衝動的なの   作:ソウクイ

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ゲート、転生者

 

 

 

伊丹はゲートの先に来ていた。

 

特地、地球からすれば異世界であり魔法が存在するファンタジー世界。ファンタジー世界に来るなんてオタクとして感動……出来たら良かった。

 

なんの因果か、三十路を越えて主人公疑惑のでた伊丹もまたファンタジーの同類項扱い。

 

 

テレビやネットを見るのキツイ。

同僚や部下の視線も痛い痛い。

 

 

伊丹は恨めしげに隣を見た。

 

「……」

 

グレートサイヤマン風の衣装を着た自称転生者。伊丹を世界の主人公にした張本人。世間には転生者にして銀座でやらか、活躍した謎のヒーロー…格好からサイヤ人疑惑を持たれている。疑惑は正解。

 

 

サイヤ人、それもブロリーへの憑依者…と自称

 

本人の証言とサイヤ人の特徴の尻尾があり見掛けもブロリーで納得できるぐらい。

 

伊丹が数日付き合った限り、本人はニコニ○仕様か映画初登場の様な穏やかな性格。あと本当に転生者か怪しいぐらいに口下手。ブロリーをリスペクトした演技なのか素なのか不明。

 

普段から顔を隠していてーーとんでも科学な変身アイテムでグレートサイヤマンのコスプレーー何を考えてるか解らない。ヘルメットを脱いでても解らないか。

 

そんな何を考えてるか不明な相手(ブロリー)の具体的な強さは不明、頼んだら強さの実演してくれそうだが、ドラゴンボール世界(惑星破壊が当たり前)の強さなんて確認なんてできるわけねぇ。

 

もし仮にブロリーであるという自称がブラフとして、強さも思ったほどでなく惑星破壊なんて出来ないとしても、今のところは肉眼で捉えきれない速度の飛行能力、銀座の侵略者相手に軽く無双できる強さ、流れ弾が当たっても無傷な頑丈さ、光線を打てる…これ等が備わってる事は解ってる。判ってる範囲で十二分に出鱈目。解ってる段階でも怒らせたら危険。

 

 

 

今のところ、政府や自衛隊ではブロリーというのは八割方信じられている。危険物というくくりだと百パーセント。

 

 

ブロリーと信じた生粋のブロリストは喜んだ。

ブロリーと信じた常識人(主に政府関係者)は吐いた。

 

 

伊丹が聞き出した結果、ブロリーの目的は…平穏に地球で過ごすことと物語を見ることが目的と証言。

 

 

 

こんな転生者(ブロリー)にについて伊丹に任された。ブロリー本人が伊丹の元に来たという理由もあるが他にも理由がある。

 

 

この世界が物語として描かれてる?事など判明したあと、伊丹はネットで色々と囁かれたが特に気にされたのが、とある作品に有るような 原作沿いになる世界の意思や主人公補正の存在。

 

数ヵ月も前にブロリーの書き記した通りの時期に銀座事件が起きて、伊丹が銀座の事件に遭遇し英雄と呼ばれた事から、世界の意思や主人公補正があるのではと疑惑が持たれた。

今のところは世間では考えすぎだと言う意見が大半。現実に世界の意思や主人公補正なんて無いだろと言う意見が多い。流石に世間の人も世界が其処までファンタジーと思いたくなかったのかもしれない。

 

 

しかし…これは世間に知られてない事だが、数か月前に伊丹は転生者(ブロリー)のスレにコメントしちゃっていた。

 

そのスレのコメントを日本政府と少し好奇心旺盛な日本に来ているお客様(他国のスパイ)が、主人公疑惑の出た伊丹について調査しちゃってると見つけちゃった。まぁそれはどうでも良いことか。

 

数ヶ月前のスレでの発言のアレさとそれを知った他国の心情は置くとして、日本政府の気持ち、伊丹が転生者のスレを偶々見付けてコメントする確率は?数人しかコメントしてないそのスレに伊丹がコメントする確率は…。

 

門やら転生者やらで常識が曖昧になってる昨今、伊丹は世間より政府関係者に主人公補正みたいなのが有るのではと疑われた。

 

