「きゃぁあ怪人よぉ!!」
「むくくくく、俺の名はムスコマン!使われなかった男の怨念により産まれた怪人だ!いまこそ未使用から使用済みになっていまこそ女どもで無念を晴らして見せてやるぁぁぐはぁぁあ!?」
上空から速攻で発禁なモノを気で消し飛ばした。
しまった。
余りのアレさに名乗る前に倒してしまった。
観衆は気づいて……は無さそうか。
「え、いったいなにが、」
「突然、怪人が爆発したよな」
「なにか光る何かが飛んでこなかった?」
「え、そんなのあったか」
「なんにしても助かったみたいだな。」
上に居る私に中々気付かないな……
しかたない。恥ずかしいが某ヒーローを真似て腰に手を当てて笑う。
「フ、ハハハハハ……ゲホッ、ははははは、!!」
「笑い声…あ!上に!」
ようやく気付いたようだ。
「あ、あの書くのが面倒そうな黒い斑点付きの緑の虫みたいな姿に、顔だけ無駄にイケメンなアイツは!」
無駄にイケメンとは何だ……と、思わず文句はいいかけたがグッと堪える。アピールをしなければ。
「先程の怪人は私が消し飛ばしてたので安心してもらいたい」
さて反応はどうか。
「え、怪人が怪人を?うそだろ」
「アイツって噂のやつなのか…」
「ヒーローはまだかよ……」
「あ、ありがとうございます」
半々だな。
「私は人造人間のセル。君達から見れば怪人だろうが、怪人とは違う。少なくとも人を襲ったりする怪人とは違う存在だ。むしろ人助けをしたりするので其処の所はヨロシク。おっと、近くに他の怪人の気配を感じるのでこれで失礼するよ」
そう言って私は飛び立ち別の怪人の元に向かう。
私がこの世界に来て幾日か。
これまででわかったが……ここは別の世界だ。
地球とほぼ同じ、似ている。
イメージとしてはある時を境に違う歴史を進むようなった平行世界。
前の世界だと過去に"個性"が現れ人類に根付いた。
しかしこの世界では過去に"個性"は現れることなく、まるで"個性"の代わりのように怪人という人類の敵が発生していた。
この世界では人類は怪人に追われ人の生存園は既に大陸1つしか無いらしい。追われた後も日常的に怪人に襲われて人はその数を減らしているようだ。
人間が怪人を嫌う理由も理解できる。いや嫌うというより恐れる理由はよくわかる。少し調べただけでも、この世界は何時怪人によって人類が滅びても可笑しくないのだからな。正直、よく人類は生き延びてると思う。
そんな世界に現れた見た目が怪人としか分類できない私だ。
まぁ敵対視された。
この世界に来て何も判ってないころ、私は怪人を殺害した事でサイタマ氏を警察につきだそうとしたら、逆に警察に問答無用に発砲された。
警察の行動的に怪人だと即殺していいような世界だったここは。サイタマ氏が怪人を殺したのも問題ない。大量殺人犯でも一応は人権が存在したヴィランより扱い悪いよ怪人は。
まぁ怪人は人類の脅威で対応が厳しいのも仕方ないとは思う。思うが、そんな立場に置かれたのは最悪だとはもちろん思う。怪人扱いは精神的に堪える。
どうしようかと悩んだ。
頼りになったのがサイタマ氏。
この世界の情報もサイタマ氏から面倒くさそうにしながらも教えて貰えたものだ。
彼は私が警察から逃げた後も私を敵と扱わなかった。警察につきだそうとしたのに、私の事を怪人だと認識していたのに、趣味とはいえヒーローとしてナゼ敵と扱わないのか。不思議に思い理由を訊ねると……
『ん?お前って別に人とか襲わないんだろ』
だそうだ。
子供を庇ってた所を見たとしてもアッサリ敵と扱わないでくれるサイタマ氏は単純、いや素晴らしいヒーローだ。
サイタマ氏ほど単純、簡単にはいかないだろうが、人の味方だと証明すれば何とかなるんじゃないかと思った。
そして始めたのが辻斬り、もとい、怪人の討伐活動、初めは怪人の捕獲をして味方のアピールをしたが駄目だった。この世界のヒーローに捕獲した怪人は殺され私も襲われた。
その後に知ったが、この世界に怪人用の刑務所なんてない。捕獲をしても怪人だと捕まることなく殺される。捕まえられたとしても実験材料か。それで捕獲をしても無意味だと理解し、若干心苦しいが怪人を討伐して自分の宣伝をすることにした。
人から変化した怪人もいたがそれでも負い目が若干で済んだのは、ヴィランと違って怪人はほぼほぼ、人格から更正の余地が無いというのか、もし自身が怪人の立場なら殺された方がマシだなという相手ばかりだったからだ。流石に人に近過ぎるタイプだとスルーしたりもする。
私が怪人討伐をすることへの反応は、まだそれほど経ってないが、戸惑いが主。
少しずつよくなってる
