衝動的なの   作:ソウクイ

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第84話

シャアと別れた後、キラはMSを降りるとナタルにより機密保持を理由に拘束された。友人たちも同じ扱いだ。外にザフトがまだ居る事が確認され戦力と人手を欲したと言う理由もある。アークエンジェルに乗りヘリオポリスから出ることになった。

 

それに伴い万全でない補給状態で出ていく事になった。ヘリオポリスは無事で補給は出来ないことも無かったが、ザフトがまた攻めてくる可能性があった。戦力が無い状態で援軍が来るまで籠城する事は悪手、それに民間人の学生を拘束してるのが問題だった。万一にもヘリオポリス内で発覚したらどうなるか。解放を要求されても解放は出来ない。内にも敵が出来る。

 

ザフトは追撃をしてきた。

 

キラの友人のアスラン・ザラを筆頭に連合から奪った4機の新型機を投入してきた。

 

キラは友人達を死なせたくない一心で友人を相手にストライクで戦った。

 

味方は強襲揚陸艦のアークエンジェルにムゥのみメビウスのみ。

 

ムゥは異名があるほど戦闘機乗りとしては強くMSを相手にも戦えるが、戦力としてストライクよりは下。

 

相手の奪われた4機のMSは、ストライクとは特色は違うが総合すれば性能差はそれほど有る訳でもない。機体の性能は大差ない。更に相手は正規の軍人でキラはド素人。援護はあったが、どう考えても勝ち目はないが…そんな中でキラは相手を撃退し。相手に手心を加える相手が居るなにしてもキラの異常性が見える。

 

撃退したが追撃は続いた。

 

速度を考えれば最新のアークエンジェルでなら、逃げ切れるだろうが水など諸々足りなくなる。

 

補給を頼みに連合所属のバリア装備で堅牢なアルテミスの傘等に向かう。無事に入れたがしかし歓迎はされなかった。

 

同じ連合でも所属は違う。しかも正式に出る前でアークエンジェルは味方と登録されてない。そんな最新の戦艦がMS付きで入ってきたらどうなるか。まるで因果応報の様に今度は自分達が拘束されるはめになった。

 

皮肉にも奪われたステルス特化のブリッツの攻撃により、バリアを張る事も出来ずアルテミスの傘は陥落、混乱に乗じて逃げられた。

 

しかしアークエンジェルに補給は当然できず状態は更に不味くなった。水不足が深刻。

 

苦渋の決断としてアークエンジェルは補給を有るところから現地調達することに。アークエンジェルの居る地点から調達できるのは…ユニウスセブン跡から調達する事になった。

 

ユニウスセブンを核で吹き飛ばした連合所属のアークエンジェルが調達する。ザフトにバレたらとても不味い所だ。

 

ユニウスセブンに入り調達。

学生たちも手伝わされた。

 

キラはストライクで調達をしているとユニウスセブンにてジンを見付ける。普通に考えれば追撃してきた相手、キラは初めは手を出さずにいたが、ジンが見付けた素振りを見せ撃破するしかなかった。

 

すぐ後に二機目のジンを発見。

そのジンも当然だが射った。

 

当たると思った攻撃は回避された。

 

「蹴られた!?」

 

MSの足らしきモノで蹴られた反動で避けられた。

蹴られたジンの影で見えなかったがジンが蹴飛ばされ赤い機体だとはわかる。まだジャンクの影で全体は見えないが…

 

「あの機体は」

 

手が出てきて蹴ったジンを引っ張り入れ替わる様に出てきた。全体像が見えた。ジンとは違うが系譜は同じと思わせる機体。キラが何度か見たこともある。プログラム等も担当し直接見たこともあるシャアの機体。

 

「…間違いない。あの機体、シャアさんの…」

 

先ずキラは考えた。あの機体は自分が協力したシャアの機体なのか。それか同型の機体なのか。

 

シャアの機体とすると、シャア自身はヘリオポリスにいる筈。もしヘリオポリスに居なくても偶然にもユニウスセブンの跡に来てるわけがない。と考え同型の機体。

 

ジンと一緒にいた事を考えるとザフトが作った?

