衝動的なの   作:ソウクイ

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ドラゴンボールって修行時間より修行方法か修行環境の方で戦闘力が変わってますよね。




ドラゴンボール5

 

私、パラガスが家族と共に惑星ベジータから旅立ってから幾年か。今でも思い出す。惑星ベジータを離れることになったあの日は……本当に驚きの連続だったな。

 

その日、私は異様な戦闘力を示した息子のブロリーの抹殺を王がするつもりだと言う話を聞き、ベジータ王に息子の抹殺の取り止めを願う直訴をしに行ったのだ。

 

あの時、助けに向かった理由は息子の強さに期待して下克上が狙えるという野心だ。野心なんだと思うが…あのベジータ王に直訴しに行くのは自殺に近い。野心だけでなく、ほんの少しは息子を助けたい何て言うサイヤ人に相応しくない愛情も有ったのかもしれない。

 

当時の私は王に息子の助命を直訴しに護衛に止められながらも強行にベジータ王の居る王座に突入し、其処には予想外の先客が居た。

 

 

娘だ。

 

娘がベジータ王を蹴倒していた。

 

それは驚いたよ。何故なら当時の私は娘を可愛いだけの普通の娘だと思っていたのだから。

 

 

息子と違い。産まれた時の戦闘力は平均値、大きくなり何度か戦場に出たこともあるが目だった戦歴もない。戦闘力も平均より低い、侵略にも積極的な様子もない。後方勤務の方に回せないか検討した程だ。なのにまさか、そんな娘が最強の王を蹴倒してるとか誰が予想できよう。

 

思い出せば、娘が産まれた時にブロリー並みの戦闘力が出て、測定値の故障だと聞いていた。測定器の故障ではない。なら低い戦闘力は何だ。あとからしった事だが娘は戦闘力を隠せる技能が生まれつきにあったそうだ。私もヤードラットで学んだ難しい技術だ。

 

娘も息子に並んで天才なんて言葉も生温い。

 

当時の娘の本当の戦闘力は何れ程かわからないが、少なくともサイヤ人で最強だった筈のベジータ王を圧倒できる強さがあった。あの日、娘は隠していた力を出し並みいる精鋭をモノともせずに王を倒していたのだ間違いない。

 

当時の娘は今よりも小さな幼女だ。幼女に蹂躙され踏まれる最強のベジータ王、その光景に私の中の何かが壊されてしまった。

 

娘はベジータ王を倒した。

文句のつけようもなく正面から倒した。

娘がその意思を見せれば新たなサイヤ人の王にもなれた。

 

簒奪?違う。我々が戦闘民族サイヤ人である事を考えれば、王を圧倒して倒した瞬間に娘が王位を継承したと考えてもいいだろう。仮にベジータ王が王権の移乗を拒否したとしてサイヤ人の誰が弱い王に着いていく?

 

しかし娘はそんな王の地位を無価値と断ずる様に、ベジータ王を脅迫しサイヤ人としての記録も消し惑星ベジータから消える事にしたのだ。

 

 

私は拒否するなんて想像もしてなかった。なのに娘は王位などに欠片の興味も示さなかった。戦闘力を隠していたことといい。地位に娘はなんの価値も感じてなかったんだろうな。それだからこそ王位に価値があると信じていたベジータ王が狼狽え、ベジータ王の息子を娘の婿にしようとする姿は憐れだったよ。

 

 

本当に憐れなモノだった。

 

 

あの王は異様に高い戦闘力が有るという理由で息子のブロリーを抹殺しようとした。サイヤ人にとって厄災に成るなんて言っていたが、本当なのか怪しいな。

 

 

我々サイヤ人はフリーザの強さに負けて軍門に下っている。フリーザの軍門から抜けるのにフリーザを越える強さが必要だ。ベジータ王の息子は強いらしいが到底フリーザに届くようなレベルでもない。ブロリーの様な規格外でもないとフリーザを倒す希望になり得ない。厄災?もしブロリーがフリーザを倒してもベジータ王の王としての地位が無くなるのが困るんだろう。

 

息子を殺そうとしたベジータ王はフリーザを倒すことよりも、自分の地位を選んだとしか思えない。なんともサイヤ人の王として情けない。情けなさ過ぎて泣けてくる。

 

 

