衝動的なの   作:ソウクイ

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カストロご

 

何の不幸かハンター試験に強制により参加することになった。試験に参加する申請を出された後、巻き込まれたズシとともに試験会場を目指して何日、人生で二度目の試験、どうやら今度は会場に辿り着いてしまったようだ。試験まての最終日、なんで辿り着いたのか。ズシが有能過ぎる。

 

「ここ……すよね?」

 

サバン市の小さな定食屋。ズシは首を傾げている。一見普通の定食屋に見える。隣の建物の大きさを見ると小さな定食屋があるのは不自然に感じる…のかも。まぁ知ってるから不自然に感じるのか。

此処がハンター試験の会場に通じる場、毎年会場の場所が違うだろうし此処だとしたら原作の年…主人公やあの死因の変態が居る場所。正直、これまで鬼な師匠に精神的な修行をヤらされ過ぎてソコまで死因に会うのが怖いとかはない。恐くなくてもなるべく出会うのは避けたい相手には変わらない。避けられるなら避けたい。 …実は今回の試験前に…年齢詐称の鬼のせいで最悪な場所で出会ったことがある。

 

「カストロさんどう思います?」

 

言うことは決まってる

 

「ズシこんな小さな会場が有るわけない。案内に言われた場所だったがどうやら騙されたようだ。引っ掻けで本物とは違うんだろう。別の所を探そう」

 

私の言葉にズシは確りと頷いた。 

 

「ここっすね!!絶対にここっス!」

 

「なんでそうなる??」

 

「カストロさんが違うって断言したからっすよ」

 

「弟弟子からの信頼が低い」

 

「カストロさんへの信頼が高かったすよ。ウソをつかれる前は」

此処にくるまで嘘なんて……五回ぐらいしか嘘を付いたことないのに

 

「いや、今回はウソじゃないと信じてもいいんじゃないか?」

 

「………入って確かめてみましょう」

 

ズシに押されながら店内に入ると、普通の飲食店に見える。店員も普通の店員に見える。しかし此処が会場なら演技をしてる。店員も客も!下手をしたら全員が演技をしてるのか。前世で漫画で見た時は深く考えて人間不信に陥りかけた。

 

「いらっしゃい!なんにします」

 

「焼肉定食を中火「弱火!」でジックリ」

 

小指をたてようとしたら、ズシが人差し指を立てて注文をした。

 

「此方にどうぞ」

 

店員に奥の部屋に案内された。

 

個室のテーブル席。既に食事は用意されてて、感覚的に下の方が空洞だとわかる。席につくと部屋はガコンという音を鳴らして降りていく。不思議と未だに覚えてる原作知識と違うところがない。同じだ。原作の記憶を思い出して心臓が高鳴る。悪い意味で。帰りたい。

 

「部屋が下に動いてる感覚が、エレベーター?これは此所が会場で正解……ようやく、ようやく此所まで来れたっす……」

 

ズシは頑張りすぎだった。なんでゲッソリするほど試験を頑張ってるのか。無理矢理参加させられた試験なのに。

 

この下で此れから行われるのがハンター試験。

ハンター試験は毎年くる数万人の受験生から合格出来るのはゼロの可能性もある超難関試験。前回はたどり着けずに終わった。どうせ今度もたどり着けないと思ったのにたどり着いてしまった。

 

「カストロさん、せっかく此処まで来たんすから合格しましょう」

 

「わかってるよ」

 

流石に此所まで来て真面目に受けないと言う訳にもいかない。…真面目にやってないとズシが鬼に伝えるだろうしな。

 

真面目にやっても合格出きるかな?

 

鬼のもとい師匠の元で修行した。今の私はそれなりの強さはあるとは思う。戦闘力は十分という師匠のお墨付きもある。頭脳は言葉を濁されるお墨付きもある。試験でどんな敵が来ても戦える。試験で頭を使う難題が来れば…ちょっと。

 

大まかな試験は漫画の原作通りなら…何とか?

 

原作の漫画の方でも試験では頭を使う試験があったのは覚えてても、肝心のどんな問題かは具体的には覚えてない。そもそも知ってても原作の主人公組が受けた問題で、同じ問題を受ける可能性がない。……アニメの方の試験はあまり覚えてない。

 

降りる間に用意されている焼肉定食を食べておこう。試験でこれから何日もマトモな物は食べられないだろうし。これの代金は無料なんだろうか。

 

ズシが食べようとしない。

食べといた方が良いと言ってみる。

 

「……今は食欲ないっす」

 

なら……タッパーに、そんなセコい事をしてるとエレベーターは降りきった。

 

エレベーターを出ると…… 

 

「す、スゴいすね。店の地下にこんな空間が……」

 

トンネルみたいな場所に同じ試験生がだいぶ居る。このトンネルは漫画ではアッサリして…アニメでは結構危険な場所だったような気がする。

 

あとこのトンネルという事はやっぱり原作の年代の試験だ。

 

さて、最初の難関だ。

居るかどうか。

 

元々この世界が原作通りの世界としても私という異物がいる。バタフライエフェクトか。私が居ることで原作と違う事に成ってたする場合もあるはず……都合よく原作通り居ないで欲しいなと思いながら見渡すと……本家の自分の死因のピエロメイクが

 

物凄く目立っててすぐに見つけられた。やっぱりいるのかと憂鬱な気持ちになる。こんな原作知識は間違ってて欲しがった。此方をチラリと見た!!!試験からの逃走も検討にいれたのに直ぐに逸らしたな…もしかして覚えてない?

