衝動的なの   作:ソウクイ

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罪なフクロ、1

 

今日はいい天気だ。

 

でも寒い。いい天気でも寒い。分厚いコートを着てても寒い。天気が良くても季節が冬だからしかたないか。あとコートの中は何も着て無いのも関係有るかな。あー寒すぎて痛い。

 

身体を暖めるのに市街地をコートをマントの様にして走る事にした。ひゃっふーーー!!通学中や通勤中の皆様の視線が熱烈だ!ふぅーーー!興奮して身体が暖かくなるぜ!よし無事に暖かくなってきた。

 

「そこの変態止まれ!!!」

 

おっとお邪魔虫(ヒーロー)だ。

コートを着ないと

 

「君!ここに変態が来なかったか!?」

 

いえ、知りません

 

「そうかありがとう。くそ!!何処にいった!」

 

よしやり過ごせた。

 

自分は極々平凡で善良な少年。

名は通御之 復呂(ツミノ フクロ)。

 

ただ頭に罪と書かれた袋を被ってるだけのムキムキな普通の少年である。敬愛や尊敬の眼差しを向けられ親しみを込めこう呼ばれている。変人袋や歩くワイセツ物などとね。 前科はない。

 

訂正、摩訶不思議な個性なんて無い時代から生まれ変わった転生者であるので、普通から若干は離れてるか。まぁ誤差の範囲なので普通でFA。ホント過去の記憶があるぐらい誤差だろう。今の人類を見ればね!…人類なのかな?

 

目の前に学友達がいた。

 

二足歩行なクワガタ虫な女子。彼方を見れば歯茎を出したペンギン。

通報してるめつきが鋭いウサギ。

スク水着たクマの男の子。くまがお巡りさんに連れてかれてる。

 

ホモサピエンスと思えない学友達を見るとこの世界は本当に地球の未来なんだろうかと少し疑問を感じる。私の様な真っ当な姿の人間はクラスには少ないんだ。

 

「やぁ復呂くん、相変わらず極まった格好をしてるね」

 

と、クマと遭遇して声を掛けられた。

友人のクマ吉くんか。さっきスク水姿で逮捕されてたような。気のせいか。

 

それにしても極まった格好?ちゃんとコートを着ている。まったく失礼な。もし格好が変だとしても彼にだけは極まったと言われたくない。

 

頭部に女性ものの下着を被っている。そして女子用のブルマの体操服を着ている。まったくこんな季節に半袖ブルマなんて良く着てられる。見てるだけで寒そうだ

 

寒くないのかと聞いてみた。

 

「ふふ、判ってないな。このコスチューム時のボクのテンションは常にマックス!」

 

「つまり興奮していて寒くない?」

 

「ううん、無茶苦茶さむい」

 

ニヒルに笑うクマ。キモい 

 

「そっちこそほぼコートの中は全裸だよね。寒くない?」

 

「ちゃんとコートの中にはネクタイを締めて靴下とパンツは履いてるよ。だから」

 

息を溜めて言う。

 

「無茶寒い」

 

「「ハハハハ」」

 

爽やかな朝だなぁ。

 

「ちょっと其所の猥褻物コンビ、朝から現れないでよ。目が腐るじゃない」

 

「あ、宇佐美ちゃん」

 

同じクラスの宇佐美ちゃんだ。ウサミミを付けた女の子だ。というかほぼウサギだ。我々と話してくれる稀少な女子だ。しかしこのクマと同じ猥褻物扱いは酷い。

 

「宇佐美ちゃん、ワイセツ物って酷いよ」

 

女子のパンツを頭に女子のブルマを履いてるクマが文句をいっていた。

 

「彼処の電柱の貼り紙をみなさい」

 

電柱に張られてるのは変態クマに注意。シルエットにとても見覚えがある。

 

「ええ変態クマって物騒だね!同じクマとして許せないよ!」

 

「「……」」

 

「なんでこっちを見るの。ボクはクマでも紳士であって変態ではないから関係ない」

 

そう言い切るブルマの体操服に頭に女子もののパンツを被ったクマ。

 

「ふーん、変態じゃないんだ。じゃあチョッと彼処の交番の前まで行ってくれる」  

 

「それはできないよ」

 

「……」

 