そんな王の元で最強の戦闘民族サイヤ人として戦ってきたと思うと虚しくなり、私は娘に誘われ息子と共にベジータ星を去る事になっても未練は持てなかった。

 

それから、今までの生き方を捨てるのにも未練は無かったが、生まれてからずっとサイヤ人として生きてきて、これからどうするか考えることも出来なかった。だから娘の出す方針に従った。ベジータ星から出てからは娘の方針で賞金稼ぎとなり、賞金を稼ぎながら旨い飯の星を探して気儘に旅をしながら暮らすようになった。

 

賞金稼ぎになると教えられたのはベジータ星を出た直後、元から考えていたとしか思えない。恐らく息子の事は関係なく、元から娘はこう言う生活をする計画を立てていたのだろう。

 

娘の言いなりになってる様で親として思うところは有るが、方針自体には文句はなかった。誰にも指示されず家族と自由に暮らす日々。むしろこの生活こそがサイヤ人の有るべき姿だと思えるほど前より充実した暮らしをしていると思え。新しい生き方に満足した。

 

あの時にベジータ星を去ってよかった 

風の噂で惑星ベジータごと隕石でサイヤ人が滅んだと聞いて、そして娘の推測を聞いて、余計にそう思えた。

 

 

推測通りならサイヤ人はフリーザに利用され尽くして捨てられた。もう1つの可能性ならベジータ王が反乱をして返り討ち。どちらにしても……サイヤ人にとってブロリーは生き残る最後のチャンスだった様に思えるな。あの王がチャンスを切り捨ててサイヤ人は滅んだ。

 

 

ただベジータ王のブロリーが厄災になると言う発言は的外れでもないかと思う。我が息子のブロリーだが、驚異的な潜在能力の成長は止まることなく戦闘力は上昇していく。

 

特に金髪に変化した時の戦闘力は恐ろしい。普段の大人しさが嘘のように暴力的となり、息子は伝説の超サイヤ人じゃないかと疑った時もあるが…それなら姉の方も伝説の超サイヤ人になる。

 

驚異的に強すぎる息子より娘の方が強い。強いが予想では恐らく2人の才能は同等、年齢で姉の方が強い。

 

正直、少しだけ、娘や息子の力を活用すればフリーザすら平伏する宇宙の覇者になれると思ったこともある。

 

しかし、すぐにバカらしいと思ったよ。

 

宇宙の覇者になれるがしかしそれは俺の力ではない。仮に子供の力で宇宙の覇者になってどうなるか。そんな手段で宇宙の覇者の地位に成ったとして意味があるか。…惑星ベジータを出る前の私なら利用して支配者を目指したかもな。

 

ベジータ王を思い出すととそんな気も失せる。惑星ベジータを出る前の惨めなベジータ王の姿は今でも覚えている。娘を利用して支配者なんて、娘を自分の中の息子の妻にしようとしたあのベジータ王と同類だろう。

 

 

今の生き方には不満はないが不安はある。ブロリーが大丈夫なのか心配だ。

 

ブロリーの驚異的な戦闘力はそれを上回る姉が居る限り問題ない。ある程度姉と遊べば満足する。心配なのは暴走癖や戦闘力でなく……ブロリーは成長していくごとに親の私から見て危険で恐ろしいと思うほどの、シスコンと化していくことだ。 

 

俺がブロリーの世話を姉に任せすぎたのが悪かったのかもしれない。娘の教育のお陰で(金髪になってる時以外の)ブロリーはサイヤ人と思えないほどに穏やかな性格となった。

そこは良いんだが、姉に懐きすぎだ。

 

大人になった後にも姉と一緒に寝ようとしたり、風呂で頭を洗ってもらおうとするのはダメだろう!?何時間違いが起きないか心配になるのもしかたない!幸い娘が子供の姿で成長が止まっててそう言う事はしないと、ギリギリ大丈夫だと思おうとした。

 

だから娘が……ナメック星人の願いを叶える不思議な球を使って成長するとか言い出した時は少し不味くないかとおもう。まぁ初めは願いを叶えるとかお伽噺だろうと思っていた。ナメック星に願いを叶える不思議な球が本当にありそうだとわかった時には焦った。

 

娘が成長してブロリーと娘の関係がどうなるのか。娘は弟としか見てないがブロリーはどうか。

 

ブロリーが娘の願いを無効化する願いを叶えて何とかなったと、喜んだんだが、喜んだら娘に理不尽に殴られたんだが…………良く良く考えるとブロリーが、何でそんな願いを?まさか娘が小さい方が危険なのか?

