ボクは無個性だけどヒーローになりたかった。
無個性だと個性持ちに勝てないからヒーローに成れないとか思ったこともある。だけど師匠から個性持ちを倒していた無個性の話を聞いた。実際調べたら戦闘に使えない個性でヴィランを単独で倒すプロヒーローの話は幾つも出てくる。だから無個性だからって個性持ちと戦う事は不可能じゃない!!ヒーローに成ることは不可能なんかじゃない!
そう、不可能じゃないと思う。けどスタートラインが違う様なもので無個性のボクがヒーローになるのは並大抵の努力で足りない。だから幼い頃から今まで飼い猫と言う名の獄卒、師匠のピトーから無茶な拷問、違った特訓を受け続けてきた。
正直ヒーローを目指してるの後悔した事は何度かある。ヒーローになる前に死ぬとか真面目に思った事が何度あるか!
ヒーローに成るために努力してきたと声を大にして言える。特訓の密度がボク以上の人は先ず居ないと思う。いやだってピトーの回復無しでボクより努力してたら絶対に逝ってるからね!!回復されても命が崖っぷちな日常、三途って名前の川の向こうに定期的に渡りそうな日常!個性を含めたらとても一番とは言えないけど個性持ちにも簡単には負けると思わない。個性もちとも戦えるだけ鍛えてきたと自負してる。実際、大きな声で言えないけど…チンピラヴィランと戦わされて買った事あるし。
因みに勝った後に個性ある相手とも戦えるとか喜んでたらピトーから言われた事!個性持ちと戦えるのなんて個性持ちからしたら当然の話だってさ。此処まで努力してきてようやく他の個性を持ったヒーロー候補と同じスタートラインだってさ。本当に死ぬ気で努力してきてようやく同じと思ったら、ヒーローに成るのは個性持ちでも上澄み、まだまだ壁は高いとか言われて特訓は減らないんだ。
自信がついてもそんな事を繰り返されるから、どんなに努力しても無個性はヒーローになれないそんな不安は何時も抱えさせられた
だけどそんな弱気な思いは今日消し飛んだ!
あのオールマイトにボクがヒーローになれると言ってもらえれたんだ…!!
オールマイトはやっぱりすごい。ただの言葉で、オールマイトの言葉で此までの何年も続けた努力が報われた気がしたんだ。ずっと心の中で疑ってきたのにボクはヒーローになれる!そう強く信じられる様になった。もし人生最高の日があるなら今日だと思う!
ただ
命日も今日かなって?
ははボクの名前の横に(故人)って文字がつきそうで全身が震える。オールマイトの後ろから僕を見てる死神、鬼、猫耳が鬼の角に見えるだ。ビルの屋上辺りから忘れてたんだ。絶対に怒ってる。微笑んでる。あれスゴい怒ってる顔だよ。助けに?来てくれたのにビルの屋上に放置した。それだけでこんな起こった空気に…さっきのヴィランとの戦闘、特訓を無駄にした感じだった。忠告全無視……はは…謝ったら許してくれるかな。許してもらえる気がしない!!
も、もし予想より怒られなくても…特訓増やされるのは確実!。今でも命の崖っぷちの特訓増やされたら崖っぷちから落ちる!増量は勘弁してくださいと命乞いをしなければ!そう思考した瞬間にボクは土下座していた!
「しょ、少年?いきなり土下座してどうしたんだい?」
「あ、スミマセんオールマイト、命乞いをしないといけないので」
「命乞い!?命乞いに土下座もそうだけどなんで私に向かって、まさか後ろに誰か……っ!」
オールマイトは後ろにいたピトーに凄く驚いていた。万全とは程遠そうなオールマイトだけど、オールマイトの後ろをとるとかとんでもない事をしてるよね。うちのお師匠が化け物だ。
「君はさっきの!?何時から後ろに!」
「あ、驚かせたみたいでゴメン。話の邪魔もしたみたいだし」
「話!?き、きみ!?何時から話を、ま、まさか……個性とかの話しも…聞いてたのかい」
「え、個性ってなんの事ですか!?まさかオールマイトの!?」
「肝心の少年が聞いてなかった!?」
この反応、ボクにオールマイトが個性にまつわる話をしてたの!?ボクはピトーを見て命の危険を感じて聞いてなかった!?そんな!?日本のヒーロー界隈で最も謎とされてるオールマイトの個性、至極の秘密!!それをオールマイトは意図せずに聞かれた!?た、大変だ!!オールマイトの秘密をピトーに聞かれたの!ピトーに聞かれたら…聞かれたら…問題ないよね。
「うーまぁ聞いたけどどうでもいいよ。大事な話ならこんな所で話さない方が良いよね」
「どうでも!!?」
ほらね。やっぱり欠片も興味ない。ヒーローに興味ないもんね。内容わからないけどピトーなら五分もしたら忘れると思う。ピトー猫みたいに興味ない事にはとことん興味ないからね。猫みたいにじゃなくて猫だった。オールマイトの秘密を知ってもネコに小判。なんでボクが聞けなかったんだ!!
