衝動的なの   作:ソウクイ

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第82話

 

シャア達はヘリオポリスの港の自分の船の中に戻った。

 

「どうします」

 

近くにザフトがいる。指揮がズタズタな連合の新型の船がいる。ヘリオポリスへの再度の襲撃があり得ると思われる。自分達がいるのは港であり此処に居たら巻き込まれる。小太りの男の焦った顔とか気持ち悪いなとわりと酷い酷い内心を隠して落ち着かせ、下手にヘリオポリスから出る方が危険だと言う。

 

ザフトがどう動くか。

 

都合が良ければ奪ったらしいMSで満足して去るが、再度の襲撃…または連合の戦艦が出てくるのを待ち受けてる場合もある。

 

外に出て……ザフトが民間の船を無事に通してくれるか。中立違反をしたからといって、他国の資源コロニーに警告も無しにMSを突入させ強襲した相手を信用出きるわけがない。まだ此処にいる方が安全だと船を何時でも出港できる状態で待機。ラルフはもしもの時に備えてMSを見ておくことにした。

 

「脚部にダメージは有りますが、簡単な補修でどうにかなるレベルですね……脚部のダメージが何時もより大きいですが、何を蹴ったんですか?」

 

「いや逃げるのにMSをね」

 

「蹴ったんですか!?いや非武装だから仕方ないですが……戦闘に使うつもりは無いと武装を蔑ろにしたのは失敗でしたね。今後は武装も付けますか」

 

「武装でジャンク品を使うのは嫌だよ」

 

「いやですか?なら新品の武器を買いに行きますか。そろそろ私達のMSの外側を本格的に作るための素材を買いにいくついでに」

 

ヘルムの男は外側という部分に力強く頷いた。

どうやら彼等が作るMSには外側が重要な様だ

 

「武器はともかく外側の素材は買いたいな……改造するのに施設も借りないとダメだろう」

 

「デザイナーの協力も」

 

「追加の資金が必要かな」

 

「ちょうど売れるものが外に沢山有りますよ…今さらながら罰当たりな事ですが」

 

ヘリオポリス周辺では戦闘が起きたばかりザフトや連合の兵器の残骸が漂っている。今なら他のジャンク屋が来る前に回収し放題。

 

「まぁ多少は良いことをするんだ許して貰おう」

 

「救助活動をするんですね。ザフトはともかく連合は救助なんてする余裕なんてあるとは思えませんし………早く去りませんかね。出来るだけ早く助けたいですよね」

 

「……」

 

「あ、いえね…子供の頃なんですけどね。私が乗ってた船が違う船と衝突事故にあったことがあったんですよ。お互いに壊れて漂流。酸素が漏れて、酸素が無くて後一時間で救助が来なかったら死ぬ!って状態になったんです。残り数分ってギリギリで救助がきて私の船の方は運良く助かりましたが……衝突した相手の方は救助が遅れたんですよ……その頃の事を思い出しましてね」

 

「……」

 

それから暫くして…

 

「どうやら行ったようです」

 

アークエンジェルが出る時にザフトが戦闘を仕掛けたがうまく逃げた。

 

「無事に逃げられた様でよかったですね」

 

「そうだな」

 

ラルフはホッとしたようすだ。ヘルムのオジサンはガンダム的な因果でヘリオポリスが崩壊しなくてホッとした。同じリアクションだが性質は違いすぎる。

 

「では船を出しますからMSの所に行ってください。本来は観賞用ですが今は仕方ないので作業用に使いましょう」

 

「わかった」

 

赤いMSが発進。

 

『ではお宝漁りに行こうか』

 

「はい。いや!先ずは救援ですからね!?」

 

ツッコミを受けながらMSはコロニーの外に出て救命信号が出ている地点に急いだ。救命挺や戦闘不能のメビウスなど漂ってるのを見つけて救助した。したのだが……大概、命の恩人なのにMSを使ってることでコーディネーターと思われて敵視された。

 

はじめはナチュラルだと言ったが信じて貰えない。それは大国ですら現状ナチュラルが使えるMSを作れてない。もしナチュラルと言うなら民間人が大国ですら出来てないMSを作った事になる。…まぁ一部、ナチュラルでもMSを使えるのだがあまり知られてないので仕方ない

 

 

感謝は無いが救助は遂行。救助した軍人はヘリオポリスに送り届けた。後は救助の報酬として勝手に残骸は貰っていくつもりだ。

救助した人員を下ろせば次はジャンク回収の予定だったが、面倒なことになった。

 

「そこの瓦礫をどかしてくれ!!」

 

赤いMSはヘリオポリス内の救助もやっていたが自主的にではない。

 

