「いやー…ほんと…久し振りだねエセ猫。40年ぶりぐらいかな。エセ猫の噂だけは聞いてたけど最近は噂もきかないし三味線の材料にでもなってると思ってたよ。あ、ダメか君の皮って無茶苦茶固かったし品質的にダメだね!」
「うん此方こそネズ公、お久し振りだね。害獣扱いで駆除されてなかったんだね。相変わらず変なマスコットみたいな見掛けだ。そう言えばネズミってねずみ算とか言われるぐらい子供が一杯居るのが普通だけど、40年も経ったんだしネズ公にも子供は一杯いるんだろうなー。昔のよしみで子供を紹介してよ?まさか40年たって童貞ネズミなんて事はないよね」
「はは…相変わらず性格が格別に悪くて何よりだよ」
「性格悪いのから見て性格が悪いなら逆にボクの性格は良いって事になるよね。ん?性格悪いって思うって事はもしかして子供は一匹もいなかった?えぇ、そんな事あるかな。あぁけどネズ公だし……ゴメンね情けないことをこんな人前で言わせて」
「ハハハ、落ちてる魚に反射的に食いついて檻に入った畜生よりは情けなくないのさ」
「「…………」」
ボクは結構昔の知り合いのネズ公と特殊合金製ぽい檻の中で再会していた。周りには雄英の教師がいる。…筋肉もいるよ。ホネで汗をかいてるよ。
雄英に行きたいとかイズクが言ってたから、先生がどんなの居るのか確認したし教師の人達で間違いない筈。人を覚えるの苦手だし確かだけど…少なくともネズミだけは教師で間違いない。時間も経ってたしポックリいってると思ってたネズミが雄英の校長として記載されてるの見た時は吹いたし。
雄英の教師はプロヒーロー、檻の中でプロヒーローに囲まれるなんてまるで凶悪犯だなー。ネズ公の野郎の粋な計らいだなー……。
なんでこんな事になったの?
今はイズクの師匠に筋肉の人が追加せれ半年ぐらい経ってる。イズクは肉体トレーニングとして海岸のゴミ拾い慈善活動もするようになった。ゴミ拾いは筋肉の人の主導、別に粗大ゴミを片付けるのは特訓のついでだってなら良いけど…奉仕活動がヒーローの基本だからやるんだって…う~ん………爆なんとか言うのを思い出すと、ヒーローらしい行動を心掛ける事も大事で必要な事だとわかるけど…………イズクが盲信とかしそうで困る。教え方も全く慣れてない。師匠になるの反対しなかったの失敗だったかな。
で、そんな筋肉の人から呼び出された。
場所は雄英って有名なイズクが目指してるヒーローになるための高校。雄英の施設を筋肉の人の伝でイズクの特訓に使わして貰えるから君にも見て貰いたいと言われた。ボクは筋肉野郎をイズクの師匠としてはあんまり信用してないけど、それ以外は信用してたから疑問には思わず雄英まできた。
案内された建物…魚の山があった。物凄い怪しいとは思ったけどネコのサガって言うの本能的に食いついてしまうよね。
檻が展開して閉じ込められた。
で、今の状態。
校長だとは知ってたけど、ネズミがまさか捕まえて来るとか予想だにしてなかった。そもそもボクの事を知ってると思わなかった。機会があったらボクから教えて脅かす気だった。
ボクの事を教えた可能性あるの一人しか居ない。と言うか縮こまってる姿的に犯人でない方が驚けるよ。
「筋肉の人を信じてたのになぁーー!ボクの事を教えても酷いことをしないって信じてたのになーー」
ボクはジトッとした目を向けた。
「い、いや…そのね……君が以前根津校長の名前を気にしてたから、知り合いかなーと思ってね。根津校長にたずねたらね……知ってると言われて、久し振りの再会でドッキリを仕掛けたいって言われて…まさかこんな対応するなんておもってもみなくて…」
つまり仲が良いと騙されてた?ネコとネズミが仲が良いわけないんだよなーー。まぁいいや筋肉の人というよりネズ公が悪いんだね。それにしても根津校長って言ったね。ほんとうに校長なんだ。
「あのネズ公が校長って何処をどう間違ったらそうなるの」
文字通りボクと同じで人権すら無かったのに。どうして良いところの学校の校長に、別れた頃から考えると生きてても八割方ドブネズミ辺りになってると思ってた。
「……エセ猫と別れてから色々と有ったのさ」
「ふーん」
「聞きたい?」
「ドブネズミの色々とかどうでもいいかな」
「…ヒドイのさ」
なに傷ついた演技をしてるのかな。
「…で、何時此処から出してくれるの?」
この閉じ込められた環境って昔を思い出してボク的にムカムカする状態。ワリと真面目にヤバイ感じだよ。
「ハハハ…君みたいな危険物を出せると思うかい。公安か研究所に送って…………」
「……ふーん」
「なんてね!!」
ネズ公が何かのリモコンを押すと檻がパッと開いた。随分とアッサリ開けるね。出したのは良いけどネズ公の野郎は嫌がらせに閉じ込めただけかな?耳を噛み千切っていいかな?