 

娘は大きくなるという願いを叶える為に、別のドラゴンボールのある地球という星に行くことになったんだが、その前に面白い技を使うという噂を聞いたヤードラット星人の所に寄り道をすることになる。当初予定してたが珍しくブロリーが強く行くと主張した。足止め目的としか思えなくて嫌な汗が流れた。

 

それから日数をかけてヤードラッドで技を学んでから出て地球に辿り着いた。不幸な行き違いで地球の守護戦士たちと戦闘となるも、私の紳士な対応で御互いに負傷者なく相手の誤解をとくことに成功した。

 

 

それから誤解された理由を聞かされたんだが、サイヤ人の生き残りが攻めてくるとはなんという偶然か

 

サイヤ人の生き残りね。

私の娘の様に危機を察して逃げたサイヤ人が居たのかな。まさかフリーザが許したのか?

 

そんなサイヤ人が地球に来る目的はなんだ。あぁドラゴンボールか。生き残りのサイヤ人がドラゴンボールについてどこかで知ったのか。

 

「それは悟空が切っ掛けです。悟空を訊ねてきたサイヤ人の兄が居たんです」

 

「サイヤ人の兄、悟空とやらはサイヤ人なのか」

 

「アニキよ方はラディッツ、悟空はカカロットって呼ばれてたけどパラガスさんは知ってたりは」

 

「カカロットなんて知らないな…いや気のせいかも知れないが、何処かで聞いたことがあるような気もする。そのカカロット、悟空の年齢は幾つだ」

 

「えっと悟空の年齢はーー」

 

「その年齢ならブロリーと同じぐらい。ちょうど惑星ベジータが滅びた時期だな。ベジータ星が滅びる前に地球に送られたのか」

 

「星が滅びる前って悟空って変な所で運が良いんだな」

 

滅びる直前に地球に送られたのか。フリーザはサイヤ人を始末してたと思うんだが……地球が辺境だから始末されなかったか?

 

「……」

 

ん?なんだ。なぜかブロリーが不機嫌そうな顔をしている。カカロットをブロリーが知ってるのか。カカロットと年は近いようだが…娘に聞こうとしたらブロリーが何故か止めてきた。

 

 

ドラゴンボール使用の許可は貰ったが、使うのは順番待ち、ドラゴンボール使用後は1年使えない。つまりドラゴンボールを使えるのは一年後。 娘は不満そうだ。

 

ドラゴンボールを報酬に地球の神に雇われることになる。娘も息子も地球の食べ物を気に入ったようで守る事には特に反対はしなかった。

 

サイヤ人が来るまでの半年、食事の対価として修行で地球の戦士を強くする。

 

サイヤ人に勝つには生半可な修行では勝てない。なので修行は娘が考案したモノ、私も受けさせられたが……殺す気なんじゃないかと何時も思う。

 

娘が言うには大雑把に言えばサイヤ人は死にかけるほど強くなる。確かにそう言う性質がサイヤ人には有るのは納得できる。なら強くなるにはサイヤ人は死にかけた方がいい()だから特訓で死の淵に立てばいい(!?)

 

頭可笑しいんじゃないか。

 

娘はサイヤ人の事を脳筋とか良く言うが、お前が言うなと言いたい!!娘の特訓は脳筋の極地!とにかく肉体的にも精神的にも死にかけ寸前まで追い込んでいく!!

 

娘は崖っぷちギリギリを測って止める。ギリギリ過ぎて心臓が一旦止まったりするぐらい当たり前、心臓が再稼働してくれないと死ぬ。一歩踏み外したら永眠な訓練を普通にやるなんてアホだろ。

 

 

私もサイヤ人だ。強くなれるなら地獄にも手を伸ばしてしまう。成果は絶大で私は相当につよくなった事は認めよう。

 

だが副作用みたいモノもあった。

 

私は戦闘時に少し精神のタガが解放されるみたいに特殊な戦闘をする時があり、地球の戦士との戦いみたいな事が…以前はこんな事は無かった。娘の特訓のせいとしか思えない。それで娘に怒られるのはちょっと理不尽でないか?

