衝動的なの   作:ソウクイ

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よこしま

 

ヒーロー、それは英雄。

英雄、それは人々の憧れ。

 

憧れられる。それはつまり…女の子にも…モテる!!モテにモテまくる筈だ!!

 

ヒーローになって美人な女性に!可愛い女の子に!ボンキュボンのオネーさんに!ドッキン…げふん!モテたい!!これはそんな純粋な下劣な下心からヒーローを目指した…魂に刻まれるほど筋金入りのスケベな少年の物語である。

 

 

「ぜはぁ……せひゅうう…げふ!…ふぅ…こ、ここなんか」

 

ソコにいたのは平凡な顔立ちの学生服を着て額に赤いバンダナを巻いた少年。ボロボロで木の棒を杖みたいについてプルプルしている。救急車を呼ぶ必要があるか迷う姿だ。ここに来るまでに通報されたりしてないか?

 

「此処やんな。時間は…間に合ったん…か?まだ始まってへんよな。人居るし……大丈夫やんな?大丈夫じゃ無かったら泣く!…時間は……ふぅぅ…ギリギリやけどセーフ!ギリギリ…!!あの猿!!危うく間に合わなくなる所やったやんか!なーーにが…極限状態で受けさせる為だ!絶対ウッカリ忘れてただけやろが!」

 

ヨロヨロしてい疲労困憊な様子と思えば、元気なのか。最後には天に向かって叫んでいる。

 

気付くとなぜか少年の服が戻っている。先ほどまで倒れる寸前といった様子だったのに普通に歩いてる。この平凡そうなのに何処か可笑しい少年は高校受験に来ていた。

 

「まぁ間に合ったんやからエエか。……エエんか?……人多いなぁ」

 

師匠のお薦めに従った少年はどんな高校の受験かは知らない。倍率300倍という少年からしたら0が二つほど多い高校の受験。倍率に相応しい何百人、何千といる多数の受験生、

 

「はぁーえー……まさか、これ全員が受験生!?確かワイが受ける試験には40人しか受からないとか聞いたぞ?…この人数でって事なら倍率どんだけや…東大とかぐらいか…それぐらいやんな。…ふ、ふふふ…」

 

笑っている?

少年は合格する自信があるのだろうか!?

 

ん?少年の顔から下を見ると…

 

少年の足はガクガク。

腰が引けている。

 

いやこれは間違いなく…

 

ビビっている。

 

「ふ、ふざけんなぁああ!!合格難しいとか聞いてたけど!最上位の名門みたいな所受けさせるなや!こんなエリート高校にワイが合格出来るわけねぇーやろ!!!」

 

少年は公衆の面前で騒いでいる。無駄に周りの受験生の注目を集めている。そしてなんでこの高校の受験を受けに来てるんだと至極当然の事を疑問視されていた。

 

心の底からぽい叫びは自分に自信が欠片も無さそうな事と、そもそも受験する雄英高校についてよくわかってない事も伝えた。超有名な雄英を知らないって何れだけ世間知らず何だよ!と言うことは置いておいて、この受験に本人の意思で来てない?受ける高校がどんな所かも聞いてない?

 

何人か受験受けたフリをして帰れよと言おうか迷う。

 

「くそ!こんな確定で落ちる試験に落ちたら地獄の特訓をさせるって酷いやろ!」

 

ご丁寧にも帰れない理由を叫んだ。

 

「今まで以上の地獄の特訓とか死ぬ…ワイ死んでしまう…確実に落ちる試験ならあんな発言なんて流石に無効やんな?無効にしてくれる……わけないな!!あの鬼たちなら!!」

 

少年は頭を抱える。

 

「どうする…何とか回避出来へんか。いっそ間に合わなかった事にして!遅刻も猿のせいにして………アカンか…アカンよなぁ…ウソとバレる…バレたら余計に酷いことになる。くそ!何で間に合う様に来てしまった!そもそもなんでこんなエリート高校受験をしなアカンのや!ワイはヒーローになれてモテれる高校に行きたいって希望だしただけやぞ!」

 

さっきから独り言にしては声がでかい。

ドンドンと周りの目線が冷たくなっていく事には気づいてないんだろうか。

 