 

「ザフトに機体の情報が流れてた?」

 

シャアの機体の情報がザフトに流れていたとして誰が流したのか。

 

「シャアさんは……多分違う…かな?援助してたらしいジャンク屋か、それかドレンさんが…」

 

知ってるだけのスポンサーの見知らぬジャンク屋は兎も角、赤い服に仮面の変人より信頼性が薄いメカニックが居るようだ。

 

「何にしても倒さないと…」

 

ただ自分の関係した機体。シャアに少し悪いとは思ったが特に容赦する理由がない。ジンより赤い機体に狙いを変えてライフルを撃ち込んだ。

 

避けた。

 

「……射つ前に避けた?」

 

キラは続けて射つ。次も避けられるが打ち続ける。徐々に赤い機体にビームの光は近付き始めた。赤い機体はこのままだとジリ貧だと思ったのかガンダムに向かい加速した。

 

「加速がジンより速い!このデブリの中で!?」

 

デブリを縫う様に赤い機体がガンダムの元に向かう。まるで減速しない。パイロットの腕の高さがわかる。何よりキラを驚かしたのは動きのパターン。

 

「あ、あの動きボクがプログラムしたヤツのまま」

 

行き過ぎた設定でマトモに動かせないと思えたプログラム。そんなプログラムを平然と使う相手が近づいてくる。キラは先程より慌ててライフルを射つ。避けられるかビームはデブリが盾になり当たらない。ビームを射つ瞬間に避けるかデブリを盾にする様に動く。まるで見えているように

 

「周りの空間の全てが見えてる……?」

 

ライフルを射ちすぎエネルギーの残量が少なくなっている。このまま射っても当たらないと、キラは落ち着いて相手の動きを観察して狙いを定める。距離はもう間近だ。キラがこの距離まで引き付けたとも言う。

 

「このタイミングなら見えていても!」

 

盾になるデブリは無い。盾になるどころかデブリが邪魔で回避は困難。今度こそはと必中を予感した。だが予感の直後、射つ前に赤い機体の足が動く。どういう空間認識能力と操縦技術をしてるのか、MSを人間と見ればサッカーボールほどの大きさしかないデブリを蹴った。それはガンダムの元に向かった。

 

引き付けたお陰で距離が近く直ぐに到達する。

 

「くっ!」

 

飛んできたデブリを避ける。PS装甲で無傷なのに反射的に動いてしまった。普通の機体やパイロットなら反射的にも動けない。ストライクの性能とキラの並外れた能力の高さが仇になった。最高のタイミングを逃したとキラは苛立った。

 

苛立ったせいで避ける時に視界から間近に来ていた赤い機体を外してしまった事への対応が遅れる。次に見たときには赤い機体が、肩の刺を前面に出した体当たりをしてきた姿だ。

 

「ぅぐわ!?」

 

PS装甲で防げて無傷でも数十トンのモノがぶつかってきた衝撃までは無くならない。コックピットに上手く当てたのかコックピットの中でキラは激しく揺さぶられた。

 

普通なら気絶するかもしれないがキラの意識はまだあった。耐久力が可笑しいのか軽く首を振っただけで建て直し、近接戦になると咄嗟にライフルを離しサーベルを抜く。だがまるでキラの意図を事前に知った様に赤い機体は、自分から近付いた距離をアッサリと捨て距離を開けていた。

 

「……」

 

シャアの機体と同じスペックとすれば性能はジンより少し上程度、性能はストライクの方が上なのに翻弄されている。キラは厄介な相手だと一滴の汗を流した。

 

『き、キラ大丈夫か!!』

 

トールの声にキラはバッと視線を動かした。避難してると勝手に思っていたトールは避難せず心配してまだ残っていた。非武装のデブリを回収する作業用の機械でだ。

 

「トール!こんな所にいちゃダメだ!逃げて!!」

 

