衝動的なの   作:ソウクイ

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某ほむら最強モノ作品を見て思い付いたのです。    
あの作品とクロスするなら良いかなと……


まどかマギカINバーンさま

 

中学への初登校。先日まで心臓の障害で入院をしていた彼女の初登校だけど正確には初めてじゃない登校。

 

この中学は不可思議な構造で教室から廊下が見える。生徒や教師は教室から廊下を歩く彼女を凝視している。始めてみる彼女の容姿には誰もが息を呑んでいた。

 

彼女の名は暁美ほむら。

 

彼女、暁美ほむらは魔法少女。

 

インキュベーターと契約した事で魔法少女となり、暁美ほむらの魔法少女としての力の時間逆行能力で、何度も何度も時間を逆行し今と同じ時間を繰り返してきた。

 

暁美ほむらが繰返し時間を逆行しているのには目的がある。それは魔法少女として契約した意味でもある。大切な友達のまどかとの約束を果たし護ること、鹿目まどかを魔法少女にせず守る事だ。

 

彼女は廊下を歩きながら強く思う。

今度こそ必ず鹿目まどかを守ると。

 

 

 

暁美ほむらの時間逆行にはイレギュラーはあるが、鹿目まどかを守るためには絶対に通らないといけない問題点が5つあった。

 

まどかを魔法少女に堕とそうとする魔法少女の先輩である巴マミ、悪意なく状況を悪化させるまどかの友人である美樹さやか、魔法少女の契約による願い事という餌で騙す諸悪の元凶のインキュベータ、夢も希望もない魔法少女と魔女の真実、そしてある意味もう1つの元凶であり最大の壁でもある最強の魔女のワルプルギスの夜。

 

暁美ほむらは此れを全て大体一月の間に解決しなければいけない。時間制限もありしかも何れもが単純に解決出来る問題ではなかったが、それでも四つの問題はクリア出来る目処はあった。しかし唯一、ほむらのループの切っ掛けでもある敵、見滝原にやってくるワルプルギスの夜への対処だけは無理だった。

 

暁美ほむらの時間の逆行期間の最後に必ず見滝原にやってくるワルプルギスの夜。そのワルプルギスの夜を倒すために鹿目まどかが魔法少女に契約するので暁美ほむらの目的は果たせなくなる。

 

 

これは問題の中で尤も単純な解決方法はある。

そう見滝原にくるワルプルギスの夜を倒すか退かせるだけでいい。それが出来たら誰も苦労はしないだろう。ワルプルギスの夜を倒すことが不可能に近かった。

 

最強の魔女というのは伊達ではなく。どんなに暁美ほむらが作戦を立て兵器と仲間を集めたりと、文字通り命を磨り減らすほど努力をし入念な準備をし挑んだとしても……暁美ほむらはワルプルギスの夜には勝てなかった。

 

経験により他の魔女は片手間に倒せる暁美ほむらでも、ワルプルギスの夜だけは手も足もでないほどに強かった。

 

 

……暁美ほむらの此までのループの中でワルプルギスの夜がある魔法少女によって倒された事はある。それが皮肉な事にワルプルギスの夜に勝てた魔法少女が、暁美ほむらが絶対に魔法少女にするわけにいかない鹿目まどかだった。

 

何故、普通の少女である鹿目まどかがワルプルギスの夜に勝てるのか。それはこれも皮肉な事に暁美ほむらのせいだった。

 

魔法少女の強さとは因果というモノの多さによって変化する。例を上げれば歴史に名を残す偉人や英雄などが因果を多く持っているようだ。勿論ただの少女の鹿目まどかはこの例に当てはまらない。

 

何故普通の少女であるまどかに因果が貯まったのか。それは暁美ほむらの鹿目まどかを助けるための時間の逆行が原因らしい、暁美ほむらが鹿目まどか一人の為の時間の繰り返した事が莫大な因果としてまどかに貯まってしまい、その因果が魔法少女になればワルプルギスの夜を遂に一撃で倒せるまでに鹿目まどかの力を高めた。

 

そして、そんな力をただの少女に耐えられる訳がない。一撃を終えた時には鹿目まどかは終わる。鹿目まどかはワルプルギスの夜を越える魔女となった。

 

鹿目まどかの因果の原因、この事実を前回のループの時にインキュベータから暁美ほむらに教えられた。異様に高い因果の量がまどかに魔法少女の契約を迫る理由だと、魔法少女に成れば鹿目まどかが終わるほど高まった因果の原因だと、暁美ほむらの心は折れかけた。

 

自分自身が守るべき鹿目まどかの最悪の害に成っているという事実は、暁美ほむらにとって致死に届く猛毒に近しかった。

 

