衝動的なの   作:ソウクイ

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第85話

 

マリューたちは物資調達をしてるキラたちからの通信で、ジャンク屋のMSが物資調達に協力してくれると聞いて困惑した。これ迄の道中を思い出す。学生を酷使し過ぎたのかとムウやナタルは真剣に話し合った。しかし本当に赤い機体が来て更に困惑した。

 

で、困惑させた相手は物資だけを置いてサッサと去ろうとしたが、マリューはお礼を言いたいと引き留めた。相手は通信すら開かなかったがキラが説得し何とか格納庫に入って貰った。

 

そうしてて赤い機体から降りてきた相手を見て…納得できた。機体の色と服の色を見てだろうか。

 

縛られ二十代でネコミミという辱しめを受けたマリューは、去って貰った方が良かったと後悔した。ムゥは何か気に食わないのか舌打ちした。アークエンジェルで比較的マトモに対応できそうな首脳陣はナタルだけだった。

 

「物資調達のご協力に感謝します。しかし貴方はジャンク屋ですか。……学生ではなかったのですか」

 

え、学生?こんなのが学生と名乗って学生と騙されたの?という視線がナタルに刺さる。ナタルは顔を少し赤くした。

 

「このMSを造るのにヘリオポリスの教授に学ばせて貰っていた事もある。大枠では学生の1種とも言えないか?」

 

平然と暴論をのたまう相手に大半はナタルの様に飽きれ、ムウやマリューの額には青筋が出来ていた。その顔を見て言葉を追加した。

 

「連合ではジャンク屋と言えば印象が悪いと思ってね。隠すのも仕方ないだろう?」

 

「……」

 

確かに印象が悪いのは間違いではない。理由があっても騙された側としては気分は悪いが、善意か怪しいが物資調達に協力してくれた相手に強く文句も言えない。

 

「名前はシャアらしいですね。偽名を名乗ったのは後から私達に調べられても問題ないようにですか?」

 

「……そんな所かな」

 

「そうですか。…まぁそれはいいです。ヘリオポリスにいた貴方が何故此処に居るんですか。ジャンク屋の仕事としてですか?」

 

それはユニウスセブンに墓荒しをしに来てるのかと暗に聞いていた。ジャンク屋が此処に居る理由は他に考えられない。まぁ自分達も同じ墓荒しの立場だがそれはそれとして不快には思った口調だ。

 

「ジャンク屋としての仕事もあるが、此方にきた理由は護衛みたいな事で人を届ける事になったからだ」

 

「護衛ってそこのMSがあるからか?そのMSは何なんだ。ジャンク屋で開発したのか」

 

ムウがMSを見ながら睨むように聞いていた。

 

「……」

 

聞こえてないように無視した。

ムウの額の血管が浮かんで見えるようだ

 

「あのその機体はなんですか」

 

「ただのジンをリペアして改造した機体だよ」

 

マリューが改めて聞くとアッサリと答えた。

確かにジンの面影もあり本当だと信じられた。

問題はマリューの質問には普通に答えた事だ。MSの事に関して黙秘するという理由でムウの発言を無視した可能性が無くなった。

 

「この赤野郎、ブッ飛ばして良いよな」

 

ムゥのキレた様子を赤い人はまた無視する。殴り合いでも始まりそうな空気となりマリューはあわてて話す。

 

「じ、ジンの改造機体ということは、貴方はコーディネーター…ですよね」

 

マリューは失言をしたと思った。

キラがコーディネーターとムウが言った時の様に周りがざわめいた。

 

コーディネーターだと確認しても不和があるだけ、マリューはコーディネーターと思っても敵(ザフト)だとは疑ってない。敵ならヘリオポリスでストライクが既に奪われてるからだ。奪うきならネコミミ等やってるわけがない。亀の甲な縛りもするわけがない。ザフトのスパイ扱いで銃弾を撃ち込んでも良い気がした。

 

「いやナチュラルだが?」

 

嘘をつくのも仕方ないとは思う。コーディネーターブッコロと考えてそうな連合の艦、コーディネーターとバレるのはジャンク屋とバレるより不味い。と、嘘自体は仕方ないと思ったが……笑うような言い方にカチンときて突っ込んでしまう。

 

 

「そこのMSを動かしていたんですよね。もし貴方がナチュラルとすれば何故動かせているんです……まさか、ジャンク屋ではナチュラル用のOSが既に完成しているとでも?」

 

あり得ないと目と声が言っていた。

 

軍人のムウでなく民間人でコーディネーターのキラが機密の塊のストライクに乗ってる理由は、ストライクのOSがナチュラルには使えないモノだからだ。開発してない訳でなく開発できていない。開発が困難で複数の国が集まった連合ですら今だ開発出来てないナチュラル用のOS、そんなOSが民間で開発されてる訳がないと考えるのは当然か。

