ゼロの使い魔〜if〜 サイト・ラ・ヴァリエール 作:匿名サンタ
初めての授業が終わった日の夜。
ヴァリエール一家は揃って夕食のテーブルに着いた。
ヴァリエール家は公爵家なので何時も晩御飯は豪華だ。
だが、今日は普段よりも殊更にランクは上。
その理由は簡単。
サイトとルイズが初めて魔法を学んだ日だからだ。
しかし、豪華な食事を目の前にしてもルイズの顔はしょんぼりと落ち込んでいる。
「落ちこむことはないぞ。ルイズ。1日や2日で、魔法が使えることができるようになることの方が珍しいのだからな」
「うん……」
ヴァリエール公爵が慰めるもあまり効果はないようで顔は沈んだままだ。
「にしても、ルイズはこんなに落ち込んでいるというのに……」
そう言ってカリンは苦笑しながら食事を進めている才人を見る
「ちびサイト。アンタは魔法が成功しなかったこと気にしてないのね」
エレオノールが問いかける。
「ん。まぁね。ルイズと一緒の日に使えるようになればそれでいいし、それにさ……」
その言葉を聞いてカトレアは微笑んだ。
「サイトとルイズは何時も一緒だものね。で、それにということは続きがあるの?」
「うん! 俺、魔法もいいけど剣を使えるようになりたいんだ」
サイトの言葉を聞いて、ビクリと体が動いたのはヴァリエール公爵だった。
剣術を息子に教えるというのは貴族の父の夢である。
そう……わかりやすく言うならば現代におけるキャッチボールのようなもの。
「おほん、サイト。わたしが教えてやろう。どれ、明日にでも……」
「アナタ、明日はご用事がありますでしょう?」
「うっ! しかしだな…キャンセルをすれば」
「王家からの招集をキャンセルなど出来るわけないではありませんか。サイトの剣は私が見ましょう」
「母さまが教えてくれるの!?」
そう提案したカリンをヴァリエール公爵は恨めしそうに見ているが、悲しいことに才人は乗り気だ。
「ええ、でも一つ教えて頂戴。サイトには魔法があるのになんで剣術を習いたいのかしら?」
「……イーヴァルディの勇者みたいに強くなきゃルイズを守れない」
答えを聞いたカリンが微笑むと同時に才人の座っていた椅子が倒れた。
「兄様、大好き!!!」
ルイズがサイトに抱きついたのだ。
それを見たカリンが行儀が悪いルイズを叱り、ヴァリエール公爵は頬にキスをされる才人を羨ましそうに見つめる。
エレオノールは可愛い弟にそんなことを言われる小さな妹にちょっぴり嫉妬
して……。そしてカトレアは相変わらず楽しそうにニコニコと微笑んでいた。
ーーーー
翌日、約束通りに才人に剣術を指南しているカリンは驚愕していた。
その理由は才人の才能だ。
今、カリンと才人は木の剣で軽い模擬戦をしている。
本当は今日はそんなことをするつもりはなかった。
最初は剣の握りから、それから基礎を固めてようやく模擬戦そんな風に考えていた。
だが、才人に子供に教えるような過程はいらないのだと振るう剣で分からさせられた。
熟練の剣術家のような綺麗な太刀筋。かと思えば、フェイントを入れた
傭兵のような動き。
極めつけは剣を囮に足を使って攻撃してきたことだ。
剣を振るうだけが、剣術ではないことを知っている。
「剣を扱うのは初めてのはずですね?」
「……うん」
「どうやら素敵な才能をブリミル様からいただいたようですね、サイト」
「あ、うん。そうだね。ブリミル様に感謝しないと」
「ええ。ですから、少しですが私もレベルを上げましょう」
そう言って腰の杖を振り、威力の弱いエアハンマーを才人に放った。
才人は正面から木の剣でエアハンマーを迎え撃つが、魔法の威力は衰えずそのまま後ろに倒れこんだ。
「……この剣がデルフだったらな」
「何か言いましたか?」
「ううん。母様、もう一回!」
「ええ、お昼前まで続けましょうか」
すぐ立ち上がりもう一度とせがむ才人を見てカリンは嬉しそうに微笑む。
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(
よし。これで剣を買ってもらう口実ができた)
もう一度俺はデルフに会うんだ。