ラルフとシャアは救援活動を行いを救援した兵士をヘリオポリスに下ろした後、金髪の少女とガタイの良い男にコロニー内の救助の手伝いを頼まれた。救助を手伝ってくれと少女の勢いに押しきられてしまった。

 

「本国の救援が来るまでに出来ることはまだまだあるんだ!!一人でも多く助けるぞ!!」

 

カガリ・ユラ・アスハ。アスハ、オーブの偉いさんの家名。行動力と異様なカリスマがあった。

 

カガリはシェルターから出てきた民間人に救援した連合の軍人まで従えて、救援活動をしていた。去ろうとしたシャアとラルフもカガリに巻き込まれ、本来なら予定になかったMSでの救助や瓦礫の撤去などにも駆り出された。

 

そして1日で

 

「有名になってますね……」

 

「そうだな」

 

ヘリオポリスでテレビで救助の様子は放送されていた。MSは目立ち救援活動をしたと言うことでヒーロー扱い。

 

初めは襲ったザフトのMSに似た外見と、MSを動かせるのはコーディネーターだと言う認識があり…襲ったザフトだと思われたのか救助していても嫌悪の視線を向けられた。ナチュラルと言っても信じてもらえない。

 

しかしカガリが本人がナチュラルだと言ってるのになぜ信じない!とナゼかキレて、更に証拠をみせる事になり、また押しきられる形でシャアは検査をさせられナチュラルだと目に見える証拠がでた。

 

しかもナチュラルだとテレビ報道までされた。ナチュラルの乗ったMSと言う事で有名に。…軍服の様な赤い服に仮面を被ってる事もミステリアスと良い風に紹介されていた。救助前は変人扱いだった…

 

あまり持ち上げられ過ぎて怖いと、ラルフが自分達はジャンク屋で外の残骸も回収する事も話したが焼け石に水ぐらいの結果で終わった。

 

救助した連合の軍人が情報の拡散に協力したようだ。コーディネーターと疑った詫びというのもあるが……コーディネーターのMSは中立コロニーを襲い。ナチュラルのMSは人を助けた…そう言う風にしたかった様だ。

連合のジャンク品を貰っていく対価と思えば文句も言えない。

 

ようやく救助作業が終わった。

 

「オーブ以外にアルスター次官の乗った艦隊が向かってる?」

 

「パパが来るの!」

 

なにやら連合からも救助が来る話が聞こえたが、ラルフには関係ない。話を聞き流しラルフはこっそり出発しようとする。マスコミの取材と感謝した住民達の攻勢は中々に苛烈で逃げようとしていた。

 

 

 

「…疲れた…」

 

ラルフは感謝の印として貰った色々な荷物を抱えならが黄昏ている。なんだが悲哀すら感じている。人助けをした事には後悔はないがとても疲れていた。

 

因みにシャアはラルフを置いてMSを艦内に戻してから寝ている、と言うことに成っている。MSでの救助で疲れたんだろうと住民たちも遠慮し、その分の感謝もラルフが受けた。

 

「絶対面倒だから押し付けられたんですよねえ。……そう言えば救助活動に学生の協力者が結構居たのに、キラくんとキラくんの友人の学生たちも見てませんね。彼等なら救助に参加してそうと思うんですが……ん?噂をすれば…げ」

 

ラルフは誰か走ってきた足音を聞いてキラ達が来たのかと思ったが違った。

 

「あぁまだ居たか良かった!少し良いか!」

 

巻き込んだカガリだ。

 

「な、なんですか」

 

カガリの姿にラルフは年齢半分ほどの少女に及び腰だ。本人の性格もあるがオーブの権力者の娘の機嫌を損ねるのが不味い。連合やプラント等に好かれないジャンク屋的に中立のオーブはわりと重要。

 

後ろの体格の良い中東系の男が何処と無く申し訳なさそうな顔をしてるのに…絶対に厄介な話だと思った。

 

「お前たちは何処に行くんだ」

 

「……それはまだ決めてませんが」

 

「さっき集めたジャンク品を売りに行くんじゃないか」

 

テレビ取材で赤い人がジャンク品集めのついでの救助だと公言している。集めたジャンクを売りにいくと思うのも可笑しくないし。間違いでもない。

 

「あぁ…咎める気とかは無いぞ。」

 

そう言うわりに不機嫌そうな顔をしている。戦場で集めたジャンク品、墓荒しの様な行為、死んだ相手からモノを剥な事であり倫理観が有れば不愉快に成るのも当然か。

 

「それでは何のようなんですか」

 

ラルフはまさか集めたジャンクを連合に返すように言われるのかと身構えた。

 

「頼みがあるんだ」

 

「なんですか」

 

ラルフの声は固かった。

 

「其方の船に乗させてもらいたい」

 

「はい??」

 

ラルフは訳がわからなかった。

 

「色々と聞きたいことがあるんだ」

 