「それよりイズク」
「はい!なんでございましょう!!」
反射的に額をコンクリートと地面に押し付ける。そうだ今は土下座してたんだ。
「人前で土下座は止めなよ。命乞いってのも人聞き悪い」
「なら…怒ってない?なにもしない?」
「怒ってないよ。たださっきのヴィランを相手にする時の行動がダメダメだったから、ダメだった所をジックリ教えるつもりなだけだよ」
それならどのみち命乞必要じゃないか()
「あと別の文句も言いたいかな。イズク……師匠のボクのこと忘れてたよね?屋上まで追い掛けてあげてボクの事を放置したよね?」
やっぱり怒ってもいるじゃないか!!背景にプンプンって擬音が見えてもうって可愛い顔だなー。死神の幻影が見えるんだ。ボクは恐怖でガタガタ震えて泣いてるんだ。
「え、えーーと少年、師匠とか聞こえたんだけど…彼女が君の師匠なのかい」
ボクが恐怖で泣いてる所を気にしてもらえません?泣いてる理由を聞いて助けてください。助けて
「はい素晴らしい崇拝すべき尊敬しているお師匠さまです」
「そ、そうなんだ。彼女はそんな素晴らしい師匠なのか……それだと…私が少年の師匠になるって提案しようと思ったんだけどダメかな」
オールマイトが師匠になってくれるつもりだったの!?なんで!?わからない!師匠になってくれる理由は全くわからないけど!!
「まったくダメじゃないです!お師匠になってほしいです!!オールマイト以上にお師匠さまになってほしい人なんて存在しません!!…あ」
ボクは反射的にそう言った。
言ってしまったよ。
なんでボクは考えて声を出さないかなぁ。
あ、あはは……どうしよう。師匠のピトーに許可をとらずに新しい師匠をとろうとした、それも怒ってるピトーの目の前で許可をとらずに…………
「………」
オールマイト、顔が青くないですか。あのオールマイトが顔を青くするなんてレアな光景だなー。ピトーの方を見てどうしたんですか。わかりたくないです。オールマイトの体でピトーの顔が見えないんです。見えないのに物凄い怖いんです。タスケテ。
「その、うん!今日は遅いからまた後日!これ連絡先!とても大切な話があるから明日にも出来たら連絡してね!」
ピトーに念入りに個性の事は内緒にして欲しいとお願いしてから、そそくさとオールマイトが去っていった。とても足早に去っていった。憧れのヒーロー…もとい命綱が去ってしまった。明日またオールマイトと会うんだ。オールマイトとの師弟生活が始まるんだ。明日から……
明日から…
「イズクお話ししようか」
…………ボクに明日あるかな
イズクは好きな筋肉の人オールマイトって人にヒーローになると認めて貰う。尊敬してる人に認められて良かったねイズク。ボクの事を脳から忘れるぐらい嬉しかったみたいだしね?
筋肉の人と別れた後、二時間ほどしてからイズクをおぶって家路を歩いてる。やれやれ、まったくボクは優しいなー。師匠の目の前で新しい師匠をとろうなんて不届き者で不忠で浮気者なバカ弟子をゴミ捨て場に捨てて行かずに部屋まで背負ってあげるなんてね。
二時間なにしてた?