「…名門やから合格したらモテるって事だよな。女はイケメン、金持ち、高学歴が大好き。高学歴だけでもモテモテ街道一直線いけるか?いけたら…沢山の女の子から告白されたり、一夏の誤りとか求められたり!ウッフンな事があったり、アッハンな体験も!あわよくば合体イベント!!……ぐふ、グフフフフフ」

 

此処に居るのは雄英のヒーロー科試験の受験者。最高のヒーローを夢見る受験者たちだ。

 

合格した妄想でスケベな笑い顔を晒す。醸し出されるエリートとは真逆な三下感、人としての品性の欠片も見えない。少年は自業自得で周りから蔑みの視線を向けられていた。

 

いや

 

まてよ!

 

この場の全員が同じ受験を受ける生徒。

40人しか入れない雄英ヒーロー科の席を取り合うライバル。少年もライバルの一人だ。

しかし先程からの醜態でこの場の全員が少年をライバルと、競争相手と認識しなくなっている。

 

これは…!

 

まだ少年が強いのか弱いのかわからない。見掛けが三下だろうとこの個性社会では‘個性‘によっては厄介な可能性もある。それに普通に考えて人前であんな台詞をはくだろうか。あんな台詞のせいで少年は見下されてライバルと見られてない。

 

ただ言葉だけで他のライバルを油断させたとも言える。計画的だとしたら少年は見事な策士ではないか!

 

「ぐふふふふ…いやぁ!アカンよ!お姉さんたち!ワイの身体は1つやから…」

 

言い換えると本気なら真性のアホ。

 

 

それから少しして千人以上が座れる所で説明会が開始されていた。先程の少年も含めた多数の受験生が一同に集まった試験の説明会。少年も帰らずに説明会にちゃんと来ている。試験について司会説明をする雄英の教師が現れて驚いた。

 

「今日は俺のライブにようこそ!エヴィバディセイHEY!」

 

司会をしているのは雄英の教師でプロヒーローのプレゼントマイク。金髪鶏冠にサングラスに服。教師?人気DJを兼業してると…ぼそぼそと誰かが話してる。有名らしい。少年は派手なおっさんやなと思うのみで視線と意識は別の所に向いている。

 

「………」

 

少年は会場に入る前の醜態が嘘のようにキリッと擬音が付きそうなぐらい真剣な顔をしている。真剣な顔で他の受験生を眺めていた。

どの様なライバルが居るのか確認しているのか。その目は熟練の狩人が獲物を見るように鋭い。

 

先程のあれはやはり擬態か!!

 

(む、あの短髪の娘いいな!!おお!アッチのポヤヤンとした娘は胸がバインバイン!スイカ、メロン……むむ、なんだ女の子の服だけ浮いてる…は!?ままましゃか、女の子の透明人間だというのか!?く!角度が!服の隙間が…!!)

 

真面目に聞いてる他の参加者に謝れと言いたい観察を熱心にしていた。そして説明をろくに聞いてなかった。

 

「て、ことで俺からの説明は以上!最後に雄英の校訓をプレゼントするぜ!彼の英雄ナポレオン・ボナパルトは言った。真の英雄とは人生の不幸を乗り越えて行くもの!ってな!plusultra(更に向こうへ)!それでは皆!良い受難を!!」

 

プレゼントマイクの締めという感じの声にッハ!とした。

 

(は!不味い!殆んど説明会きいてなかった!ポイントやら言ってたような…)

 

合格する自信は無くても流石に真面目には受けるつもりだ。真剣に受けてない事が師匠にバレたら怖いから。既に手遅れ。

少年は説明会が終わる頃に慌てて配られてた試験の資料を見た。

 

「ふぁ!ロボットにポイントが付いてる!ロボットと戦うんか!?」

 

今更な叫びに何だコイツという視線を向けられた。

 

 

実技試験を前に着替えていた。

 

大体が学校のジャージ、もしくは自作らしき服を着てる受験者もいる。少年には此処に来る前に師匠から渡された実技に使えと言われた服がある。包装されていてここではじめてみた。みる前にワクワクドキドキしていた。格好いい戦闘服みたいなのを期待していた。

 

で、出てきたのは

 

「なんだこれ!?」

 