そこで政府は真面目に伊丹の主人公補正に期待した。主人公ならブロリーの事も何だかんだ何とかしてくれると。訳すと体よくブロリー(危険物)の対応を伊丹に押し付けた。

 

 

「…勘弁して」

 

 

伊丹の切実な言葉を皆がスルー。

 

そんな伊丹はブロリーと共に門を抜けたさきの特地送りになる事に。一部伊丹とブロリーが特地に向かうのを嫌がったが、何故か普段なら邪魔をしそうな他国、もとい野党の後押しが強くすんなりと行けた。

 

 

 

伊丹は特地で部下とブロリーを引き連れ偵察任務に行くことに。転生者(ブロリー)から伊丹が聞き出した…とても曖昧な物語が何れだけ本当か確認する為に。

そうブロリーは肝心の原作知識がしっかり覚えてなかった。まぁ数十年前に見た作品の事を覚えてないのも仕方ない。……伊丹からすれば余計な事は覚えていたのに。

 

ブロリーの語ったのは伊丹の部隊が偵察に出て伊丹はヒロインを連れ帰ってくる。あと何かトラブルにあう。ブロリーの語った内容では偵察に出る時期も偵察に出る方角も不明。

 

「偵察任務……」

 

「此方からの指定はない。頑張って行ってきてくれ」

 

試しに伊丹の部隊を偵察に出してみた。

伊丹が偵察から帰還した。

行かせなきゃ良かったと思った。

 

 

 

美少女三人+避難民+ブロリーが狩った赤いデカイ龍の死骸、これらを連れ帰ってきやがった。

 

転生者の語った曖昧な原作知識通り。伊丹のヒロイン枠にしか見えない相手。エルフのテュカ、魔法使いのレレイ、亜神のロゥリィ。其々毛色の違う年若い美少女が伊丹の傍に。(見掛けは美少女ヒロイン、実情は一人を除いて伊丹より遥かに年上)

 

適当に送り出した一回目の偵察で…ヒロインと思わしき三人+避難民を連れて帰ってくるなんてトラブル

 

 

伊丹は思われた。

やっぱり主人公補正あるだろテメェと。

 

 

 

 

「あは!!スゴいわぁ!!これが炎龍(災害)を素手で倒したパワーなのねぇ!」

 

「……」

 

何やらとんでもない事実を暴露しながら、自分より大きな斧を振り回し御機嫌に興奮する黒いゴスロリ少女に、無言の拳で斧を弾く緑のヒーロー擬き。片方は何を考えてるか不明、もう片方は興奮した猛獣、一撃ごとに地面が破裂してたりする砲弾が飛び交う戦場の様相。普通の人間が近くに居たらミンチ確定。

 

伊丹は少し遠くで部下の倉田達と超人バトルを一緒に見ていた。

 

「わぁ……ブロリーさんと戦ってるあの女の子って、少年時代のレッドリボン軍を蹴散らした孫悟空ぐらいの強さはありそうすよね」

 

「そうだな」

 

「この世界って個別にとても強い人が居るんすねーー。ドラゴンボール的に言えば戦闘力は100以上すかね?…接近されたら軍隊がボコボコに負けそうす」

 

「そうだな。少なくとも俺は相手したくない」

 

「隊長、軍隊ってドラゴンボール的に言えば蹴散らされるのが役割すよね」

 

「そうだな。何が言いたい」

 

「主人公(隊長)の傍に居たら軍隊だとどうにもならない強いのが来そうすよねーー。配属変えて貰っていいっすか」

 

「オレは主人公じゃないからそんな強いの来るわけ……「アハハハハ!スゴいわぁ!!伊丹についてきてよかった!」……関係ない話だけど、主人公の仲間以外だと巻き沿いにサラッと吹き飛ばされる役目とか有りそうだよな。1コマくらいで全滅させられるみたいな」

 

「間違えたっす、配属変えなんて希望するわけないっす」

 

「なぁ…そんな必死な顔をする話じゃないだろ」

 

 

 