「おっと、本能がヤバイと囁いてるのさ」
「その本能危機感覚えるの遅いよ」
昔はもっと危機感強かったよね。
耄碌してるのかな。
昔の知り合いのよしみで引導を渡してやろうか。
「落ち着いてよエセ猫」
「ネズ公、君の耳を千切ってドラえも○みたいにしたら落ち着くよ」
ネズミとネコの立場は逆だけどね。
「じ、ジリジリ近付くのは止めるのさ。エセ猫用に大トロとかサケとかハマチ、君の好きそうなお寿司を沢山用意したんだけど要らない?」
「流石こんな大きな高校の校長になってるだけあるね。ネズ公なのにとても素晴らしく思えるよ。で、その素敵なモノは何処にあるのかな」
「………………ハハハ、うん、昔と変わらず食い気の欲望に正直だね。此方に用意してあるから着いて来るといいのさ」
ネズミに呆れた顔をされた。罠に掛かったばかりで即答したらそうなるか、だけど本能には勝てないしね。
「うーん……久しぶりに自分の本能を何とかしたいって思ったよ。今もネズ公とか美味しそうでもないのに本能的に食いつきたくなってるし」
「あ、やっぱり怖いから前を歩いてほしいのさ。オールマイトも護衛に来てほしいのさ。聞きたいこともあるだろう」
「あの校長…私たちは…」
「集まってもらって悪いけど、他の皆には後から説明するから今は解散しておいて欲しいのさ」
「…………わかりました」
凄い不満そうな顔だ。集めてネコを囲んだだけで解散って事?酷くない?これが職場の地位を利用したパワハラかぁ。
校長室に連れ込まれた。
お寿司があったので食いついた。
はぐはぐ
既に桶に入れた高級寿司が用意されてるとは思わなかった。つまり予定どおり、ネズ公の目的が不明だし警戒しなきゃいけないんだけど、旨い…とんでもなく旨い。で、ネズ公はこんな準備をしていったいなんのつもりなのかな。財力をアピールするっていう理由ならネズミ取りを全身にくっつけるよ。粘着のシートでなくてバチん!ってする昔ながらの方をね
「食べながら聞いて欲しいんだけど良いかな?」
はぐはぐ
「よし、じゃあ話すよ」
「あの校長、食べるのに夢中で聞いてくれるように見えないのですが」
「大丈夫さ。聞いてくれてるよ」
「…本当ですか?」
こんなお寿司を用意されたんだしネズ公の話でも一応聞くよ。ネズ公のプライベートなことなら右から左に聞き流すけど
「さて、君に来て貰った理由を説明するよ。実はオールマイトには今年度から雄英の教員になって貰うつもりなのさ」
だからなに、ヒーローのトップが教師になるのは世間的には大きな話なのかな。イズクならともかくボク的にはどうでもいいよ。
「私の話をなぜ…?」
筋肉の人もわかってないみたい。
「で、教員になってもらうオールマイトなんだけど、プロヒーローとしてはともかく教師としての信用はあんまりね」
「校長!?って!ピトー君も頷いてなかった!??」
イズクに特訓させてる時を思い出すと頷くしかないよ。人に教えることに全く慣れてない感じがした。
雄英の教師って筋肉の人以外もどうなのかな。雄英ってプロヒーローを教員に採用してるって有名だけど、教員がプロヒーローって不安だよね。人気は出るだろうけど、筋肉の人みたいに有名なプロスポーツの選手が監督としても一流なんて事は先ず無いし。それに相当に厳しいって話しも聞く。容赦なく退学させるとか。一流に成れないならヒーローに成らない方がいいみたいな扱いらしい。まぁ強くないと死んじゃう職だしそれは仕方ないか。