これもまたボクの優しさだよ。イズクが対抗策無しにヴィランの前に出るなんて危険な事をしたから確りとお説教してあげてたんだよ。あんなの助けるの無理で危険で無謀なだけだからね。お馬鹿な弟子に師匠としてキチンと脳が忘れないぐらい注意しないとね。それと僕の目の前で喜んで師匠の鞍替えした事への説教もちょっぴりとだけ。
「い、イズク!!?ピトー、イズクどうしたの!?幾らなんでもこれはやりすぎじゃない!?」
家に帰るとママさんがぼろ雑巾なイズクの姿に大絶叫した。ママさんはイズクを何時も心配してる。本当はヒーローになるのは止めてほしいと思ってる。だからボクのキツイ特訓にもイズクがヒーローを諦めると思って文句は言わなかった。けど流石に此処までズタボロになるのはアウトみたい。うん、ボクの特訓ではこんなボロボロにはならない。ボクの特訓は優しいんだよ。
「うん、これは特訓のせいじゃないよ」
ヴィランと遭遇して幼馴染みを助けようとした結果(ボクに怒られて)こうなったと説明した。あと服はボロボロだけど(治療したから)怪我はしてないという。嘘は入ってない。
「そうなの。もう心臓に悪い。はぁ…無茶は止めてほしいわ」
「まったくイズクは無茶し過ぎだよね」
「こ…これ…ピ、ピトーが…うぐぇ」
何かよく分からないうわ言を言うイズクを優しくベッドに放り込んだ。
イズクの意識無くなってるね。色々とあったから今日はイズクの修行は休みにしてあげようか。疲れてたら休みをあげるなんてボクって本当に優しい師匠だよね。その代わり明日二倍やって遅れを取り返さないといけないけどね。あ、もっと修行も増やした方がいいかな。新しい師匠がほしいそうだしね。
魘されるイズクを布団に投げてボクも猫の姿に戻って自分の寝床に入った。
ねよーーーって思ってたんだけだ、寝る前にどうしても考えてしまうなぁ。
ヒーローの筋肉の人の個性
名前がワンフォーオール
効果は個性の譲渡…
なんかなぁ。興味ないフリしたけど嫌なヤツのことを思い出すなぁ。綺麗にミラーリングした要素ばかりで名前がどう考えてもあれだし。深掘りしたら絶対厄ネタな感じする。何となくイメージがドラクエの呪われた装備、個性受け継ぐとか反対したいけどイズク乗り気だよねぇ。悪いのイズクだしイズクに増やす修行内容を考えながら寝ることにしよ。
もうすぐイズクも高校。
ヒーロー科の受験を受けることになる。
難易度とか詳しく知らないけど受かるかな?わりといい線いってるとか思ってたけど今日のイズクの行動的に今のままだと駄目だよね。教えたことを忘れてなにも考えないで飛び出したし。
うーん筋肉の人の個性を受け継ぐとしても本人が駄目だと意味ないよね。もっと忘れない様に厳しい特訓を増やさなきゃ駄目だよね。筋肉の人を師匠にするとか今の特訓だと物足りないみたいだし。イズクが大変な事になっても新しく師匠になるらしい筋肉の人の責任だしね…うん。
例えばどう言うのにしよう。
改善する点は多いけど敢えて言えば…
んーー緊急時の判断力かな。鍛えるのに…例えば野生の熊相手にした鬼ごっことか?うんヴィランって熊より強いの普通に居そうだしこの程度の課題は良いよね。
他には攻撃受けて動きが鈍ってたね。なら鍛えるのに数十メートルくらいの絶壁からのバンジージャンプ(ノーロープバージョン)かな。ヴィランの攻撃を考えるとこれぐらいどうにか出来なきゃ駄目だよね。
あとは攻撃を受けないようにする特訓も必要かな。治安の悪い町の路地裏の探索とか?見つけたヴィランの人達と遊ぶ。それか覆面被ってヒーローorヴィランに暴言吐いて攻撃される。慣れたらどんな攻撃が来ても避ける様にするかも。
これは初級コースであとは……新しい師匠を勝手に増やしたイズクの為にこんなに考えるなんて本当ボクは我ながら良い師匠だと思うよ。
「いやぁぁあ!!しぬううう!!ムリムリ!!死んじゃう!!え、強制…いやだぁぁ!!オールマイト助けてーー!!うぎゃああ!!は!!!…はぁはぁはぁ!……え、部屋?ゆ、夢、夢だったの」
夢か…よ、よかった。
そ、そうだあんな事は現実に起きないよね。
とても恐しい悪夢を見た。なんて恐ろしい夢を見てるんだボクは!夢の中でピトーの特訓(拷問)が更に過激になるなんてあり得るわけないよね!
あぁ夢でよかった。
何であんな夢を見たんだろ。昨日なにか…そ、そうだ。ぼ、ボク生きてる?生きてる!!ピトーが激おこで昨日で本当にダメだって…グスッ…よかった。生きて今日を向かえられた…!!
「うぅ生き延びたって事は!オールマイトと師弟関係になれるんだ!!うわーーーオールマイトの連絡先を貰ったんだ!さ、早速オールマイトに連絡して、あ、時間が早すぎるからダメか!!あぁオールマイトの弟子になれるなんて夢みたいだ!……いや待てよ夢」
昨日のは夢?
だっていきなりオールマイトの弟子になるだよ。
オールマイトと出会ってヒーローになることも肯定されて弟子にして貰える。ボクに都合が良すぎる。昨日の事、全部夢じゃないかな。 普通に考えて夢だよね…。
けどオールマイト筆跡のサインとオールマイトの筆跡が同じ連絡先の書かれた紙はある。間違いなくオールマイトの筆跡だ。オールマイトの書いた文字は数万回は見たことあるし間違う筈がないよね。
頬を引っ張てみた。
痛い
夢じゃない!
「イズクー起きたー。…なんで頬を引っ張てるの?やっぱりドM…じゃなくて、起きたんなら昨日やらなかった分の特訓を今日やるから早く着替えて。あと新しい師匠がほしいぐらいだし修行が足りないって事みたいだから修行を増やすからね」
あ、やっぱ夢だ。