 

「ジャンク屋でなく…少し特殊な出所のOSだがナチュラルの私でも動かせるモノだよ」

 

まだナチュラル用だと言い張る相手にマリューは少し考えてから言った。

 

「そのOSをコピーさせて貰うことは出来ないでしょうか」

 

ナチュラルが使えると信じてはないが技術者として、ジャンク屋ではどんなOSを使ってるのかは気になった。

 

「別にかまわないが」

 

キラをチラリと見て躊躇いがちに頷くのを確認してから言った。ただしかしと付け加える。

 

「戦闘に対応してるかわからないOSだけどいるのかな?」

 

「なぜ判らないんだ。戦闘関係は一番肝心な所でしょう?」

 

「別に戦闘に使うつもりが無くてね。だからそこら辺のプログラムを頼んでない」

 

「あー…ジャンク屋だから戦闘じゃなくて作業用の機械として使うだけだから?」

 

MS=戦闘兵器と言う認識から違うのかとマリューは考えた。流石に作業用どころか観賞用だとは思うわけも無かった。

 

「なんだよ戦闘に使えない役立たずか。俺もナチュラルに使えるOSあるならMSに乗れるんだって期待して損したな」

 

端からナチュラル用と信じてはなかったのに鼻で笑うように言った。役立たず辺りはわざとらしく赤い人を見ながら

 

「軍人が民間人のモノに期待するのが間違いだと思うよ」

 

「「「………」」」

 

ムウの発言は倍返しに痛い発言で返された。モノでないが民間人のキラに期待してMSに乗せてる側の心情としては痛い。マリュー達の心にもとばっちりが来る。

 

「あの…救命挺」

 

キラは空気に耐えかねて放置されてた救命挺に意識を向けることにした。

 

「え、ええ!そうねキラくん!それを放置したままなのはダメね」

 

救命挺を持ってきた事に文句を言いたいナタルたちなども助かった顔をした。

 

「さて中身は何かしら…」

 

危険だと思ったのか銃を持った軍人が周りを取り囲む。シャアはキラの隣少し後ろの方に立っていた。

 

「そんなに警戒するようなモノとは思えないんですが…」

 

キラは一番近くの赤い人に話しかけた。

 

「どうだろうな。何故か私はあの中身はとてつもなく危険な予感がするんだが…」

 

赤い機体を動かしていたシャアがこう言うならと、キラは同じ様に救命挺に警戒の視線を向けた。

 

ハッチが開き中から出てきたのは…

 

「てやんでい」

 

警戒の空気が抜けた。

 

ピンク色の丸い物体は色を除くと、シャアにはとても見知った形状だった。……ガンダムの主人公の間近にあるハロ。次にピンク色の髪の何かが出てきた。

 

「………」ゾワッ

 

それを見た瞬間に警戒していたマリューたちは更に気が抜けたが。シャアの全身には鳥肌が立った。本能からこれ以上ないほどに警戒音、ガンダムに当たれば一撃で死ぬビームライフルで狙われた時よりも、最大級の警告を発していた。

 

「あ」

 

流されるようにキラ…いやシャアの方にくる。シャアには補食対象を見つけたら蛇が近づいてくる様に見えた。

 

「すまん」

 

「え!?シャアさん!?」

 

隣にいたキラを盾にした。

相手はキラにくっついた。

 

「あら?あらあら…此処はザフトの船で無いんですか」

 

 

 

 

 

「ラクス…クライン…クラインって、まさかシーゲル・クラインの…」

 

「はいシーゲル・クラインは私の父です」

 

「げ、現プラント議長の娘……」

 

良い大人が場所を考えずに頭を抱えたい気分か。

 

ニュートロンジャマーで人類を何億と死なせたプラント党首の娘。プラントでは歌手アイドルの美少女。そんな彼女の居るのは連合の艦、プラントに対して多かれ少なかれ気が立っている乗組員ばかり…

 

暴行かR指定まっしぐらな状況だがR指定は無い。残念なことにアークエンジェルには良心のある人間しか乗ってなかった。何で虐殺などはセーフで性的なあれはアウトなのか。

 

ラクス・クラインの顔が平然としてる様に見えるのは天然なのか。演技なのか。演技で警戒してるとすれば……ハロが最初に出てきたのは偶然でなく意図的だったと考えられる。警戒を緩めるためにわざと、さらにシャアとキラの方に流れたのは一番身の安全をはかれそうな相手だと瞬時に計算して、計算高い演技の上手い少女……疑って見ればそう見える。赤い人にはガンダム主人公にヒロインが憑いたように見えた。

 

 

不貞寝をしたいのを我慢した様なマリューが何故救命挺に乗っていたのか聞いた。

 

「ユニウスセブンへは慰霊の歌の為に来てたのですが、船が攻撃を受けて私は一人だけ救命挺に乗せられたんです」

 

「…そうだったんですか」

 

慰霊の歌と言うのは有るとして…一人だけ救命挺に乗って助かった?

