此処はどこだ?
廃墟?廃墟と言えば……オールマイトとヴィラン連合のボスが戦った場所なのだろうか。違うか。土煙が立ち上ぼり火事が起きてるという事は廃墟になってからあまり時間は経ってないな。
相当なヴィランに襲撃を受けたか。
大震災でも起きたのか。
何にしてもなんでそんな所に私は居るんだ。たしか誰かに呼び出されて、無視して寝た……ソコからの記憶がないな。
寝てる最中に転移系の個性で飛ばされたか?
しかし何の目的で……。
誰かを見付けて此処が何処か聞こう。気で探って一番近くの人を…うん?随分と大きな気が近くにあるな。プロヒーローの何十人倍……いや何百倍か。…何者だ。オールマイトよりも気が大きい。この瓦礫の山を作った犯人か?
何者か気になり気を感じた場所に移動すると、随分と悪そうな黒い異形系の誰かが居た。どう見てもヴィランにしか見えない。傍に泣いた少女が居るな。黒い奴が少女に手を差し伸べている?見掛け悪人に見えるが良い奴……ではないな。
黒い奴の手が巨大化してあの手は少女を握りつぶそうとしている。ヒーローでないが少女が握り潰される所を見逃す訳にいかない。私は急いで飛び立ち少女を抱え黒いヴィランの手を避けた。
「きさま……なんのつもりだ」
この声は…まさか!
「フリーザか!」
「…誰だそれは」
まぁ違うか。見かけが白どころか真っ黒でまったく違う。声が似すぎて一瞬フリーザかと思った。見かけで言えば……
「バイキ○マンだな」
可愛いげが欠片もないリアルな感じの。
「誰がバイキ○だ!逆だ!私は人間というバイキンを駆除するために地球が産み出したワクチンマンだ!それできさま!怪人の癖に人間を守るとはどういうつもりだ!」
んん?怪人とは異形系という意味か。それで人間を守るのはどういうつもりか……
「何を言ってるんだお前は、助けて何がおかしい」
地球が産み出したワクチンマンとか名乗っていたが、頭があれか。
「……お前こそ何を言ってるんだ。怪人が人間を助ける?可笑しいに決まっている。見ろ、貴様の助けたガキですら可笑しいと思っているぞ」
助けた少女の方を見てみる。ワクチンマンは勿論、私にも怯えているな。なんで私にも怯えてるんだ?昔はともかく、完全体になってからは子供に怯えられた事とか……少なくなってたんだが
「なんだそのショックを受けたような反応は。まさかお前、自分が怪人だという自覚が無いのか?」
怪人の自覚……何か嫌な予感がしてきた。
とりあえず倒してから色々と聞くか?
戦うつもりなら相手の情報が必要か。流石にこの廃墟を作った可能性の高い相手の"個性"は警戒しないとダメだろう。まぁ私だけならどうとでもなるだろうが抱えた少女が居るからな。安全策でいく。
「怪人の自覚など無いよ。それよりこの瓦礫の山を作ったのはお前だろう。随分と派手な事をしたようだが、お前の"個性"はなんだ」
プライドが高そうなコイツなら普通に言いそうだと思い聞いてみた。
「コセイ?個性か?……どういうつもりの質問だ。」
嫌な予感がさらに濃くなった。
"個性"について聞いたのに反応がまるで。
「君、"個性"を知っているよな」
なるべく優しく少女に問い掛けると怯えながらも知らないと言うように首を振られた。
どうなってる。
なんでどちらも"個性"を知らない。
流石に可笑しいだろう。今は人類の七割、八割が"個性"もち。両方知らないなんてことは"個性"がない場所でもないと……まさかそうなのか?そういうことなのか?"個性"が存在しない別世界なのか此処は。そんな事があり得るわけがないと思うこともできない。既に別世界に行くのは1度体験している。2度目なのか?