出てきたのは青のGパンにGジャン。あと黄色いシャツ。随分と昔のオタク衣装か。良く言ってもセンスの古い普通の私服にしか見えない。しかも新しく貰った新品な筈なのに使用感がある中古のに見える。

 

「う、ウ~ン、これ服を間違えたとかじゃかないか?間違えでもこれ着るしかないよな。…これなら何時もの道着の方がええよな。折角用意してくれるならもっとカッコいい感じの用意してくれたら良いのにな~。誰のセンスや」

 

ブツクサ文句を言いながらも着替える少年、赤いバンダナはそのまま。着替えて鏡の前でシャキン!とポーズを決めた。その外見は!間違いなく!!……そこら辺の一般人!!

 

「なんだか不思議とシックリ来る。これ良い感じだな!」

 

初めて着たのにまるで何年も着てたみたいな着心地、なんだか格好いい気もしてきた。少し前の文句を簡単に撤回……しようとしたら、ダサいという言葉が飛び交ったので涙目になった。

 

着替えてからは試験会場に移動。

 

「はーー…学校の敷地でバス移動ってどんだけ広いんや」

 

幾つかのグループに別れてバスに乗っての移動。バスに乗る相手がライバルか。同じバスに乗る少年を見て1人ライバル候補が減ったなと喜んだ。

 

 

移動した先は町だ。町にしか見えない。町の入り口にスタートラインみたいなのがある。まさか……

 

「これ試験会場…」

 

この高校の予算がどうなってるのか少年はドン引き。

 

「と!試験会場よりも!」

 

今は試験の時間だ。直ぐに意識を切り替える。意識を切り替え……女子をみた。

 

(むふふふ、ボディラインが出てる女の子ばかりだ)

 

古今東西、色んな学校の女子生徒のジャージ等の服を胸と尻に太股など然り気無く、ガン見している。女子に気付かれて毛虫を見つけたみたいに距離を開けられた。そんな変態少年は例外として他の参加者はスタートラインの近くで緊張を見せていた。

 

一人だけ試験に集中していない少年…だったが…

 

「はいスタート」

 

説明の時はクドかったのに今度は酷くアッサリとしたプレゼントマイクからの開始の合図。

 

「いまスタート…って?」

 

全員にスタートとは聞こえていた。しかし普通はスタートの前によーーい!など何か言葉があるという認識がある。スタートして良いのか迷って動かない。

 

ただ1人だけが走り出した!!

それは醜態を晒していたジャージの一般人にしか見えない少年だ!

 

後ろの方に居たのに他の参加者が動かない横を通り抜ける少年。

 

 

少年は異様に速い。少年の個性は身体能力が増す増強系か?違う。ならヒーローになるために猛特訓で鍛えられた素早さか?これもまた違う!

 

速さは実戦で鍛えられて産まれたもの!…少年の!その素早さは!…女性の着替えを覗いてバレた後に逃げたり等、様々なスケベ行為の為に鍛えられ産まれた産物なのだ!!!

 

まぁそんな速さの理由だが一人だけスタートダッシュに成功しているのが現実だ。本来なら誰の目にも見える形でリード、出し抜かれた。出遅れた!と思う筈なのだが……

 

少年を見る受験生の目は冷めていた。

 

「な、なんで誰もこんの!?スタートしたらあかんかったん??いやいやスタートって言ったやんな。え、聞き間違いした!?」

 

先行しながらチラチラ不安そうに後ろを見る所で小者感を見せつけられ、あまりの小者感に馬鹿が一人だけフライングしてるんじゃないか?という感じになっていた。

 

「HEY!ボーーッと止まってる奴は早くスタートしなくて良いのか!スタートって言ったろ。実戦によーいドン!なんて無いぞ!ほら急げ!ハリーハリー」

 

受験生はギョッとし逆に少年はホッとした。

そして

 

「よっしゃあ!やっぱ聞き間違いでなかった!先行とった!!」

 

先程まで不安がっていた癖に普通に先行してると判ると…。

 

「…」チラッ

 

「ププ」

 

走りながらちょっと後ろを見てプププと小馬鹿にする感じに笑った。まるで君達たらおっそーい。え、なに、なんでまーーだスタート地点にいるの??え、ノロマなのか。亀なの。と笑ってるようだ。先程不安にさせられたお返しだろうか。小さい!