 

 

娘はサイヤ人の特訓をそのままやるつもりだ。別にサイヤ人の特性が無くても強くはなるだろう。ただそれには修行を遂行できればだ。

 

何人か脱落すると思ったが、まさか全員こなしたのは素直に驚いた。彼等の根性はすごい。彼等には仙豆という骨がバラバラになっても回復する回復薬があるが、治るとしても痛いものは痛いだろうによくやる。

 

神が言う何かを忘れるために必死に頑張ってると、やってくるサイヤ人への不安か。脅しすぎたかな。

 

彼等はよく頑張った。

たった半年で戦闘力を何倍にもあげていた。

 

半年後にはよく修行を完遂したと私は年甲斐もなく感涙してしまった。これならサイヤ人が来ても何とかなると思いたいが……全員合わせても私より弱い。

 

 

娘や息子に届かないのは当然として、私に勝てないレベルのクリリン君達は勝てるだろうか。私も娘の修行で強くなり其れなりに強いという自負はあるが……やってくるサイヤ人が私以上の可能性もある。

 

 

クリリン君達もサイヤ人に勝てない可能性は考えてるようだが、それでもクリリンくん達は自分達が先に戦うと約束させられた。

 

我々に後を任せると言ってな。

 

悪いが……もしもクリリンくんたちよりも強いサイヤ人なら約束を破ってでも助けようと思う。約束を破るのか?約束を破る人間と思われる?ふん、そんなもの弟子の生存と比べたらどうってことないわ!…まぁあんまり強すぎたら戦うのは娘に頼むんだがね。

 

そうして地球に特徴的なポッドがやってきた。一人用のポッドだ。何故か。あのポットを見ると無性に怖いんだがどうしてだ?

 

感じる気は二つともクリリンくんたちでも何とかなるレベル……力を隠してる可能性があるか。

 

街中に落ちようとする二つのポッドを娘が荒野まで殴り飛ばす。もし任せる約束とか無ければ地球に来る前に宇宙空間でポッドごと中身を消し飛ばしてたな。

 

 

 

誰もいない荒野に落ちたポッド

ポッドから出てきたのは本当にサイヤ人だ。あの尻尾は間違いない。本当に生き残りが居たのか。フリーザ軍で使っていた戦闘服を着てるな。

 

あの髪型どういうことだ。

まさか…いや、そんな訳が…

 

「ふん、中々面白い歓迎をしてくれるじゃないか」

 

ポッドから出てきたのは、ハゲの大男は…それしてもう片方、特徴的な頭髪…

 

「ベジータ、どうやら待ち構えられてたみたいだな」

 

「ベジータだと!まさかお前はベジータ王の血を引くベジータ王子なのか!」

 

「え、王子!!?」

 

「ほう、オレを知っているのか。そうだオレはベジータ王の血を引くベジータさまだ。お前は何者だ」

 

ほ、本当にベジータ王子だと……髪型と顔立ちは否定できない程に似ている。しかし…戦闘力はそんなに感じないな。ブロリーや娘は仕方ないとしても、気が私よりも……

 

い私に探れないほどに隠してるだけか。サイヤ人の王族、娘が可笑しいだけで、王族は遥か格上の存在であり昔より強くなった私にも勝てない存在の筈だ。当然、私にも劣る地球の戦士達が勝てる相手ではない。

 

「王子だか何だか知らないが余所見をするな!お前達の相手は俺達だ!」

 

「なんだ生意気な奴等だな。ラディッツごときに苦戦したナメック星人もいるな」

 

「ふん、いいだろう。お前らを片付けてからアイツが何者か聞く事にしよう」

 

「な!待て!」

 

「パラガスさん、俺達に任せてくれ」

 

「むぅ…」

 

そんな覚悟をこめた目で頼まれると……私は止めることが出来ない。止めを刺される前に介入できるかどうか。王子達は戦闘力を隠している。クリリンくんたちでは勝てない!そう思っていた。

 

 

なのに……

 

 

「く……くそぉぉぉ、サイヤ人の王子であるこの俺が、こんな辺境の惑星のやつらに……」

 

 

 

 

な、なんで普通に負けてるんだあの王子……。

 


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