いや、まだこの二人が偶然知らなかっただけかも…
「……何を考えているか知らんが、いい加減にそのガキを殺すから渡せ。別にお前がそのまま潰してもいいが」
少女が震えてるな。
どちらかやる様に思われたとしたらショックだ。
「馬鹿か。どちらもゴメンだ」
「貴様、人間を駆除する怪人と思い大目にみてやろうと思ったが、人間を守るならお前も人間と同じ地球にへばりつく害虫だ。其処のガキと一緒に始末してやる!」
「ふん、此方としても望む所だ」
そちらが仕掛けてくるなら正当防衛になるからな!倒したあとに色々と聞かせてもらおうか。
私は少女を下ろし背中に庇い。
ワクチンマンと私は対峙した
「え、これどういう状況?」
太陽拳!?いや禿げ頭の反射か。
天津飯の様な頭の男性が立っていた。
彼のあの格好は、色違いのアンパ○マンの安物という感じのコスチュームだな。バイキ○マンみたいなヴィラン相手と考えると合ってるな。いやそれより彼の見かけはどう見てもヒーローだ。あんな明からさまなヒーローが居るとなると別世界と考えるのは早計だったか。
「また邪魔か。何者だ貴様は……」
「俺は趣味でヒーローをやっているサイタマと言うものだ」
「……趣味のヒーローだと、なんだそのて」
趣味のヒーロー、ヴィジランテか。
趣味ならプロヒーローと違って報酬も名誉も無い。
「つまりは見返り無しで善意だけでやってる正統派のヒーローか?」
法的にはアウトなんだがそう思ってしまう。
バッ○マンとかと同じダークヒーローは嫌いじゃない。ステインみたいなゴミは違うが。
「……」
「…………」
何故か二人が固まった。
「ヒーローが何のようだ。いや、決まっているな!人間という害虫を守る為にこの私、ワクチンマンを倒しに来たという事だろう!」
「え、おう、そう言うことだ。……この瓦礫の山ってお前の仕業だよな?向こうの緑じゃなくて」
「ふん、人を助けるような愚者にこの様な素晴らしい真似が出きるわけないだろう。やったのはこのワクチンマンだ」
「そっか」
サイタマ氏は拳を構えた。
戦うつもりかサイタマ氏は……気は何故か感じ難いが判る分だけでもサイタマ氏が負けるとは思えない。というより強すぎる感じがする
しかし
「え、なんだ」
私はサイタマ氏の前に出る
「サイタマ氏だったか?サイタマ氏は下がってくれ。アイツとは私が戦おう。私はこれでもヒーロー候補の通う学校の生徒なのでな」
生徒と言ってもサポート科だが、ヒーロー活動に必要な仮免許は取らされたので、戦闘にはたぶん問題ない。本音では任せたいが、違法なヴィジランテ(趣味のヒーロー)の活動を見過ごしたら後で何を言われるか。
「……怪人に心配されたのはじめてだ。と言うか怪人が通うヒーロー候補の学校って有るのか?」
「……………サイタマ氏からも怪人扱いか」
そんなに見掛けがアレか?
確かに怪人と言えば怪人だが……
異形系と言うのが普通だろう。
サイタマ氏が世間知らずなのか。
それともやはり違う世界なのか……。
「あーなんかスマン」
考えてるのを落ち込んだと判断したのかサイタマ氏がそう言った。
「ええい!何を余計な事を話している!もういいこちらから行くぞ!先ずはお前だハゲのヒーロー!」
「誰がハゲのヒーローだ!」
いきなり二人の戦いが始まった。
と、言うこともなかった。
一発殴られただけで爆発四散したからだ。
「は?」
バイキンマン擬きのグロいモノが飛び散る光景に、思わず唖然とした。
そしてサイタマ氏は……
「またワンパンで終わっちまった……クソッタレェェ!!」
「……なに」
思わず声が漏れた。
またワンパン、また……つまり今回だけでない。
この瓦礫の山を作り出した犯人相手としても……。
項垂れるサイタマ氏の肩をポンと叩いた。
「サイタマ氏、警察にいこうか」
「え"」
ヴィランの殺害は流石にアウトだ。