衝動的なの   作:ソウクイ

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第80話

 

迷彩を一切考えてない赤い機体がコロニー郊外で飛行している。後で回収するジャンクを物色しながら赤い機体は曲芸飛行もやったりと快調にテストを続けていたが…動きを止めていた。

 

ジッと何処かを見てる様に見えた。

 

『どうしましたトラブルですか』

 

輸送船にいたラルフは通信で聞いた。

 

「いや気のせい…ではないか。ドレン、ヘリオポリスから南西方向に爆発光が見える」

 

『ラルフですって、南西、…ああ、随分盛大に光ってますね。何でしょうか複数の船舶の事故ですかね。まさか海賊?』

 

暫く様子を見ていると爆発の光が少なくなっていた。

 

「………確認しに行ってくる。その船だと危険かもしれん君はここで待機しててくれ」

 

『了解。海賊かもしれませんしあまり無茶をしないで下さいよ』

 

「此方も了解した」

 

事故があった方向に進む。流れてきたデブリを蹴って加速してデブリの間を潜るように爆発が見えた所に向かう赤い機体。

 

『無茶をするなと言ったのに……』

 

蹴るものが多くて加速ははかどる。普通はデブリが多いと減速するものだがむしろ加速するという変態。普通なら自殺行為だとラルフは見送りながら愚痴った。

 

『ほんとなんであんなデブリの中で加速出来るんでしょうね……』

 

ラルフは新しく流れてくるデブリの塊の一団を見つけた。

 

『流れて来る方向的にさっきの爆発光のですかね』

 

デブリを拡大してモニターに映した。

 

『このデブリ……』

 

モニターに映し出されたデブリは…戦艦や戦闘機。デブリが連合の兵器らしき残骸ばかり、なら此は事故でも海賊でもなく…ラルフは汗を掻いた。

 

ラルフが通信を入れる前に赤い機体から通信が届いた。

 

「ラルフ、どうやら連合とザフトほ戦闘が行われてるようだ」

 

『やはりですか!?何でこんな所で…いえ!そんな考えてる場合でも無いですね!そちらは大丈夫ですか』

 

「大丈夫かと言えば…大丈夫じゃないな」

 

『え゛』

 

 

 

通信が行われてる頃、赤い機体から見てとある艦が目視できる距離に居た。

 

その艦が砲門がありその外観はどう見ても軍艦、ザフトの戦艦か。MSで目視できるなら向こうも確実に気付いている。迷彩とは無縁の赤い機体で気付かれないわけがない。逃げようとした。

 

逃げる前に戦艦からMSが出てきた。

向こうは武装していて逃げたら射って来そうだと逃げれない。

 

『そこのMS所属はどこだ!』

 

戦艦から通信が来た。

 

所属…さて問題、此処で民間人だと通信をして納得してもらえるか。客観的に見て…MSは最新の軍用機と言う認識がある、そんなMSが一直線に戦艦に向かっていた。民間人と名乗ってもふざけんなと弾丸が飛んで来るだろう。どう返答しようか考えた。

 

しかし返答を考える時間も無かった。

 

『あれが噂の連合の機体か?悪趣味な色除いたら殆んどジンの模造品じゃないか!ふざけやがって!』

 

ジンのパイロットから見た赤い機体。ザフトはヘリオポリスで連合がMS開発されていると聞いて来ていた。奪取しに来ているが味方の識別反応がない。通信にも答えない。此処から導き出される答えは……敵以外にある筈がない。

 

『ナチュラルがMSなんて生意気なんだよ!真っ赤な機体で正面からって舐めてるのか!』

 

さらに良く見ると武装が一つも有るようにも見えない。

 

『武装も無しに真っ直ぐ来るなんてバカだろ』

 

武装が完成してない?それか格闘機…格闘機だろうと隠した武器が有ろうと近付かなければ良い。味方の筈もないとジンのライフルが射たれる。

 

『な!』

 

当たらなかった

 

まるで予め射撃すると判っていたかの様にライフルの発射直前に赤い機体が動いた。弾丸は虚しく宇宙に消えていく。

 

『くそ運のいいやつ』

 

此方の考えがわかっていなければ不可能、偶然だと思い標準を定めて射撃を繰り返す。まるで当たらない。

 