 

何でラクス・クライン一人だけなのか。他にもアイドルとしたらマネージャーなど戦闘出来な要員も乗ってたりしないだろうか。船が攻撃を受けて戦闘要員が残ってたとしても、船に乗ってた全員がラクス以外戦闘要員だったわけもないだろう。何でラクスだけ救命挺に乗せられたのか。

 

それにプラントの船が攻撃をされたとなると、攻撃したのは普通に考えて連合。それなのに連合の船に乗ってて平然としてるように見える。一人だけ助かって連合の船に乗って……不安でも恐怖でも怒りでも悲しみでも何かしら負の感情を見せるのが普通ではないだろうか。

いや仮に襲ったのが連合でなく海賊などだとしても負の感情を普通は見せるはず

 

その認識の上で天然少女と言った表面を見せられたら不気味過ぎる!!と言うのが赤い人の感想だった。

 

「……」

 

「あらあら、其方の赤い方はどちらに?」

 

コッソリと赤いMSに向かう赤い人をピンクが見つけた。全員が視ることになった。

 

「……私は知り合いのよしみで少し寄らせて貰っただけの一般人でね。用事も終わったから去ろうとしてるだけだよ」

 

いや!厄介ごと(ラクス)に関わるのが嫌で逃げようとしたんだろう!と直前の内心を知られてたら言われそうだ。

 

「そうなんですか…」

 

ラクスが何か言おうとしている。言う前にこのまま去ろうと足を速めた。

 

アークエンジェル乗組員としては、素性の怪しいコーディネーターに居てほしくない。しかし一人だけ1抜けされた様な事もイヤだという複雑な心情を抱かされた。

 

「ははは、待てよ。そう慌てて帰ることも無いだろう。ゆっくり調達の礼をさせてくれよ」

 

笑いながらそう言ったのはムウ、逃がさねーぞテメーはと言う強い(負の)意思がこもった目をしていた。物理的にも逃がさないと肩をとても力強く掴んだ。

 

「……………」

 

「……………」

 

赤い人と連合のエース、お互いの口元だけは笑っていた。

 

「イヤイヤ、折角のお誘いだが、護衛対象をあまり長く放置しておくのも問題でね…」

 

「その護衛対象てのもどうせなら此処に呼べばどうだ」

 

「何でだ。そんな訳に…別にいいか?君達と行き先はたぶん同じだろうし」

 

「ちょっと待て、なにか判らんが……やっぱ連れてくんな。面倒な予感がする」

 

「……」

 

それから暫く後

 

 

「サイ!貴方なんでここに!?」

 

「フレイ、き、君こそなんで」

 

「私は連合の人と一緒にパパを迎えに来たの!」

 

「フラガ大尉…ご無事だったんですね」

 

「ら、ラクスさま!?なぜラクスさまが…れ、連合の船などに!?」

 

「なんでお前がMSに!?」

 

「君は…シェルターに入れた娘だっけ」

 

 

「連れてくんなって言ったよなぁぁあ!!予想通り面倒な事に成ってるじゃねーか!」

 

「イヤイヤ、面倒とはなにかね。連合の人達とザフトの捕虜だよ。ついでに連合側の事務次官の御息女だよ。送る義理もないのに此処まで届けたんだ君達が感じるべきは恩だろう。文句ではなく礼を言うべきじゃないかな」

 

「恩の押し売り反対すんな!」

 

 

 

「さて、私は去らせて貰うよ」

 

「押し付けて去るな!!」

 

「押し付けるも何も元から大体が連合側が何とかする責任がある相手だよ」

 

「そこは…あれだ…連れてきたならもうお前にも責任あるだろ」

 

「酷い暴論だな」

 

「せめて艦隊と合流して厄介な…お客さんを向こうに送るまでは居てくれないかしら…」

 

「何故向こうに送るまで」

 

「…問題を起こさない様に見張る手伝いをしてほしいの。其れぐらい手伝ってくれても良いでしょう」

 

「此処に居ると問題に巻き込まれそうで嫌なんだが、まぁ、艦隊と合流する間ぐらいなら何も起き……………何か起きそうだな」

 

「は?」

 

「何かってなんです。なにを想像したの」

 

「いや特に…想像なんて……合流する前に追ってのザフトに襲ってくるとか?」

 

「有りそうな話を……」

 

 

 

 

 

「なるほど、正解は合流する前に艦隊の方が襲われるだったと……」

 

 

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