 

まだ始まったばかりで先頭をとっただけ気にする必要はない。だが前を行くのは校門前や説明会で醜態を晒した見るからに小者。この場に居るのはエリートばかり。エリートが見るからに小者な相手に出遅れてバカにされた。挑発としては効果抜群だ!

 

「くそおおお!あんな、あんな奴より出遅れるなんて!!負けるか!!」

 

「スタートに遅れただけ…まだいける!」

 

「あんなのに!あんなのにだけは負けたくない!!」

 

「ぶっとばしてやる…」

 

「(コロスコロス)」

 

「なんか怖い!?」

 

一部の怒りのボルテージが上がっていた。ちょっと怒りが激しすぎないか。

 

怒り心頭な受験生を筆頭に猪突猛進といった様子で走り出す受験生。狙いはロボットなのか?少年じゃないか?ポイントのあるロボットと少年が居たら少年の方を刈り取りそうだ!冷静さがみえない。は!!少年は挑発して冷静さを失わせたのか!挑発の効果は抜群だ!!

 

「ふぁ!!?ちょ、ちょっと笑っただけで怒りすぎやろ!?」

 

少年は後ろから迫ってくる殺気まで感じる形相の集団にビビる。まるで下着ど…げふん、下着の持ち主が追い掛けてくる光景だと!

 

少年が一人先行。

そんな少年の前にあるビルの影から少年の進路を塞ぐようになにかが出てきた!

 

『ターゲットホソク!!』

 

「ロボ!?」

 

少年は物影から出てきたのは二台のロボット。近すぎて止まれない!避けられない!あと少しで走っている少年とぶつかる!!折角スタートダッシュに成功したのに開幕早々ダメージをおってしまう!

 

「な、なんとおおお!!」

 

あとコンマゼロ秒でぶつかる!と思えるタイミングでジャンプ!ビョーンと不恰好な姿勢で跳ぶ!!上手くロボットの上に乗った!!

 

パイ◯ダーオン!などと言ってると後続のロボットが上に乗った少年を攻撃してきた。

 

「ふぬあ!?」

 

少年は奇妙な悲鳴をあげながら避けるとロボットの攻撃が乗っていたロボの頭に直撃。開発者が装丁してなかった放電、爆発!攻撃したロボも巻き込まれて戦闘不能。少年は爆風に飛んだー

 

「ふんばあ!」

 

少年は地面にずベシャッとおちたが直ぐに起き上がる。爆風に飛ばされたのにピンピンしてる。重症に成りそうな落ち方してなかったか?

 

「こ、こんな危ない所にいてられるかぁあ!! 」

 

と、閉じられた場所での殺人事件で単独行動をして死体に変わってる犠牲者その二みたいな台詞を吐く。入口に戻ろうと後ろを振り向くと、ズドドドドド!!と向かってくるポイントを狙う飢えた受験生達の姿。少年に殺気を向けてる受験生も何故かわりかしいる。少年は頷いた。

 

「うん、あっちはアカン」

 

少年は別の方向に走り出した。

市街地の奥に向かって。

奥に進むと勿論ロボが多いのはわかる。

 

「あ、あっちよりはマシやろ!グルッと回って入り口に……」

 

何処で曲がろうかと考えながらそのまま走ってると開けた場所に出た。ロボットが…沢山いた。

 

『『『『『『『『『ターゲットホソク』』』』』』』』』

 

予定より多い。まるでターゲットロボが町に分散される前に来たみたいな…

 

「ぎゃああああ!!!!ちょ!!ロボット多い!?多すぎ!ギャアアア!!一斉に襲ってきたぁ!!こっちくんなぁ!!!向こういけ…あ、向こうからも来た……お助けエエエ!!」

 

 

 

 

 

 

受験は終わった。

それから何日かあと少年の所に雄英から通知が届いた。

 

『横島忠夫くん、初めましてなのさ。知ってるかなボクは雄英高校校長の根津!此方の事情で悪いけど時間が押してるから早速試験の結果について話すけど…君の試験のポイントについて意見が色々とあってほんとーに!時間がかかったのさ!それで君が獲得したポイントだけど…86!君は雄英高校ヒーロー科試験に首席で合格なのさ!』

 

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