『な、なんだこいつ!』

 

動きがザフトエースの赤服に匹敵、上回るような操縦技術がある。その操縦技術にプラスして此方の意図を察した様に直前に動き射撃をかわしていく。ジンのパイロットはゴクリと唾を飲んだ。操縦技術がナチュラルじゃない。コーディネーターとも何か違う。寒気を感じた。

 

『落ちろ!落ちろよ!』

 

射撃を繰り返した。

弾切れ、予備の弾倉に変えようとした

しかし弾倉の予備が無い。

 

『く、さっきの連合の戦闘で予備を使ったんだった』

 

後はサーベルしかない。得体の知れない相手に接近したくはない。補給をするか援軍を待ちたい。しかし背後には母艦がある。母艦にこれ以上近付けさせる訳にもいかない

 

『あ、相手は避けるのが上手いだけだ!接近戦なら!!』

 

明らかに余裕が無い様相でジンはライフルを捨ててサーベルを持って切り込んで行く。赤い機体も合わせるように向かってきた。

 

瞬く間に距離は間近となる。ぶつからないように速度を緩めるか方向を変えるか。ジンのパイロットは避けない。相手も速度を緩めたり方向を変えたりしない。ジンのパイロットからして想定外。操縦技術が高い相手なら避けると想定していた。まさか向かってくるなんて

 

『こ、このままだとぶつかる!?』

 

衝突する!と腕を盾にする様にジンは身構える。いつの間にか赤い機体の姿勢か足を突きだした形になっていた。

 

『MSで蹴、ぐふぁぁ!!?』

 

赤い機体の足はジンの腕ごと胴体、コックピットを蹴りつけた。数十トンのMSの勢いをつけた蹴り、幾らコーディネーターと言えどこの衝撃は堪らなかった。コックピットに攻撃されて無事で居られるのは一種の化け物だ。

 

向こうは動く気配がない。

パイロットは気絶したようだ。

 

「気絶してるな。コーディネーターも天パの様な化物ではないのか…」

 

中の人の独り言、ジンのパイロットからすれば、お前が化け物だろと言われそうな台詞を吐いた。

 

「止まったのに攻撃されたから正当防衛と思うんだが…向こうが正当防衛にしてくれないか。逃げるしか無い…ん?」

 

意識を失いジンは蹴られた勢いのまま元来た逆方向に流されている。ジンは母艦の盾になる様に動いていた。ジンの背後には母艦、ジンが元来た方向に流される。艦は動いている。致命的に運が悪くないと先ず当たらない筈だが……

 

『ーー機!聞こえないのか!動け!本艦とぶつかる!急いで回避運動をとれ!!ぶつか、うわぁぁああ!!』

 

艦のブリッジがある部分とガスッと衝突した。

まるでコントの様な見事な衝突。

戦艦が大破した感じだ。

 

MS1撃退、戦艦1大破…見事な戦果か。赤い機体は機体を反転させ戻っていく。

 

「不幸な事故だった」

 

悪質な轢き逃げの様な台詞をはいた。

 

 

 

シャアはラルフの居る輸送船の方に向かう。

 

ザフトと連合がヘリオポリス近郊で戦闘をしていた。どちらも中立なんて無視してる。ならヘリオポリスが戦火に巻き込まれる可能性は十分にある…さっき事故が起きたので雲隠れしないといけない。

 

急がなければいけない。しかしヘリオポリスによっておきたい理由もある。危険ではあるが…恩返しはしなければいけない。

 

「…ヘリオポリスに一度よるか」

 

出来ればヘリオポリスが巻き込まれる前に逃げたい。既にヘリオポリスの中も巻き込まれているなんて想像もしてなかった。

 

 

連合がヘリオポリスで秘密裏に開発していた5機の試作MSの中の一機ストライク。キラがストライクを動かし、ヘリオポリスの強襲を実行したザフトのジンを破壊した。

 

灰色の待機状態のストライクの足元にはキラと学友の子供たちがいる。その学生たちに銃を向ける作業員服を着た女性も居た。つい先ほどまで気絶していて学生たちが看病していた女性だ。

 

「動かないで」

 

