトーはわかる。あれはどうするかまったく考えてない。何時もは小難しく考えてばかりなのに……
「やっぱり似てるなー。」
二人が屋上から出ていった後また爆発が起こる。見覚えがある爆発な気がする。知り合いが関係してる?想定した知り合いを思い浮かべて、どうでも良いと思う。
「まぁ暴れてるのが誰でもどうでもいいけど、あの二人がどうするかは気になるかな……」
そう呟くとビルの上を足場に現場近くまで移動する。オールマイトに注意点されたばかりだが身体能力だからセーフと平然と現場までは直ぐについた。
「犯人はあのヘドロで正解かー。それに…」
現場を見るとやはり騒ぎを起こしていたのは、オールマイトが退治して捕まえていたヘドロヴィラン。
それと、ヘドロヴィランが誰かを取り込んでいる。その誰かを見てピトーは呆れた顔をする。爆発に見覚えがあると思ったのは気のせいではなかった。
「囚われのヒロイン役がアレッて……」
爆豪かつき、ヘドロヴィランに体を乗っ取られていたのはピトー的に気紛れででも助ける気になれない相手。
昔から緑谷は爆豪からもイジメをうけていた。ピトーが飼い猫になってからは緑谷本人が何故か図太くなって苛めを気にしてないが、反省せずに緑谷への暴言やらは止めてない相手に好感を抱く理由もない。
そんな苛めっこが虐めてた緑谷のゴタゴタで解放された触手的なドロドロに捕まる。天罰としか思えない事態だ。受けるべき罰としか思えない。なので本気で全く助ける気になれない、触手的には少女が囚われてる所だろうとピトーは思いながらのんびり眺めた。
既にヒーローが集まってきてるが人質が居るせいか個性の相性のせいか何も出来ていない。グダグダだ。向かってる二人の事が無ければ早々に帰っていただろう。
「遅いな。重り無しなイズクならもう着いてて可笑しくない時間がたってるけど…あ、そう言えば不法侵入だしビルの人に捕まった?」
心配してるとガリガリの病院に連れてくべきだと思える男性と後ろに心配そうな緑谷がいる。ガリガリのオールマイトが倒れないか心配で後ろについていたのだろうか。
「あれは、やっぱりかっちゃん!?」
緑谷は捕獲された爆豪を見つけたようだ。
「どうするのかな」
ピトーは好奇心と師匠目線で弟子の行動を見守った。
かっちゃん!!とイジメてる相手がヘドロに囚われてるのを見て駆け出した。ヴィランに向かって。
「…イズクなにしてんの」
普通は暴言を吐いたりイジメてくる相手が捕まってるなら良い気味だと思うだろう。喜ばなくても助けようなんて思うわけがない。お人好しすぎるバカな緑谷なら助けに動くとは思ってはいた。
(…少し荒れてた頃の昔のボクみたいなのも助けたりしたしね)
何となく機嫌が良さそうな顔…不機嫌な顔か。
(だけど師匠目線としてはねーー。これまで個性持ちには何も考えずに無策に突っ込のは駄目て散々に教えてきたよね。個性には即死するようモノだったり色々と非常識なものがあるって教えてきたよね。あのヘドロヴィランは一目見るだけで見るからに物理攻撃が効かない。筋肉マッチョが可笑しいだけで物理攻撃は意味ない。だから集まってきた有象無象もといヒーロー達も何も出来ないんだよ。まったく何かしら事前に対策を用意してからでないとダメだよ。用意出来なきゃ逃げろて頑張って教えたに……あとで師匠として二度と忘れられないように怒らなきゃね)
何故か背中にゾッと寒気がした緑谷だが目の前の事に集中、走る足は緩めずヴィランやが驚くほどの早さで爆豪の元まで移動した。周りのプロヒーローが個性を使って移動したと判断する速度。
「な、なんでデク、お前が来るんだよ!!」