キラは必死に逃げる様に伝えた。だがその伝えようとした事が赤い機体にも伝わったのか、赤い機体はトールの方にモノアイを向けて目を光らせた。

 

「や、止めろ!学生で武器もないんだ!!」

 

通信回線を開いてキラは叫んだ。

赤い機体のモノアイはまた光った。まるで良いことを聞いたと言うように…キラはゴクリと息を呑んだ。

 

次に赤い機体からの通信が聞こえた。

 

『その声はキラくんか』

 

よく知った声だった。

 

「は、え??え???しゃ…シャアさん??」

 

『やはりキラくんか。なんでまだその機体に乗ってるんだ?』

 

キラは友人と戦場で出会った時よりも混乱したかもしれない。

 

 

 

キラは混乱から立ち直った後にシャアに此までの事を話した。

 

『なるほどそんな事があったと…随分と活躍もして……ガンダム主人公だろおめぇ』

 

此までの騒動の話を聞いてシャアの口から自然と前世の言葉がでてきた。

 

「え?主人公?」

 

『ああ、いや、何でもない』

 

「シャアさんはなんで此処に?ジンと一緒に居ましたがまさかザフト…」

 

『いやザフトとは関係ないよ。あのジンは売るのに回収した機体で乗ってるのもオーブのお嬢様だ』

 

「お嬢様…?」

 

『なんで此処に居るかと言うと簡単に言えば君とは違う厄介事に巻き込まれてね。地球方面に行くことになったんだ。その途中で此処にも寄ることになったんだよ』

 

「そうなんですか」

 

本当に簡単な説明で良く判らなかったが、少なくともザフトとは関係なさそうと安心した。それと何か巻き込まれたと聞いて運が悪いのは自分達だけじゃ無いんだなとさらに安心した。

 

キラはハッと何かに気付いた。

 

「あ、あのスミマセン、勘違いでシャアさんを射ってしまって!!…それと…あ、あの、も、もしかして…僕の落としたジンに乗ってたのは…」

 

キラはシャアの知り合いを、ザフトでもない相手を間違いで殺してしまったのかと顔色を青くし声も震わせた。

 

『いや特に知り合いでもないよ。恐らく君達を探してるザフトのジンだったんだろう』

 

「そう、ですか。」

 

キラは間違いでなかったと安心した。しかし人を殺して安心した自分に自己嫌悪も感じた。

 

『ふむ、ザフトに追われてるなら早く物資の調達を急いだ方がいいな。何かの縁だ手伝おう』

 

シャアは話を変えるように切り出した。

 

「…あ…ありがとうございます」

 

『その前にドレンへの連絡だな。連絡が終わったら手伝うよ』

 

「はいお願いします…………トールどうよう」

 

キラは感謝してから、通信が通じてるのにずっと黙ったままだったトールにどうするか話しを振る。

 

『え、いや、取り敢えず艦長たちに連絡して説明した方がいいんじゃないか?』

 

「…どう説明したらいい?」

 

『………そこは…うん、頑張ってくれ!!』

 

 

 

 

 

シャアは向こうに連絡した。キラの現状を聞いてラルフは同情し了解し、売る仕事は自分の方でやっておくと言ってくれた。カガリも来ようとしたが流石に売る時に困ると戻された。

 

連絡を終えたシャアはキラ達の方を向いた。

 

『…それは?』

 

シャアはキラが牽引しているモノに疑問を感じた。少し前の救助中に結構みたモノだった。

 

「まだ機能してる救助挺が漂ってたんです」

 

別に人命救助をする事に何か言うことはなかった。まぁ苦労しない側だからだろう。アークエンジェルの乗員の立場ならこんな時に何をしてるんだと思いそうだが

 

『こんな所に?』

 

普通の人は近付くわけもないユニウスセブン跡に漂ってた救命挺。危ない中身が入ってる気がして仕方なかった。なんだか救命挺が禍々しくも見えてきた。

 

 

 

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