「な、なんで銃を向けるんですか」

 

学生たちは助けた女性から銃を向けられている。意味がわからず混乱するのも仕方ない。 

 

「この機体は連合の最高機密なの。それを見た貴方達を放置は出来ないのよ」

 

彼女は連合の軍人なのだろう。

 

軍人としても見るからに年若い技術者タイプ、訓練は受けても実戦の経験がある様に見えない。性格的に非情になれるタイプでもないのか罪悪感が顔に出ていた。さらに言えば先程まで気絶していて体調も良さそうに見えない。なので学生たちも銃を向けられていても命の危険をあまり感じずに抗議も出来た。

 

「へ、ヘリオポリスは中立国なんですよ」

 

現実に戦争に巻き込まれている状況では呑気な主張か。

 

「中立なら無関係でいられると思っているの」

 

ザフトが攻めてきた理由は連合のMS、巻き込んだ連合軍側がこんな言葉を吐けば反発を生む。それに軍事機密の秘匿が目的としても、他国の軍人が他国の領地で誰に見られてるか解らない場所で丸腰の民間人の子供に銃を向けているのは不味い。彼女もあまり冷静な状態ではないのだろう。

 

冷静でないから気付くのも遅れた。

 

「…?」

 

いつの間にか学生達の視線が自分でなく自分の背後に注がれている。何だと眉をしかめた。女性は少しだけ確認する為に振り向こうとしたがその前に…

 

背中に何か硬いものが当たる。

男の声を聞いた。

 

「手を上げてもらおうか」

 

背中に凶器を突きつけられているのだと女性はそう理解した。

 

「ざ、ザフト…」

 

「答える前に銃を捨てて手を上げろ」

 

否定しない事に背後の相手がザフトの軍人だと疑念が確信になる。自分は動けない。近くには学生しかいない。学生たちはついさっき銃を向けたばかりで味方なんてしてくれる筈もない。

 

カシャ

 

大人しく銃を捨てた。

 

此れからどうなるか考えると嫌な汗も出る。なぜ即座に撃たなかったのか。尋問するのが目的か捕虜にするのが目的か…。

 

「さて………暴れられても困るので縛らせてもらう」

 

彼女は背後からロープを巻かれ縛られていく。縛られるのはわかるが、何か縛りかたが可笑しい。学生組は無言で眺めた。縛られていく女性をみて学生組はドンドンと顔を赤くしていく。女性は青少年が見てはいけないR指定必須な感じになっていた。

 

「…ちょちょっと!なんでこんな縛りかたなのよ!?」

 

言うなれば亀の甲系の縛り方。

拘束にしても可笑しい。

 

戦争だと女性が辱しめられる事は多々あるが、辱しめられるにしても何かこれは可笑しい。あと短時間でこんな複雑な縛りかたを背後にいながら実現してるのは可笑しい。変態と付くプロの犯行だ。

 

「もちろん趣味、いや、これが一番拘束として信頼が高いモノだからだよ」

 

「しゅ趣味って言った!!」

 

「助けてくれたのはありがたいですけど何をしてるんですか!!」

 

子供たちの反応に女性は気づく…ヘリオポリスの子供の知り合いらしい。こんな縛りかたを普通は軍人がするとは思えない。ザフトは真っ当な軍人かは怪しいが幾らなんでも

 

つまりは…

 

「あ、あなたザフトでないの!?」

 

振り向くと其所に居たのはほぼ真っ赤な衣装の仮面の男。赤い服は軍服にも見えるが…ザフトの赤服とも違う。こんな軍服を採用してる国は彼女の記憶にない。

 

しかも銃を持ってると思った手には少女アニメに有りそうなオモチャのアイテム、こんな相手に背後をとられてオモチャを突きつけられて、脅されて発禁的に縛られたと言う事実に気づき鳥肌が立つ。小太りの男も後ろにいたが赤い男が濃すぎて視界には入らなかった。

 

「あの、そのオモチャは…」

 

「ああさっきそこで拾ったものだよ」

 

ポイと捨てられた。プライベートの私物と言われなくて心底良かったと思う。

 

「な、何者なの」

 

手を顎に乗せて数秒沈黙してから答えた。

 