聞きたいこととはなんだろうか。

……ラルフはハッとした。

 

オーブは血筋重視。オーブのトップのアスハは王族みたいなモノ。カガリの立場はお姫様みたいなモノ、そんな相手が自身の国土であるヘリオポリスが襲われて、何の狙いもなしにジャンク屋に近付くと思えない。

 

 

ジャンク屋は…

 

今のジャンク屋は戦場跡でまだ使える高価な兵器をただで奪っていく。奪われる連合、ザフト両方から嫌われているのは当然。戦争には関与してないオーブのヘリオポリスだからジャンク屋も忌避されないが、一年も続く戦争でジャンク屋は儲かり大きな組織も出来るほどの利益。自分達の生き血を吸って肥太るジャンク屋、両国からの嫌悪はどれだけか。

 

オーブはどうか。

 

オーブもジャンク屋並みに立場が良いと思えない。今回攻められた事で中立が怪しく。もし攻められても味方をしてくれる同盟国が有るとも聞かない。中立と言うより孤立無縁、ジャンク屋と同じで何時潰されるかわからない弱い立場。立場が弱い者同士でジャンク屋と連携しようとするのが狙いのだろうか。

 

それかMSについてか。

 

何にしてもオーブとジャンク屋の未来に関わる事と思え断れる案件ではない。

 

「良いのか?感謝する!」

 

どう考えても裏の目的があるはずなのに、カガリの裏を一切感じさせない笑顔にラルフの顔はひきつった。

 

 

「思ったよりゴチャゴチャしていいないな」

 

カガリが船内を見回してそう言った。

 

「で、あの少女を乗せると…」

 

「スミマセン勝手に決めて」

 

「まぁ相手を考えると仕方ないだろう」

 

ヤレヤレと言いたげに肩を竦めてMSの方行った。

 

「カガリがスマナイな」

 

溜め息をはくラルフに対して中東系の男、キサカは謝る。立場的にカガリは一人に出来るお嬢様ではないのでお目付け役兼護衛だろうと思われていた。本当ならアウトローなジャンク屋の船に乗るのは止めたいだろう。

 

 

「お互い苦労しますね」

 

ラルフが苦笑しながらそう言った。面倒を掛けた側と掛けられた側だが、お互いに同じ苦労人の臭いがして親近感を感じてか空気は悪くない。

 

「……こう言っては悪いが、ラルフは安定を好みそうな感じがするな。なんでジャンク屋に?」

 

ラルフは乾いた笑いを浮かべた

 

「元々は機械弄りが好きで個人で修理屋を営んでたんですが………彼にあるMS造りに誘われて、気付くとジャンク屋の一員みたいになってました」

 

「後悔してるのか」

 

「いえいえ、後悔もしてませんしジャンク屋は楽しいんですですよ?彼と私の理想のMSを造るまでは止める気も有りません……まぁ道を間違えてると言われると否定はしにくいですが」

 

ラルフは哀愁漂う遠い目をしていた。

 

「……そうなのか」

 

キサカは深く聞くのは止めておいた。

 

「ラルフから見てシャアと言ったか。彼は……どうなんだ?大丈夫なのか?」

 

「見掛けは怪しいですけど基本的には善人です」

 

「…いや俺が聞きたい大丈夫というのは善人とかでなく……あれは大丈夫なんだろうか」

 

キサカの見る先を見る。カガリとシャアがMSの前で話していた。

 

「はぁ!?趣味でこのMSを作ったのか!?」

 

「あぁ私とラルフの趣味だよ」

 

赤い人はカガリと話している。話しているのはいいが、シャアの唯一見える顔の部分の口元が笑っていた。見るからに機嫌がよさそうだ。なんで機嫌が良いのか。キサカが聞きたい大丈夫の意味は………

 

「………少女趣味という事は」

 

「…………」

 

ラルフは無言で目をそらした。

大丈夫ではなかったとキサカは慌ててカガリの元に向かう。

 

「どうしたんだキサカ」

 

「な、なんでもない」

 

キサカはそう言いながらシャアとの間に立った。シャアの口元から笑みが消えている。いや筋肉ムキムキの男が近くに居たらそれは嫌だろう。多分カガリとは関係ない。

 

「そう言えば集めたジャンク品は何処に売りに行くんだ」

 

「何処にかは決めてないな。ラルフ何処にする?近場が良いが」

 

ラルフに聞いた。

 

「そうですね…近い所だと」

 

ラルフはヘリオポリスから近くに拠点を構える買い取り専門の業者を脳内にリストアップしていく、一番近い所…それに信用できる業者……

 

該当する所を見付けたがラルフは渋い顔をした

 

「言いづらい所なのか?」

 

「……ユニウスセブン跡地を拠点に使ってる業者ですね…」

 

 

 

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