それでも前回の時の暁美ほむらはワルプルギスの夜に挑んだ。ワルプルギスの夜さえ倒せれば鹿目まどかが魔法少女に成ることもないと思い。因果が幾ら貯まっていても魔法少女にさえ成らないなら関係ないと思い挑んだのだが、しかしやはり負けた。…結局はまどかが魔法少女となりワルプルギスの夜を倒した。そして鹿目まどかは……。

 

暁美ほむらの心が折れ諦めてしまった。

 

ほむらがこれまでの様に努力を繰り返しワルプルギスを何時か倒そうと思えば、さらに因果がたまり鹿目まどかの害になる。ほむらの心は諦めかけた。暁美ほむらにとって諦めることが死と同意味だとしりながら諦めようとした。

 

そんなほむらを救ったのもまた前周回の鹿目まどか。まどかは自分の為に苦しんだ友人を助けたかった。だから魔法少女になるための契約で願った。世界の理さえ叶えられるほどの因果の貯まった鹿目まどかが暁美ほむらのために願ったのだ。

 

暁美ほむらを最強にしてくれと。

 

ワルプルギスの夜さえ倒せるなら自分も魔法少女にならずに暁美ほむらは救われると思い願ってしまった。

 

鹿目まどかは魔女になる前に願いの内容を伝えた。自分の為に願った鹿目まどかの事を知り暁美ほむらは諦める訳にはいかなかった。暁美ほむらは再び時間を逆行した。

 

 

 

今回のほむらは前回の時間軸のまどかから強さと希望を貰い、今度こそワルプルギスの夜を倒すと意気を上げていた。

 

希望はある。

 

前回の鹿目まどかの言ったことは嘘でなく。今の暁美ほむらは鹿目まどかの願いを受けて桁違いに強くなっている。暁美ほむらがこれならワルプルギスの夜を倒せると思うほどに強くなっていた。代償と言うのか少し暁美ほむらの見た目が変わったが、ほむらは喜んだ。

 

暁美ほむらは鹿目まどかから貰った力で、今度こそワルプルギスの夜を倒しまどかを助けるという熱い思いを胸に、教師の呼び掛けに答え鹿目まどかの居る教室に入った。

 

 

 

 

 

「まどかー、ボーっとしてどうしたの。顔も赤いし風邪気味とか?ねぇ大丈夫?」

 

「え、う、うん何でもない。昨日変な夢を見てそれを思い出してただけだよ」

 

鹿目まどかは友人の美樹さやかにそう答えた。

 

「変な夢って……あ、エッチな夢とか」

 

「ち、違うよ!」

 

昨晩鹿目まどかは不思議な夢を見た。

もちろんエッチな夢なんかじゃない。

 

それは何処かわからない廃墟の中で居る自分と、とても大きな何かと戦ってくれている知らない綺麗な黒髪の少女の夢。

 

全体的に暗い世界の中で黒髪の少女は絶望したように泣いていた。まどかは何故かそれがとても悲しかった気がした。最後に夢の中の鹿目まどかが何か少女の為に願ったような……そこで夢は終わった。

 

ただの意味のわからない可笑しな夢の筈なのに鹿目まどかは何故かとても気になった。いや夢の内容よりも黒髪の少女の事が、見たこともないのに夢の綺麗な黒髪の少女が気になった。それに不思議とその少女に出会えるという予感も微かにしていた。

 

ホームルーム。

 

担任の教師の早乙女は何処かソワソワしている。恋人でも出来たんだろうか、それとも逆に別れたか、生徒たちがコソコソと話している。

 

「みなさん静かにね……今日は転校生のお方が来てくださいました。どうぞお入りください暁美さん」

 

少し態度の変な早乙女に促され転校生が入ってきた。その転校生は、まどかは一瞬だけ昨夜の夢に出てきた綺麗な黒髪の少女のシルエットが見えたが……全く違った。間違えた事を夢の黒髪の少女に心の中で謝るほどに違う。

 

その転校生を見て生徒は息をのみ美樹さやかは驚愕の表情で固まっていた。

 

黒髪でなくとても綺麗な銀髪だった。背丈は大人の早乙女の頭三つは大きい。ただのアクセサリーに見えない角。身体の震えてしまう鋭い眼光。盛り上がった筋肉でまどか達と同じ女子の制服がピチピチになりはち切れんばかり。見るからに女子中学生だ(断言)

 

 

 

 

その少女(?)の姿を見て、脳裏から何故か消えない黒髪の少女の幻影……

 

 

 

まどかは何故かスゴく謝りたい気持ちになった。

 


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