「ただの通りすがりのサラリーマンだ」

 

「いや貴方、サラリーマンでなくてジャンク屋って言ってましたよね!?」

 

「助けられたんだけど…何だかなぁ」

 

緊迫した状況であるのに緩い空気となる。話からするとサラリーマンでなくジャンク屋らしい。変な仮面と赤い服はジャンク屋だから?少しジャンク屋に風評被害がでていた。

 

「と、とにかく、シャアさんありがとうございます。助かりました」

 

キラがお礼を言った。

 

「素直にお礼を言いにくいですがありがとうございます…」

 

ミリアリアが礼をいい他の学生も礼を言い出した。

 

「で、どうして銃を向けられてたんです。察するに其方のMSが関係があるんですか」

 

「まさか君達の方が悪いとかないだろうね?MSを強奪しようとしたとか」

 

ガンダム的に少年がMSを奪う事例が結構あるので聞いてみた。グレーな商売のジャンク屋をしてるが流石に完全にアウトな犯罪には手を貸したくなかった。

 

「だれがそんな事をしますか!?」

 

「私たちは悪いことなんてしてません!!」

 

「其所の連合の人に、そこのMSは機密で見られたからには放置は出来ないみたいな事を言われたんです……」

 

本当なのか確認するように二人は縛られた女性をみた。後ろめたい事があるように目を逸らした。嘘ではないんだろう。

 

「それだと君達は何も悪くないな」

 

外見はあれだが大人に自分達が悪くないと言われると安心できた。

 

「あの俺達ってこれからどうしたらいいんでしょう……」

 

「急いでシェルターに避難した方がいい」

 

「ザフトが引き上げてもう安全なんじゃ」

 

「引き上げた?」

 

彼が戻ってきた時にはザフトらしい機体や人間は見えない。もうヘリオポリスにきた目的が終わったんだろうか。

 

ザフトがヘリオポリスに来た目的はどう考えても此処に有る連合のMS。…鎮座しているMSを見る。今さらMSの顔をしっかりと見て目頭を押さえた。

 

「どうみても…」

 

ガンダム

 

改めて間違いなくガンダム世界だと思った。

 

ガンダムの開発したのは連合だろう。恐らく連合がMS(ガンダム)を秘密裏にヘリオポリスで開発、開発がザフトにバレて襲われた。

 

「どうみても…?」

 

ミリアリアが聞いた。

 

「うん、あぁ…どうみてもそこのMSがザフトの狙いだと言ったんだよ」

 

「確かにザフトはこのMSを狙ってたみたいでした。あす…ザフトがこれと似た機体を奪っていったんです」

 

キラの証言からMS狙いだという保証がついた。

 

「………また来るか?このMSを狙って」

 

キラの発言だとザフトはもうMSはもう奪取したようだ。普通なら戦果は十分だと思える。だが外に連合はいたが……MSがない時期の連邦並みにボコスカにされる連合。連合という邪魔がないならもう一度MSを狙いに来ても可笑しくない。

 

「ま、また来るんですか。そのMSを狙って」

 

「可能性が無いとは言えないだろう」

 

本人は自信があって発言してないが無駄に堂々としていて、ザフトがまた来るんだと思えた。

 

「襲ってこない可能性もあるがザフトがまた襲ってくる前提で動いた方がいい」

 

真っ当な意見だと思え学生達にもスンナリ受け入れられた。

 

「そう…ですね。俺たちは直ぐに避難した方がいいんですね。忠告ありがとうございます。急いでシェルターまで行こう皆」

 

「けどシェルターって何処に行くんだ、前の所は一杯だったんだろ」

 

学生たちは何処のシェルターに向かうか話し合う。ラルフは携帯端末を操作してシェルターの確認をしようとした。

 

「あの」

 

キラが声をかけてきた。

 

「ん?なにかな」

 

「シャアさんって船を持ってましたよね」

 

「持ってるが」

 

「え!船があるんですか!」

 

台詞は途中なのに少女に遮られる。学生組は話を中断してシャアを見ている。期待した視線で何が言いたいかはわかる。

 

「そ、その船って…五人ぐらい余分に乗れたりは」

 

「乗ることはできますよ」

 

ラルフが答えた。

 