爆豪が目の前まで来た緑谷(幼馴染)に怒りを露にして怒鳴る。一番助けにきて欲しくない相手だった。普段から虐めていた自覚はある。なんでそんな相手を…
「君が助けを求める目をしていたから!」
即座に緑谷はそう怒鳴り返す。絶句する爆豪。爆豪を助けようと緑谷は爆豪を引っ張り手で絡み付くヘドロを剥がそうとする。しかし予想以上にヘドロに粘着性があり剥がれない。剥がしてもまた直ぐにくっつく。
「どっかいけデク!腕を引っ張るな!!っておい!!」
腕が嫌だと言うので爆豪の足をもって引っ張る。なんだか恥ずかしい間抜けな体勢になる。本人には虐められた復讐をしてるつもりは欠片もなく大真面目。
「デクううう!足もやめろや!!」
「さっきのMサイズがなんでいるんだ。邪魔だ」
鬱陶しいとヘドロヴィランが爆破と触手で排除しようと掛かる。緑谷は咄嗟に爆豪の足を離して素早くネコの様なしなやかさで攻撃を回避していく。危ないと叫ぶだけで助けには動かないプロヒーローや野次馬は驚いた目で緑谷の動きを見ている。ピトーは良くわからない表情で見ている。緑谷が余裕そうに避けるのでオールマイトは出るタイミングを逃していた。いやさっき無個性であると告白した緑谷の行動を見ていた。
どれだけ鍛えたのか体力は余裕そうでもあり、このまま回避するだけで時間稼ぎをして他のヒーローの救援までの時間稼ぎは出来そうには見えた。しかし爆豪の疲労も蓄積しているのか顔色が悪くなっている。助けたい相手が疲弊する姿に緑谷の顔に焦りが浮かぶ。その焦りが隙を生じさせ爆破の一部が当たった。
「っ!!」
爆破の一部が当たる。さらに触手が当たり飛ばされる。数メートルは弾き飛ばされるが、しかし緑谷は痛みに弱気に成るどころかより諦めるものかとばかりに強い目を向けている。そんな緑谷に触手が殺到。
身構える緑谷。
避けれないと触手に当たることを覚悟している。
だが無数の触手は太い腕に掴まれた。
緑谷の目の前に巨大な背中が立っていた
「お、お前は!?」
ヘドロヴィランは焦った声を出す。
「全く情けない。見ていて出遅れるなんて」
堂々たるその姿に周囲から歓声が上がった。
『オールマイト!!』
平和の象徴の姿に観衆は沸き立った。
「……後は私に任せなさい!SMASH!! 」
オールマイトの一撃が炸裂しその衝撃破でヘドロヴィランは爆豪の体から離れる。ただの一発!圧倒的な勝利にさらに大きな歓声が上がった。実際には薄氷の上…身を削ったギリギリの勝利だという事には誰も気付いてはいなかった。
そんな勝利を知ってる上で見学していたネコはドン引きしていた。
「大怪我してるんじゃなかった??」
上をみると雲にポッカリ空いた穴。
パンチの威力の可笑しい巨漢、思い出すのは自分の姿と名前が同じ前世の創作キャラの最期、思わず頭があるか確認してしまった。
事件の解決。制止を振り切って乱入した緑谷は当然ながらヒーロー達から説教を受ける。緑谷は大人しく説教を受けた。個性を使ったとか誤解されたりした説教を聞き流したのは師匠の悪い影響だ
緑谷は気にしないが緑谷よりも先に見ていたネコは冷めた目で見ていた。
その場にいたヒーローたちは個性が不利だとヘドロと戦っていた訳でもない。個性の相性で戦えないと人が巻き込まれないようにしていただけだ。イズクがヴィランに向かったのはヒーローの失態だ。イズクも悪いがイズクを止めれなかった上に助けに向かわなかったヒーローが責めるのは格好悪い。
ヒーロー達が爆豪のタフさや個性を誉めてる。助けられなかった事を誤魔化す為か。誉めてる様に見せ掛けて暗にお前の個性のせいで被害が拡大した責めてる?