二人のやり取りを守矢ダンスをしながら眺める。寒いから身体を動かさないとね。

 

「おはよう」

 

「……おはよう宇佐美ちゃん」

 

「あら、おはよう羽生ちゃんに梅雨ちゃん。よくこんな二人が近くに居るのに近づいてきて挨拶できるわね」

 

カエル風な少女に頭が蛇な少女。ふと思う。此所にいる全員が顔からは感情がわからない。

 

「どうしたの羽生ちゃん、暗い顔をして」

 

暗い?暗いの?蛇の顔色とかサッパリわからない。

 

「やっぱり判る。…羽生ちゃんの下着が盗まれたそうなの」

 

「ふーーん、復呂くん犯人(クマ)を拘束して」

 

ガシッ!

 

「宇佐美ちゃんクマと書いて犯人とか止めてよ!そして福路くんも犯人て言葉で友人をノンタイムで拘束とかやめてよ!冤罪だよ!弁護士呼んでよ!」

 

と、騒ぐ頭に女子パンツ(犯行の物的証拠)を被ったクマ。とりあえず此のまま向こうの交番まで持っていけば良いだろうか。

 

「黙りなさい。この町の性犯罪の9割犯人のクマ吉くん、というか頭に証拠が乗ってるじゃない」

 

クマ吉くんの頭には女子のパンツ。クマ吉くんが持ってるのは可笑しい。堂々と女子用のパンツを購入したか母親のパンツなんて冒険をしてない限り。クマ吉くんならしそうだ。

 

「違う!このパンツは違うよ!梅雨ちゃん助けて!」

 

「ケロ……クマ吉ちゃん。羽生ちゃんに謝って」

 

お人好しの梅雨ちゃんですらクマ吉くんの犯行と断定。ただ本人の羽生さんが首ふってる。

 

「えっと違う……ぬ、盗まれたの上、ブラ」

 

クマの頭にあるのはパンツ。

 

「じゃあ違うのかしら」

 

「そうだよ!違うよ!全く失礼しちゃうよ。ボクは羽生ちゃんの"蛇柄のブラ"なんて知らないよ。」 

 

「「「「…………」」」」

 

クマ吉くんの体操服が汗で透けてる。

よく視るとブラの形に透けてる。蛇柄。

 

「いやん」

 

「シャァァァ!!」がぶり

 

「ギャァォア」

 

 

 

 

学校に着いた。

 

「あーー危うく三途の川を渡りかけたよ」

 

さっきまで羽生ちゃんの毒で泡を吹いてたクマが復活した。梅雨ちゃんと宇佐美ちゃんの口から舌打ちが聞こえたのは気のせい気のせい。もしかして致死性?

 

「渡れば良かったのよ。全く次にやったら血清の代わりにA型の血液入れるからね」

 

「やめてよ!ボクはB型だよ!AB型になっちゃうじゃないか」

 

「じゃあトマトケチャップにするわ」

 

「それやられたら必ず死ぬと書いて必死になるよ!?」

 

二人のやりとりを聞いて思う。

 

「うむ、いつも通りの普通の朝の会話、平和を実感する」

 

これぞ何時もの光景

 

「ケロロ…普通の、平和、そうね」

 

「梅雨ちゃん!しっかり!常識を見失わないで!」

 

はて?常識的な光景しかないのにどう見失うんだろう。

 

そうこうしてホームルーム。

先生の話し

 

「もうすぐ君達も卒業です。皆さんの進路は全員進学ですね。半数はヒーロー科への進学。皆さん色々な高校に行くようですが、なんと、この塩ノ洲中から蛙吹さんが雄英高校への挑戦をします!」

 

なんと雄英高校、噂だと相当に入学困難な高校なそう。合格できなかった場合を考えると公開処刑。

 

「「ええ!雄英!!」」

 

「梅雨ちゃん本当に受験するの」

 

「ケロ、本当よ……そんなに注目されると恥ずかしいわ」

 

「がんばって!梅雨ちゃんならいける!」

 

「ああ梅雨ちゃんなら雄英もいけるよ!」 

 

「梅雨ちゃんはこの高校の希望の星だ!」

 

「梅雨ちゃんがヒーローかー。将来あのヒーローの同級生みたいに取材されたりするかもしれないのよね。楽しみ」

 

