ゼロの使い魔〜if〜 サイト・ラ・ヴァリエール   作:匿名サンタ

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ヤンデレになりかけている気がします。


第九話 誕生日パーティーと兄妹

 

最初は失敗したけれどいつか自然に使えるようになるって思ってた。

 

だって、わたしはヴァリエール家の子どもなんだから。

 

でも、使えなかった。

 

だからいっぱい努力した。

 

でも、駄目だった。

ーーーー。

 

今日は楽しいパーティのはずだった。

 

わたしと兄様の誕生日パーティー。

 

綺麗なドレスに身を包んで、服に無頓着な兄様もいっぱいおめかしして、今日はわたしがお姫様で兄様が王子様。

 

二人で腕を組んで歩いて、いっぱい人を呼ぶから新しい友達ができるかもなんて期待してた。

 

でも、今わたしがいるのは綺麗に彩られたパーティの会場じゃなくて、領内にある湖の小舟の上。

 

わたしの心はこんなに暗いのに月はいつもと変わらず明るく輝いている。

 

「なんでわたし、魔法使えないんだろ」

 

きっかけは、パーティの途中で聞いた貴族の子どもの言葉だった。

 

「あ、君、ゼロのルイ……むがっ」

 

途中でその子は親に口を塞がれていたが、何を言おうとしていたかは明白だった。

 

自分は魔法が使えないゼロのルイズ。そう呼ばれていることを知った。

 

言われたときは悔しくて、腹が立って、悲しくて。

 

でも、それ以上に自分が情けなかった。

 

公爵家の子どもなのに魔法が使えない自分。

 

せっかくの綺麗なドレスなのに涙で濡れていく。

 

ドレスが濡れていくのがまた悲しくて涙が止まらない。

「よっ」

 

「兄様!?」

 

急に声を掛けられてびっくりして、振り返るとそこには兄様がいた。

 

兄様は汗だくだった。多分わたしのために走ってきてくれたのだろう。

その事実は 頭が沸騰しそうになるくらい嬉しい。でも……。

「俺も船乗っていい?」

 

「……うん」

 

多分わたしの目は涙で腫れていて、それを見られたくないから、顔を伏せたまま返事をする。

 

兄様の顔が見られない。

 

兄様はしばらく何も言わなかったけど、意を決したように口を開いた。

 

「なぁ、ルイズ。顔を上げてくれ。これから一つお前に大切なことを教えてやるよ」

 

泣き腫らした目をこすって、喋りだした兄様の顔を見る。兄様の顔はいつになく真剣だ。

 

「大切なこと?」

 

「そう。大切なこと。いいか? 魔法が使えるからって貴族じゃないんだ」

 

「ふえ? でも、貴族は全員魔法が使えるよ」

 

「でも、貴族じゃないのに魔法が使えるやつだっている。いいか? 一番大事なのは敵に背中を見せないこと。つまり誇りを忘れないことだ」

 

「何それ? ご本で読んだの?」

 

急にそれらしいことをいう兄様に尋ねる。

 

「いや。人から聞いたんだ」

 

その顔を見て、わたしはピンとくる。

 

「誰?」

 

「な、なにがだよ」

 

「その人。父様や母様じゃないでしょう」

 

多分兄様の好きな子だ。だって、わたしが兄様のことを思うときと同じ顔をしていたから。

 

「兄様、わたし以外に好きな女の子がいるでしょう」

 

「……いないよ」

 

「嘘」

 

「なんでだよ」

 

「そんな顔してたもん」

 

「なんだよ。俺のいうことが信じられないのかよ」

 

「信じられない。だって、兄様嘘つきだもん」

 

「俺はお前に嘘なんてついたことないよ」

 

「……兄様本当は魔法が使えるでしょう」

 

「……知ってたのか」

 

兄様が驚いた顔でわたしをみる

 

「毎日一緒なのよ? 気づかないわけないわ」

 

「……ごめん」

 

「謝らないで。すごくみじめになるから。でも、いいよ。だってわたしのために隠してたんだもんね」

 

本当はちょっと嫉妬した。

 

でも、わたしのためだって知ってたからそれ以上に嬉しかった。

 

「ねぇ兄様。約束して欲しいの」

 

「何をだ?」

 

「わたし以外の女の子を好きにならないって」

 

「ルイズ以外本気になったことなんてないよ」

 

それは絶対に嘘。だってさっきの顔は絶対好きな人のことを思ってた。

 

「それはわかったけど……。これからの話よ」

 

兄様は黙って小指を突き出した。

 

兄様の小指とわたしの小指を結ぶ。

 

「指切りげんまん、わたし以外の人を好きになったらハリセンボンのーます! ゆびきった!」

 

そう言って指を離そうとしたが、指が離れない。兄様が解かないから。

 

「指切りげんまん、ルイズが最高のメイジにならなかったらハリセンボン飲んでやる! 指切った!」

 

わたしは指から兄様の顔に視線を移す。

 

兄様は好き好き言われたのが恥ずかしいのか後ろを向いている。

 

「さぁ、ルイズ。さっさと帰ろうぜ。お前が泣かされたことを父様や母様が知ったらあいつ殺されちまうよ」

 

「むー、泣いてないもん!」

 

「わかった、わかった。ルイズは泣いてない」

そう言ってわたしの手を握る兄様。

 

わたしはその手を強く握り返す。

 

兄様と喋ると嫌な気持ちも吹っ飛んじゃう。

 

やっぱりわたしは兄様が大好き!

 

 

 

 

 

 

ーーーー。

 

 

 

 

 

「なぁ、お前なんて言う名前だ?」

 

「はぁ? 人の名前を尋ねるときは自分からって習わなかったのか?」

 

「サイト。サイト・ラ・ヴァリエール」

 

「ふん。ヴィリエ。ヴィリエ・ド・ロレーヌだ」

 

「そうか。学院で会えるのを楽しみにしてるぜ。ヴィリエ」

 

そう言ってサイトは屋敷へと戻って言った。

 

(なんだったんだ、あいつ……?)

 

ヴィリエは不思議に思いながら馬車へと乗り込んだ。




長ったらしい前書きとか後書きあんまり好きじゃないんですけど、この場をお借りして、
皆様のおかげでランキングに載ることができました。
ぱちぱちっ!

これも読んでくださった方、評価に感想お気に入りしてくださっている方のおかげでございます。

ありがとうございます、そしてこれからもどうぞよろしくお願い致します(^^)
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