ゼロの使い魔〜if〜 サイト・ラ・ヴァリエール   作:匿名サンタ

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四話 初めての魔法

扉を開くと中に待っていたのは……。おじさんだった。

血縁関係のある叔父さんではなく、ただのおじさん。サイトは心の中でとんでもないヒゲのなんか賢そうな人が来ると考えていたので、少しがっかりした。

普通に考えれば貴族は皆魔法使いなのだから、そんな魔法使いらしい…仙人の様な人が来るわけがないというのはわかっていたことなのだが。

 

先生が持っている教科書から目を離して、入ってきた二人を見る。

「お二人とも、少し遅刻しましたね」

どうやらサイト等の先生になるおじさんは真面目な人のようだった。

二人がヴァリエール家の子どもだと知っているのに臆せず注意の言葉を放つ。

先生の言葉を聞いてサイトとルイズはすぐに

「「ごめんなさい」」

と、ぺこりと頭を下げた。

何しろヴァリエール家の母はあの烈風のカリンなのだ。

子どもとはいえ、もし師匠となる人に無礼な口を聞けばすぐにお尻を叩かれてしまう。

だから、二人は素直に謝ったのだ。

そして先生は真面目な人ではあっても特段鬼のように厳しい人ではなかったようで、素直に謝る二人をみて頷いた。

「よろしい。以後、気をつけてくださいね」

先生のその言葉で遅刻のお咎めは終わり、早速、初めての魔法の授業が始まった。

 

ーー。

 

「で、先生! 今日は自分にあった杖を選ぶんですよね?」

ルイズが手を上げて先生に尋ねる。

「普通はそうですね。一般的には初心者向けの杖の中から自分に適している形状、材料でできているものを選び心を通わせます。……ですが、今日は杖を選びません」

先生の答えにルイズは不満顔だ。

そんなルイズの顔を見てすぐに先生がフォローの言葉を続けた。

「まあ、この授業の始めに自分の杖を選ばない理由は明日……いや、早ければ今日の夜にでも分かりますよ。今日は、まず一つ段階を飛ばしてお二人の系統魔法を見つけるところから始めたいと思います」

先生の説明に今度はサイトが手を上げる。

「杖がないと調べられなくないですか?」

サイトの質問に先生はニコリと笑う。

それから、懐から小さな杖を取り出し、二人に手渡した。

「今日はこちらを使っていただきます」

 

ーー。

杖を渡した後、二人は先生に中庭へ移動するように言われた。

移動の理由は、先生曰く火系統の才能があった場合に何か燃やしてしまったり水系統の才能があって部屋が水浸しになるといけないから、とのことらしい。

中庭に着くと、先生が早速話を始める。

「お二人に渡した杖は契約せずとも使えるのですが、初歩程度の呪文しか唱えることができません。火なら発火。水ならコンデンセイションですね」

先生はさらに説明を続ける。

「それによりどれが一番よく効果を発揮したかを確認して系統を見極めます。それからこれからの授業の内容を決めるんですね」

あのーと、ルイズがおずおずと手を上げる。先生が視線で発言を許すと、ルイズが言った。

「先生、ずっと気になっていたんですけど、コモンマジックより系統魔法を先にやるのはなぜですか?」

「いい質問です。それは系統魔法の方が簡単だからですね。あとは、理由としてこれからの計画、目標が立てやすいというのがあります」

「……コモンマジックより系統魔法の方が簡単ですか?」

「まあ系統魔法の初歩だけに限りますが。火で例えますと、発火の呪文はコモンマジックより簡単です。なぜならその子は火系統の使い手。将来は火のエキスパートになるのですから。ですが、当然系統魔法の上位呪文になるとそんなに簡単に習得はできません。以上がコモンマジックよりも系統魔法を先に教える理由ですね。それから教える順番は難易度順と考えてもらって間違いないですよ」

「ありがとうございます。よくわかりました」

ルイズは理解したようで、お礼を行った後、満足気な顔をしている。

 

「それではやってみましょう」と、先生の一言で自分の系統を見つける授業が始まった。

サイトは、自分が兄だし先にやるべきかと考えたのだが、ルイズが自分が先にやりたいと言うので譲り、まずはルイズから始めることになった。

 

 

自分の系統を見つけると言えば難しく感じるが、そうでもない。

順に四系統の初歩の呪文を唱えていくだけだ。

火は発火、水はコンデンセイション、風はウインド、土は錬金。

その中で僅かにでも呪文が成功すればそれが自分の系統ということになる。

ただ先生曰く、最初から皆成功するわけではないとのこと。やはり一番簡単と言っても充分難しいのだろう。

 

早速、ルイズが先生に言われた通り発火の呪文を唱える。

……結果は爆発すらせず失敗。

水の呪文を唱える。

……失敗。

続いて、風と土を唱えるが結局成功しなかった。

結果を目の当たりにしてルイズは目に見えて落ち込んでいた。

少し気まずい空気が流れたが、そこはプロの先生。

すかさず、ルイズに一朝一夕にできるのは珍しいとフォローを入れ、励ましていた。

 

そして、サイトの番となった。

火と水は何も起こらず次は風の系統を唱える。

ウィンドとサイトが口にすると、僅かにだがそよ風のようなものが吹き草が揺れる。

「今少し、風が吹いたように感じますね。サイト様は風系統の才能がお有りでしょうか」

「いいえ、今のはただ吹いた自然の風です」

サイトは自分の魔法が成功していないと言った。

「ですが……」

「いいえ、成功していません」

先生が何かを言いかけるが、サイトはきっぱり言い放つ。

それで、先生は何かを察したようで、

「わかりました。それでは今日のここまで、また後日少しずつ勉強していきましょう」

と、言って杖を回収した。

 

……今日の授業は、そこでお開きということになった。

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