憎むべき怪人とは別物扱い、人造人間と態々名乗ってる事で、怪人でなく怪人を倒すための生物兵器みたいな扱いに少しずつなっている。まぁ狙い通りだ。
私が異世界から来た人なんて信じられる訳がないので、人の味方として産み出された存在という方がまだ理解される範疇と考えた狙い通り。
未だにヒーローには狙われたりもするが、民衆からの受けは良くなって来ている。その証拠に……
「ほぉ今日は中々に来てるな」
街に置いた箱には食べ物やら小銭が入っている。
たまにお礼をしたいなどという声があったので、私がそれ用に置いた箱の場所を伝えたらこんな状態になった。
人気の確認と……純粋に生活のために役立っている。ただこれを回収する時によく……
「くそ!また俺のタケノコを避けやがった!」
この世界のヒーローとかが待ち伏せていて襲ってくる。
この場所でよく襲ってくるのがタケノコの変態。
関わりたくないので空に逃げる。
「待て!逃げるなコノヤロウ!」
槍に見せかけたタケノコを振り回して血走った目で見てきていた。
「前にも言ったろ。ぷりぷりプリズナーとか言うオカマもそうだが、タケノコの変態とも関わりたくないと」
この世界の他のヒーローの格好は色々と変だが、出会った中で変態的なのは今のところ二人、
私も若干守備範囲に入るとか意味不明な化け物よりは遥かにマシとしても、見掛けが変態の分類に入るタケノコ男。
「このクソ野郎!!また…また!俺をあのオカマと同列にしやがったな!!!お前のせいで俺の名前で検索したらタケノコの変態!!プリズナー×タケノコとか出るようになったんだぞ!!」
あの化け物と混ぜられて辛い気持ちはわかるが
「…プリズナーとやらはともかく、その格好で変態扱いはしかたないだろう。なんだその衣装は、包帯を全身に巻いてるのか…いやタケノコの皮か?」
ほら周りの野次馬も頷いてる。
「ぜ、全裸のヤツに言われたくねーよ!!お前こそプリズナーと同類の変態じゃねーーか!!」
「…」
私は箱のなかに偶然にも入っていたキノ○の山を投げつける。タケノコの槍はキノ○の山に粉砕された。
「俺のタケノコぉぉ!!」
変態の評判がさらに高まるなと思いながら飛び去った。
それから箱に入れられた食料品をサイタマ氏にお裾分けしに気を頼りに向かう途中で、何か進撃の巨○を目撃した。進撃でなく大型の巨人か。サイズが可笑しい。そう言えば私が転生する前に大型の巨人数万で地ならしをするとかあったな。確かにこれが複数なら軽く人類が滅ぶと思う。
巨人の上にサイタマ氏が居るな。
「うおおおお!!!よくももおお!!!」
なにか激怒した巨人がサイタマ氏を投げて殴って地面に埋めていた。殴れて地面に埋まっていたサイタマ氏は、無傷で飛び上がって殴り付けて巨人の頭部を粉砕していた。私が言うのもナンだが、サイタマ氏はなにか世界観が違う強さだな。初めて今の私が本気で戦ってどうなるか解らないと思わせる相手というのが……まぁそれで危機感を感じないのは、サイタマ氏の何処か抜けた性格と行動のお陰だろうな。
……サイタマ氏は後から気付いて『あ』と声を漏らしていた。
巨人とサイタマ氏の組み合わせでもしかしたらやると思っていたがやったな。
巨人の死体が倒れて大惨事に成りかけたので、サイタマ氏が殴られていた時から溜めていた気で特大のかめはめ波を放つ。建物には当たらない様に放ったかめはめは波は巨人の体の大部分を飲み込み蒸発させた。
「お、さっきの光線はセルか。サンキューな」
と、のんびりとした声で言ってきた。
その様子に他人事ながら心配になる。ヒーローなら周りへの被害を考えるように注意しておいた。
サイタマ氏のこれまで見た強さを考えると、気にしておかないと大惨事になると簡単に想像が出来たからな。
「あーそだな。ヒーローなら周りの事も気を付けなきゃいけないか」
特に反論もなく頷いていた。
怪人を倒せたらそれで良いとか言われなくて良かった。
本当に大丈夫だろうか?
何となく、前の世界だとヒーローが直す費用を出さないといけないという話もしてみる。ついでに、もし消し炭にしてなかった場合のサイタマ氏の出した被害総額の予想もついでに話してみた。
「ま、周りの被害は気を付けなきゃいけないな……」
冷や汗を流しながらさっきより力強く頷いていた。
それから数日後、蚊の大量発生のニュースを見てサイタマ氏の家に避難をさせて貰った。生理的に虫の大群というのは苦手なんでね。
「その外見で虫苦手なのか」
サイタマ氏はたまに素で暴言を吐く。
悪意がないから質が悪い。
私の外見はそんな虫ぽいだろうか。
本家のセルは何でこんな外見なんだ?遺伝子元に虫要素とか無いな。辛うじて緑が居るぐらいだろう。
何だあのエロい蚊は……