「その時は良い風に言うから安心しろよ!」

 

「もう良い風に言わなくても梅雨ちゃんに悪い話なんてないでしょ!」

 

「みんな……ありがとう。何処までやれるか判らないけど頑張るわ」

 

「それと……通御之くんと熊野くんも雄英志望……」

 

実は雄英志望、折角二回目の人生なので大きいことに挑戦をしてみたい。クラスメイト諸君から梅雨ちゃん相手みたいに応援をされるなぁ。恥ずかしいなぁ。

 

「「「はぁぁあ!!?」」」

 

「「そんなに注目されたら恥ずかしい」」テレテレ

 

「注目の意味チゲぇ!!」

 

「お願いやめて!」

 

「お前らどっちもヒーローに捕まる側だろし!?」

 

「イヤァァ!!うちの中学の来年からのイメージが最悪になる!」

 

「取材されたらいつかやると思ってましたってコメント出すしかないじゃない!」

 

「いや、もうやらかしてる

 

「ウオオオオオオ!!」

 

クラスメイトからの叱咤と緊張しないようにとの激励、頑張ろうか。クマが興奮して脱いで叫んでるのを見ながら決意。必ずこの同級生たちの為にヒーローになると

 

ファンファン

 

ボクガワルイジャナイ ジョウシキガワルインダ

 

あ、いつの間にかクマが黒白の車に連行されてる。宇佐美ちゃん通報早い。警察が早いと言うべきか。毎回同じ犬のお巡りさんだけど、お巡りさん常駐してない?

 

「……宇佐美さんも雄英志望でしたね。梅雨さんも、二人のブレーキをお願いします」

 

「判りました。もしもの時は仕留めます」 

 

「……ケロ」 

 

「頼みます」

 

え、頼むの?

うさみちゃん首をカッ切る動作を指でしてたよ

 

と、言うのも10ヶ月前、来ました。

 

雄英の試験会場。

今日は試験と言う事で正装。

梅雨ちゃん宇佐美ちゃん、クマ吉くんとやって来た。

 

「ふぅん此所が雄英の……大きいわね」

 

「あの雄英の試験会場にもうすぐ入るのね」

 

「大きいとか入るって何だかエロいよね」ハァハァ

 

「クマ吉くん、変な事をしたら彼処の防衛システムにぶつけるわよ」

 

「あれレーザーが出るのだよね!焼けちゃうよ!?ジュワッて焼きクマになっちゃうよ!…怖いこと言うの止めてよ。ぶつけられるの怖いし早く入ろう」

 

そう言うクマと一緒にはいった。

普通にはいれた。

 

「「あれ?」」

 

 

女子二人が首を傾げた。

なんだろう。

隣のクマも不思議そうな顔をしている。    

 

「二人ともどうしたの」

 

「ここの防犯装置、害獣も防ぐのよね。」

 

「なんで作動しなかったの」

 

「うん?害獣なんて居ないし動いてなくても可笑しくないよね」

 

「……クマ吉ちゃんとかが入ったのよ?」

 

「害獣って僕らのこと!?」

 

確かにセーラー服を着てるクマは害獣だろうか。

 

ん?とかって複数形

 

「じゃあね。私とこのクマはサポート科の試験だから。」

 

「……クマ吉ちゃんがサポート科?」

 

サポート科、たしかヒーローの為のサポートアイテムを作る科、あのクマって物作りとかしたことあっただろうか。普通科を受験すると思ってた。熊で発明…凄いことになりそう

 

「女の子専用の装備を造りたいからね」

 

ヨダレを垂らすクマの思惑はわかりやすい。

 

「そう……宇佐美ちゃん"は"試験頑張ってね」

 

「あれ?宇佐美ちゃん、ボク今、梅雨ちゃんにボクは落ちろと言われた様な」

 

「気のせいじゃないわよ」

 

「そっか気のせい……気のせいじゃないの!?」

 

「煩いわね。あ、忘れてた。クラスの皆からクマ吉くんへのプレゼント」

 

「え、なにプレゼントって」

 

「はい」

 

ガシャン

 

「ふぐおおおおおふぐおおおおお!!(ねぇこの猛犬対策みたいなマスクと首輪はなに!?)」

 