「そ、それなら乗せて下さい!お願いします!!」

 

ラルフはどうしようかと言いたげにシャアをみた。船の持ち主はシャアで決定権はシャアにある。別にシャアとしては構わないとは思うが…

 

「ま、待って!」

 

答える前に今まで卑猥な格好で転がされて睨んでただけの女性が声を出した。声に反応して視線をむけ…学生組は真っ赤になり直視出来ないでいた。

 

「去る前にこの縄を外してもらえませんか…」

 

気まずそうに女性はそう言うと学生たちは顔を見合わせた。

 

「また此方を捕まえようとされたら困るのだが」

 

「……捕まえようとなんてしません。そもそも出来ません」

 

銃はシャアが回収している。銃もない女性の身で六人を拘束するなんて確かに出来ない。しかし少し前に銃を向けておいて解放してもらおうと言うのは…むしがいい話だろう。

 

「私はそこのMSを艦のある港にまで運ばなければいけません。…どうかお願いします」

 

女性は頭を下げた。

学生組は拘束を外しても良いのではという顔をしている。

 

「『今は』捕まえる気はないと言う意味じゃないかな?君の証言を聞いて連合軍が後から我々を捕まえないと言う保証は?」

 

学生たちはギョッとし女性は言葉に詰まった。

 

仮にそんな事はしないと言ったとしても、捕まえようとした自分の保証を信じて貰えるとは思えない。彼等にとって自分の存在は不都合だ。向こうには銃があり自分は動けない。そしてこんな状況では軍人の女性の死人が出ても……

 

シャアは女性の拘束を外す。

学生も女性も驚いていた。

 

「どういうつもりですか…」

 

自由になったのに女性は困惑している。話の流れからいって助かるとは思えなかった。

 

「いや、考えてみればMSの姿を見ただけなら軍も態々拘束しようとはしないと思ってね」

 

「ヘリオポリスに該当者は何れだけ居るかと考えればですね」

 

シャアの言葉にラルフが続けた。

 

此処は市街地も近い。MSを避難する前に目撃した人間が居ないと考える方があり得ない。見ただけなら捕まえるなら対象の範囲が広すぎる…

 

「なによりここで開発されたMSは既にザフトに盗られてるんだろう。見られたぐらいでは機密もなにもない…ん?」

 

「どうしたんですか」

 

おかしいことに気付いた。

 

「…なんで君達を拘束しようとしてたんだ…見ただけじゃないのか?」

 

「え?」

 

彼女は機密らしいMSの確保もしなければいけない。そんな時に一人で学生五人も見られたというだけで捕えようとするだろうか?追い散らしてMSの確保を優先するんじゃないか。

混乱してたとしても違和感がある。何かMSを外から見た以外の要因があるんじゃないか。面倒ごとの臭いがした。

 

「そこの少年が問題なんです」

 

追及をするつもりがないのにキラを見ながらそう発言した。

 

「ボクが、ですか」

 

女性の方がその反応に驚いていた。

 

「……な、なんで驚くの。自分が何をしたのか判ってないの」

 

「あの、キラはいったい何を…」

 

女性は呆れながら話した。

 

キラが少し前に自分と一緒にMSに乗り込んで操作していたと…それに自分が気絶していて不明だが戦闘をしていた状況的に、MSの撃退か撃破もしたと

 

「え、それ本当ですか!?」

 

ラルフは驚きの声をあげキラや学生に視線を向けた。

 

「え!?いえ!キラがそのMSから降りてくるのは見ましたけど…MSを撃破したのかは…キラどうなんだ」

 

「…う、うんザフトの機体をボクが撃墜したけど」

 

なんと言うのか。本人はとんでもない事をした自覚があまり無い様子だ。女性は益々呆れた視線を向けていた。襲撃されたコロニーでド素人がガンダムを動かす。敵の撃墜もした。初代ガンダムのオマージュいい加減にしろとシャアは思う。

 

「それに加えて彼は戦闘中に…OSの書き換えも行ったんです」

 

「…はい?」

 

ラルフは意味不明な言葉を聞いたと思う。巨大なロボットを動かす脳が簡単なわけがない。相当に複雑なプログラムになる。それを戦闘の間に書き換える?キラにOS開発で協力してもらってるのでコーディネーターの中でも能力が高いことは知ってるが…しかし幾らなんでも…