爆破で少し出来た火傷の治療と説教を終えて帰ろうとする緑谷の顔色は悪い。顔色から察すると恐怖している。今さらながらヴィランが怖かった……なんて事はない。恐怖してるのはそんな事でなく……
誰かが近づいてくる。
緑谷は来た!と恐怖して
「おいデク!お前に助けられた訳じゃねぇからな!」
さっきまで誰得な拘束シーンを見せていた爆豪でホッとした。
「なんだかっちゃんか」
「なに!ホッとしてやがる!!もう一度言うが!お前に助けられた訳じゃねーからな!!」
緑谷は特に否定する要素がないので『え、うん。そうだね』と返答。何故か肯定したのに爆豪は余計にキレて帰っていく。何だろうと首を傾げるしかない。キレちらかす爆豪が去ってから飛び出す影、緑谷は今度こそ来た!と恐怖で再度体を固めたが相手を見て驚いた。
「私が来た!!」
「え、お、オールマイト」
それは先程まで人に囲まれていたナンバーワンヒーロー。また会えたことに喜びながら目的は秘密の口止めだろうか…それか説教だろうかと思う。
「ハハハ驚いてるね少年、ちょっと君に伝えない事があってね。ついさっきだけど、あのビルの屋上で君は私に聞いてきたよね無個性でヒーローに成れるかって……ちょうど彼女が来て私はまだ君に答えてなかったよね」
「は、はい」
「無個性でヒーローに成れるか。君はそう聞いた………現実的に言えば、無個性でヒーローに成るのは厳しい。個性があってもヒーローは命懸け、とても無個性でヒーローをやれるなんて言えない。人を助けたいならヒーロー以外にも道がある」
「……」
俯く緑谷にオールマイトは言った。
「と、こんな感じに無理だと答えるつもりだった……あの屋上にいた時はね!」
最後の言葉に緑谷は顔をあげた。
「君はどうしてヴィランに立ち向かったんだい。動きも見ると随分と鍛えてるようだけど、あの場にはプロヒーローが何人もいた。プロヒーローに頼れないと思ったのかい?それか自分じゃないとダメだと思ったのかい?」
「いえ!そんな事は思ってもいませんでした!ただ……あの時は、なにも考えないで、気付いたら飛び出してて…すみません」
「そうか。気付いたらか………そうか」
「オールマイト?」
オールマイトが感慨深そうにしている。
「人は危険を目の前にするとリスクをどうしても考えてしまう。失敗したらどうなるかとか、怪我したらどうかとかね?そんなリスクを怖れず考えずただ人のために飛び出せる人の事を私は、ヒーローと言うんだと思うんだ」
言葉を理解すると緑谷の身体は、心は熱くなる。
「だから少年、私は思う。あの時、私を含めて沢山のプロヒーローが居るなかで、あの場で誰よりもヒーローだったのは間違いなく無個性の筈の君だとね。だから私はあの屋上で聞いた君の問いにこう答えよう」
緑谷の目には自然と涙が溢れていた。
「君はヒーローになれる」
無個性であることでヒーローになることを諦めてた訳でもないが、誰よりも尊敬するヒーローから温かい笑顔と共に言われたそのたった一言を、緑谷はこれからの生涯で死ぬまで忘れる事はないと思う。しかしオールマイトの真後ろに猫耳の何かを見てしまった。緑谷は即座に動く。身体が自然にそう動いていた。
「そして……そんな君だからこそ、私から提案がある。私の個性に関係することなんだが…」
オールマイトは自分の極秘の個性について語る。語っている時に過去を思いだし感慨深く自分がどうだったかを思いだし、周りへの注意が疎かになり…語ってから意識を戻し緑谷を見る
「って、また土下座!?」
緑谷はオールマイトが見逃してしまうほど滑らかな動きで土下座。個性関係で驚かせると思っていたのに土下座している緑谷に逆に驚かされる。今度は猫耳少女に無理矢理やらされてる訳でない。しかし土下座させてる相手となると同じ相手だ。オールマイトは自分の背後のピトーに気付いてない。どうやら緑谷はピトーに土下座していたらしい。
オールマイトは……なんだか感動シーンが盛大に台無しに成ったような気がした。