衝動的なの   作:ソウクイ

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カストロろく

 

こんな大きな地下道のトンネルをなんの為に作ったんだ。そう言えばここは遺跡みたいな設定があったかな。それで遺跡ハンターのサトツがこの遺跡を仕事場にしていたから、試験官として選ばれたみたいな説があったか。

 

 

原作の通り第一試験としてトンネルを走っている。フルマラソン並みの距離だった気がする。何時間も走るのは面倒臭い。本当に面倒臭い。サトツ試験官より先に走ってゴールで寝とくか。……ダメだ。アニメだと分岐があった。漫画も描写されてないだけで分岐があったかもしれない。

 

髭がダンディな試験官の真後ろについて走ろう。プロハンターの動きを観察でもしてよう。

 

「ねぇねぇお兄さん、そんな近くだと試験官の人もイヤだと思うよ」

 

「それもそうか」

 

よく言ってくれたっす!という後ろの方にいるズシの声を聞きながら、速度を落としてから声をかけてきた人物を見た。子供の声でいやな予感はしていた。

 

「初めましてお兄さん、オレはゴン!こっちはキルアだよ」

 

「えぇ俺の紹介もするのか」

 

原作メインの二人が此方に関わってくるとは。切っ掛け作ったのは私か。

 

「どうしたの」

 

「ああ、済まないゴンくん。私はカストロというものだ。で、此方はスシ「ズシっス!」だ」  

 

「よろしくカストロさんにズシ」

 

「え、ああよろしくスシ」

 

「お二人ともよろしくお願いします…キルアさんでしたか。わざと間違えましたよね」

 

「へへ、ごめん」

 

一応ハンター試験ではライバル同士なんだがよろしくで良いのか?別に主要キャラと敵対する気も無いから私としてはいいんだが。

 

「それにしても、この試験に俺の同年代が二人も居るとか思わなかったな。ズシは年下じゃないか?」

 

子供が命の保証がない試験に参加する。そんな子供は変人だな。

 

「アンタ何か失礼なこと考えてない?」

 

「いや子供で参加するなんて変人だなと思っただけだよ」

 

「失礼だな!」

 

「平均的な人と違う場合は変人って言うだろう」

 

「いや、そこらの子供と違うのは認めるけどさ。そこは変人じゃなくて天才とかでいいだろ」

 

「天才と変人は紙一重と言うから変人でも問題ないんじゃないか?」

 

「それ紙一重なの変人じゃなくてバカはだろ!」

「天才とバカは紙一重だったか…。ん?ハンター試験に参加する人間は各分野の天才とか言われてたな……言い換えると此処にいるのはバカばっかり…」

 

「何で言い換えるんだよ」

 

「お二人とも、カストロさんが変な事を言い出したら基本的にスルーする事をオススメするっす」

 

「あーそうする」

 

「わかった」

 

ズシが酷い事を言った。

そして簡単にスルーする事を同意する二人も酷いな。

 

「ズシ、最近口が悪くなってないか?」

 

「ちょ!止めてください」

 

ズシの頭の上に指をおく。指が気になるだろう。

 

「ズシってカストロさんとだいぶ親しいみたいだけど、二人ってどんな関係?」  

 

ゴンが聞くとライバルへの情報収集とは思えないな。単純に疑問を聞いてる気がする。

 

「カストロさんと関係…同じ流派の同門って関係っスね」

 

そして普通に情報を渡すズシ。

 

「流派?」

 

「心源流すよ。有名すから知ってますよね」

 

「ごめん知らない。有名なの」

 

「んー名前だけは聞いたことある」

 

「ハンターになるならこの流派の事はちゃんと知ってた方が良いスよ」

 

フフン!と自慢げだ。

必要なのか?

 

「ん、なんで」

 

「ハンター協会の会長が開祖なのが心源流すからね!会長は最強と呼ばれてる事もありますし、世界最強の流派と言っても過言は無いっすよ!」 

 

会長関連で知ってた方がいいと言ったのか。

 

最強か。ハンター協会で会長は最強だったか?五本の指に入るとかじゃ。それも弱体化してるみたいな話しを原作で本人が…原作だと会長以上に強さそうなのは出てないな。ゴンさんは不明として、ゴンの父親はどうなんだろう?