 

「事前にMSのOS関係の知識が相当あったとしか思えません。その知識の出所が何処か考えれば……彼も、彼の知り合いの彼らも拘束しようと思うのは当然だと思いませんか」

 

ザフト側かオーブ、又は企業スパイの類いと思われたのだろうか。そして学生組も関係者や協力者などと思われたということか。

 

「ち、違います!僕は……」

 

やらかしに気付いたのかキラ少年の顔色が悪い。女性はその反応にスパイの類いには見えないとは思うが……現実的にOSを変えれた理由が他に考えられない。

 

「彼のMSのOSの知識はそこのMSは関係ないよ」

 

キラを庇うようにシャアが女性にそう言った。

 

「……何でそういえるんですか」

 

怪しい人間の保証なんてなんの意味もない。

 

「実は私は集めたジャンク品からリペアしたジンを所持していてね」

 

「リペアしたジンですか…」

 

戦場後からも捕っていくジャンク屋なら、戦場後に残ったジンの残骸を集めてリペアするのも不可能とは言えない。

 

「そのリペアしたジンがなんだというんです」

 

「その機体を動かすOS造りに彼には協力してもらっていてね。そこのMSのOSを変えれたのはその経験を生かしたんだろう」

 

「……」

 

別のOSを作っていたからストライクのOSの書き換えも直ぐに出来るわけない。納得いかない。拘束は本音を言えばしたいだろうが…

 

「早くそのMSの移送をした方がいいんじゃないか」

 

「………そうですね」

 

女性は諦めた顔をしMSに向かおうとした。

爆音がした。

 

「またMSがコロニーに!?」

 

コロニーに侵入したジンと少し違うMSは一機の戦闘機、MAを追ってるようだ。

 

メビウス・ゼロというメビウスにガンバレルを装備したMSとも戦える連合のMA、コロニーの際どい所で戦闘をしている。

 

コロニーが戦闘に巻き込まれている。

シャアは……冷や汗を掻いていた。

 

これまで初代のガンダムに似たような事が起きている。初代ガンダムだと民間人がガンダムに乗り込み戦闘をしザクを破壊して…コロニーが壊れている。民間人のキラがガンダムにしか見えない機体に乗ってMSを撃破してる。……こうなると次にあるのは…ガンダムが戦闘をしてコロニー破壊をする?……女性がガンダムを動かそうとしてる。解放したのを今更ながら後悔した。

 

そう思ったのにMSから降りてきた。

 

「どうしたんです。せめてMSを見えにくい所に移動させた方が良いと思うんですが」

 

ラルフが女性にきいた。

 

「バッテリー切れで動かないのよ……」

 

バッテリー切れで動かない。そんな都合よくバッテリーを早急になんとかする手段なんてないだろう。それに良く考えれば初代ガンダムでコロニーを破壊したのは核が動力のザクのエンジンを破壊したから、この世界のMSの動力的にエンジンを壊してもそんな大爆発は起きない。仮にガンダムが戦闘をしても大丈夫だろうと女性からもガンダムからも目を離す。

 

嫌な予感はしたが、それよりもメビウスとザフトの戦闘、注目したのは巻き込まれない様にという警戒も理由もあるが……何とも言えない不思議な感覚を感じて気になった。

 

彼は戦闘に集中して女性や学生達が何をしてるか見てなかった。

 

ガンダムにしかみえない機体はストライクと言って……装備換装出来る機体。近くに換装する装備があった。ランチャーパック、それは戦艦並みのビームが射てる砲撃タイプのパーツ。装備にはバッテリーが内蔵されている。学生が何でか装着に協力していた。気付くとストライクにランチャーパックは装備されていた。

 

彼が気付いたのは起動した音で、起動した証に灰色からカラフルになるストライク、コロニーの外壁をぶち抜きそうな極太の砲を構えるストライク。メビウスを援護しようとしてるのか……コロニーの中心の軸、大黒柱みたいな重要な所に砲身が向いていた。

 

 

シャアはそれを見て……二度目の人生終わりを覚悟してしまった。

 

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