「ウチの中学の恥を晒さない為よ」

 

「ふごおぉ(この状況が恥だよ)」

 

クマは首輪を付けられ宇佐美ちゃんは去っていく。全く何をしてるのか。まぁクマ吉くんが変な事をしないようにと思うと仕方がない。まだ試験まで時間があるし準備体操でもしてようかな。

 

グルグル

 

なんで身体が梅雨ちゃんの舌で巻かれてるのか。

 

「なにこれ」

 

「フクロちゃんもクマ吉ちゃんと同類なのよ」 

 

「同類じゃないよ」

 

「ベクトルが違うだけで同じ変態さんではあるわよね」

 

ズルルル

 

 

 

そのまま引きずられて試験の会場にはいる。誰もが目を逸らすよ。

 

なんだかんだ試験が終わった。

合格かは不明だけどそこそこの手応えを持てたも。

 

「……試験の合否より、袋ちゃんが何かやらかさないかの不安の方が大きかったわ」

 

試験終った後に試験は会場が別々だった梅雨ちゃんと合流、合流後の第一声が可笑しい、

 

それにしても……

 

「此方の試験会場は変な人ばかりだったよね」

 

自作のヒーロースーツみたいなの着てた。

 

「……此方も変な人はいたけど、フクロちゃん以上に変な人は居なかったわ」

 

そこはクマ吉君ではない?

 

「そっちも終わったのね」

 

「ええ、無事には終わらなかったわ」

 

宇佐美ちゃんとも合流

…ん?無事に終わらなかったの?

何時もならここでクマのツッコミがあるのに無い。

 

「あれクマ吉ちゃんは?」

 

「あぁクマなら彼処よ」

 

ボクガワルイジャナイ セケンガワルインダ

 

犬種が違う犬のお巡りさんだ。 

 

「「「…………」」」

 

四人で着たのになぜか帰る時は宇佐美ちゃんと梅雨ちゃんと三人となった。

 

 

 

 

 

 

試験終わりのモニター室。

 

「「「…………」」」

 

「どうしますか」

 

「どうしようって……」

 

「今試験のトップ…」

 

「P78、救助P30……合計108」

 

「救助ポイントが無くても上位合格、筆記も特に問題ないですね」

 

「成績は優秀だね。本当に成績は……」

 

室内の空気は重たい。 

 

「え、えーこの子の個性は何ですかね。剣で攻撃してたり銃撃してたり、増えてたり」

 

「パンツ一枚なのも個性が関係あるのか?ただの変態じゃないよな?」

 

「資料によると個性は袋」

 

「袋ってなんだよ」

 

「袋と言えば物を入れるモノですよね。頭の袋の中に剣や銃を保管して……犯罪ですよね?まさか、袋の罪のマークはそういう意味ですか?」

 

「資料ではただの中学生ですよ。武器は個性で造ったモノでは」

 

「……個性の産物なら問題ないのかな?」

 

「試験の結果は完全に合格ですが……学校から送られた資料をみても色々な意味で危険人物だと……前代未聞の試験中に全裸になったクマと同じ学校みたいですし」

 

「あのクマと同郷かよ。中学はどんだけ可笑しな所なんだ」 

 

「不合格…には」

 

「……どう思います校長」

 

「心情的には不合格だけど、不正をしてないのに不合格にするのはダメだし。これ野放しにするのも、ヴィランになったらスゴく困るよね」

 

「ohマイゴット、厄介ごとに立ち向かうのもヒーローの定めか」

 

「真っ当なヒーロー、いえ、真っ当な人になるように導くんですか」

 

「教師としての責任は重いですね…」

 

「クラスはAとBどちらに?」

 

「ここはB組が「A組にしよう!」

 

「ほら!A組の担任のイレイザーには抹消があるしな!」

 

「そうですね。イレイザーヘッドのクラスが良いですね。袋の子のよくわからない個性を考えると」

 

「確かに、もしもの時の為に個性を消せるイレイザーがいいか?」

 

「そうよね」

 

「いえ待ってください。B組も一考の余地があるかと」

 

「ないな」

 

「うんA組で決まりだね」

 

満場一致にA組

 

「……B組に」

 

満場一致ったら満場一致

 

 

 

 

 

 


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