 

「ハンター最強の流派って凄そう!」

 

「ふーん」  

 

「キルアさん興味なさそうすね」

 

「結構興味もってるぞ。そこのカストロって人は相当に強そうだし。どんな流派なのかなって」

 

「へーカストロさんって強いんだ」

面白そうな相手をみつけたみたいな目は止めてほしい。強いって発言にゴンがキラキラした目で見てきている。そのあと無言の時間となり暫く走ってから話しは再開した。

 

「このトンネル長いね。何処まで続くんだろ」

 

「ホントそれな。これぐらいの距離で疲れるって事はないけど同じ光景ばかりで飽きるよな」

 

「恐らく体力より精神的なモノを試す試験なのだろう。走りたくないなんて精神が軟弱な人間はこの試験でリタイアするな」

 

「……別に飽きただけで未だ未だ走れるし」  

 

「オレも全然平気!何れぐらい続くか気になっただけだよ!」

 

「此処に来るまでの方がキツかったですしまだ平気スね」

 

三人は本当に平気そうだな。

 

「そうなのか。スゴいな………私はリタイアしたい。走るのやめたい」

 

頭を抑えて弱々しくいう。

 

「って!アンタはリタイアしたいのかよ!?自分で精神が軟弱って認めるのか!」

 

「私の精神の軟弱さを甘く見るな」

 

「キリッとした顔で良い大人が言うことじゃねーよ!」

 

「ははリタイアしたいのは冗談だ。一割ほどが冗談だ」

 

「ほぼ本音じゃなねーか!!」

 

「キルアくん、良いツッコミだ」

 

「良いツッコミじゃねーよ!アンタ真面目そうに見えてボケるのかよ!」

 

「…………」  

 

「ズシがスゴい恥ずかしそうにしてる……」  

 

また微妙な時間沈黙の時間になる。

それにしても…暇だな

こんな時間が続くと…

 

「修行をしてみないか」

 

「え、修行?」

 

「何いってんの。後ろでゼーゼー息を吐いてる奴等がウソだろみたいな目で見てるぞ。ボケるにしても空気読めよ」

 

「あのこれはボケでも冗談でもないすよ。オレも此処に来るまでも修行って事で余計な運動をさせられたっす」

 

恨みがましい視線をズシから向けられた。

 

「余裕にしてもひでーな」

 

誤解を受けてる。

 

「余裕って事でなくてね。私に何年もそれはもう…精神に刻まれるぐらい厳しい修行をさせる鬼が居てね。その鬼のせいで修行をしてないと心が落ち着かないんだよ」

 

「修行してないと落ち着かないの…?」

 

「あぁ身体に震えがくるんだ」

「修行中毒かよ。心の病気を聞かされた気分だ」

 

「今走ってるのは修行にならないの?」

 

「此れぐらい修行の範疇に入らないよ。せめて障害物があったり地雷があったり大岩が落ちてくるとかないと、狂暴な魔獣も盛りだくさん襲ってくる相手を殺したりしたらいけないって制限付きで…身に付ける重りは一トンぐらいかな」

「それ修行でやるの。強くなるのにソコまでしないといけないんだ」

 

ゴンくんの反応は…なんかこわいな。

 

「心源流って恐ろしい所だな。そんな修行させられるのか。下手したらオレんちの修練より厳しいんじゃないか」

 

それはない。

少なくとも精神的には耐えられない。原作で電気やら毒に馴れるってどんな事をされてるのか。

 

暇潰しの雑談をしながら走った。あのピエロが後ろに居なければ逆走でもしようかと思うほどに飽きてきた頃に階段が見えた。アニメみたいな展開はなかった。

 

「お、この上がゴールだな」

 

「ようやくゴールすか」

 

フルマラソンぐらい走ったのに三人とも汗は掻いててもまだ余裕はあるな。体力どうなってんだと思うな。

 

階段の上に明かり外か。手前に階段がある。なんで階段なんだろう。トンネルなら上に上るのは緩やかな坂道で良いんじゃないか?階段とか余計な手間になるだけだよな。

 

後ろから何か聞こえてきた。

 

うぉぉおおお!!!

 

雄叫び?階段のしたの方、汗だくの半裸の男が走ってくるのが見えた。外でなら確実に通報してるな。

 

「変質者か」

 

「変質者すね」

 

「変質者だな」

 

「レオリオ……」

 

変質者、いやレオリオ……レオリオ、原作で途中退場する主要人物、最初に見たときはちゃんと服を着てなかったか?なんで脱いでるんだ。そう言えば、確か原作でも脱いでたか。真性の変質者……あ、いや医者になると言う夢の為になりふり構わず半裸になったんだったか。今でも思い出せる良いシーンだったのに第三者から見ると…変態にしか見えない。

 

ここで他キャラより体力がないと描写されて、メインキャラの中で弱い扱いになったんだったか。魔界編以降で置いてけぼりなった桑原みたいな

 

後ろで鞄を持って走っているのはクラピカ嬢、氏?鞄を持つのは……カノジョ、彼だったか?