自衛隊陣地に来た避難民は生活費を稼ごうとイタリカという町に物を売りに行くことに。

自衛隊陣地で色々と視線を向けられて胃痛を感じていた伊丹は、偵察ついでにイタリカまで避難民代表を送ることに、伊丹の提案に上司はイヤそうな顔をしたが許可した。

 

主人公補正で何を引き寄せるかわからない伊丹と、純粋な危険物なブロリーは成るべく近くに居て欲しくないという心理があったかは知らない。陣地傍にブロリーと黒い少女の模擬戦で絨毯爆撃みたいな光景が増えていってたからかもしれない。

 

自衛隊の偉い人達は現地住民の(ドラゴンボールに出ても有りそうな強さの)黒い少女(ロゥリィ)を見て何を思ったろう。

 

 

伊丹たちを見送った自衛隊。

誰もが無事(面倒ごとを起こさず)に何事もなく帰ってこいと願った。

 

しかし半ばこんな確信を持っていた。

 

「絶対何か起きる」

 

 

次に何か起きたら余計に誰かは嬉しくなく主人公と確信を持たれるだろう。

 

 

因みにイタリカでの事はブロリーが言ってない。何か狙いがある…訳もない。極々単純に覚えてなかった。

 

 

 

 

連合軍、それは帝国軍の属国に近い諸国の軍隊。地球侵略に軍隊を送り込み惨敗した帝国は戦力が低下した。

 

軍事力の低下は覇権国家である帝国からすれば大問題。帝国はこの世界が侵略されると諸国を唆し連合軍を結成させて自衛隊とぶつけた。

連合が帝国の精鋭を倒した自衛隊を倒せると帝国側が思ってる訳もない。もし勝てると思うなら連合軍が負けた帝国軍より優秀だと言うことになる。そんな事を思うわけがない。

 

帝国の目的は自衛隊の戦力を減らすことと、そして敵に成りうる連合軍の戦力を減らすことだ。

 

 

しかし帝国の想定に一つ間違いがあった。

自衛隊がこの世界の炎龍(理不尽)と同じだと知らなかったことだ。あとその理不尽すら恐れる何かがピクニック気分で来てるなんて想像出来るわけがない。

 

市街地でもない開けた場所。遠慮なんて考慮する理由もない迎撃する準備万端の自衛隊に連合軍は真正面からぶつかる。まさに飛んで火に入る夏の虫、連合軍は自衛隊に一方的に遠距離から殲滅された。

 

 

無惨に散った連合の敗残軍は、戦闘本能からとあんな自衛隊にぶつけた怨みの元である帝国の町イタリカを襲った。マトモな戦闘への欲求と、略奪しないと自分達が生き残れないと言う理由もある。

 

 

 

そしてそんな襲撃されてる真っ最中の町に来ちゃった我らが主人公伊丹。

 

「隊長……」

 

まるで元凶を見るような部下からの視線が痛い。

 

「よし偵察終了だな!!」

 

伊丹は引き返そうとした。

レレイの発言によりダメだった。

 

取り敢えず確認ぐらいしとかないといけない。

 

そしてヤバそうな町に入ろうとしたら伊丹の額に扉のダイレクトアタック!犯人は皇女さま。襲撃されてる町に若い皇女さまがいた。

 

 

盗賊、連合残党に襲撃を受けてるイタリカの町、見捨てるの無理だろみたいなロリな領主に帝国の皇女さまがいる。穿った見方をすれば皇女さまに恩を売れるおあつらえ向きなピンチ。

 

伊丹がふと見るとグレートサイヤマンなブロリーの口の端が持ち上がってる。明らかにトラブルを楽しんでるなこのやろう。何故か脳裏に魔神ブウ編の歌が流れてきた。

 

トラブル二回目。

銀座の事を含めたら三回目…

 

こんな偶然あるだろうか。いやもう此処まで来ると必然以外の何物でもない。

 

 

 

「本当に伊丹隊長は主人公なんですね」

 

 

栗林の言った言葉に伊丹は崩れた。

 

 

 

 

 




魔神ブウ(純粋、お菓子好き)
フリーザさま(軍団付き)
セル(第一形態)

ブロリー以外の候補です…
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