厳しいのは良いよ。問題はプロヒーローって職業意識が無駄に高そうなの。流石に筋肉の人並みには酷くなくても、ヒーローの精神みたいなの教えそうなのがあれなんだよね。子供に自己犠牲は当然なんて洗脳、もとい教育してそう。
ヒーローとしては有能になっても本人が幸せになる未来が想像できないよね。
「で、筋肉の人が教師として落第生だからどうしたの?」
一旦食べるのは止めて聞いた。
「落第生なんて言ってなかったよね?」
「落第生の為に猫の手も借りたいのさ」
「あの落第生と言うのは止めてもらえません」
「ネコの手を借りるって具体的にはどうするの」
「判ってるよね。雄英に来てもらいたい。オールマイトの補佐として」
「ボクを補佐にって正気??」
「すごく不安だけど、オールマイトの話を聞く限り君は教育者として優秀そうだからね。……まさかあの君がヒーローを目指す子供を親身に育てるなんてね」
筋肉野郎はイズクの教育についても話してたのか。ジロッとみたら冷や汗を掻いてた。
「どうせなら他の子も育ててみない」
「ボクみたいなか弱いネコに教えられるなんて普通の子はいやだと思うよ」
「か弱いって言葉に謝るのさ。報酬は用意するよ」
「報酬?」
「お給料と、公安と交渉して君の身分の保証」
怪しいな。特に公安と交渉って辺り……ネズ公はもう話を通してそう。逃げ道は防がれてる可能性が高そう。此処からどうにかするとなったら……飼い猫生活は終わるなぁ
「それと今回の食事を用意してくれたランチラッシュの食事の毎日の提供を約束しよう!ランチラッシュはプロヒーローと同時に一流シェフなのさ」
即答しそうになるのをグッと堪えたボクを誉めてもいいよ。
「…………イズクが雄英に入った場合にはその報酬で手伝うよ」
「ありがとう!じゃあ明日から仕事を初めて貰おうかな」
ん?明日から?
「イズクが入った場合って言ったよね?」
「君とオールマイトに育てられてる子だろ?試験に合格できないなんて事は考えられないだのさ!あ、もしかして自信が無いのかな」
「誰が自信がないとか言ったかな。イズクなら合格確定だよ」
「なら!そのイズクくんが入ったも同然なんだから、エセネコに直ぐにでも仕事を手伝って貰っても良いよね」
「そんな直ぐにネコに働けとか可笑しい。心の準備とか色々とあるよ」
「ボクはネズミだけど働いてるよ…エセネコだけ働かずに食っちゃ寝とか許されないのさ」
「このネズ公、まさか手伝いとか口実で僕を働かせるのが目的なのか!」
「Hahahaまさかーー」
「イズクの訓練あるし無理だよ」
「それについては雄英で特別に訓練して貰っても良いよ」
「そんな特別扱いして良いの?」
「特別扱いするのも仕方ないさ!なにせ君の弟子で…オールマイトの後継者だからね」
それとイズクを囲いこんでボクを制御するつもりだからだよね。言わなくても腹黒い思いは伝わるよ。
「あのーー話は一段落したようですので、質問よろしいでしょうか」
放置されてた筋肉の人が手を上げて質問した。
「何か聞きたい事があるのかな」
「色々と有りますが、先ずは40年ぶりなど言ってましたがお二人の関係を聞いても良いですか?」,
「関係か…なんて言えばいいかな」
ネズ公との関係…一番近い言い方は………うーん
「「宿敵かな」」