 

そうこうしてる内に階段を上りきった。

 

「ゴールだ!」

 

「ようやく終わりか」

 

「ふぅ、よ、ようやく終わりスか……」

 

ズシはゴンやキルアよりも明らかに疲れてるな。同年代に体力で劣ってたと鬼に知られたらどうなるか。念抜きの体力は才能より鍛え方だから…地獄を見るな。

  

トンネルの入り口にシャッターが降りた。

 

「では、此処についての説明をします」

 

紳士からの説明、此処はヌメーレ平原、詐欺師の何とかと名称されるほど擬態して人を騙して補食する動植物が多数生息してる。生息してるのは良いとして自然に進化した動植物だろうか。生物兵器?それか世界地図に乗ってない暗黒な大陸の生き物、前世だとトンネルの分岐の他に研究施設があってヌメール平原に研究動物を解放してるなんて事をアニメをみた時は考えてたな。

「それでは第二会場に向かいますので着いてきてください」

 

まだ此処が第二試験会場でない。

 

むしろ此処からが試験の本番か。漫画だとトンネルから先は命の保証がない。トンネルで精神に責められて落とされたのは有情だった。

 

此処からは失格のリスクが桁違い。トンネルなら疲れたなら戻れば良い。しかし今度はゴールに辿り着かないと喰われる。原作のハンター×ハンターで一番初めに狂気を感じたシーンだったのを思い出した。

ただ現地の生き物の危険さの影を薄くした危険生物も受験生の中にいる。トンネルでは大人しかったのに、此処から危険度を増すピエロ擬きがサトツ氏に擬態していたサルをトランプで殺害した。サトツ試験官にも攻撃していた。この後の事を考えれば戦闘をしたくて挑発したな。

 

 

原作どおりになる。鬼の修行でイヤでもメンタルは鍛えられたがされでも冷や汗が出る。サトツ試験官が出発したのに合わせてサッサと危険生物から離れた。ズシを持ちながら

 

「ちょ!カストロさん!なんで持ちはこんでるんすか!そんな急がなくても!」

 

「いやズシ、なるべく急いだ方がいい。後ろの方だとヤバい」

 

キルアは原作どおり殺意にまみれた変態の空気に気付いてる。

 

「あの声は!」

 

「あ!ばか!ヤバいって言ったろ!?」

 

ゴンが引き返した。

 

何も聞こえなかったがゴンの聴覚には聞こえたんだろう。原作を考えたらレオリオ達が襲われたな。原作通りで無事に戻ってくるはず。少し後ろめたい気もするが先に進もう。

 

「ええっと…ご、ゴンさんが心配なので戻るっす!」

 

「お前もかよ………………ああ……くそ!」

 

「!?」

 

戻るな!?才能的に見逃される筈のゴン、ズシはどうなんだ!?変態の中でアウトかセーフなのか!?

 

「さっきに行っておいてくれ。二人を連れ戻してくる」

 

「…あ」

 

キルアにそう言って逆走した。キルアは原作と同じで引き返さないようだ。去り際に見たキルアの顔を見ると薄情と言うより原作にあった頭の針のせいか。ゴンだけじゃなくてズシも引き換えしてる。精神的には最悪じゃないか?

 

あの変態に出会う前に二人を確保して戻らないと…いや、ゴンは原作的に会わないと不味いのか。ズシだけは確保しておこう。ズシだけ助けてゴンは放置というのは…。

 

原作だと特になにもしてないクラピカも見逃されてる。クラピカみたいに助けに来た相手なら見逃して貰えるか? いやこの時点でクラピカがクルタ族と気付いてたのか?

 

「ご、ゴンさん、速すぎるっす」

 

ゴンが先行したズシは遅れてる。これなら…ズシと同じ速度で走ってれば原作のクラピカぐらいの距離でいけるな。

 

何年も前にあのピエロとであったことがある……しかしこれまだまったく反応を示す様子も無いからきっと覚えないとホッとしていた。

原作的に興味を喪ったら直ぐに忘れるなんて設定もあったから、興味を喪ったんだろうと本当にホッとした。

 

 

 

 

「あれカストロ、君の方から来てくれるなんてとても嬉しいよ♠」

覚えてた…。

 

「どうしようかな。本当はもっと後にしようと思ってたけど…う~ん……此所で天空闘技場でのリベンジしようかな。後のお楽しみとして残したい気もする……悩ましいね☆」

 

 

 


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