 

「こちらをどうぞ」

 

ソコに居たのはマメ…ビーンズさんだったか。名前の通り頭が豆形…真剣に人なのだろうかと悩んでしまう。魔獣だろうか。失礼な疑問で質問できないのがもどかしい。

 

「此方のプレートを付けておいてください」

 

402と書かれたプレートを渡された。ズシは401。このプレートは原作で大事な物。後々の試験を考えると数字を見られない方が良かったんだったか。ズシにも言ってお互いに服の内側に付けておいた。

 

あとは試験開始前までこのまま【絶】をして隅っこに居よう。ズシも誘っとこう。念を使うなと言われてるのを知ってながら誘った。

 

「ダメっす、師匠に余程の緊急時以外は試験で"ソレ"を使うのはダメだって言われてるス」

 

なるほどと思いながら、ズシの身体を掴んである方向に向ける。

 

「ぎゃあああああ!!!」

 

「まったく、ぶつかったなら謝らないと☆」

 

ピエロの犯行現場。

試験前に殺人事件起こしてる。

この世界の倫理観は本当にダメだと思う。

 

「……」

 

ズシが絶をしていた。まぁ緊急時とも言えるとは思う。ウィングに後で念を使ってた事を伝えておこう。

 

そう言えばあの殺人原作でもあったような?

 

原作にあったとすれば原作主人公の視点になる。なら原作主要の彼等も…来ていた。あの三人組がそうだろう。性別不詳、ツンツン頭の釣竿の少年、オジサン。あともっと前に銀髪の少年も居るのは見つけていた。

 

「どうしたんすかカストロさん」

 

「いやなんでもない」

 

ゴン、キルア、クラピカ、レオリオ。漫画の主人公一行を見て少し興奮してる。ただ関わりたいとも思わない。

 

原作主要メンバー以外、他にも狩人と蜂の少女、ハゲ忍者、針男…原作で目立ったキャラと想定できる人間は大体居る。私とズシみたいなイレギュラーは居ないようにみえる。メンバーは原作通りと思って良いか。

 

原作で言えば戦闘力でいえば危険なのは死因と針男。次点で忍者。他にも毒を使ってくるキャラも油断するのは…。正面からなら大抵勝てる自信はある。

 

ズシは念を使える相手と忍者とキルア以外なら真正面からなら勝てる?ただ真正面からでなければ、性格のせいか警戒心が薄い。不意打ちに弱そう。…この点は私も弱かった…鬼のお陰でイヤでも不意打ちには強くなったと思う。

 

原作主人公がプレートを受け取っていた。確かこの後は、小太りの男、トンパが彼等に例のジュースを渡そうとするのか。新人潰し。下剤入りのジュース。此れからの命がけの試験の事を考えるとむしろ善意と思える。あのジュースでダメなら試験に参加したら人生が終わるだろうし。まぁこんな全員が集まる所で悪質な事は出来ないからだろうな。

 

 

そう言えば……なんで新人の私達の所には来なかったんだ?ズシがどう対応するか確認したかった

 

「あの……カストロさん、こんな所で腕立て伏せしてないで下さい。恥ずかしいっす」

 

は、体が勝手に動いていた。あの変態に注目されるかもしれない事をなんでやってるんだ。これもあの鬼のせいだな。修行しなければと本能に刻まれてしまっている。もしかして腕立て伏せをしてたから近寄らなかったのか?

 

小太りの男、トンパが主人公一行に接触していた。

 

原作通り話してるな。聞き耳を立てて近づいた。新人潰しによる受験生の情報を話している。やっぱりあの変態は危険人物として紹介されてる。新人の私も?おい、私を危ないみたいに紹介するな。腕立て伏せしてたからって。

 

トンパがジュースを渡していた。

渡されたジュースを飲んで吐いていた。

 

ゴンはジュースが腐ってたと感じたとして、クラピカ、レオリオはトンパを信用してなかった感じか。

 

「ハンター試験開始の時間となります」

 

それから少しして、時間になり現れた紳士としか言えない人物。此所で棄権することもできる。命の保証をしないと脅してきた。

 

「辞退する人は居ませんか?」

 

此所まで来てこのタイミングでリタイアする人間は先ず居ないだろう。命の危険か……原作で会場に来る前から殺しに来てるような事をしてた様な。

 

「此所でリタイアするのも…むぐぅ」

 

私の口がズシの手に抑えられた。

 

「居ませんね」

 

全員が棄権しないと確認した紳士。口を抑えられた私から目を逸らしたぞあの紳士。口元どうなってるんだあの紳士。

 

紳士が歩くように走り出した。

 

前世であの走り方を真似たな。無駄に疲れるだけだった。視覚的に追う方に精神的な負担があるだけじゃないかあのフォーム。

 

「申し遅れましたが私は第一次試験の試験官のサトツと申します。これより皆さんを第二試験会場まで案内しますので着いてきて下さい」

 

そう言われて全員が追って走り出した。

 

「次の会場まで……初めの試験は体力勝負に成りそうすね!」

 

 

第一のハンター試験は始まった


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